be with you いつもそばに   作:グリアノス

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第20話です。





第20話 明けない夜

既に日も沈み、夜の闇が空を染め上げる中、俺はゴーレムと戦っていた。

 

さて、コイツを始末するのは良いんだがコアは取り出したいんだよな。……コアが何処にあるのか判らんけど。

 

俺はゴーレムの放つ砲撃を不規則に飛ぶことで危なげなくかわしながらそんなことを考えていた。

 

「うーん、とりあえず頭とか腕とか吹き飛ばすか」

 

無人機なら遠慮は必要無いだろうし。

 

「攻撃パターンは遠距離は通常の砲撃、中距離は機体を回転させながらの砲撃、近距離は腕部での打撃、か」

 

攻撃自体は対応できない事も無いけど厄介なのは無人機故の圧倒的な反応速度だな。

 

「まあ、問題無いだろ。レーザーに比べれば遅い遅い」

 

俺は右手に鳳仙花を展開してそのままゴーレムに対して20mm弾を撃った。

 

弾丸はゴーレムの頭に向かって飛んでいくが、しかし何のひねりも無しに撃った弾丸が当たる筈も無く当然避けられた。

 

「……流石に当たらないか」

 

そこら辺は大して期待はしてなかったから構わないけどな。まあ、マドカなら偏向射撃無しでも当てられただろうけど。

 

俺が考え事をしているとゴーレムが返礼だと言わんばかりに砲撃をしてきた。

 

その数は十発を優に越え、その全てが俺に殺到した。

 

直撃すればあっという間にシールドエネルギーを削り尽くして俺の体を消し飛ばすだろうが、そんなのは御免であるため俺は機体のスラスターを使って砲撃をかわした。

 

……というか随分と容赦無いな? あんなの食らったらISを展開してても人なんて簡単に死ぬぞ。

 

まあなんだ、そこら辺はテロリスト仕様ってやつか、ならしゃーない。

 

考え事をしていると俺の頬をゴーレムの砲撃が掠めた。

 

「おおっ!? …………こりゃ考え事をしてたら死ぬな、マジで」

 

俺は冷や汗をかきながら砲撃を避け続けた。

 

そしてゴーレムは砲撃を避け続ける俺に対して更に密度の濃い砲撃を仕掛けてきた。

 

 

 

 

俺の姿を見失う程の、な。

 

 

 

 

「隙あり、だ!!」

 

ほんの一瞬、ゴーレムが俺を見失った瞬間、俺は瞬間加速を使い一気に間合いを詰めた。

 

ゴーレムは一瞬遅れて反応して俺に対して腕を振るうが俺はゴーレムの腕を身を翻してかわした。

 

「とりあえず一発、持ってけ」

 

ズガンッ!!!!

 

俺は振るった腕をかわされ、隙を見せたゴーレムの右腕の付け根を狙って鳳仙花の20mm弾で吹き飛ばした。

 

「次は頭だ」

 

俺がゴーレムを睨み付けながらそう言うとゴーレムは弾幕を張りながら距離を取ろうとするが、一度詰めた距離をみすみす離される積もりはない。

 

俺はゴーレムに距離を離されないように追撃を掛けた。

 

するとゴーレムは体を回転させながら砲撃を仕掛けてきた。

 

俺は鳳仙花を拡張領域にしまいこみながら空中で身を踊らせて砲撃をかわすと、そのまま回転を続けるゴーレムの頭を掴んだ(・ ・ ・ ・ ・)

 

そんなことをすれば当然、

 

 

 

グギャッ!!!!

 

 

 

自らの回転で首はねじ切れる事になる。

 

ゴーレムは頭部を失った事で制御が効かなくなったのかスパークしながらガクガクと不規則に身体を揺らす。

 

さーて、コアは……無いか。なら胸部かな。

 

頭部を失い、スパークするゴーレムを尻目に頭の中を調べるが目的のコアは発見出来なかった。

 

俺は竜胆を展開し、ゴーレムに再び向き直った。

 

「じっとしてろ、すぐ終わる」

 

右腕と頭部を失い、制御が効かない状態のゴーレムに俺は竜胆を振るった。

 

「篠ノ之流、朧・玄月」

 

竜胆を振り抜き、残心しながら俺は一人呟く。

 

そしてゴーレムは全身を胴体を真ん中から切り裂かれ、地面に落ちていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……ふう、こっちは片付いたがマドカはどうなったかな。

 

『いっくん聞こえてる!?』

 

俺が状況を確認しようとするとかなり慌てた様子の束お姉ちゃんから通信が入った。

 

「聞こえてるぞ、束お姉ちゃん」

 

『いっくん、今すぐマドちゃんの所に行ける!?』

 

「行けるがなんか不味いことがあったのか?」

 

なにやらただ事じゃない様子だが何があったんだ?

 

『うん!! 今マドちゃんがかなりの手練れと戦ってる!! 急がないとマドちゃんがヤバい!!』

 

なっ!? マドカがヤバいレベルの敵が来てるのか!? こうしちゃいられない、急いで向かおう。

 

「分かった、こっちは片付いたから急いで向かう。束お姉ちゃんはどうしてる?」

 

『くーちゃんが負傷してるから奥で手当てしてる!! 処置が済んだら私もすぐ行くからお願いね!!』

 

束お姉ちゃんがそう締めくくったところで通信が切れた。

 

「クソッ、無事でいてくれよ、マドカ!!」

 

俺は全速力でマドカの元に向かいながらそう呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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一夏兄さんと別れ、束義姉さんの元にやって来た私は厄介な相手と向き合っていた。

 

「……まさかお前が此処にくるとはな。会いたくなかったよ、スコール」

 

「あら、久し振りなのに随分な言い草ね? M?」

 

私は目の前に居る女を殺気を込めて睨み付けるが、やはりと言うべきかスコールはまったく堪えていないようだった。

 

それどころか私に対して笑顔を浮かべている位だ。

 

……ちっ、目が笑って無いんだよ。

 

心の中で毒づきながら私はスコールに対してブレードライフルを構える。

 

スコールは私が武器を構えても自然体を保っていた。

 

「あら、やる気なの? あなたに私が倒せるかしらね?」

 

スコールは濃密な殺気を放ちながら私に問いかける。

 

クソッ、はっきり言ってスコールは私より強い。オータムの奴ならまだなんとかなったんだがな。

 

「まあ良いわ、ちょっと遊んであげる」

 

「ふん、以前と同じと思うなよ?」

 

私はスコールに対して啖呵を切るがこれは強がりだ。

 

現に私の背中は冷や汗でびっしょりだからな。

 

「束義姉さん、コイツは私が押さえるからクロエを何とかしてやってくれ。その傷は早く処置しないと危険だ」

 

話を聞くに、クロエはスコールの奇襲を受けて腹部に傷を受けたらしい。

 

私が此処に駆けつけた時には既にクロエは負傷していた為、どういう手段を取ったかは判らないが。

 

「……分かったよ。マドちゃん、無茶はしないでね」

 

束義姉さんはクロエを抱えて、踵を返してラボの奥に走り出した。

 

「あら、簡単に逃がすと思ってるのかしら? だとすると随分と舐められたものね」

 

スコールは奥に走っていく束義姉さんを手に持ったハンドガンで撃った。

 

「させるか!!」

 

私はここで一夏兄さんには相性が悪すぎて使えなかった装備を使う。

 

「これは……シールドビットかしら」

 

「そうだよ、コイツをぶち抜きたかったら巡航ミサイルでも持ってこい」

 

束義姉さんを狙って撃たれた弾丸はシールドビットに阻まれて届かず、そのまま束義姉さんはラボの奥に走っていった。

 

「シールドビットはイギリスでもまだ開発途中なのに、流石は篠ノ之束といったところね。その頭脳、ますます欲しいわ」

 

……でも、とスコールは続けると先程よりも殺気が増した。

 

「篠ノ之束を手に入れるにはあなたが邪魔ね、M」

 

…………この状況を脱する為には増援が不可欠、ならばその時間は私が稼ぐ。

 

「はっ、以前のままだと思うなよ? これで心おきなく戦えるんだ、束義姉さんが戻ってくるのを待つまでもなく私がお前を倒してやるよ」

 

とは言うものの万全とは言い難い装備で何処までやれるか……

 

何よりまずいのは私の不利をコイツに悟られることだ。

 

「……はぁ、ここで私を殺すと言えない時点でまだまだなのよ、M」

 

私はスコールをついた溜め息に内心キレそうになるがここで平常心を乱せばコイツの思うつぼだ。

 

私は荒れ狂う心を理性で無理矢理押さえつけ、さらに啖呵を切った。

 

「あんまり人を足下に見てると怪我をするぞ? おばさん」

 

私がそう言うとスコールの頬が僅かにひきつった。

 

「…………どうやら少し口の聞き方を教えてあげないといけないようね」

 

……やば、何気ない一言が予想外に効いたんだけど。

 

…………まあ、言っちゃったものは仕方ない。これでスコールの目が私に向いたと思えば良い。

 

「ふん、お前に出来るのか? おばさん」

 

ここまで来たら皿まで食らってやる。

 

「一度ならず二度までもッ、…………あの世で後悔なさい!!」

 

スコールは顔を怒りで歪めながらラファール・リヴァイヴを展開した。

 

ん? ラファール・リヴァイヴ? コイツの機体はゴールデン・ドーンだった筈…………

 

「おい、ゴールデン・ドーンはどうした?」

 

「はっ、あなたごときラファールで充分よ‼」

 

スコールはそう言うとアサルトライフルを展開し、私に向かって発砲した。

 

……よし、思わぬところでコイツの理性を奪えた。これなら私にもチャンスがある。

 

私はアサルトライフルから吐き出される弾丸をシールドビットで防ぎながらそう思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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いっくんにはああ言ったものの、くーちゃんの状態はこの上なく悪い。正直助けられるか分からないのが本音だ。

 

「くーちゃん!! 気をしっかり持って!!」

 

私はくーちゃんの傷の処置をしながら語りかけるがくーちゃんは弱々しく呼吸を繰り返すばかりだった。

 

「ダメだよ‼ こんなところで死ぬなんて私許さないよ‼」

 

「……お……かあ、さま……」

 

するとくーちゃんは掠れるような声で私に話しかけた。

 

「くーちゃん!! 私がわかる? 今すぐ私が治すからね!!」

 

「…………わた、しを……あそこから……す、すくいだ……してくれ、て……」

 

しかしくーちゃんの言葉は安堵の言葉では無かった。

 

「ダメ、それ以上言わないで!! そんなの聞きたくないよ‼」

 

私は涙を流しながら懇願するがくーちゃんは今ある力を振り絞ってしゃべり続ける。

 

「……あり、がと……う……ご……ざいま……」

 

「……くーちゃん? ダメだよ、 まだ死んじゃうには早すぎるよ?」

 

しかしいくら私が話しかけてもくーちゃんは何も言わなかった。

 

「くーちゃん!! くーちゃん!! お願いだから目を開けてよ‼」

 

するとこの部屋の端末にいっくんから通信が入った。

 

『束お姉ちゃん、俺はもうすぐマドカの元へ着くけどクロエはどうなった!?』

 

「くーちゃん!! くーちゃん!!」

 

しかし今の私にはいっくんの声すら届いていなかった。

 

 

 

 

 

 

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『くーちゃん!! くーちゃん!!』

 

「束お姉ちゃん!! ……クソッ、聴こえてないか」

 

どうやらクロエの容態はこの上なくまずいようだ。

 

「ちっ、仕方ない」

 

俺はにっちもさっちもいかない状況に一つ舌打ちをかまし、マドカに通信を送った。

 

「マドカ、聞こえるか?」

 

『何? 今、手が離せないんだけど』

 

「悪いがそっちに行くのに少し遅れるんだが持ちそうか?」

 

『今は何とかなってるけど、余裕はまったく無いから出来るだけ急いでくれ』

 

「ああ、分かってる」

 

俺はマドカとの通信を手短に済ませ、束お姉ちゃんの元へ向かった。

 

「……マドカ、クロエ、間に合ってくれよ!!」

 

俺は束お姉ちゃんとクロエの元へ向かいながら一人呟いた。

 

 

 

 

 

俺達の戦いの夜はまだまだ明けない。

 

 

 

 

 




クロエがどうなるかは次回で。



読んでいただきありがとうございます。

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