ドラゴンクエストⅤ~紡がれし三つの刻~   作:乱A

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・ω・)チラッ
Ξササッ
・)ヒョコッ
ω・)「た、ただいま…」


第三十七話「出立、神の塔へ」

 

無事に再会を果たしたリュカ達は話し合いをする為に修道院へと向かった。

大事な話があると言い、マリアとリリスには席を外してもらいシスター・ラルカの部屋で彼女と向かい合う。

 

「御二方共お久しぶりですね。さて、お戻りになって来たという事はこの修道院に何かの用事があっての事でしょう」

 

シスター・ラルカの質問にはヘンリーが答える。

 

「はい。今現在、ラインハットは王に化けた魔物によって内側から支配されています。その姿を暴き、騒動を治める為にもラーの鏡を入手しなければならないのです。そしてその鏡が収められている塔に入るに為の鍵はこの修道院にあるとの事で」

「…塔に入る為の鍵ですか?」

「はい、古文書にはそう記されていました」

「なるほど…。あの塔の事はこの修道院にも代々語り継がれて来ました。まず、結論から先に申し上げますと『鍵』その物は此処にはありません」

「そ、そんな!?」

「じゃあ、あの古文書は偽者だったのか?」

 

鍵は無いと聞き、動揺する二人だがシスター・ラルカは軽く微笑むと話を続ける。

 

「慌てないで下さい。塔に入る為の鍵は貴方方が思っている様な『物』ではないという事です」

「『物』じゃない…ですか?そう言えば鍵には実体が無いとか書いていたな、リュカ」

「ああ、確かに。では何を持って鍵と呼ぶのですか?」

「それは乙女の祈りです」

「乙女の…」

「祈り?」

「はい。あの塔は『神の塔』と呼ばれ、我々修道院の信者が神への信仰心を試す為の修練と洗礼の場所、故に乙女の神への祈りこそが扉を開く鍵となるのです。そして、ラーの鏡はその最上階に安置されています」

「では、シスター・ラルカも?」

「はい。私もあの塔で洗礼を受けました。しかし、その後から魔物達の動きが活発になって来てしまい、塔に辿り着く事すら出来なくなったしまいました。あ、そう言えば…」

「そう言えば、何でしょうか?」

 

そこまで語ると、シスター・ラルカは何かを思い出した様だ。

 

「10数年程前、旅の途中だと言う武芸者と女性の二人が訪れた際に当時のシスターの洗礼を受ける為の護衛を引き受けてもらった事があります。それが最後の洗礼でした」

(…旅の武芸者?)

 

その言葉に”もしや”と思うリュカだが、確証は無いので聞き返す事はせずにいた。

 

「つまり、俺達がその『神の塔』に入る為には洗礼を受ける事が出来る女性が一緒ではないと無理だという事ですか」

「はい。その上、(くだん)の時には塔の中にも魔物が跋扈していたとか」

 

本来ならば塔の中には魔物は居ない筈なのだが、魔王の力の影響なのか何時の間にか魔物が住み着いていたらしい。

 

「なら、俺達が護衛として一緒に入って魔物の相手をすれば良いって事だな」

「そういう事だが問題は誰に門を開けてもらうかになるな。いや、やはり危険すぎる、何か他の方法は…」

 

「「私達に行かせてください!」」

 

「「えっ!?」」

「まあ、貴女達」

 

リュカとヘンリーが誰に同行してもらうか、それとも他の方法を探すかと悩んでいると行き成りマリアとリリスが扉を開けて入って来た。

 

「い、一緒に行くって意味が分かっているのか?今、あそこはもうただの試練の場所じゃないんだぞ。魔物が居て危険で…」

「分かって言ってるんですリュカさん!待っているだけなのはもう嫌、力になれるのならなりたい、助けてあげたいです!」

「私もです、ヘンリーさん。今までずっとずっと心配だった、怖かった。二人共無事なのか、怪我していないのかなって。もう待っているだけなのは嫌!」

「ふ、二人共」

「困ったな」

 

マリア達は涙目で訴えかけ、リュカ達もその目を見て拒みきれないでいた。

シスター・ラルカはそんな彼等に微笑みかけながら語り掛ける。

 

「連れて行ってあげてはくれませんか?」

「シ、シスター・ラルカ?」

「しかし、余りにも危険では」

「貴方方二人だけでは心配です。それに護るべき彼女達が居れば二人共無茶な事はしないでしょう」

「「う…」」

 

自覚があるのか二人は反論が出来ないでいた。

 

「急いでいるんですよね、早く行きましょう。今度は幾ら駄目だと言っても付いて行きますから」

「それに私達がいなきゃ塔の扉は開かないんでしょう?」

「はあ、諦めろリュカ。何を言っても無駄らしい」

「仕方ないなぁ。無茶するようなら直ぐに連れ戻すからね」

「「はいっ!」」

 

諦め顔で溜息を付くリュカ達とは違い、マリアとリリスは満面の笑顔で返事をする。

 

 

 

そして翌朝、準備を終えたリュカ達はシスター・ラルカに出発の挨拶をする。

ちなみにマリアとリリスは馬車の傍で新たな仲間となるブラウンとシーザーにじゃれ付いている。

 

「では、シスター・ラルカ、行って来ます」

「二人は俺達が責任を持って無事に連れて帰ります」

「ええ、どうぞお気をつけて。私達は皆の無事を祈っております」

 

マリアとリリスを馬車に乗せ、リュカ達は神の塔へと歩き出す。

ラーの鏡を手に入れる為に。

そして、ラインハットを取り戻す為に……

 

 

=冒険の書に記録します=

 

 




(`・ω・)テレビゲーム総選挙2位記念。
さて、続きは何時になるのか……

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