「スゲェ……」
タツミはイオリをそうとしか言い表せ無かった
「いや、まだだ」
イオリがそう言うと三獣士が起き上がってきた
多少、ダメージを受けているが戦闘には支障はないようである
「……リヴァ将軍!?」
ブラートは三獣士の一人に覚えのある顔があった
「ブラートか……」
リヴァも同様にブラートに覚えがあるようだ
「もう、私は将軍ではない……エスデス様に救われてからはあの方の僕だ」
リヴァとブラートは共に数々の戦場を戦い抜いた戦友にして将軍と部下
誰よりもその強さ、勇猛さを共に知る仲
「味方なら再会を祝して酒でも酌み交わしたかったが……敵としてなら、あんたを斬って任務を完遂させてもらう」
「それはこちらの台詞だ。主より授かったこの帝具でな」
リヴァが手袋を外すと指には指輪の帝具『ブラックマリン』がはめられていた
水棲危険種が水を操作する為の器官を素材としており、装着者は触れたことのある液体なら自在に操れるようになる帝具である
「お前達と戦う場所がここであることが幸運だ」
リヴァの言う通り、竜船には水の入った樽が大量にあり、そして大運河という大きなアドバンテージがある
ブラートは「氷使いの部下らしい帝具だ」と挑発する
だが、それはリヴァの逆鱗に触れる発言であった
「無から氷を生成出来るエスデス様と同格にするなど恐れ多いわ!!」
ブラックマリンで操作された水はブラート達に襲いかかる
「インクルシオォォォォォォ!!」
ブラートはインクルシオを纏うと水を弾き飛ばした
「俺もいるのを忘れるなよ!!」
ダイダラも起き上がり、ブラートに向かってベルヴァーグを振るうがイオリに止められた
「あんたの相手は俺だ」
「俺も手伝うぜ!」
「いや、君はもう一人を頼む」
イオリはニャウの方を見るとスクリームを吹こうとしていた
「俺ならともかく、他の人にはあれは厄介だ」
「分かった!」
タツミにニャウを任せたイオリはダイダラと対峙する
「リヴァから聞いたぜ。お前の親父は帝国最強だったらしいが部下を殺したらしいじゃねぇか。しかも、現皇帝の姉を拐ったとかも言っていたな。そうなると、最低の野郎だな」
イオリはダイダラの話を黙って聞いているが、頭にきていた
イオリはムサシを尊敬していることもあるが、ダイダラの言っていることは全て間違っているからである
現皇帝の姉は拐ったのではなく、オネストの手の者に殺される前に助け出し、ムサシが殺したと言われている部下は生きており、その部下こそがインペリアルガードの裏切り者であり、ムサシの両目の光を失わせた人物である
「ーーー構えろ。親父を侮辱した罪は重いぞ」
イオリの言葉は怒気を孕んでおり、ダイダラは挑発に乗ったと思った
ダイダラはイオリをアマテラスごと真っ二つにする気でいたが、イオリの姿を見失った
インクルシオのように姿を消す能力はアマテラスにはない
「ーーー振り向くな」
ダイダラは背後から聞こえてきた声に反応し、振り返った瞬間、視界が下へ転がり落ち、ダイダラは首のない自分の体を見ることとなった
声帯から斬られたため、ダイダラは一言も発することなる息絶え、体も血を吹き出し倒れた
丁度、タツミとブラートの戦いも終わりを迎えており、二人ともボロボロではあるが、三獣士に勝利していた
「よう、お互いに生き残れたようだな」
ブラートはタツミに担がれながらではあるが笑顔でイオリを出迎える
しかし、その笑顔は一瞬にして消えた
突然だった
人の心の隙間を上手くすり抜けたとしか言い様がなかった
ブラートの心臓がある位置にナイフが突き立てられた
そして、それは意外な人物の登場によって行われた
「どうも、帝都諜報部のハバキと申します。お疲れのところ申し訳ありませんが、貴方達には死んでもらいます」
帝都諜報部 ハバキ
元インペリアルガードであり、裏切り者の男である