be with you いつもそばに   作:グリアノス

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スランプ辛い…………スランプ辛い…………

書けないぃ…………頭には展開が浮かんでるのに書けないぃ…………


第25話

SIDE【束】

 

 

「さあいっくん。いよいよ作戦決行だけど準備は万端かい?」

 

さてさて、一週間の交渉猶予期間も終わり、更識楯無との秘密裏の会談を今日に控えた私達は並行してとある作戦を推し進めている。これは会談が平穏無事には( • • • • • • )終わらない事を想定したもの。

 

当然だ。国内に潜む亡国機業の関係者の情報を得た更識楯無は奴らにとっては邪魔者でしかない上に、アレを知った以上更識楯無に動かない理由が無いのだから。

 

余計な事を知った更識楯無、そして彼に連なる面々を全て始末するために奴らは必ず仕掛けてくる。そこを私達は一網打尽にする事で日本における奴らの活動力を削ぎ落とすのが目的だ。

 

そういった目的を秘めた私達は関東圏のとある山中に造った隠れ家で密やかに準備を進めていた、というわけ。

 

「抜かりないよ。クロエとマドカはどうだ?」

 

「私は大丈夫だ兄さん。機体の調整はしっかりと済ませてあるよ」

 

「こちらもいつでも行けます。あの時の汚名返上をしてみせます」

 

くーちゃんが両手を握り込んで強く意気込むといっくんとマドちゃんが冷やかし半分に発破を掛けている。私から見てもくーちゃんは少しだけ張り切り過ぎてるみたいだったから

 

「おいおいクロエ、奴等への借りは俺とマドカ、束さんにもあるんだ。あまり無茶はしないでくれよ」

 

「兄さんの言う通りだ。今回の作戦は単純明快、私達はただアイツ等の喉元を散歩に出かけたつもりで食い破って来れば良いだけなんだからな」

 

「…………そうですね。ごめんなさい一夏さん、マドカ、お母様」

 

「いいさいいさ。意気込むのは決して悪いことじゃないからね」

 

みんなの戦意は上々、装備は万端を期した。しかし敵の戦力の全容や用いてくる戦術は不明。さらに言うならこちらの狙いを看破している可能性すらある。

 

でもこうやって笑い合ってるみんなを見てると不思議と失敗する気がしないや。

 

「うん、それじゃあみんな。それじゃあ改めて役割の確認をするよ。まずは─────」

 

亡国機業。君達の力は私一人じゃ勝ち目もなければ太刀打ちも出来ないほど強大だ。しかし私達はキミ達に逃げ回るだけじゃないって事を教えてあげよう。

 

 

 

 

 

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SIDE【マドカ】

 

 

 

私が今居るのは一週間前に束義姉さんが更識楯無という人物と秘密裏に会談を行った埠頭、その上空だ。

 

私に課せられた役割は十中八九襲撃してくるであろう亡国機業の手先から更識楯無を護衛する事。相手方の返答次第ではあるものの、協力体制を結ぶ相手を死なせる訳にはいかないからだ。

 

私が護衛役に選ばれた理由としては機体の性質上1対多数戦に持ち込まれた場合を想定しての事だ。本音を言えばクロエからの高高度管制支援が欲しい所だけど生憎クロエにも充てがわれた役割がある。

 

まあ、有事の際は義姉さんも戦う手筈になってるから戦力的には問題は無い筈だ。

 

『マドちゃん。更識楯無が来たよ。何時でも対応出来るようにね』

 

「了解。こちらでもハイパーセンサーで視認した。義姉さんも気をつけて。通信終わり」

 

そう言って通信を終えた私は埠頭に足を踏み入れた更識楯無に視線を向ける。私から見た更識楯無の印象は堅忍質直を絵に書いたような印象だ。

 

最近は道理を履き違えた女尊男卑主義者が我が物顔で街中を闊歩する御時世だけど、ああいった男がまだ居たのかと少し感心した。以前兄さんが言っていた篠ノ之柳韻という人物に近い気質であるのかもしれない。ならば一定の信頼も置けそうだと私は見定めていた。

 

────来たね更識楯無。さあ、君の出した答えを聞かせてもらおうかな

 

────ああ。だがその前に確認させてくれ。あの情報は確かなものなのか?

 

地上からは義姉さんと更識楯無の会話が聞こえる。

 

なるほど。流石は暗部の頭目なだけあって無闇に信用はしないか。聞きようによっては無用人な質問ではあるけどおそらく自分に何かがあっても問題ないようにしているのだろう。

 

あの男の目は千載一遇の機に乗じて捲土重来を図ろうとしているかの様な並々ならない意志を感じた。

 

なるほど。兄さんと義姉さんが目をつけるわけだ。この男と組む事が出来ればそれは大きな力になるだろう。

 

まあ、だからこそ…………

 

「此処で死なせる訳にはいかないなぁっ!!」

 

私は腹の底から叫びながら急降下していき、招かれざる襲撃者から更識楯無を守る為に行動を開始した。

 

 

 

 

 

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SIDE【楯無】

 

 

 

「情報の真偽か。まあ、それが暗部のトップが真っ先に確かめるべき事だと言うのは良く分かる。と言うよりは最初は疑って掛かるべきだろうね」

 

────世間から見た私なんて傍迷惑な社会不適合者だろうからねぇ。

 

私に対して笑い半分に告げる篠ノ之束に関して、正直な所今でも計りかねている部分がある。大きな要因としては彼女も意図した事なのだろうが、世の中に出回っている篠ノ之束像と目の前の女性があまりにも食い違っているせいだろう。

 

世間からの篠ノ之束と言えば自己中心的を絵に書いたかの様な狂人、人を人と思わぬマッドサイエンティスト、世界を引っ掻き回し続けるテロリストよりも厄介な存在など、好意的な感情を酷く抱きづらいモノばかりだ。

 

姿を暗ませる前も友好範囲は極めて限られたものだったと言うのは私も知っている事も一因だろう。

 

私が彼女を篠ノ之束ではないと切って捨てられない理由は織斑一夏君の存在だ。篠ノ之束は彼の姉である織斑千冬と学友かつ親友であったという情報があるからだ。ならば織斑一夏君が篠ノ之束と個人的に関わっているというのにも十分納得出来た。

 

…………はっきり言って彼が関わっていなければ私は目の前の女性を偽者と断じていただろうが、ここまで根拠を並べられては認める他無いようだな。

 

「…………あの情報は真実、なのだな」

 

「そうだね。ほら、それを裏付けるかの様に招かれざる客人も来たようだよ」

 

彼女がそう言った所で、周囲から黒づくめの男達が現れた。全員がアサルトライフルやサブマシンガン等で武装している。

 

これは、少々まずいな。一人や二人なら私一人でも沈黙させる事は容易いが相手は現在視認出来るだけでも20人以上。個人でどうにか出来る範疇を超えているのは明白だ。

 

そう思いながら身構えていると敵の集団の中から一人の男が進み出てきた。

 

「おやおやこんな所で会うなんて奇遇ですね楯無様。女性との相瀬ですか?」

 

「…………鳴神」

 

出てきた男は私がよく知る人物。代々更識家に仕えてきた鳴神家の頭首を務めている男だった。その間柄から私の側近として登用していきたのだが…………

 

「楯無様、篠ノ之束を渡してもらいますよ。丁重に扱えとの指示ですからね」

 

「誰の指示か、等というのは今更だな。お前もそちら側という訳か」

 

「ええ。月並みですが楽に死にたければ抵抗はしない事です。ご遺体は綺麗なまま刀奈お嬢様にお返ししたいのでねえ」

 

この嘲笑を見ていれば分かる。この男は以前より更識家の動向を探る為に潜り込んだスパイだったのだろう。

 

いやはや私も抜かったものだ。この男が獅子身中の虫である事に気づかぬまま私の側に置き続けた訳なのだから。

 

しかし篠ノ之束が渡してきた情報に鳴神の名前は無かったのだがこれはやはり…………

 

「ああ、更識楯無。君には謝らないといけないね。私はあの男が亡国機業と繋がっていることを知っていて教えなかったんだから」

 

「そうか。私は鳴神を始めとした奴等の手先をおびき寄せるための餌という訳だな」

 

「そうだね。だけど貴方と協力体制を結びたいというのは偽りの無い本心だ。だからこそ、私達は貴方を死なせるつもりは無いよ」

 

「しかしそうは言うがこの状況は君がISを用いても切り抜けるのは厳しいのではないか?」

 

「おやおや、この篠ノ之束を舐めてもらっては困るな。この程度の三下相手に遅れを取るほど私は弱くはないよ」

 

「ええい揃いも揃って私を無視するなァアアアアアアアアアアアア!! 総員撃てぇ! 更識楯無を殺せぇ!篠ノ之束も生きてさえいれば問題ない!!」

 

視線こそ鳴神から外さなかったものの、意識自体は周囲に向けていた私と篠ノ之束についに苛立ちが限界点を超えたのか、鳴神は聞くもの全てを不快にさせるようなヒステリックな叫び声を上げた。

 

それに伴い私達に向けられる数十にも及ぶ銃火器。これらから撃ち出された弾丸が私達に襲いかかれば死は免れないだろう。

 

しかし篠ノ之束はこの状況にも慌てる素振りさえ見せない。先程の言葉は決して誇張ではない、と言うことなのだろうか。

 

「さあ、状況開始だ。連中に一泡吹かせてやろうか。ねえ、マドちゃん?」

 

そして耳障りな音を響かせて吐き出された数百、あるいは千にも届かんばかりの弾丸は目の前に躍り出た複数の大型盾によって全て防がれた。

 

「なぁっ!?」

 

鳴神は今の一斉射撃で私を仕留められないなどと微塵も考えていなかったのだろう。結果的に傷一つ負わせる事も出来なかった事実にこの上なく動揺している様子だった。

 

うむ。この男は昔から頭に血が上ると詰めが甘く失態を演じる事が多々あったが、それは決して演技ではなかったようだな。むしろこういった気質であった為に亡国機業に付け込まれたのやもしれん。

 

そんな取り留めのない事を考えていると私達の前に藍色のISを纏った少女が降り立った。

 

どうやら篠ノ之束の仲間らしく、襲撃に備えて上空で待機していたようだ。

 

「ナイスマドちゃん。さて、私の手助けは必要かな?」

 

「いや、この程度の戦力なら私一人でも十分対処出来る。義姉さんは更識楯無を守っていてくれ」

 

数十人を前にして一人でも十分、か。刀奈ですらこうは言えまい。しかも時折放たれる弾丸を大型盾を操作して防ぎながらだ。いやはや凄まじいと言う他ない。

 

それから襲撃者達が沈黙させられるまでに要した時間は僅か1分だった。どうやら私は時代が変わった事を認めねばならんようだな。

 




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