祝お気に入り数200件突破!!
いやー嬉しいですねぇ。
これからもこの稚作をよろしくお願いします。
5/23 加筆修正を行いました。
「お前の所で一夏を預かってくれないか?」
……うーん、ちーちゃんもなかなか思い切った事を考えるねぇ。
ちーちゃんが言った事を聞いて私はそう思った。
ああ、でもこれは聞いておかないとね。
「ちーちゃん、何でそう考えたか聞いて良い?」
「一夏を死なせない為だ」
「今回の件で確信した。以前お前が言った通り一夏にとって今の世界は危険過ぎる」
私の問いかけに対してちーちゃんはそう答えた。
「なにより、世界中から姿を隠し続ける事が出来るお前の所なら何処よりも安心出来るからな」
なるほどね。確かに私の所ならいっくんの安全はある程度保証出来るね。
「まあ、無理に断る理由も無いから良いけどいっくんに黙って決めて良いの?」
「なに、アイツもお前の所なら嫌とは言わんだろう。というかむしろ喜んで行くんじゃないか?」
それに、とちーちゃんは前置きをすると、
「お前もその方が嬉しいんじゃないのか?」
ちーちゃんはニヤリと笑みを浮かべながら私にそう言ってきた。
「ち、ちちちちちーちゃん!? なななななにいってんのさ!?」
「ん? 違うのか?」
ちーちゃんはニヤニヤしながら私にそう聞いてきた。
「い、いや、違わないけど……ゴニョゴニョ」
そ、そりゃいっくんもあの頃に比べてかなり背も伸びて顔つきも幼さが消えてかっこよくなってきているから、って私は一体何を考えてるんだよ!?
「くく、なんだかんだ言いながらも顔が緩んでるぞ?」
ちーちゃんにそう言われた瞬間、自分の顔が真っ赤になるのがわかった。
「もう!! ちーちゃん!!」
私はちーちゃんに抗議の声を上げるがちーちゃんはまるでどこ吹く風といった様子だった。
ぐぬぬ、ちーちゃんにからかわれるなんてなんか悔しい!!
そんなやり取りの中、今回の騒動は幕を下ろした。
そしていっくんが目を覚ましたのは騒動から三日後の事だった。
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「……なるほどね、千冬お姉ちゃんは一年間ドイツ軍で教官をするから日本には一人で帰れば良いんだな?」
「ああ、そうなるな」
千冬お姉ちゃんは目を覚ました俺に対して何があったのかを簡単に説明してくれた。
「家で待っていれば迎えが来るように手配してある。信頼できる奴に頼んだから今回のような事にはならん筈だからその辺は安心して良い」
ここで千冬お姉ちゃんは少し不安になることを告げてきた。
「後、家までの護衛は日本政府に手配させた」
……大丈夫か?一度見捨てられた身としては信用ならないんだけど。
「……信用出来るのか?」
「安心しろ。私の方で日本政府には脅はk……ゲフンゲフン、依頼してある」
…………今、絶対脅迫って言いそうになったよな?
……………………まあ、あれだ、聞かなかった事にしよう。
「そうか、んじゃ俺は少し寝るよ」
「ああ、それじゃあまた明日来るからな」
そう言って千冬お姉ちゃんは自分の泊まっているホテルに帰っていった。
それにしても左目は失明、か。予想はしていたけど実際に聞くと流石に堪えるな。
俺は光を失った自分の左目に手を当てながらそう思った。
そして二日後に退院した俺は日本行きの飛行機に乗っていた。
そう言えばあの時、束お姉ちゃんが居た気がしたんだが聞くのを忘れてたな。
……まあ、いいか。後で聞けば良いしな。
さて、さっさと寝るか。また時差ボケで苦しむのは勘弁だしな。
そうして俺は眠りに落ちた。
約半日程の空の旅を終え、俺は日本に帰ってきていた。
「失礼、君が織斑一夏君だろうか?」
空港を歩いているとスーツを着込んだ男性に声をかけられた。
うわ、なんかデジャヴ。……いきなり殴り掛かってきたりしないよな?
そう思った俺は悪くないと思う。
「ああ、事情は聞いている。私は日本政府から君の護衛を任された更識楯無という者だ」
この人が千冬お姉ちゃんが言ってた護衛の人かな?
そう言われて俺は警戒を少し緩めた。
「失礼しました。はじめまして、織斑一夏です」
「ああ、日本政府からは君の自宅に着くまでの警護をするように言われている」
とりあえず連絡は問題無いみたいだな。流石に日本政府も懲りたのかね?
「しかし本当に自宅までで良いのかい? 織斑千冬嬢が帰って来るまでうちに居てくれても構わないが……」
楯無さんは心配そうな顔をしながら言った。
「ありがとうございます、ですが気持ちだけ受け取っておきますね。まあ姉が信頼できる人を手配したそうですから」
「それに姉曰く世界一安全だそうですからね」
俺は楯無さんの申し出をやんわり断った。
「……そうか、ならばこれ以上はただのお節介だな。わかった、要望通りに君の自宅まで護衛しよう」
「よろしくお願いします」
そう言って俺と楯無さんは空港を後にした。
そして特に問題も無いまま俺は自宅に帰ってくる事が出来た。
楯無さんは俺を安全に自宅まで連れていった事を確認し、俺に挨拶をして帰って行った。
……しかし千冬お姉ちゃんが居ないのも寂しいもんだな。
いつもより少し広く感じる家の中を歩きながら俺はそう思った。
「夕飯は……冷食で良いか」
しかし千冬お姉ちゃんが言ってた信頼できる人って誰だろうな?
俺は夕飯の準備をしながらそう思った。
「おやおや、いっくんの今日のご飯は冷凍食品なんだね」
俺は今、聴こえるはずの無い人の声を聴いて慌てて振り向いた。
そこには束お姉ちゃんがにっこりと笑みを浮かべながらソファーに座っていた。
束お姉ちゃんは立ち上がり俺の傍まで来ると声をかけてきた。
「やあ、久しぶりだねいっくん。いっくんは元気かい? 元気なら束さんはハッピーさ」
幼い頃と同じやり取りに俺は自然と涙が溢れてきた。
「……うん俺は、僕は元気だよ。僕も束お姉ちゃんがハッピーなら嬉しいな」
俺も一人称を俺から以前使っていた僕に戻して束お姉ちゃんに言った。
「……! ふふ、いっくんもなかなか嬉しい事を言ってくれるね」
束お姉ちゃんは俺が以前のやり取りを覚えていた事に少し驚いた様子だった。
「……ずっと会いたかったよ、束お姉ちゃん」
「……うん、私もいっくんに会いたかったよ」
俺の言葉に束お姉ちゃんは少し涙ぐみながらも微笑んだ。
そして俺と束お姉ちゃんはゆっくりと近づき、互いに抱き締め合った。
しばらく抱き締め合っていた俺達は今、ソファーに身を寄せ合いながら座っていた。
「それにしてもあんな手紙を残して居なくなるなんてひどいじゃないか」
俺がそう言うと束お姉ちゃんはバツの悪そうな顔をした。
「……うん、その事については悪いことをしたと思ってるよ」
束お姉ちゃんは俯きながらそう言った。
俺は再会したら言おうと思っていた事を言う。
「束お姉ちゃんが俺達を守る為にそうしたんだとしても、それでも俺は相談してほしかったし一緒に連れて行ってほしかったよ」
「だって俺は束お姉ちゃんの事が好きなんだから」
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「だって俺は束お姉ちゃんの事が好きなんだから」
………………え?
ちょっと待って、それって友人や家族に向ける好きじゃなくて……
「ね、ねえいっくん、それってちーちゃんに向けるような好きなのかな?それとも」
私はいっくんに抱き締められて最後まで続けられなかった。
「俺は、織斑一夏は篠ノ之束の事が一人の女性として好きです!!」
いっくんは私の目を見てはっきりと言った。
私はその言葉に涙が溢れてきた。
「私もいっくんが、織斑一夏の事が一人の男性として好きです!!」
私も覚悟を決めてずっと胸に秘めていた想いを告げた。
そして私はいっくんと見つめ合い、ゆっくりと唇を重ねた。
「さて、まだまだこうしていたいけどそろそろ行こっか」
俺と束お姉ちゃんは想いを伝え合い、そのまま抱き締めあっていると束お姉ちゃんは何処かへ行こうと言い出した。
「何処へ行くの?」
「それは私の隠れ家に、だよ。さあ、いっくんはこの子を使ってね」
そう言って束お姉ちゃんは俺に待機状態のISを渡してきた。
「その子の名前は新月。ステルス機能に特化しているのが特徴で今回はいっくんの翼になってくれる子だよ」
「そっか。……よろしく頼むよ」
そう言いながら俺は待機状態の新月を撫でた。
「……って、千冬お姉ちゃんが言ってた迎えに来る人って束お姉ちゃんだったのか!?」
「そだよー」
束お姉ちゃんはノートパソコンを操作しながらしれっと答えた。
ぐぬぬ、千冬お姉ちゃんも教えてくれても良いだろうに。
しかし束お姉ちゃんはさっきからノートパソコンのキーボードを物凄い速さで叩いているけど何してるんだろ?
「念のために監視している衛星をハッキングしてるんだよ」
あれ?声に出したっけ?
「ふふん、私は大好きないっくんの事なら何だって分かるのさ」
束お姉ちゃんは大きな胸を張りながらドヤ顔を決めた。
束お姉ちゃんの胸がユサリと揺れる。
…………大きいな……
「も、もう、いっくんのエッチ」
俺の視線に気がついた束お姉ちゃんは自分の体を抱き締め、顔を紅く染めながらそう言った。
…………なにこの可愛い生物。
「…………可愛い」
「ふぇっ!? な、なななななにいってるのさ!?」
俺の呟きを聴いて紅かった顔は更に真っ赤になった。
「束お姉ちゃんが可愛すぎるのが悪い」
「も、もう、いっくんたら、ゴホン!! それじゃいっくん、準備は良いかな?」
束お姉ちゃんは咳払いをして俺に言った。
「良いよ、荷物はドイツに持って行った物を使えば良いし」
束お姉ちゃんは俺の返事に満足したようで庭に出ると早速ISを纏った。
俺も続いて新月を纏って、拡張領域に荷物を仕舞い込んだ。
……うん、とっても便利。
「よし!! それじゃあいっくんを束さんの隠れ家にごあんなーい♪」
そうして俺と束お姉ちゃんはお互いに手をつないで星の輝く夜空に飛び立った。
読んでいただきありがとうございます。