帝具のことがあってからしばらくが過ぎた
帝都警備隊にいるカグラには色々な情報が入ってくる
反乱軍にナカキド将軍とヘミ将軍が合流したことや北を制圧したエスデス将軍が帝都に戻ってくること、竜船が完成間近ということ
そして、それよりも辛い報告があった
『シェーレが死んだ』
辺境の警備隊視察のため帝都を離れていたカグラは提出されていた報告書でそれを知った
セリューがシェーレ、マインとの交戦し、セリューは両腕を失いながらも、マインに重症を負わせ、シェーレはコロによって捕食され死亡
帝具『万物両断エクスタス』はオネスト大臣お抱えの帝都諜報部によって回収され、宮殿の帝具保管庫へ保管されることとなった
「辛ぇなぁ……」
いつ死ぬかも分からない裏家業
帝具によって死ねないカグラでもそれは理解しているが、シェーレをスカウトして気にかけていた分、帝都警備隊の部下が死ぬよりも堪えていた
ーーー帝都宮殿地下 拷問部屋
拷問部屋
それは大臣であるオネストに逆らった者、見せしめに囚われた者、罪をでっち上げられた者
性別、年齢、人種、階級も関係無く、元貴族、元政治家もいる
拷問官達はそんな事は関係無く嬉々として拷問を続ける
『人をいたぶること』こそが彼らの存在意義であり、喜びであるように
「お前達を見てると気分が悪くなる」
冷たく、凛とした声が拷問官の耳に入った
睨みを聞かせる拷問官だが、声の主を見ると言葉を失った
その声の主はエスデス
北の異民族40万人を生き埋め処刑、バン族の殲滅と生来のドSにして、帝都最強であるブドー大将軍と並ぶ強さを持つ女性
そんなエスデスを前に拷問官達は平伏すしかなかった
「本当に気分が悪い……貴様らの拷問は下手すぎる」
エスデスは囚人の入った大釜を見るやいなや氷塊を入れ、大釜の温度を下げた
「少し温くした。これですぐには死なず一番長く苦しむぞ」
そう言うとエスデスは配下である三獣士を引き連れて拷問部屋を出ようとしたが、何かを思い出したかのように歩みを止めた
「そういえば、アイツを忘れていたな」
エスデスは拷問を受けている中で一人の女性の前に立った
女性は全裸で体には至るところにおびただしい拷問の跡があり、息をしているのかすら分からない状態であった
「エムエム、約束より一ヶ月早く帰ってきたぞ」
だが、エムエムと呼ばれた女性は反応しない
エスデスは拷問官に鞭を持ってこさせるとエムエムを鞭で叩いた
「~~~ッ!はぁ~……この鞭の叩き方。やっぱりエスデス様が最高です~」
エムエムは恍惚な表情で目を覚ますと張り付けから開放された
「やっぱり、エスデス様の言うようにここの拷問は下手すぎますね~。ならんなら、私が拷問官に戻って一から調教した方がいいですかね~」
「それもいいが、そろそろお前にも働いてもらうぞ」
「分かりました。エスデス様」
エムエムは三獣士と共にエスデスの後ろを歩き拷問部屋から出ていった
その素肌から拷問で受けた傷を消して
ーーー宮殿内
エムエムは拷問部屋から出るとまずは風呂に入った
エスデスと三獣士が北の異民族を制圧するまでの間、ずっと拷問部屋で拷問を受けていたため血と汗の匂いが染み付いており、それを洗い流していた
「ふぅ……」
エムエムは風呂から上がり、久しぶりに制服に身を包んだ
黒い服に黒いチョーカー
これこそがエスデスの下僕の証であり誇りである
中庭に出ると久しぶりの太陽を浴び、背伸びをした
「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!経験値をいただくぜぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
そんな中、三獣士であるダイダラがエムエムに突っ込んできた
さすがに、帝具を所持していないが体格から見てもエムエムが圧倒的に不利だと思われる状況だが、エムエムはダイダラが放つ拳をよけるとダイダラの顔面を掴み、力を加えた
「いでででででででででで!割れる!割れる!!」
「相変わらずの強さだな。エムエム」
静観していたリヴァがエムエムに声をかける
「ダイダラが弱いだけでしょ。弱いなら、エスデス様の配下にいらないし、このまま殺そうかな?」
エムエムは更に力を加えようとしたが、エスデスの姿を見るやいなやダイダラから手を放して、エスデスの前に跪いた
「エスデス様~!このエムエム、お待ちしておりました~!!この後は拷問ですか?誰かを攻めますか?それとも私を攻めますか~!!」
「それもいいが、お前達に新しい命令をやろう」
それを聞くとエムエムは三獣士と共に真面目に跪いた
「なんなりとお申し付けください」
「僕達三人と他一名はエスデス様の忠実なる僕」
「いかなる時いかなる命令にも従います」
「例え、火の中、水の中、毒沼の中、ジャングルの中でも命をかけて(ニャウ、あとで拷問してやる)」
「よし」
三匹の獣とドMは主の命令によって散った
偽物の梟となって