ーリオンー
話の内容を先に絞り込み、此方の設定を押し付ける為にも私から質問と説明をしてしまおう。
「二人共、私に聞きたい事が有るだろうが先に聞かせて欲しい。」
「「?」」
「エスグレンツ、ジェワール、モノポリス。この三つの言葉に聞き覚えはあるかな?」
「姉さん?」
「いや、一つとして有りません。なんでしょうか?」
「ありがとう、はっきりしたよ。私と君達の考え方の違いが漸く解った。」
「考え方の違い?」
「そうだテファ。君達にとってエルフとは恐怖の対象に近い物が有るみたいだ。だが私にとってエルフとは尊敬に値し、友とする種族だ。」
言い切った瞬間、又してもテファが飛び込んで来る。いや、嬉しいが話が先に進まないから、マチルダさんも怖いし。
「昨晩見張り中に空を見て驚愕した。月が二つあるからだ。君達の常識では二つ有るのは当たり前なんだろう。だが、私にとっては月が一つというのが常識なんだ。」
「月が一つ?そんな馬鹿な。ありえないでしょう?現に貴方が昨夜見たのは二つの月。変えようのない事実でしょう?」
「その通り。だから最初の質問した。あの三つは私の常識では五歳児の子供でも知っている事だ。だから解った、私は次元そのものを越えたのだと。」
「次元って何?」
テファが胸元から見上げてくる。可愛い。
「これは私の国の学者達の世界の成り立ちの通説だ。世界とは大木になる果実である。と。」
「意味が解んないよリオン。」
「簡単に言えば目の前にパンとチーズがあるだろう。」
「うん」
「このパンとチーズ、どちらから先に食べる?」
「パンから、かな。」
「ではチーズが残った世界になった。しかし逆にチーズを先に食べる選択肢もあった。もしかしたらチーズも焼き、パンに乗せて食べる選択肢もある。これだけで三つの世界が生まれた。」
「成る程、そういう意味ですか。貴方は違う世界から来た。だからエルフが怖くない、と。」
テファはまだ良く解ってないようだ、首を傾げてる。可愛い。
「それで杖も使わないで魔法が使用できるのね。」
「此方らでは杖が必要なのか?」
「そうよ、杖だけでなく、契約さえ出来れば剣でも良いらしいわ。」
「成る程、だから私の指輪を取り上げたのか。と言うかテファ、指輪を返してくれ。」
「ん、はい。」
そんな残念そうな顔をしないでくれ。右手に嵌めながら思う。
「私の持ち物は友であるエルフが成人祝いに造ってくれたものでね。」
「成人祝い?リオンはいくつなの?私は13歳よ。」
「私は16になるよ、15で成人扱いでね。」