ーマチルダー
テファと二人でシャジャルさんの着替えを終わらせるとリオンが使用人達を運んできた。皆傷口はなく、綺麗な状態だ。指輪が発動体では無かったようだ。つい愚痴が溢れたがそれはそれ。使用人達もシャジャルさんの近くに並べ後は私達も準備して逃走しなきゃならない。行く先も解らないがこのアルビオンにはいられない。その辺は後で相談ですね。
「テファ、準備はできた?」
「うん、元々荷物は余り無いし、形見としてこの指輪もあるから。」
「それじゃ行こうか。リオン、屋敷に火をつけて下さい。」
これで確実に発動体無しの魔法が見れる。
「了解した。」
リオンが手を振ると火の手が上がり室温が急上昇する。テファの方へ視線をやると、ベッドを見て「さよなら、お母さん」と呟いていた。
いつの間にかリオンが側に居てテファの頭を撫でていた。テファはリオンに気がつくとローブにしがみついた。
リオンは悲しげな瞳をテファに向けていたが私と視線を合わせ、一度互いに頷きテファを抱き上げると外へと向かった。屋敷の外は私達の行く末の様に真っ暗だった。
ーリオンー
屋敷に火を放ち、山中に隠れ、火を起こし休んでいる時に私はマチルダにはしばらく街中には行かない事を告げると当たり前の様に頷かれた。「テファを隠さなきゃいけないからね」と言い、テファも耳を両手で隠す。私は出来るだけ不思議そうに声を掛けなきゃいけない。私の演技力が試される。……自信はないぞ。
ーマチルダー
山中に隠れている時にリオンから街中には行かない事を告げられた。当然だね。
「テファを隠さなきゃいけないからね。」
言ってしまって後悔した。テファをこれ以上傷付ける積りは無かったのに。
案の定、テファは耳を両手で隠していた。でも、リオンは不思議そうに、
「何故、テファだけを隠す?いや、追っ手がいるならば当然だが、それは君もだろう?屋敷に飛び込んで来たんだ、君にも追っ手がかかっていると思うが?」
「?…何を言ってるの?テファはエルフよ。普通の人がみたら怯えてしまうわ。」
「……エルフ、そんな事で?」
「貴方は……何を言ってるの?」
リオンは本当に不思議そうな表情をしていた。しかしテファにとっては救いの言葉だったに違いない。リオンの胸に飛び付く様にしがみついた。
「リオン、リオン、リオン。」
リオンの名を呼び力一杯抱き締めているのだろう。リオンは驚きに目を白黒させながら絶賛混乱中だ。私もリオンの言葉には驚きで混乱中だったが同時に黒いなにかに目覚めそうだ。
ーリオンー
拙い演技で 何とか乗り切ったらテファに完璧に懐かれた。ここで◯スノートの神が言った様に「計・画・通・り」とか考えていられる程余裕が無い。マチルダさん目が怖いッス。後ろの禍々しいオーラ、ソレ殺意の波動ッス。
又21時に投稿します。