絶対悪が逃げこんだ世界……
そこは東雲咲人の居る世界だった。彼は自分の右腕を見ながら怒りを抑えていた。『自分があそこまで近寄られた』のが信じられないのだ。
「クソが……!妖神人……キサマいつまで俺の支配を拒むつもりだァ……!」
宛もなくさまよっていると、目の前に開けた場所が出てきた。そこでは、東雲咲人と品路桜花の二人が修行をしている最中だった。
「うわぁ!ちょ、タンマ!」
「待ったなし!どうせ竹刀だから死んだりは……誰?」
「丁度いい人形が二人か……貴様等を我が下僕としようか!」
いきなり切りつけてきた絶対悪に少し反応が遅れる。しかし、かわすことは出来た。強烈な絶対悪の瘴気が二人の気分を悪くする。
「な、なんだよこれぇ……」
「毒ガス……!?」
「ざーんねん!ハズレだ!コレを吸ったからにゃ貴様らに勝ち目はねぇぞ!」
高笑いする絶対悪。しかしその絶対悪に異変が起きた。突如苦しみ出したのだ。その理由は体を貫く一太刀。光り輝くその刀を突き刺したのは海月小裁だった。
「き、さ、まァ……何故ここにィ!」
「あら、貴方は自分の娘が何者かすら分からなくなったわけ?」
「次元の巫女……!まさか!」
「あんたら、早く離れなさい。私も瘴気が平気って訳じゃないから。」
「た、助かった!逃げよう!」
「え、ええ。」
「さぁて、神人を返して貰うわよ?」
「や、ヤメロ!まだ俺は不完全なんだァ!」
光の太刀を引き抜くと、神人が貫かれたままで一緒に引き抜かれた。しかし、髪の色は真っ黒だ。
神人が引き抜かれた絶対悪は傷口からドス黒い瘴気を吹き出し、黒い塊になり、また人型に戻った。その姿は神人にそっくりだが、完全に服装が違った。
「あぁ、よくもやりやがったな。このアマァ……てめぇのせいで、不完全にコピーしちまったじゃねぇか!」
「コピー?」(まさか…コイツはコピーをしながら強くなるの?)
絶対悪は小裁に対し、怒りをあらわにし、良く分からない叫び声をあげ、ヤケになりながら斬りかかってきた。小裁はソレをかわすと、神人を掴み逃げた。逃げる先は次龍神の世界。咲人も桜花も既に紅音の力で逃げ込んで居る。
「待てぇぇぇぇ!ぶっ殺してやる!」
「案外早いわねアイツ……。」
「待つのはお主じゃ絶対悪!」
「あん?」
絶対悪の前に立ちふさがったオレンジ色の髪に伊吹萃香と同じ様な生え方の角。そして右腕は本来ついているであろう枷が無い鬼。鬼灯豊魅だ。
「ここは任せろ、小裁。お主は神人を連れて戻っとれ」
「……死なないでね。」
「ハッハッハ!面白い事を言う!例え世界が微塵になろうとわしが微塵になりはせん!」
「クソが、邪魔すんじゃねえぞ鬼風情がぁ!」
二人の戦いが始まった。