IS 漆黒の機影   作:シルフィードAS

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やっぱり時間がかかりますね。
駄文ですがどうぞ!


序章 二

草薙重工イタリア支部。

IS部門操縦者(パイロット)課。そう書かれた看板が吊るされている部屋の中で二人の男が机を挟んで話し合っている。

一人はここ(パイロット課)の課長。本名は誰も知らない。もう一人は世界で二人目の男性操縦者であるアーク・ストライド。

 

「なんで俺がIS学園なんかに行かなくてはいけないんですか!?」

「嫌なの?」

「そりゃそうでしょう!誰が好んで女子高行くんですかっ!」

一人目(・・・)がいるじゃん」

「あれは世間にバレてるからでしょ!!俺、バレてないじゃないですか!?」

「んじゃ、今すぐバラす。全世界に。ネットで。リアルタイムで。」

「あーもう頭痛い……」

「行く?」

「行けばいいんでしょう!行けば!」

「うん。じゃ、いってらっしゃーい」

 

俺は座っていたソファから立ち上がって早々に部屋から出るためにドアノブに手を掛ける。

 

「あっ。ちょっと待って」

「まだ何かあるんですか?」

 

もううんざりだ。行く為の準備もあるし、早めにしてもらいたい。

 

「言い忘れたけど、乗る飛行機は今日の11時の便だからね。急がないと間に合わないよ?」

「は?」

 

壁に掛かっている時計の短針は9時を指している。長針は15。9時15分だ。

2時間……ない。

 

「空港までは1時間半以上かかるよ~。早くしなきゃね?」

「早く言っとけよぉおお!?」

 

荷物は後回し。部屋からでた俺はそう決めて空港へ向かった。

 

 

 

10時57分。

なんとかタクシーを拾うことが出来た俺は、無事に飛行機への搭乗を済ませられた。完全に身一つだが。

 

「(なんだかなぁー。ほんと、最近ついてないぜ)」

 

座席を多少傾けて、寝る準備をしていると、ポケットに入っていた携帯が鳴った。

画面を見ると、メールのようだ。

送信者は課長。

メールアプリを起動させて、送られてきたメールを開くと、そこには日本に着いてからのスケジュールが打たれていた。

かなりギッシリしたスケジュールだ。今日の予定は無いようで、泊まるホテルなどが書かれているだけだ。

ホテルもチェックインするだけになっていた。

そこらへんは配慮していてくれたようだ。

そんなことよりもっと早くIS学園行きを教えてくれれば良かったのにと、思いつつメールを読んでいく。

 

ある程度読むとどうやら今日の代わりに明日の予定はぎっしり詰まっているみたいだ。

朝9時にIS学園に行き、入学手続きと実技試験。

幸い、『ディアボロ』は持ち込んできている。

その後長いメールを一通り見終えた俺は、やることも無いのでさっさと寝た。

 

 

日本時間にして午後11時。

日本に到着した。

非常に不本意ながらもやはりここは異国の地。

気分も良くなるというもの。

空港からでて、目的のホテルまでぶらぶら歩く。

見慣れない街並みに目を向けながらゆったりとしたペースで歩く。

ホテルまではそう距離も無いようで、マップアプリに表示された距離も1kmもない。

時間もそうかからずにホテルに到着した。

結構お高い感じのホテルだった。因みに露天風呂があるらしく行ってみたが、時間的にしまっていた。

結局すぐに眠ることになった。といっても、日本とイタリアの時差は7時間だ。

まあ俺には時差は関係ないのですっと眠りについた。

 

 

 

 

次の日

室内に差し込んだ光で目が覚めた俺は枕元の時計を見る。指している時間は7時ピッタリ。

IS学園へ出向くのは9時なのでまだ2時間程残っている。

とりあえず着替え、ご飯を食べて、ホテルを出る。服の替えはホテルで用意してくれた。

歩いてIS学園行きのモノレールへ向かう。

夜間とはまた違った風景を眺めつつ、駅へと足を進める。

10分程歩けば、モノレール駅に着くことが出来た。

電車は後12分でここにつくようだ。

これ幸いと、今日の予定を再確認する。

9時から入学の為の実技試験。因みに筆記試験は何故かパスされていた。まぁ楽でいいが。

その後はIS学園の織斑千冬に従え、とのこと。

あの(・・)世界最強(ブリュンヒルデ)だ。出来るのなら手合わせしたい。

そうこう考えている内に電車が構内へ入ってきた。ドアが開き、何人かの女の子が降りてきた。皆私服で等しくレベルが高い容姿だった。

彼女達はこちらを一瞥すると、直ぐに俺の横を歩いて行った。

俺も彼女達を見るのはやめ、電車に乗り込む。中に入って直ぐの座席に座ると、ドアが閉まり、電車が動き出す。

IS学園までは10分程だったようで意外と早く着いた。

 

 

IS学園は所謂人口島で一周28kmと非常に大きい島だ。と言っても、全ての土地を使用してはいないようで、島の奥には開けた土地が残っている程だ。

これだけの広さの為か、建物と建物の距離が少々遠くて移動がなかなかに不便らしい。

駅から学園まではそこまで距離はなかったのが幸いだった。

直ぐに一階にある総合受付に向かった。IS学園は中々に入り組んだ形をしているそうだが、分かりやすい所にあって良かった。

受付の女性に草薙重工の名前を告げるだけで対応してくれたので、煩わしい説明をすることなくすんなりと織斑千冬(世界最強)に会うことが出来ると言われ、応接室に通された。

後数分でくるそうだ。

3分程経つと、応接室のドアが開いた。

 

「遅れて済まないな。」

 

織斑千冬。第一回モンドグロッソにおいて総合優勝、つまり世界最強(ブリュンヒルデ)の称号を持つ唯一の存在だ。

ただそこにいるだけでプレッシャーを感じさせられる。

織斑千冬が自分の正面のソファーに腰掛ける。

 

「初めまして、織斑千冬だ。」

「初めまして、草薙重工イタリア支部所属のアーク・ストライドです。」

「要件は既に聞いている。君の上司から聞いたよ。」

「課長から?」

「ああ。それでは始めようか。ついてきてくれ。」

「はい」

 

会話という会話もせず、織斑千冬が腰を上げる。そのまま応接室を出て行く。

それに遅れない様に俺も後をついて行く。

廊下を歩く織斑千冬との会話は無く、少々気まずい時間だった。

しかしその時間は長くは続かず、直ぐにアリーナらしき部屋の扉の前に着いた。

織斑千冬は振り返る

 

「これから君には模擬戦を行ってもらう。これはテストだ。入学のためのな。」

「分かりました。」

「まあ事の詳細は中でやろう。」

 

そう言うと織斑千冬は首から吊るしている教員証を扉の右側の機械にかざす。

すると直ぐに扉が開く。

中に入ると直ぐに紙袋を渡される。

 

「そっちの部屋で着替えてこい。」

 

更衣室を指さす織斑千冬。

中に入って、紙袋の中を見ると自分の特注のISスーツが入っていた。全身を覆うタイプのものだ。

とりあえず脱いでその上からスーツを着ていく。

そう時間が掛かるわけでも無く、部屋から出る。

 

「終わりました。早速模擬戦ですか?」

「ルールを説明したら、直ぐにでも始めたい。」

「分かりました。説明をお願いします。」

「基本的なルールは普通の試合と同じだ。

違うのは時間制限があるのと、シールドエネルギーの減少だ。

時間制限は単に試験時間が30分以内というだけだ。

代表候補生だからな。ある程度はやれる筈だ。

シールドエネルギーは試験官だけに適用される。

残り三割まで減らせばその時点で合格とする。

まあこんなところだな。」

「了解です。」

「では始めよう。ISを装備してくれ。終わったらそこからアリーナへ出てくれ。」

 

織斑千冬から少し離れて、ディアボロを起動する。

スタートのパッケージはtype-F(フォート)だ。

全身を覆う全身装甲(フルスキン)タイプによる耐久上昇とその上から追加装甲を装備し、更に両腕に大型物理シールドを固定。高い防御力を保有する。

重量増加による速度低下は追加装甲の内側に取り付けた追加スラスターで補う。それでも非常に遅いが。

また非固定浮遊部位(アンロックユニット)には12基1セルの垂直ミサイルを3セルずつ合計6セル装備。

両肩のハードポイントにはレールカノンやガトリングガン、などを装備。

両腕には固定式のレーザーブレードを取り付けてある。

手持ち武器はアサルトライフルやレーザーガン、スナイパーライフル、ショットガンなどを揃えてある。

 

「ほう。全身装甲(フルスキン)か。珍しいな。」

「顔は晒せないでしょう?当然の処置です。」

「必然、か。よし、行け。」

「はい。そのつもりです。」

 

アリーナへの扉が開く。

 

 

アリーナに出るとそこにはISを纏った試験官が居た。

 

「ルールは大丈夫ですね?」

「はい。問題無い筈です。」

「そうですか。では始めましょう。あなたのその力を見せてください。」

 

試験官がいい終わるのと同時に試合開始を告げるブザーが鳴る。

試験官の機体はラファール・リヴァイブ。機動力に優れ、豊富な武装でどの距離でも高いレベルでの戦闘を可能とする優秀な機体だ。

試験官は右手のアサルトライフルでこちらを撃ちつつ、俺の周りを回る機動をとる。円状制御飛行(サークル・ロンド)という高い技術を要する技だ。

しかしアサルトライフル程度の銃弾ではこの装甲を抜くことは出来ない。

回り続ける試験官に狙いを定めつつ、非固定浮遊部位(アンロックユニット)のミサイルを放って行く。

それと同時に距離を詰めながら両肩のレールキャノンと右手に持ったレーザーガンで攻撃していく。

実弾武装としては比較的弾速の早いレールキャノンだが、複雑な機動を続ける試験官には少々軌道が直線的過ぎるようだ。

その代わりに武装としては最高速を誇るレーザーガンは威力は低いものの、命中率はかなり高く、シールドエネルギーを一割程削っていた。

 

「……ッ!!当ててきますか。ですが甘く見ないことです。」

 

左手に構えたシールドで身を隠しつつ右手に持ち替えたグレネードランチャーで射撃を続けてくる試験官。

Type-F(フォート)とはいえグレネードの一撃は受け続けていいものでは無い。

上下に螺旋を描くような回避機動を取りつつ、避けられないものは腕のシールドで受け流して、ダメージを極力抑えていく。隙を見つけてはレールキャノンで砲撃を繰り返す。それを当たらなくても撃ち続けることに意味がある。

自由に動かれるのは困る。格下相手ならともかく、自身以上の相手ならそれは致命的だ。

その上こちらは鈍重な機体。足を止めれば、いつでも回り込まれる。

幾ら防御型といえど、背中の装甲は薄い。

それは試験官も分かっているのだろう。

背後に回り込もうとする試験官を止める為に2セル目のミサイルのミサイルを早々と使うことになる。

ミサイルを撃ち上げつつ、両肩のレールキャノンをガトリングガンへと切り替える。ガトリングガンで弾幕を張ることで、ミサイルを回避させないように、オープンスペースを潰していく。

ミサイルが直進を始めたら、右手のレーザーガンを戻し、スナイパーライフルへ持ち替える。回避機動の初動に対してピンポイントで狙撃を差し込むことで動きを抑え、反撃の芽を潰していく。それでも撃ち込まれたグレネードでシールドエネルギーを削られていく。

 

 

ミサイルは何基か迎撃されるも、残りは直撃、もしくはブラザーキルしたミサイルの破片で試験官のラファールのエネルギーシールドを削っていく。

この時点で試験官のシールドエネルギーは約5割。こちらはところどころで撃ち込まれたグレネードで残りは7割程。

こちらが優勢だが油断できる状況では無い。寧ろ厳しくなったかもしれない。二回も同じ攻撃は通用しない。ミサイル主体の戦いは厳しいということだ。

 

「……なるほど。ですが、まだまだです。」

 

試験官はグレネードランチャーからブレードへと持ち替える。草薙重工製レーザーブレード(   リザ   )だ。取り回しを良くする為の短めの刃。高い熱量と収束性。間違いなく世界最高峰のレーザーブレードだと云える。

その威力は内蔵型レーザーブレードでは太刀打ち出来ない。

寧ろ、自社装備で最高峰の性能に対抗する武器があってたまるか。

試験官はブレードを逆手に持ち、盾で身を隠して突撃してくる。

こちらもガトリングガンで弾幕を張りつつ、両手に一丁づつショットガンを構える。正面に濃密な弾幕を形成する。

それを試験官はサイドブーストで躱して、逆手に持ったブレードを振り抜いてくる。それに合わせて、両腕のレーザーブレードを展開して揃えて受け止める。

少しの間鍔迫り合いに持ち込むが、出力の差で押し込まれる。

なんとか抑えこもうと、スラスターを吹かせた瞬間、右の脇腹に衝撃が走る。

視界がぶれる。蹴り飛ばされたようだ。

直ぐに姿勢を立て直しつつ、追撃に備える。

タイミング良く飛び込んできた試験菅によって振り抜かれたブレードを左腕のブレードで受けつつ、右手のショットガンの銃口をラファールの脇腹に当てて零距離で連射する。

しかし、驚異的なことに一発目を受けた反動を活かして、回転しつつ、ブレードで追加装甲を三枚剥がされた。その上、二発目以降は全て回避されてしまった。

 

 

ダメージは碌に与えられず、逆に装甲を減らされる始末。

得られたのは試験官のブレードレンジをなんとか越える距離のみ。

それも直ぐに詰めて来られる距離だ。

後方へ退避しても、機動力の差で引き離すことは不可能。

前に出れば、ブレードの出力差や旋回性で負けている以上勝ち目は無いに等しい。

言うならば八方塞がり。

故に賭けに出るべきだと判断する。

 

 

考えが決まってからは早かった。

パッケージを換装、Type-S(シューター)に切り替える。

切り替え自体には時間は掛からない。

直ぐにアサルトライフルを展開し、下がりながら射撃。

所謂、引き撃ちをしつつ、出来る限り距離を取る。

type-Sは中距離射撃型。主に実弾兵器を軸に立ち回る高機動を主体とする戦闘を得意分野とする。

特に、旋回性と加速の立ち上がりが非常に優れている。

そのため、足を止めての射撃が存在せず、機動中の射撃が続けられるよう安定性能も非常に高く設定された。

そんな、中距離に特化したパッケージだ。

自分の距離で撃ち負けるはずが無い。そう言い切れる程の完成度を誇っている。

 

 

試験官は急に戦い方を変えたこちらの動きに少々戸惑った様子を見せるものの、すぐに意識を切り替えたか、迷いの無い機動で距離を詰めてくる。

しかしながら、ここは俺の距離。技量で負けていても速度で勝っていれば、追いつかれることは無い。

撃ち合いになれば御の字。

踏み込んでくれば、引いて撃つ。

今までの試合とはまるで異なり、単純な試合。

故に結果も単純に表れた。

 

 

試合終了。

勝者 ディアボロ 残SE246

敗者 ラファール・リヴァイブ 残SE0

 

 

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