ーティファニアー
迷子になって早三十分。リオン〜、早く迎えに来てよ〜。等と自分本位の考えをしながら俯いて歩いていると何時の間にか薄暗い路地に迷い込んでいた。
その時になって私はリオンやマチルダ姉さんから言われた「迷子になったら動くな。」という言葉を思い出した。リオンと私は契約で魔力パス?が繋がっている為、居場所がある程度解るらしい。だから今まで通った町で迷子になっても直ぐに迎えに来てくれた。流石にこれだけ大きな街では人混みが有って時間がかかるのかな?……其れとも私、迷子になり過ぎてリオンに棄てられたの?そんな風に考えて目に涙が溜まりそうになった時、私は周囲を知らない男の人達に囲まれていた。
「こんなスラムの吹き溜まりにエラく可愛いお客様が来てるな。」
「身に付けている服もかなり上物みたいだ、貴族の娘さんだろ?護衛もなしにこんな場所までようこそだなぁ〜。」
「あぁ、こいつ攫って金の要求すりゃ、暫く豪遊出来るぜ〜。」
「こいつでも十分遊べそうだぜ〜。」
怖い、怖い、怖い、怖い、怖い、怖い、怖い、怖い、怖い、怖い、怖い。
この人たちは絶対に私の味方じゃない。
「リオーーーン」
私は力一杯叫ぶ。そんな私の事を笑いながら男達は近づいてくる。そして私の肩に男の手が触れようとした瞬間、待ち望んだ声が聞こえた。
「その娘に触れるな。」
声を掛けられた男達が訝しげに振り向き声の主を確認する。
「リオン。」
私の嬉しそうな声を聞いて男達が面白くなさそうな表情をするがマチルダ姉さんを見て、「遊ぶ相手が増えたぜ!」なんて言ってる。オマケにリオンに向かって「女を置いてくなら見逃す、とっとと消えろ。」等と言ってる。
……あ、リオンが無表情になった。私は自分の立場も忘れ男達が可哀想になった。マチルダ姉さんも祈る仕草だ。そんな姉さんの仕草を見て男達が更に笑い声を上げていたが、三秒後悲鳴に変わる。地面をのたうち回る男達の間をすり抜けリオンに飛びつく。リオンは苦笑い気味に抱き締めてくれるが、マチルダ姉さんからは拳骨を頂きました。とても痛いです。くすん。
「まったくこの娘は、迷子になったら動くなと私は言ったよね?この耳と頭は飾りかい?」
「マチルダ、その辺で「あぁん?」……今日は良い天気ですね〜。」
「リオ〜ン。」
姉さんからも助けてよ〜。リオンに視線を向けるがリオンは目線を上に向けたまま、顔を動かさない。「今日の天気は曇りだよ。」とツッコミを入れようか本気で考えながらリオンの腕をつねり上げる。