笑いながら、次元に穴を開け、絶対悪はとある世界に消えたのだった……
「ハァハァ……一体どこへ……」
アマツは世界中を探し回っていた。しかし、次元神の管轄している世界には絶対悪は居なかった。しかも絶対悪が取り付いているのは妖神人。彼の異常な戦闘力が絶対悪に加わってしまったとなるといくらアマツであっても勝ち目はない。しかし探し出し元に戻さねば、絶対悪は何をしでかすか分からない。
「……まさか!」
彼女が向かった先は瀬戸尾凌の居る世界……の神界。しかし、その時絶対悪は別の世界に居た。
「お前が破壊神と呼ばれる者か。」
「キサマ何者だ。私に気付かれずに後ろを取るとは。」
「俺の名は絶対悪。気に入らない全てを消す存在。」
「ほう……ならば私の前から消えろ!キサマは邪魔だ!」
「神威、形状変化『イビルネス』」
二人が拳をぶつけた瞬間爆発音が鳴り響き、直径3m程のクレーターが出来上がる。絶対悪はそのままフランの腕を掴み、イビルネスで切り裂いた。
「ガハッ!?ば、馬鹿な……再生しない!」
「イービルマインド……シャッフル!」
絶対悪の瘴気がフランの周りを取り囲みフランに吸収されていく。しかし、彼女はかなり苦しんでいる。それもその筈、彼女の感情を無理矢理封印し上から洗脳しているのだから、抵抗するに決まっている。
「く、クソォ……許……さんぞ……」
「許されるつもりはない、貴様には役に立って貰おうか……」
フランの意識は、そこで途絶えた。
一方、アマツは別世界の神界と呼ばれる場所に来ていた。この世界の最高神に会うためだ。
「ハァハァ……ゼウスさんに会わないと……」
ゼウスのいる場所に近付こうとすると、他の神に止められた。流石に最高神と言うだけあって簡単には会えないようだ。
「全く……荒っぽいですが、ザ・グランド!」
「お、おい!止めるんじゃ!」
「あ、ゼウスさん!良かった、撃つ前で。」
「撃つ気だったのか!?お主は確か……」
「次元最高神アマツです。別の次元からやってまいりました。いきなりですが、お願いがあります。絶対悪が来たら……ゲートを作って置くのですぐに次元神界に逃げてください」
次元神界へのゲートが神界に現れる。幻と現を司る力はあらゆる願いを叶える。しかし、出来る事は自分のその時の力の残量によるため限界は存在する。次元と次元を繋ぐゲートを作るとなると相当の量の次元神力を使うため少し疲れた様子で、また別のゲートを作り出ていく寸前に彼女はゼウスの方に振り向いた。
「では、よろしくお願いします。」
「お、おぉ分かった。」
その頃、瀬戸尾凌と絶対悪が幻想郷で対峙していた。絶対悪の右手には額から血を流し気を失っているルーミアが掴まれている。
「……おい神人、お前なんでこんな事を!」
「何故?面白いからに決まっているだろう?まさか、俺がそれ以外で動くと思っていたのか?」
「あぁそうかよ、だったらとりあえず1回ぶっ殺す!」
「出来るものならやってみろ……」
絶対悪の周りから、どす黒い瘴気が吹き出し辺りを覆う。これは絶対悪の技『ワールド・リ・スタート』と言い、辺り一帯を瘴気で覆い尽くす技。絶対悪の瘴気には、これを吸う前までに使っていた力以上の力を出せなくする効果がある。つまり、今の状態で凌に勝ち目はない。
「リミット7解除!……ん?リミット7解除!で、出来ねぇ!?」
「10倍……イビルノヴァ!」
「しまっ……!」
イビルノヴァが迫り、凌の視界が灰色に染まる。しかし痛みはない。それどころかダメージを感じないのだ。見ると周りに光の壁が出来ていて、攻撃を防いでいた。
「間に合いましたね……師匠!」
「フッキー!助かった!」
「次元守護神か……面倒な。」
「やっと見つけましたよ!絶対悪!もう逃がしません!」
「次元最高神まで……まだ不完全だと言うのに……仕方ない、引くとしよう。」
「あっ!待てぇ!」
アマツは全力で次元の穴を開け逃げた絶対悪を追って行った。ルーミアは凌の力でなんとか治った。次元神力で魂が破壊されるのは死んだ時のみ。まだ息があった為彼女は帰ってこれたようだ。
「なぁフッキー。神人は一体どうしちまったんだ?」
「神人さんは……今、絶対悪と呼ばれる物に取り憑かれているんです。おそらく本人の意識は無いかと。」
「なるほどな。あの禍々しい力はそのせいか……」
「どうやら絶対悪は特殊な力を無力化出来ないようです。神力、妖力、霊力、魔力は無力化されるのを確認済みです。」
「じゃあ俺は奴に勝てねぇのか?」
「師匠が俺の次元神力と相性が良いとは限らないから……分からないですけど、次元神力を分けてもらいましょう。」
「へ?あ、相性?なんの話だよ」
「まぁ、後は次元神界で話します。ついてきてください。」
アマツが追い続けた先は、戦愛録の世界の高天原。既に絶対悪が暴れたのか、かなり荒らされている。辺りを見回すと、誰か倒れていた。どうやらアマテラスのようだ。まだ息はあったので、力を使い回復させた。
「うぅ……晴夢が危ない……行かないと」
「待ってください。あなたの体は完治している訳ではありません。私が行きます。アイツは……貴女では絶対に勝てません。」
「嫌です!必ず助けに行かないと……私は晴夢の恋人ですから。」
「はぁ……分かりました。そこまで言うなら……」
アマツはアマテラスの後ろに神速で回り込み気絶させた。アマツに彼女を行かせる気はもとより無かったのだ。
「悪いですが……勝てないと分かって行かせるわけには行きません。死んでもらっては困ります。」
その頃、地上では激闘が繰り広げられていた。しかし、時間が経つにつれて晴夢が押されていく。絶対悪はほぼ無限のスタミナがあるのに対し晴夢はほぼ無限の命がある。しかし疲れは溜まっていく。しかも絶対悪の瘴気が力を出せなくしているため、一度でも死ねばもう勝ち目は無くなってしまう。しかも背後には倒れた龍桜が居る。引くわけにはいかないのだ。
「くそっ!てやぁ!」
晴夢の拳は絶対悪のビットの様な手に掴まれ、完全に阻まれた。しかも抜けない。
「ただの拳が効くものか。死んでもらおう!聖邪混龍牙!」
「何ッ!?」
超至近距離からの馬鹿でかいレーザー攻撃。それは晴夢を狙ったものでなく龍桜に対して放たれた物だった。
「しまった!龍桜ァ!」
「させません!守護神の断壁!」
現れた光の鉄壁により、攻撃は完全に弾かれた。アマツが最高神権限を使い、次元守護神の力を行使したのだ。
「間に合って良かった……絶対悪!どこまで逃げる気ですか!」
「チッ……また貴様か。何度も何度も邪魔をしやがって!こい!破壊神フランドール!」
「……」
次元の穴が開き、中から輝きを失った目をしたフランが現れた。胸の辺りには気味の悪い脈動している黒い塊がついている。
「アマツの相手を頼んだぞ……
「……アマツ……殺す!」
「彼女を殺してはなりませんね……スペル!無穢『スノーホワイトストリーム』!」
「効かない……死ね!」
「くうっ!」
フランが放った拳はガラスのようにアマツの右腕を破壊した。右肘から上が粉々に砕けちったのである。しかし彼女の右腕からは血どころか何も出ておらず、肘の辺りの傷口は空洞になっていた。
「な……アマツ、お前の体は一体どうなってんだ?」
「気に……しないでください、晴夢さん。こんなの何ともありませんから」
パキパキと音を立てながら、アマツの右腕は治っていった。次元神である以上、次元神以外に殺せはしない。
「ほぅ……捨て駒と思っていたがアマツの右腕を破壊するとは、思ったよりいい拾い物だったな。おい、フランドール!褒美だ、お前らしさを少し返してやろう。」
「お……うぉぉぉぉ!」
フラン周りに瘴気が現れ、目に輝きが若干戻った。その瞬間、黒い影が通り過ぎ胸の塊をククリでズタズタに引き裂いた。そいつはククリを収納するとニヤリと笑い絶対悪に指を刺した。フランは気を失ったのか落下していき、次元神界へのゲートへ入った。
「クカカカカ!油断したなぁ絶対悪!てめぇの駒は減らせたぜ!」
「お前は……スキアーか。いちいち記憶を探るのも面倒だ。まぁもういらん。持っていくがいい。」
「おい晴夢!俺を着ろ。」
「はぁ?いきなりなんだよそれ。着るって一体……」
スキアーは黒い不定形の物体になって、晴夢にまとわりつき黒いローブに変わった。更に晴夢の目は片目だけ赤のオッドアイになっている。
「「クカカカカ!さぁ行くぜ!『天晴大黒斬』!」」
「なっ……スキアー貴方またパラドクシスの力を勝手に!」
「「今言う事かぁ?折角技発動して突っ込んでくとこなのによー!」」
「スペル。『牙竜天聖』」
「「てめぇ!それは神人のスペルだ!てめぇ如きが使っていい代物じゃねえぞ!」」
弾幕を黒い炎を纏ったククリで切り裂きながら、絶対悪に接近する。そして真正面まで行き、ククリを振り上げた瞬間、絶対悪は居なくなった。別の世界までまた逃げたのだ。
「「チッ、逃げやがったか。解除っ」」
2人は分離し、元に戻る。しかしスキアーはアマツにめちゃくちゃ怒られた。実はスキアー、アマツの許可なくパラドクシスの力を乱用していたのだ。怒られても仕方ない。ここに来たのも、パラドクシスの次元神力を使い並行世界を移動してきたのだ。
「わ、悪かったって」
「反省してます!?貴方前もそう言って今使ってましたよね!?」
「いいから、1回戻ろうぜ?奴をどうにかする作戦立てねえとこっちに勝ち目なんざ微塵もねぇだろ。」
「確かに、1回落ち着いて作戦を立てるべきかもな。神人の奴、めちゃくちゃ強くなってやがった。」
「じゃあ、次元神界に行きましょう。また狙われるかもしれません。」
彼らは次元神界へと戻って行った。しかし絶対悪の破片がアマツに引っ付いていることを、まだ誰も気付いては居なかったのだった。
遅れてすいませんでした!
いっぺんには書ききれないので数話に分けます。