一話
こんな、夢を見た。
目の前には一人の艦娘がいた。
赤城だ。その胸にはあたしの砲撃で空いた穴がある。
どうして、ですか?
意味がわからないっぽい。資材の盗難を行ったのだから、そうなるのは当然っぽい。
――――――彼女は必要な資材を使っただけ、けど維持に必要な資材を出し惜しんだ提督が破壊するように指示をした。
目の前には一人の艦娘がいた。
曙だ。その頭はあたしの砲撃で半分消し飛んでいる。
どうしてよ?
意味がわからないっぽい。提督に反逆をしたのだから、そうなるのは当然っぽい。
――――――彼女は普通に話をしたつもりだった。それが、気に障った提督が破壊するように指示をした。
目の前には一人の艦娘がいた。
青葉だ。あたしの砲撃で片足が吹き飛ばされ、右胸に穴が開いていた。
どうしてなのよ?
意味がわからないっぽい。機密情報に触れたのだから、そうなるのは当然っぽい。
――――――彼女は提督を追いかけ、たまたま不倫相手との密会現場を見かけただけだった。それを隠そうとした提督が破壊するように指示をした。
目の前には一人の艦娘がいた。
山城だ。あたしの砲撃で首から上が消し飛んでいた。
どうして、なのかしら?
意味がわからないっぽい。戦いを拒絶したんだから、そうなるのは当然っぽい。
――――――彼女は出撃に不安を零しただけ、欠陥と呼ばれた彼女の存在をうとんだ提督が破壊するように指示をした。
目の前には一人の艦娘がいた。
潮だ。あたしの砲撃で腰から下が千切れ飛んでいた。
どうしてでしょうか?
意味がわからないっぽい。敵に助力したのだから、そうなるのは当然っぽい。
――――――彼女はただ、救いたかっただけだった。
目の前には一人の艦娘がいた。
夕立だ。
あたしは、たくさんの艦娘を殺した。
意味がわからないっぽい。
――――――目をそむけているだけ。
意味がわからないっぽい。
――――――命令されたとは言っても、殺したのはあたしだ。
意味がわからないっぽい。
――――――彼女たちはなにもしていなかった。ただ、普通に生きていただけ。
意味がわからないっぽい。
――――――そんな彼女たちを、都合が悪いという理由で殺してきた。
意味がわからないっぽい。
――――――殺した。
意味がわからないっぽい。
――――――殺した。
――――殺した。
――殺した。
殺した。
殺した。殺した。殺した、殺した、殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した。
胸に穴を開けた赤城が言う。
殺した、と。
頭が半分消し飛んだ曙が言う。
殺した、と。
足がなく、胸に穴が空いた青葉が言う。
殺した、と。
首から上が消し飛んだ山城が言う。
殺した、と。
腰から下が千切れてなくなった潮が言う。
殺した、と。
殺した、と。あたしが殺した艦娘が言う。殺した、と。周りに立つ艦娘が言う、殺した、と。あたしを取り囲む艦娘が言う、殺した、と。その奥にいる艦娘が言う、殺した、と。その向こう側にいる艦娘が言う、殺した、と。数え切れないほどの艦娘が一斉に叫ぶ。お前が、
「そう、あたしが皆を殺した。
っぽい、なんて言えない。命令されたなんて言っても、殺したのはあたし。
誰も、悪い事なんてしてなかった。誰も、……それなのに、あたしは、殺した」
そんな、現実。
海には一人の艦娘がいた。
夕立だ。あたしの砲撃で頭を消し飛ばされ、深海へと堕ちて逝った。
――――――こんな、幻視。
血・・・・・・鳥居の・・・。陰湿な、・・・よ・・濃・の・。
・内に・・蝋・の・・・・に・らされた、・生し、・・、・・た社。
そこで、・が嗤う。
――――――そんな、幻視。
そして、現実。
「珍しいな。
異形がない、っていうのもね。君は本当に深海棲艦なのかな?」
「へ?」
目を開ける。最初に目に入ったのはあたしより小さいっぽい男の子。
「はじめまして、僕の名前は言仁。
君の名前は?」
「夕立、っぽい」
「……ぽい?」
首を傾げられた。……夕立、っぽい?
「う、うん、夕立、っぽい?」
「…………まあ、夕立だね」
「っぽい」
「さて、と。
夕立、君は何者かわかる?」
「何者かって、……えーと。
駆逐艦、白露型の四番艦、夕立っぽい」
「艦娘?」
「っぽい」
「……そう、これはこれで面倒かもしれない、か」
「どうしたの?」
「ううん、……ところで、ここに来る前に何をやっていたか覚えてる?
思いつく限りでいいから話してみて」
ここに来る前、夕立は、とある泊地で艦娘として造られた。
提督とはあまりお話ししなかった。どっちかといえば訓練が多くて、たまに出撃して深海棲艦と戦ってた。
そんな日々を繰り返して、轟沈する艦娘もいたけど、夕立は何とか生き延びて錬度を高めていった。
そして、・を見て、久しぶりに会った提督がちょっと驚いていたっぽい。
そのあと、は、どっちかといえば訓練が多かったっぽい。
錬度が上がってって言う割には思ってた以上に性能が向上したみたいで、……ただ、その時、提督はあんまり喜んでなかったっぽい。まあ、あんまり仲良かったわけでもなかったから構わないけど。
それで、確か提督に連れられて鎮守府に向かって、その鎮守府には提督よりもずっと偉い人がいたっぽい。たぶん、階級とか詳しくないし。
ただまあ、その提督から・・・・を受け取って・・に違反した・・を・して、
そのころからあまり海には出てないっぽい。
そういえば、その辺りは夕立の提督と一緒に行動していた時が多かったっぽい。会話はほとんどないから印象ないけど。
それで、また別の提督のところに行って、その提督からも・・・・を受け取って、……えっと、・・に・・した・・を・して、
その辺はそんな事の繰り返し、・・・・を受け取って、・・をした・・を・して、
最後の・・・・の時、夕立が持ってる砲を突き付けられた・は、・・・・って聞いてきて、聞きながら・を流して、けど、夕立は・・・・だからいつも通り・して、
そして、えーと、いままでの・・・・をちょっと・まで・・・・でみて、それで、
・い・を、見た。
・い・・を、知った。
夕立が、いままで・したのは、本当はそんな必要は全然・い娘だった。
ただ、・・の都合が・いって言うだけで、・・・・の対象になっていただけだった。
そういえば、……最後の思い出、久しぶりに海に出たっけ、勝手に。どうしてかは覚えてないけど。
そして、
「そこまでっぽい」
「そ、……」
言仁くんは困ったように頷く。
「うーん?」
「あれ? 困らせったっぽい?」
別にそんな変な話した覚えはないっぽい。……ただ、普通の艦娘の活動を話しただけっぽい。のだけど。
「…………ううん、いいよ。なんでもない。
さて、実感はわいてないと思うけど、夕立は轟沈したんだ」
「ふぇ?」
まさに寝耳に水、なに言ってるの? ってくらい。
だって、……視線を落とす、傷一つない。
もちろん、燃料がなくなって、……それでも沈まないっぽい? えーと、……ともかく百歩譲って外傷がないのに轟沈したとしても、ここは屋内。普通に轟沈した先、海の中っぽくない。
まあ、轟沈した事はないから夕立の偏見かもしれない、っぽい?
「ここは深海の底にある都。
君たちが深海棲艦と呼んでいる娘がいる都だよ。まあ、僕はよくわからないけど、ここに来た娘は深海棲艦らしくないって言われているみたいだけどね」
「…………きょ、驚愕の言葉っぽい」
深海の底にある都とか、深海棲艦がいるとか。
「百聞は一見に如かず、か」言仁くんは扉に手をかける「一応言っておこうかな、ようこそ、僕の都へ」
扉を開けた。