IS 漆黒の機影   作:シルフィードAS

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第四話

ISバトルにおいて高機動、高火力が何故求められたか。

これには二つ理由がある。

一つは、IS自体に継戦能力が欠けていること。

特に、試合用にカスタマイズされた機体はその傾向が極めて強い。

そしてもう一つは、織斑千冬。

彼女の存在がISバトルの象徴となった。

機動力を高めて敵機に肉薄し、必殺の零落白夜の一撃。

その破壊力は底知れないものだった。

零落白夜に対抗しようと諸外国が装甲強化に走り、此の如く撃破されたことも、拍車を掛けた。

今や、装甲など削られる一方で、防御など最低限の耐久性さえ有れば良いとすらされる始末。

それ故、type-Fがオルコットに詰られても仕方ないのだ。

 

 

両手のマシンガンでビット(ブルー・ティアーズ)を落としていく。

幾ら脳波による多重操作能力が高くとも、オルコットは一人。一度に複数の機体(身体)を動かすなど、人間として無理をすることになるのだ。

その上、オルコットはまだ15歳。脳が能力に追い付けないのだ。

その結果、ビットは長期戦に適応出来ずに殆どが機関銃によって落とされている。

残りのビットはオルコットに付随する大型が二基と小型が四基。

かなり数を減らすことが出来た。

その代償も重いものであったが。

残りのシールドエネルギーは、オルコットが三割。俺が二割を切る程。元々のダメージレースの差が更に拡がってしまった。

 

「……なるほど。強い。」

「あら。降参ですか?」

「確かに強いが……勝てない程では無いな。」

「減らず口を……。諦めが悪いですわね。無様に降参すれば良いものを。」

 

type-Fに格納されていたミサイル系の兵装を同時展開する。同時に重量過多に寄る警告をアラートが知らせるが無視。

全弾をテンポをずらしつつ、打ち切る。

総弾数三十二発。その全てをオルコットに叩き付けつつ、煙幕をアリーナ周辺に張る。

視界を封じた後にtype-Fからtype-B(ブレード)へ換装する。

type-Bは近接戦仕様のパッケージ。

物理とレーザーの両方を組み込み、更に別のギミックも仕込まれた大型近接ブレード。

近距離で相手の動きを抑える為の、衝撃強化散弾銃。

type-B最大の盾でありつつ、矛でもある粒子装甲。

武装はこれだけだが、その分機体性能へリソースを割り当てることが出来た。

強力なサイドブーストと驚異的な瞬時加速(イグニッションブースト)

装甲は薄く、限界まで軽量化を施した。

その加速は文字通り視界から消える。

煙幕の効力もあり、ミサイルへの対応にかかりきりだったオルコットの背後へ強襲する。

思いっきり吹き飛んだオルコットだったが、追撃は入らなかった。吹き飛びながらも、残ったビットで攻撃してきたのだ。

 

「っ!また姿が……。コロコロと……」

「それがこいつの売りなんでね。」

「……。まだシールドエネルギーは残っていますわ。」

「ああ。けりをつけよう。」

 

どちらもシールドエネルギーは二割程。

オルコットのスターライトMK-Ⅵなら数発で削り切れる程。

俺の近接ブレードならギミック込みで一撃。

スターライトMK-Ⅵのスナイパーモードの一撃をサイドブーストを連発して躱す。

サイドブーストで躱した分、オルコットとの距離は離れる。

瞬時加速(イグニッションブースト)で一気に彼我の距離を詰める。

 

「……!貰いましたわ!」

「くっ……!まだだ!」

 

読まれていた瞬時加速(イグニッションブースト)にビットの砲撃を合わせられたが、これを螺旋機動瞬時加速(バレルロール・ブースト)でギリギリをついて躱す。

弾幕を潜り抜け、遂にオルコットの眼前へ後数メートルの距離。

 

「もう此処まで……。」

 

ブレードのギミックを一つ使い、更に加速する。

 

「貰ったっ!」

 

ブレード2本分程まで詰め寄る。

此処まで来れば、自分の距離。

オルコットの表情は笑っていた。

 

「掛かりましたわね!」

「っ!?クソが!」

 

オルコットの左右を固めていた大型ビットから放たれたグレネードに粒子装甲を攻勢反転させて迎撃する。。

 

「間に合えッ!」

「墜ちなさいっ!」

 

爆破する粒子とグレネード。

その爆風は二人のシールドエネルギーを削った。

俺のエネルギーは二桁。

耐えきった確たる証拠であった。

 

「今度こそ墜ちろっ!」

「間に合いなさいっ」

 

大型ビットから次弾が放たれ直撃する一瞬前、俺のブレードは確かにオルコットへ届いていた。

そしてグレネードが着弾し、俺のシールドエネルギーを奪い去る。

吹き飛びつつ、姿勢を立て直す。

試合終了を知らせるブザーが鳴る。

 

「っ!?オルコット!」

 

気を失っているのか、地面目掛けて落ちていくオルコット。

残ったエネルギーをフルに使って、何とか地面に墜落するのを防げた。

 

「……ん?」

「目が覚めたか。」

「えっと……どういう状況でして?」

「最後の一撃の際に衝撃で気を失ったんだ。多分。

それで、落ちそうだったから助けた。」

「なるほど……。しかし何故助けたのですか?」

「何故と言われても……。危なかったからとしか言えないな。」

「……。お人好しなのね。」

「イタリア人は皆そうさ。」

「それで、結局どちらが勝ちましたの?まぁ、分かりききった問いですわね。」

「俺だ。ただまぁ、シールドエネルギーは俺もゼロだし。」

「一瞬遅かったという事ということね。」

「ああ。そういう事だ。」

 

地面まで降りて、オルコットを下ろす。

オルコットは俺を一瞥すると自身のピットに戻って行く。

オルコットがピットに入ったのを見て俺もピットへ戻った。

 

 

 

 

 

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