ーリオンー
テファの機嫌が悪い。すこぶる悪い。原因は私の発言だ。確かに女性に言うべき事では無かったかもしれんが、心配して言ったのだ。マチルダさん苦笑中。
「テファ。」
「つーん。」
「……その、だな。今の可愛いテファをずっと見ていたいと思っていたから出た言葉であってだな。」
「んむぅ。」
あ、頬が赤くなり、ピクピクしてる。微笑みたいのを我慢しているようで、強張っている。うむ、女性はやはり褒め言葉を掛ければよいな。……偏見か?
マチルダさん「ヤルじゃないか。」何て言って頷いてる。ちょっとは助けてくれ。
「無神経な言葉だった、すまない。」
そう言ってテファを撫でながら髪を梳く。
「謝ってくれたから、許してあげます。」
テファの顔に笑顔が戻りホッとした。
「二人には申し訳ないがもう一度商店街に行きたい。テファの思い付きを生かす為に果物を買おう。」
「今買うのは無駄使いにならない?」
「リオン、余裕は余りないよ。」
「少しだけだよ。ジュースを作る分だけならいいだろう?」
強引に話を進め、商店街に引き返す。先ほどの詫びにジュースを絞るつもりだ。
店頭に沢山ある果物を見て私の好きなオレンジを手に取る。鑑定の魔法を使い熟している物を選ぼうとして集中しようとした際、テファに声を掛けられる。
「リオン、案内してくれた兵士さんがこっちに来るよ。」
「ん、買い物をする事は言ってたからな。大方船の手配が出来たのだろう。」
さりげなくテファを私の後ろに配置する様に動く。マチルダもそれに合わせる様にテファを私と挟む様な位置に移動する。後方を警戒する為に。
「何か用かな?」
彼が私達まで四、五メートルの所で声を掛ける。
「船の手配が済んだ。明日迎えに行く為準備を怠らない事を伝えに来た。」
「了解した。いつ頃乗船かな?」
「夕方から乗船で深夜に出発だ。書類上は明け方に出発する様になっているので積み荷と一緒に乗ってもらう。」
オイオイ、街中でそんな事を言うなよ。『夕方から乗船』だけでいいんじゃね?こいつは一波乱あるかもな〜。
「では我々は宿に帰ろうか?」
「果物はいいの?」
「ちょっと気になる事が有るからね。」
宿に着き、ベッドに腰掛けながらマチルダと向かい合う。
「どう思う?」
「街中であの宣言の様な報告、怪し過ぎるよね。」
「何が?」
二人の意見は一致したがテファは相変わらずの御様子。この娘に危機管理能力は無いのか?
「……船に乗った後、出航直前にこの街の憲兵隊が、わんさとやって来る可能性があるって事だよ。」
「それじゃ捕まっちゃうの?それとさっきの間は何?」
「心配無い。私が居ればどうにでもなる。後テファはもう少し身の危険という物を考えよう。」
「大丈夫だよ。私の側には最高のメイジがいるんだもん。」
「ム、信頼してくれるのは嬉しいが、それとこれとは……」
「じゃあリオンのすぐ側に居れば安心だよね。」
テファはそんな事を言いながら私の膝上に座り、背を預けてくる。……やはりこの娘は危機管理能力がない。私は男なんだぞ。確かにこの娘は13歳だと言ったが、私はテファが好きだからこの世界に来たのだ。この状態かなりヤバい、などと思っていたらマチルダから殺意のオーラが吹き出る。……こっちの状態もかなりヤバい。
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