be with you いつもそばに   作:グリアノス

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第13話です。

設定を一旦削除しました。もう少し話が進んだら改めて上げたいと思います。


5月21日 修正しました……が、あんまり変わって無いです。


第13話 少女の想い

束お姉ちゃんが一通の手紙を残して姿を消し、箒達篠ノ之一家が引っ越してから早くも三ヶ月が過ぎた。

 

束お姉ちゃん達が居なくなったばかりの時は酷く寂しい想いをしたが、少しずつではあるけど束お姉ちゃん達の居ない生活にも慣れてきたようだ。

 

僕は束お姉ちゃん達が居なくなるまでの日々を思い出していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いっくん、薙刀の指導なんだけど今日から一段階ペースを上げて行くよ」

 

ある日、道場に来た僕に束お姉ちゃんはそう言った。

 

……正直ちょっと意外だった。今まで束お姉ちゃんは技術の指導に於いてはいつも時間を掛けてしっかりと教え込んで確実に身に付く様にしてきたからだ。

 

……というか何かとても慌てて、いや、急いでいる様な?

 

「珍しいね、何かあったの?」

 

「んー、束さんにもちょっとした事情があるのさ」

 

疑問を覚えたが故の僕の問いかけにも束お姉ちゃんはただ誤魔化すだけだった。

 

……気になるなぁ。

 

「まあ、全部終わったら(・ ・ ・ ・ ・ ・ ・)分かるよ」

 

僕の考えている事を察したのか束お姉ちゃんはそう言った。

 

それからしばらくの間、僕は束お姉ちゃんにたっぷりとしごかれる事になる。

 

 

 

 

 

 

 

 

~二週間後~

 

 

 

「よし、これで薙刀の指導は一通り終わったね」

 

「これからも反復練習を忘れないようにするんだよ?」

 

「ぜぇ……ぜぇ……」

 

な、何か前にもこんなことがあったような……

 

僕は床に倒れ込んだまま息を切らせるばかりで束お姉ちゃんの言葉に返事を返せないでいた。

 

当然だろう、ここ最近の練習の質と練習量は今までとは比べ物にならない程だった上に今日は一段と厳しかったからだ。それでも僕が体を壊さない様にするあたりは流石は束お姉ちゃんと言ったところだろうか。

 

「うんうん、いっくんも良くここまでついてきてくれたもんだよ。こんなの大抵の子は投げ出すだろうからね」

 

「ぜぇ……束、お姉ちゃんが、意味も無く、こんな事はしないって分かってる、からね」

 

僕は息を詰まらせながらもそう言った。

 

「……そっか、信じてくれてありがとう」

 

束お姉ちゃんは僕に笑顔を向けながら感謝の言葉を言った。

 

束お姉ちゃんは今までで一番良い笑顔をしていたけどそれ以上に寂しさを抱えた目をしていた。

 

……まるでもうすぐここから居なくなると言わんばかりに。

 

僕が感じた事が間違ってなかったと知ったのは束お姉ちゃんが言った通り全て終わった後だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

******************************************

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

束が姿を消してからもう三ヶ月か、本当に時間が経つのは早いな。

 

しかし自分が居なくても篠ノ之一家が重要人物保護プログラムを受けられる様に政府に脅しをかけておくとはなかなかアイツも抜け目ないな。

 

……流石にコアの強制停止をちらつかせられれば政府も嫌とは言えんだろうしな。

 

それにしても、まあ、なんだ、あいつが居ないとどうも調子が狂うな。

 

…………はあ、私も一夏の事を言えんな。

 

私は僅かな寂しさと共に束が居なくなるまでの日々を思い出していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ちーちゃん、私はもうすぐ姿を消すよ」

 

いっくんの指導もひとまず区切りが着いたからね、と言いながら束は私にそう言った。

 

「そうか」

 

…………正直こんなことにはなってほしくはなかったな。

 

私はこいつには幸せになってほしいと思っているし、夢も叶えてもらいたかった。

 

それでも私は心の何処かでこうなるであろう事は分かっていたのかも知れないな。

 

 

 

 

 

 

 

 

こいつが白騎士を造り上げた時に、な。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私にはコイツの選択を止める術は無いが一つだけ気がかりがある。

 

「一夏には何と言うつもりなんだ?アイツはお前が居なくなれば悲しむぞ?」

 

「……いっくんにはこのまま何も言わずに行くよ」

 

束は申し訳なさそうに目を伏せながらそう言った。

 

……一夏には辛い想いはしてほしくはないが辛いのはこいつも同じか。

 

「それにいっくんに話すと私はきっと離れられなくなる」

 

束は、私はいっくんの事が大好きだから……と言いながら力無く笑っていた。

 

その姿に私はまたしても何も言えなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「束、頼んでいた機体と一夏の専用機の完成度はどれくらいなんだ?」

 

「ちーちゃんの機体の完成度は既に九割を越えてるよ。後は最終調整だけだね」

 

ほう、なら後一歩と言ったところか。

 

「だけどいっくんの専用機は間に合わないね。だからちーちゃんの機体を先に造り上げたんだ」

 

「そうか、分かった」

 

まあ時間が足りないのは仕方がないな。

 

「ちーちゃん、今から最終調整をしたいからラボに来てくれる?」

 

「ああ、分かった」

 

そこで私は機体の名前が決まってなかった事を思い出した。

 

「束、機体の名前は決まってるのか?」

 

私が束にそう聞くと、

 

「そうだね、"暮桜"なんてどうかな」

 

「"暮桜"か、悪くないな」

 

束は自分の考えていた名前を言った。

 

ふむ、なかなか良い名前だな。

 

「ならば"暮桜"をとっとと完成させるとしよう」

 

「ふふ、そうだね」

 

私が軽く笑いながらそう言うと束も微笑みながら同意した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そうして篠ノ之束が生み出した白騎士に続く機体、暮桜が完成した。

 

それは束が姿を消す一週間前の事だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それにしても束お姉ちゃんもなかなか薄情だなぁ、こんな手紙を残す位なら僕も連れて行ってほしかったよ。

 

僕は束お姉ちゃんが僕宛に残していった手紙を読み返しながらそう思った。

 

 

 

 

 

 

 

『拝啓いっくんへ

 

いっくんがこの手紙を読む事になるのは私が姿を消した後になるだろうね。まず、姿を消す事を黙っててごめんね。

 

私もいっくんやちーちゃん、箒ちゃんにお父さんにお母さんともっと居たかったんだけどね、私がここに居ると皆を危険に晒しちゃうから私は姿を隠す事にしたんだ。一人で行くのは凄く寂しいけど私には皆との思い出があるから、私はちゃんと歩いて行けるんだ。

 

こんな風に言えるようになったのもいっくんのおかげだよ。きっといっくんが居なきゃ私はずっとお父さんともお母さんとも分かり合えずに独りぼっちだったんだろうと思うんだ。もしかしたらとんでもない事をしたかも知れないしね。

 

いっくん、私に大切なものを沢山くれて、私に大切な事を沢山教えてくれてありがとう。

 

何時になるかは分からないけどまた以前の様に皆と過ごせる様になったらまた"束お姉ちゃん"って呼んでほしいな。

 

こんな形で終わりにはしたくないからさよならは言わないよ。

 

だからまたね、いっくん。私は君が大好きだよ。

 

篠ノ之束より』

 

 

 

 

 

 

全く、束お姉ちゃんはズルいよ、こんな風に言われたら怒れないじゃないか。

 

「僕も大好きだよ、束お姉ちゃん」

 

僕の呟きは誰にも聞かれる事もなく消えていった。

 




読んでいただきありがとうございます。


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