次元神界。その世界のアマツの部屋で、晴夢は次元神力の扱いを練習していた。
「ふぅー……ハァッ!」
部屋にあるサンドバッグを殴る。しかしただのサンドバッグではない。アマツの次元神力で出来ている。普通に殴っても壊れない。
「ダメか……次元神力を拳に纏って殴る……口に出すのは簡単だが力が言う事を聞かねえなんてな……」
ふと、椅子の上に置いてあるリンゴを見る。コレを使えばもしかしたら……とは思ったものの、ズルはしてはならないと、またサンドバッグを殴るを繰り返す。
一方、凌はと言うと。
「グワァァァァ!!痛だだだだだ!!な、なんじゃこりゃぁぁぁ!!」
体から木が生えていた。体が侵食と繁栄の次元神力の力に順応していないとこうなってしまうのだ。
「あーあ……全く。はい、戻したよ。」
「助かった……てかなかなか難しいな……自然とはまた別なのか……」
「力に身を任せるんじゃないの。簡単にいうならそうなんだけど……ちょっと違うの。」
「訳が分からないな……」
もう一度使おうとする。するとまた木が体から生え始めた。ユグドラシルがまた元に戻す。
「くっそ……なんでだ……」
(私は分かってるんだけどね……簡単に使われたらつまらないし)
「あっ!……力に身を任せるんじゃない。でも簡単に言えばそう……もしかしたら」
(おっ……気がついたかな)
「ハァッ!」
みるみるうちに凌に木が生えていく。しかし凌はそれに抵抗することなく痛みに耐え続けた。木の塊となった凌から力を感じなくなった途端、突然木々が枯れ始め、中から髪が鶯色に変わり、美しい木々の模様の着物をいつもの真っ白な長袖のパーカーの上に羽織っている凌が現れた。
「……すげえ……なんだコレ……ホントに俺かよ」
「はい。大成功。後は貴方が慣れていくだけで扱いが上手くなるわ。」
「うぉぉぉ!ありがとう!これで絶対悪と戦えるぜ!」
「きゃん!?」
あまりにテンションが上がったのか、ユグドラシルにいきなり抱きついた。まぁそのあと真っ赤になったユグドラシルに思い切りビンタされたのは言うまでもない。
「じゃあ、私は寝るから。……邪魔しないでね!」
「はい……すいませんでした……」
ところでいつになったらこの姿から戻るのだろうか。5分後に勝手に戻るまでずっと聞かなかったのを後悔した。
翔はというと。
「クゥは一時的に避難はさせたが……さて、どうするか……」
「おっ、いいとこに居たなぁ。お前だろ?空を翔ける明人ってのは。」
とんでもなく筋肉隆々の次元神が後ろから話しかけてきた。彼は次元闘神アレス。圧倒的な破壊力が次元神力の本質だ。
「えーっと……どちら様?」
「俺はアレス。まぁ、あれだ。闘いの神だ。どうだ、俺と組まねぇか?」
「組むって……つまり絶対悪と戦うチームをか?」
「チームっつうか……力を貸すんだよ。見たとこお前の中にはもう一人いる。そいつを含めて聞いてんだ。」
そうだなぁ……と言った瞬間。次元神界の結界が砕け、現れた。そう。絶対悪が。翔の見たあの美しい悪魔の姿で。
ゆっくりとただ一言を吐いた。
「影神晴夢はどこにいる。」