タツミがナイトレイドに加わってからしばらく経った
カグラはというと警備隊の仕事をこなす毎日
オーガは見回りや訓練(という名のしごき)こそするが事務仕事をしないため、大体の事務仕事はカグラがしているのである
「えっと……この報告書はセリューか」
カグラはセリューの報告書を見ると苦虫を潰したような顔になった
その内容は
『飲食店にて無銭飲食をし、逃走。その際、通行人数名に傷害を負わせたため、コロに片足を補食させました』
(まぁ、それでも前よりはマシにはなっているんだよな……)
カグラは警備隊に入りたてのセリューを思い出していた
セリューは異常なほど正義を盲信していた
父親が凶賊に殺されたということが要因であり、『正義であった父が殺された。ならば、正義であった父の娘である私も正義。悪は正義が裁く。正義である私が裁く』という根幹が出来ていた
セリューの思いは清かった
むしろ、清すぎる
だからこそ歪んでしまった
だからこそ、カグラはセリューの根幹を矯正した
『そんなに悪人を裁きたいなら、裁判官か処刑人になれ!警備隊なら殺さず捕まえろ!民を守れ!』
時間はかかったものの『罪を犯した=死刑』という構図を矯正はしたが、この報告書を見る限り元に戻らないという確信は持てなかった
(やっぱ、アイツ一人で見回りさせないでストッパーを一人つけるか……)
そんなことを考えていると窓からネコが入ってきた
「…………………………」
ネコはずっとカグラを見ている
カグラは気にせず仕事をするが、ネコはカグラから目を離さない
カグラはタメ息をつくと、部屋を出た
そして、部屋に戻ってくると紅茶とケーキを来客席に置き、ドアに『来客中』の札を立て掛けた
「……もう、いいぞ。『チェルシー』」
「あはは、いつもありがとうございま~す」
ネコは煙をあげ、茶髪の女の子に変わると来客席に座りケーキを頬張った
これがチェルシーの帝具『変身自在 ガイアファンデーション』の能力
生物ならどんなものにでも変身が可能であり、チェルシーのような潜入には持ってこいの帝具である
「う~ん。やっぱりカグラの依頼受けて正解だったな~。報告のたびにこんな美味しいケーキとお茶を用意してくれるんだから」
「それで、依頼した件の方はどうだ?」
カグラが聞くとチェルシーはフォークを置いた
「全然、見つからない。消息が一向に掴めないから、隠れているのか移動し続けているのかもしれない。もしかしたら国外にいるのかもしれない。もしくは死んでいるのかもしれない。予想を上げればキリがないよ」
チェルシーはタメ息をつくと紅茶に口をつけた
「そうか……鎧騎士の噂を聞いてもしかしたらと思ったが……」
「元インペリアルガード筆頭『ムサシ』またの名を『黄金騎士』ブドー大将軍と同等かそれ以上の実力者にして帝具使い。是非とも革命軍に入ってほしいなぁ~」
「それは見つけてからにすることだ」
「はいはい。それじゃあ、引き続き探してみるよ」
チェルシーはケーキを食べ終わるとカグラが贔屓にしている行商人に変身した
そして、去り際にオーガとガマルの暗殺が今夜決行することをカグラに伝えた
そしてその翌日、オーガとガマルが殺害された報告がカグラの元に上がってきた