be with you いつもそばに   作:グリアノス

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お待たせしました。第19話です。






第19話 襲撃

俺がこの島で生活を始めてから三ヶ月が経った。

 

この三ヶ月の間、俺はマドカと共に戦闘訓練をしたり、クロエから一般教科を学んだり、束お姉ちゃんからは薙刀の稽古を改めてつけてもらったりしていた。

 

因みにこの中で一番厳しかったのはクロエだった。

 

恐らく今まで誰かに何かを教えたことが無かったせいだろう。ペース配分を考えていなかった為かなりしんどい思いをしたが束お姉ちゃんの助言もあってか何とかついていけた。

 

ああ、でも別にクロエの指導に対して不満があるわけではないし、解らない所は解るまでしっかりと教えてくれるから俺にとっては頼りになる先生だ。

 

これからもよろしく頼むよ、クロエ先生。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、マドカとは戦闘訓練をひたすら繰り返していた。

 

俺達は戦闘訓練や意見交換を重ね、お互いに得意分野を相手に教えながら自分に出来る事を増やしていった。

 

具体的にはマドカはブレードライフルの扱い方が以前より巧くなったし、以前までは絶対出来ないと言っていた至近距離での偏向射撃が出来る様になった。

 

因みにビットの最大操作数も以前の倍の二十四機に増えている。何でも至近距離で偏向射撃が出来る様になったら思考能力に余裕が出来たらしい。

 

おかげで未だにマドカにはフルボッコにされてる。

 

いずれ勝てるようになりたいがまだまだ道は険しいな……

 

俺の方は空中での姿勢が更に安定する様になり、ビットも十機までなら何とか落とせる様になった。それと最近知ったんだが、俺には射撃の適正もマドカ程じゃないがあったらしく、ここ数日はマドカに射撃の手解きを受けている。

 

因みにBT兵器の適正は皆無だった上にレーザー兵装は肌に合わなかったから(撃っても反動が無いのが逆に気持ち悪かったため)使うのは実弾兵器だ。

 

マドカ曰く、一夏兄さんは地味に多芸だな、だそうだ。

 

うん、俺もそう思ったよ。

 

しかし出来ることが多いのは良いんだが何かしら欠点があるのは何でだろうな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

束お姉ちゃんとの薙刀の稽古は、以前束お姉ちゃんが姿を隠す前に駆け足で行った部分を改めて習っていた。

 

知らず知らずのうちに歪んでしまっていた型や体勢の矯正から始まり、束お姉ちゃんとのかかり稽古など、大変な所もあるが楽しくやってる。

 

今では薙刀の型をいくつかマスターすることが出来た。

 

というかやっぱり束お姉ちゃんは指導者としての能力も凄く高いな。以前柳韻さんが束がうちの道場を継いでくれたら、と言っていたのも頷ける。でもまあ、束お姉ちゃんの夢を聞いた後は道場を継いでもらうのは諦めると言っていた。とっても残念そうな顔をしていたが。

 

あの柳韻さんにあそこまで言わせるなんて、俺にとって好きな人っていう色眼鏡を抜きにしても流石は束お姉ちゃんと言うべきだろう。

 

まったく、本当に俺にはもったいないくらいの人だよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いっくん、マドちゃん、白天(しろあまつ)と藍月の新しい武装が完成したから試してみてくれる?」

 

ある日、リビングでくつろいでいた俺とマドカに束お姉ちゃんがそう言った。

 

因みに白天(しろあまつ)とは俺のもうひとつの専用機で、白騎士の正式な後継機となる機体だ。

 

だがまあ白天が周囲に知れ渡ると問題が多い、というか煩わしい事になるので基本的に使用するのは新月になるだろうが。

 

 

……それにしても白天の新しい武装か、どんなやつかな?

 

「新しい武装?」

 

「そうだよ。武装をインストールするから二人とも開発室に来てくれる?」

 

マドカが束お姉ちゃんに聞き返すと束お姉ちゃんはそう答え、俺達を開発室に連れていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よし、インストール完了っと、それじゃあ展開してみて」

 

束お姉ちゃんに言われて俺達はインストールした武装を呼び出すと俺は自分の身長を超える長さの大型ライフルを展開し、マドカは右肩に盾としては奇妙な形をしたものが増設されていた。

 

あれは何だろう? 盾、か?

 

「束義姉さん、これは一体?」

 

「今から説明するよ。まず話が長くなるかもしれないからいっくんのから説明するよ。新月に追加したのは実弾と荷電粒子砲を合わせた複合型ロングライフルだよ。名前は鳳仙花(ほうせんか)さ」

 

「弾丸はマガジン式で装弾数は十発、20mm口径だよ」

 

「荷電粒子砲の使用回数は二十回。因みに荷電粒子砲は使用回数の上限に達するとリミッターが掛かるよ。切り替えは思考操作で出来るから後で試してみてね。と、こんなところかな? さていっくん、質問はあるかい?」

 

「いや、特に無いよ」

 

束お姉ちゃんは俺の返事にうんうんと満足そうに頷くと今度はマドカの方に向き直った。

 

「次はマドちゃんだね。藍月に追加したのは私なりにアプローチを変えたビットで、名前は煌龍(こうりゅう)っていうんだ」

 

あれがビット? とても変わった形をしてるな?

 

「言うまでも無いけどビットは内蔵エネルギーの関係で常に展開するのは不可能だよね?」

 

「うん、どれだけ撃つかにもよるけど私の場合、大体三分位で戻さなきゃいけないな」

 

確かにマドカは三分位でビットを機体に戻しているな。そうなったら近接戦を仕掛けてくるから今まで気にして無かったけど。

 

「そのビットは敢えて無線式を廃止してエネルギーの問題とビット搭載機の弱点を改善するための物なんだ」

 

「つまり、どういう事?」

 

マドカは束お姉ちゃんに詳細の説明を求めた。

 

「まずエネルギーに関してだけどそのビットは、機体に取り付けた専用のハードポイントに内蔵してあるワイヤーケーブルにビットを繋ぐ事で常にエネルギーを供給出来るようにしたんだよ」

 

そうか、無線式に拘らず敢えて旧式の有線式にして問題点の改善を図ったのか。

 

「でもビット搭載機の弱点って何なんだ?」

 

俺にはビット搭載機の弱点というのがいまいち分からないので束お姉ちゃんに聞いてみた。

 

「そんなの決まって……ああ、いっくんが知ってるビットを使う人がマドちゃんだけだから分かんないのか」

 

「それじゃあ説明するね。基本的にビット搭載機はオールレンジ攻撃を用いた中、遠距離戦を想定しているんだよ。でもビットのエネルギーの問題でいつまでもその戦い方は維持するのは不可能だよね? マドちゃんの場合はビットが使えない時は近接戦を仕掛けるけど殆どの搭乗者は射撃に拘るあまり近接戦闘力はそこまで高く無いんだよ」

 

…………そう言うことか。

 

「いっくんも分かったみたいだね。つまりビット搭載機の弱点であるビットのエネルギー切れを無くす事で戦闘力を維持するっていうのが煌龍のコンセプトなんだよ」

 

「でも有線式だと稼働範囲が限られないか?」

 

話を聞く限り良いことずくめに聞こえるが、そこでならば何故"無線式が開発されたか" という話になる。有線式というのはケーブルの長さ分にしか稼働出来ず、しかも機体から遠ざけ過ぎるとケーブルを直接攻撃されたりと、オールレンジ攻撃という面から見ればどうしても汎用性に欠けるからだ。

 

「おっ、よく分かったね。確かに稼働範囲の狭さは有線式の欠点だけど有線式と無線式を併用したらどうなると思う?」

 

なるほど、確かにその使い方なら有線式の欠点は無いに等しいな。

 

「しかもハードポイントに装着したままでも攻撃できるからマドちゃんの戦術の幅が更に広がるんじゃないかな」

 

「まあ、マドちゃんには必要無いかもしれないけど使いようのある手札なら多いに越したこと無いからね」

 

使いようのある手札、か。マドカはどんどん強くなるな。

 

まったく、俺も早く追い付きたいもんだな。

 

「よし、マドカ、折角だから模擬戦しにいくか?」

 

「良いね、私もやりたいと思ってたんだ」

 

俺とマドカはお互いに顔を見合せるとニヤリと笑った。

 

「ふふ、ほどほどにするんだよ?」

 

束お姉ちゃんは少し困った様な顔をしながら嗜めた。

 

「分かってるよ。ついでに新装備のデータも取ってくる」

 

「それじゃ、行こうか一夏兄さん」

 

そう言って俺とマドカは屋外の訓練スペースに向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それじゃあ一夏兄さん、準備は万全か?」

 

「ああ、いつでも行けるぞ」

 

訓練スペースに移動した俺達は自分の専用機を纏って模擬戦前の最終確認をしていた。

 

「んじゃ、行くよ?」

 

「「戦闘開始!!」」

 

開始の合図と共に俺達は動き出した。

 

 

 

 

 

 

「行けッ!! 煌龍ッ!!」

 

マドカは早速新装備を起動し、有線式の利点を生かして自分の周辺から濃密な弾幕を放ってきた。

 

相変わらずマドカのレーザーは軌道を変えながら常に俺の移動先を潰す様に襲いかかってくる。

 

呆れるほど有効な手段だが、しかし何度も同じような手は食わないッ!!

 

俺は両手に鳳仙花と薙刀型兵装の竜胆を展開してまっすぐにマドカに向かって突っ込んで行った。

 

あらゆる方向から飛んでくるレーザーを高速機動でかわしながらマドカに近づいていく。しかし全てのレーザーをかわせる筈も無く、時折レーザーが手足を掠めてシールドエネルギーを削るが俺は急所に当たりそうなものだけを竜胆で打ち消していく。

 

「なるほど、私を直接狙いに来たか。でもこれを忘れてないか?」

 

マドカは攻撃を凌ぎながら近づいてくる俺に対してそう言うと、自分の周りに通常のビットを展開した。

 

その数は二十基にものぼり、全てがマドカの思考操作で動いている。

 

そして縦横無尽に飛び回るビットはあっという間に俺を包囲し、その全ての砲口が俺に向けられた。

 

…………俺の予想通りに。

 

俺はこうやって無理にでも近づけばマドカはビットを使って全方位からの飽和射撃をしてくると半ば確信していた。

 

だからこそ、

 

「それを待ってたぞッ!!」

 

多数のビットに囲まれた状況で俺は白天の奥の手を使った。

 

その次の瞬間、白天からバリィィィィッ!!!! という炸裂音と共に全方位に向かって雷撃が放たれた。

 

「なッ!?」

 

あまりの出来事にマドカはこの上なく驚いた様だった。

 

まあ必殺の心積もりで俺を攻撃する筈が逆に一瞬で虎の子のビットを吹き飛ばされたら誰でもそうなるんじゃないか?

 

「一夏兄さん!! なんだよ今のは!?」

 

マドカは慌てた様子で俺に聞いてきた。

 

「白天の奥の手だよ!!」

 

「そんなの聞いてないぞ!?」

 

…………いや、奥の手だって言っただろうが。

 

マドカはあんなのありかとかぶつぶつと呟いているが模擬戦の途中だってこと、忘れてないか?

 

「なあマドカ、模擬戦中にボーッとしてて良いのか?」

 

「……………………はっ!?」

 

俺が問いかけるとマドカはようやく自分の世界から戻ってきた。

 

「んじゃ、気を取り直して続きをしようか」

 

「ああ。……でもさっきは何で攻撃しなかったんだ? はっきり言って隙だらけだっただろうに」

 

うん? マドカも随分と無粋な事を聞くな?

 

「あのな、いくら俺がお前に勝ちたいからって不意打ちで勝とうとなんてするわけ無いだろ」

 

俺が若干の呆れを含ませてそう言うとマドカは何とも言えない顔をした。

 

「ごめん、一夏兄さんの気持ちも考えずに勝手なこと言った」

 

マドカは余計な事を言ったと言わんばかりの顔をしながら謝ってきた。

 

「気にするなよ。お前の疑問は尤もなんだからさ」

 

実際これは何処まで行っても俺自身の拘りでしかないからな。

 

でもまあ、目標から勝ち取った勝利が不意打ちで、なんて格好が付かないにも程があると思うから後悔はしてないけどな。

 

「そっか、ありがとう……………………じゃあ続きはいつも通りこれでやろうか!!」

 

マドカはそう言って両手に愛用のブレードライフルを展開した。

 

……! なんだ、マドカもなかなか分かってるな‼

 

「ははっ!! 良いぞ、それでこそ俺達らしい!!」

 

俺は昂る気持ちを抑えきれなかった。俺は手に持っていた鳳仙花を収納して竜胆を構える。

 

お互いに愛用の武器を構え、ぶつかり合おうとした瞬間、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

無粋な乱入者が現れた。

 

 

 

 

 

 

 

「ゴーレム!? コイツは奴らに奪われた筈じゃ!?」

 

マドカは目の前の存在に心当たりがある様子だった。

 

「マドカ、話が見えんから手早く説明してくれるか?」

 

「あれはゴーレム。束義姉さんの造った無人型のISだよ」

 

「以前此処とは別の場所を拠点にしていたんだけど、そのとき襲撃をかけてきた奴らに奪われたんだ」

 

マドカはゴーレムを睨み付けながら言った。

 

「奴らっていうのは?」

 

亡国機業(ファントム・タスク)だよ」

 

…………また、あいつらか。

 

「…………マドカ、お前は束お姉ちゃんの所に行け」

 

「いや、私も一緒に「駄目だ」私は足手まといにはならないぞ‼」

 

マドカはムキになって俺に突っかかってくるが今の俺にはそんなことに時間を費やす余裕は無かった。

 

「いいから行けッ!! こんなところまで来た奴らの目的が俺達な訳無いだろッ!!」

 

俺が怒鳴る様に言うとマドカは事の重大さに気づいたのか顔を青ざめさせた。

 

「コイツは俺が始末するからお前は束お姉ちゃんの所に行け」

 

俺が改めてそう言うと、今度はマドカも素直に頷いた。

 

「一夏兄さん、気をつけてね」

 

マドカは俺に一言だけかけてラボに向かって飛んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふう、やたら行儀良く待ってたみたいだが、はっきり言って今の俺に加減は求めるなよ?」

 

俺はゴーレムを見据えながらそう言うと奴はメインカメラを光らせながら腕の砲口を向けてきた。

 

 

 

「さて、生みの親に矛を向けるんだ。相応の覚悟があるんだよな?」

 

 

 

 

ここまでしておいてただで済むと思うなよ?

 

 




大分前にもうすぐ原作入りって言ったけど全然原作入りしてないな……

早く原作入りしたいな~。

それでは、読んでいただきありがとうございます。


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