be with you いつもそばに   作:グリアノス

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読んで下さる皆様、大変お待たせしました。

今回の修正に伴い新たに書き下ろしました。

5/10 加筆修正を行いました。


第4話 完成する翼、向けられる悪意

季節は巡り、僕が篠ノ之道場で剣道を始めて一年と少し経った。

 

一年前のあの日から束お姉ちゃんは家でも良く笑う様になったらしい。柳韻さんと秋穂さんと話し合った翌日、束お姉ちゃんは僕に、

 

「ありがとう、いっくん」

 

と僕に感謝の言葉を呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ようやく完成した……」

 

いっくんと箒ちゃんに自分の夢を語ってから一年、様々な苦労の末に私は遂にインフィニット・ストラトスを造り上げる事が出来た。

 

この時の私は自分の夢に一歩近づけた高揚感と造り上げた事の達成感でいっぱいだった。

 

倉庫の一角に鎮座するある意味我が子と呼べる存在に、

 

「君の名前は"暗闇を突き進み、未だ見ぬ新たな世界を切り開く者"」

 

 

 

 

 

 

 

 

「白騎士だよ」

 

 

 

 

 

 

 

私は様々な思いと共にこの子に"白騎士"と名付けた。

 

名前を着けた事で完成した実感の沸いてきた私は早くいっくん達にこの子を見せたくなった。

 

「ふふ♪いっくん達はこの子を見たらどんな反応をするかな?」

 

いっくん達は驚いてくれるかな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ある日、僕と千冬お姉ちゃんは束お姉ちゃんにうちに来てほしいと言われた。

 

「ねえ千冬お姉ちゃん。束お姉ちゃんに何で呼ばれたか分かる?」

 

「さあな。ただやたら嬉しそうだったから何か良いことがあったんじゃないか?」

 

千冬お姉ちゃんは僕の疑問にそう答えた。

 

うーん、何があったのかな?

 

僕達が篠ノ之家に着くと柳韻さんと秋穂さんが僕達を出迎えた。

 

「いらっしゃい、一夏君、千冬ちゃん。貴方達も束に呼ばれたのかしら?」

 

「ええ、そうです。しかし束がやたら嬉しそうだったのですが何か聞いていますか?」

 

「いや、私や秋穂も何も聞いてはいないな」

 

どうやら二人も何も聞いてないらしい。

 

「まあ分からない事を考えても仕方ない。さあ、奥に箒も居るから早く上がると良い」

 

僕達は二人に促されるままに家に入った。

 

 

 

 

 

 

 

 

僕達が居間で寛いでいると、

 

「いっくん!! ちーちゃん!! 箒ちゃん!! お父さんにお母さん!! やったよ‼ 完成したんだよ‼」

 

僕達に束お姉ちゃんは興奮冷めやらぬといった様子で告げてきた。

 

お、おう、テンションが凄く高いね………………ん? 何が完成したんだろう?

 

「束、少し落ち着きなさいな。一体何が完成したのかしら?」

 

秋穂さんは束お姉ちゃんを嗜めながら聞き返す。

 

「完成したんだよ‼ 私の夢が!! インフィニット・ストラトスが!!」

 

束お姉ちゃんの夢を知っている僕達はその言葉にとても驚いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

束お姉ちゃんに家の倉庫に案内されるとそこには以前研究室で見せて貰った物が鎮座していた。

 

「これが……インフィニット・ストラトス……」

 

僕は一目見た瞬間その存在に心を奪われた。僕は束お姉ちゃんに、この子に名前はあるの?と聞いた。

 

「うん。この子の名前は白騎士だよ」

 

「白騎士……」

 

僕は噛み締める様にその名前を呟いた。

 

 

 

 

『ーーーーーーーー』

 

 

 

「あれ? 誰か呼んだ?」

 

僕は誰かに呼ばれた気がして聞き返すが、

 

「いいや、誰も呼んでないぞ?」

 

千冬お姉ちゃんは何も聞いてないらしい。

 

うーん、気のせいかな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……まさかいっくんは白騎士の声を聞いた?コアを造り上げる過程で人の意識に近いものが確認されてたけど……」

 

束お姉ちゃんの呟きは誰も気づかないまま消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

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まさか私の娘がこんな物を造り上げるとはな。

 

私は束の造り上げた物を見ながらそんな事を思っていた。私は束の事を誇らしく思うと共に、拭いきれない不安を感じていた。

 

 

これは素人目で見ても既存の技術を大きく越えるものだ。

 

世の中がこれを受け入れられるのだろうか、その事で束は傷付かないだろうか。

 

願わくばインフィニット・ストラトスを造り上げた事で束が不幸に見舞われない様に祈るばかりだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし私の予感は最悪の形で実現してしまう事になる。

 

 

 

 

 

 

 

 

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それからしばらくして僕と千冬お姉ちゃんが篠ノ之家に行くと束お姉ちゃんはとても落ち込んだ様子で僕を出迎えた。

 

「えらく落ち込んでるけど何があったの?」

 

余りにも落ち込みようが酷かったので僕が束お姉ちゃんに尋ねると、束お姉ちゃんは何があったのかを話してくれた。

 

「私は研究の発表会でこの子を、インフィニット・ストラトスの事を発表したんだよ。でもその場にいた誰もがその場にいたこの子には目もくれず、そんな物を中学生が造れるものか、ままごとは家でやりなさい、何て言われちゃってね……」

 

束お姉ちゃんはとても自傷的な笑みを浮かべながらそう言った。

 

ああ、そんな顔しないでよ……束お姉ちゃんにそんな顔は似合わないよ。

 

気づけば僕は束お姉ちゃんを慰めたい一心で声をかけていた。

 

「束お姉ちゃん、他の誰が何を言っても僕は知ってるよ? 束お姉ちゃんがインフィニット・ストラトスを、白騎士を造り上げた事を僕は分かってるからね。思うようにいかなくて悩んでいたのも、うまくいかなかった事がうまくいって心から喜んでいたのも僕は分かってるからね」

 

だからそんな顔しないで……

 

 

 

 

 

 

 

「束お姉ちゃん、他の誰が何を言っても僕は知ってるよ?束お姉ちゃんがインフィニット・ストラトスを、白騎士を造り上げた事を僕は分かってるからね。思うようにいかなくて悩んでいたのも、うまくいかなかった事がうまくいって心から喜んでいたのも僕は分かってるからね」

 

 

いっくんはズルいよ。こんなこと言われたら耐えられないじゃないか。

 

私は溢れ出した涙を止められなかった。

 

「ごめんね、いっくん。少しこのままでいさせてね……うぅ……うあぁぁぁ……うわあああああああ!!」

 

私はいっくんを抱き寄せそのまま泣き続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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くそッ!! 私は一体何をやってるんだ!! 一夏の言ったことは本来なら私がかけねばならない言葉だろうが‼

 

私は一夏を抱き締めながら泣き続ける束を見ながら親友に対して何の言葉もかけられなかった自分を恥じた。

 

ああ、親友に言葉一つかけられない私をお前は許してくれるか? なあ、束……

 

そんな自分を恥じながらも未だに泣き続ける束を後ろから抱き締めた。

 

 

 

 

 

 

 

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何だろう、今の束お姉ちゃんを見てるととっても悲しいな。

 

僕は束お姉ちゃんに抱き締められながらそう思った。

 

「今は沢山泣けば良いと思うよ、束お姉ちゃん」

 

束お姉ちゃんの背中を擦りながら誰にも聞こえない様に呟いた。

 

 

 

 

 

 

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「ごめんね、いっくん」

 

しばらくして泣き止んだ束お姉ちゃんは目元を真っ赤にしながらも、さっきとは違って落ち込んだ様子ではなくとてもすっきりとした表情で僕にそう言った。

 

「何で謝るの? つらいことがあれば泣くのは当然でしょ?」

 

そう返した僕に束お姉ちゃんは僅かに微笑んだ。

 

「いっくんは優しいね。…………そうだ、ねえいっくん、ちょっと目を瞑ってくれる? ああ、私がいいって言うまで目を開けちゃ駄目だよ?」

 

「? うん、分かったよ」

 

うーん、一体何だろう?

 

そう思いながらも僕は目を瞑った。僕の頬に束お姉ちゃんは手を添えると…………

 

……………………チュッ♪

 

僕の唇に何か柔らかくて温かいものが触れた。

 

…………

 

……………………

 

………………………………え?

 

「た、束!?」

 

千冬お姉ちゃんは驚きの声を上げる。

 

い、今のってもしかして……

 

「ふふ♪ ファーストキスを貰った気分はどうかな?」

 

束お姉ちゃんは顔をうっすらと紅く染めながら僕に聞いてきた。

 

や、やっぱり今のって……………………きゅう。

 

僕の記憶はここで途切れた。

 

 

 

 

 

コイツ……まさかここまでするとはな……

 

「束、お前一夏の事を……」

 

「ストップ、ちーちゃんも野暮な事を聞くね?」

 

好きなのか、と続けようとする私の言葉を束は遮った。

 

「その先は私が言わないと、ね」

 

束はそう言うと気を失った一夏に膝枕をしだした。

 

…………野暮、か。まあそれもそうか。しかしコイツが一夏の事を……ねえ。

 

「まあ、応援はしておくさ」

 

どうなるかは分からないが頑張れよ、親友。

 

 

 

 

 

 

 

「あ、起きた?」

 

しばらくして僕が目を覚ますとまず束お姉ちゃんの顔が目に入った。

 

さっきの事を思い出して顔を真っ赤にしてしまったのはしょうがないと思う。

 

「くくっ、どうしたんだ一夏、顔が真っ赤だぞ?」

 

千冬お姉ちゃんはニヤニヤしながら意地の悪い聞き方をしてきた。

 

「もうっ!! からかわないでよ!!」

 

「くくっ、すまんすまん、だからそう拗ねるな」

 

そう言いながら千冬お姉ちゃんは僕の頭を撫でた。

 

全く、そう言うなら最初から言わないでよね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

僕達はそれからしばらく話をしていると奥から柳韻さんが血相を変えて走って来た。

 

「束!! お前はもうテレビを見たか!?」

 

「お父さん、何があったの?」

 

状況をいまいち飲み込めない僕達を代表して束お姉ちゃんが柳韻さんに聞き返す。

 

「テレビを見てみろ!!大変な事になってる!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

私達はお父さんに促されるままテレビを見るとそこではアナウンサーが酷く慌てた様子でニュースの速報を読み上げていた。

 

『繰り返しお伝えします。先ほど国連から日本政府に緊急連絡が入りました。内容は世界各国の軍事基地が一斉にハッキングを受け、ミサイルの発射態勢に入ったとのことです。ミサイルの発射先は日本の東京都とされ、政府は事実確認を進めると共に非常事態宣言を発令しました』

 

「なっ!?」

 

ニュース速報を聞いた私達は驚くと同時に顔を青ざめさせた。そんな時、私のパソコンに一通のメッセージが届いた。内容は、

 

 

 

 

 

 

 

『世界中の軍事基地にハッキングをしたのは我々だ。このまま行けば何千万もの人が死ぬだろう。しかし君にはチャンスをあげよう。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『以前、発表したあの"インフィニット・ストラトス"で阻止してみせたまえ』

 

 

 

 

 

 

『我々の名は亡国機業(ファントム・タスク)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『さあ、君は限られた時間で何処まで出来る?』

 

これが僕達と亡国機業との長い戦いの始まりであり、後に白騎士事件と呼ばれる事件の始まりだった。




読んでいただきありがとうございます。

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