ーーー帝都近郊の村
他の地域と同じく、貧困に喘いでいた
民は痩せ細り、目も虚ろなものもいる
そんな村をある一行が通っていた
元大臣のチョウリとその娘のスピア
ブドー大将軍の庇護下で地方で隠居をしていたが、国の行く末を案じて帝都に向かっていた
「ひどいものだ……国というものは民があってこそだというのに……」
「そんな民を憂い。毒蛇の巣窟である帝都へ戻る父上を私は誇りに思います。私は父上の身を必ず守ります」
皇拳寺を皆伝し槍の達人であるスピアの言葉に頬を緩めるチョウリだが「嫁の貰い手がない」という禁句を言ってしまったため、スピアの気分を下げてしまった
そんな中、馬車が止まるとその前に四人の男女が立っていた
「また盗賊か!?治安の乱れにも程がある!!」
チョウリは怒りをあらわにし、スピアや護衛のものは蹴散らすために馬車の前に出た
「ひー、ふー、みー……三十人のザコとお持ち帰りしたいのが一人か……ダイダラ、三十人はアンタにあげる」
「おう」
エムエムは品定めを終えるとダイダラに任せた
スピアはダイダラは強いと感じたが、数がいることに慢心したのか一斉にダイダラに飛びかかった
ダイダラは自身の帝具『二挺大斧ベルヴァーク』で一振りのもとに護衛のほとんどを殺し、スピアに重症を負わせた
「へぇ……お姉ちゃんやるぇ。ダイダラの攻撃で死なないなんて……」
ニャウは懐からナイフを取りだそうとしたが、エムエムに後ろに引っ張られた
「何で止めるのさ!?拷問するよりコレクションに……」
ニャウはエムエムを睨むがエムエムの顔には焦りが見えていた
ニャウはエムエムとの付き合いはそんなに長くはないが、エスデスに対しては下僕の顔、それ以外に対しては敵対、もしくはゴミを見るような顔をする
だが、今のエムエムは見たこともない顔
ニャウはエムエムの見る方向を見る
ニャウとエムエムがその先に見るのは
「黄金の……鎧……」
雪が降る白い景色に金色の光を放つ鎧が一歩一歩、こちらに歩いてくる
「全員、撤収!!」
標的はまだ生きているが、エムエムは撤収を選んだ
「何でだよ!」
ダイダラはエムエムの指示に対して反論するがエムエムはそんなことを許さず、ダイダラの髪を掴んで逃げ出した
リヴァとニャウもそのあとに続き逃げ出した
「助かった……の?」
「無事……ではなさそうですね。ですが、命があって何より」
黄金の鎧を纏った者とは別に目隠しをした人物がスピアに近付き、傷口を触って確認する
「傷は……内臓には達してませんね。縫合して近くの村でしばらく養生するしかないようだ。イオリ、この子を頼む。私はチョウリ殿に会う」
「あ、あの貴方は?」
「私か?私はーーー」
ーーーエムエムside
エムエムは黄金の鎧が追ってこないことを確認すると逃げるのを止め、ダイダラを放り投げた
「ってぇな!つうか、何で逃げたんだよ!!」
「ダイダラ、エムエムの判断は正しい。今、私達の目の前に現れたのは『黄金騎士』だ」
「『黄金騎士』!?…………って、誰だ?」
「元インペリアルガード筆頭にして『帝都最強』だった人物だ。エスデス様やブドー大将軍以上の強さの持ち主だったが、現皇帝に変わる時に部下を殺して帝都から姿を消したと聞いていたが、まさかこんな所で出会うとは……」
「そんな相手だから、標的を殺したところで私達が生き残れる可能性はゼロってことよ」
エムエムはチョウリの暗殺は不可能と考え、次の的に狙いを変えた
偽物の梟は着実に梟の罪を積み上げていく