うっすらと暗く、道路に沿って建てられた街灯に明りがともり始める。日が沈んでまだ間もない時間。辺りを夜と呼称するにはもう大して時間はかからないだろう。
二人はその中を歩いていた。
「ごめんね。こんな時間まで」
「いいよ。それより……大丈夫?」
「ハープがいれば、ぎりぎり何とかなるよ」
最終手段と言う奴だ。まじめなスバルはずるいのではないかと疑問に思ってしまうが、自分も修学旅行でシーサーアイランドに行くときに使ったため、何も言わないでおいた。
「あら、やっと帰ってきたわね?」
澄んだ声に振り返ると、ミソラのウィザードであるハープがやってくるのが見えた。真っ白になったウォーロックを空中で引きずるようにしている。どうやら、さんざん付き合わされたらしい。
「ハープ! お願い、電波変換で……」
「遊んでいたんだからダメ! って言いたいけれど、今回だけよ?」
人間の体を電波に変える、電波変換。これを使えばある程度遠いところまではあっという間に移動できる。
甘やかさない方針でいるハープのようだが、結局ミソラには甘い。今回だけは最後の手段を使うことを許してくれた。
そうしているうちに、ウォーロックもふらふらとスバルのハンターVGに入ろうとする。
「そうそう、お前ら次から電波変換で来いよ? こいつも待つのは大変なんだからよ?」
ちょっと機嫌が悪かったのだろう。できる限り抑えていたようだが、ピリピリしていた。
青い光がスバルのポケットの中に吸い込まれ、ちょっとだけ空気が乱れる。
「あ……ごめんね。本当に?」
待ち合わせの時間に遅れたしまった事を改めて詫びる。ちょっと表情が暗い。
「いいよ、気にしないで。それに……」
スバルの次の言葉で、ミソラに笑顔が戻った。
「じゃあ……またね?」
「うん。またね?」
ハープがハンターVGの中に戻り、準備が整う。それを頭上に掲げる。
「あ、スバル君、言い忘れるところだった!」
「ん、何?」
へへーっと満面の笑みを浮かべた。
「ナンパはしちゃダメだよ?」
「ちょ、ミソラちゃん!」
舌を出し、意地悪っぽくからかう。スバルもちょっとだけ怒った。
「きゃはっ! じゃね!?」
ピンク色の光がミソラを包み、逃げるように空に消えていった。電波変換したのだろう、今頃は仕事場のすぐ近くまで移動しているはずだ。
「もう、ったく……」
でも、それはすぐに笑みに変わる。
「あ~、悪かったな?」
「ロック、疲れたんじゃないの?」
申し訳なさそうに縮こまったウォーロックが再び出てきた。先ほどの失言は流石に悪いと思っているようだ。
でも、スバルは大して気にしない。彼の口の悪さなんて、今更という感じだ。
「良いよ。それに、嘘じゃないし」
「最後にミソラに言った言葉か?」
「うん。僕が嫌だったのは、時間が短くなることだからね?」
ふーっと大きく息を吐き出す。
「じゃ、僕らも帰ろうか?」
「電波変換か?」
「いや、疲れたから普通に帰ろう?」
「おう!」
ウォーロックを元に戻し、スバルは歩き出した。今日の二人の時間に思い浸りながら。
それに、待つことは嫌いじゃないんだ
待つってことは、どれだけ時間がかかっても
また会えるってことなんだから
(おしまい)
私が始めて書いた流星のロックマンの小説はいかがでしたか?
楽しめていただければと思います。