ファフニール? いいえポケモンです。   作:legends

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皆様、お久しぶりです。覚えていますでしょうか? legendsです。
仕事、全巻紛失、病気、その他諸々ありながらも何とか一通り落ち着いて生存報告ができた所存でございます。

仕事の都合上、不定期更新にはなりますが、今後はここまで長い期間空けないように心がけたいと思います。


“黄”の襲来

「守るしか―――ないだろうが!」

 

「ったりめーよ!」

 

 悠はキーリの手を掴み、三人はホールに駆け戻る。既に異変は伝わっているのか、ホール内は少しざわついていた。楽団の音楽も鳴り止んでいる。

 

 視線を巡らせ深月の姿を見つけた悠は、彼女達の元へキーリを連れて行く。

 

「深月!」

 

「……に、兄さん! その腕、どうしたんですか!?」

 

 深月が血に(まみ)れた悠の右手を見て、裏返った声を上げた。何事かと少し離れた場所にいたイリス、リーザ、アリエラ、レン、ティアも集まってくる。

 

「ああ、この傷は大丈夫だ。もう治ってる。それより、これを見ろ」

 

 悠がそう言って、黄色く変色したキーリの竜紋を深月達に見せる。

 

「な―――」

 

 彼女らは絶句して、キーリの腕を凝視した。

 

「お分かりかもしれないが、フレスベルグが来た」

 

 そして大和が現状を告げる。深月の表情に理解の色が宿る。

 

「そういう―――事だったんですね」

 

 素早く状況を認識した深月は、キーリを睨みつけた。

 

「ええ、そういう事よ」

 

 涼しい顔で頷くキーリ。

 

「言いたい事はありますが……今は後回しにします」

 

 苦々しい声で呟き、深月は最初に大和達が案内された二階の観覧用テラスへ視線を向ける。

 

「篠宮先生、警戒レベルA! タイプ・イエローです! 私達は迎撃に向かうので、避難誘導をお願いします!」

 

 周りに混乱が広がるのを防ぐためか、深月はミッドガルで使われている警戒警報の言い方で遥に状況を伝えた。

 

「———了解した」

 

 テラスで頷く遥の隣で、フィリルが身を乗り出す。

 

「私も、すぐに行くから!」 

 

「いえ、フィリルさんはこのホールに留まってください! 誰かがキーリさんと、この場所にいる人々を守らなければいけません」

 

「っ……分かった」

 

 フィリルが応じるのを見てから、深月は大和達へと呼びかける。

 

「皆さん―――行きますよ。まずは屋外に出て、対象を目視で確認します」

 

 キーリはホールに残して、大和達は走り出す。

 

「え? え? 一体何が起きてるの?」

 

 ただイリスは状況を上手く把握していないらしく、一緒に走りながらも戸惑いの声を上げた。

 

「キーリの竜紋変わって、フレスベルグに狙われた、ドラゴンになるの防ぐのにフルスベルグを迎撃。OK?」

 

 彼女の言葉に大和が要点のみを伝える。

 

「ええっ!? それってまさか、今から戦うの? ドレス汚しちゃったらどうしよ……」

 

 大和の言葉を聞き、自分の着た白いドレスを見下ろすイリス。心配の方向がズレているが、そういった事を気にする余裕があると見受けられる。

 

「―――フレスベルグ」

 

 アリエラが絞り出すように来襲したドラゴンの名を呟く。何やら一際思い詰めた顔をしている少女は、ぎりっと奥歯を噛み締めた。

 

 渡り廊下へ続く扉を(くぐ)り、そのまま再び庭園に飛び出す。

 

 天を仰ぐと、ちょうど上空を横切った金色の鳥の姿が瞳に映る。先程よりその体軀(たいく)は大きく見えた。

 

 距離感が掴めないが、恐らくかなり高度を下げて来ているようだ。

 

「あれがフレスベルグ―――ミッドガルの領海付近を通過する事はよくありましたが、こんなに近くで見るのは初めてですわ」

 

 リーザが夜空を舞う巨鳥を見上げて呟く。

 

「フレスベルグは、あらゆる攻撃が通用しなかった事で有名なドラゴンです。けれど悲観する事はありません。私達はこれまで試された事のないような―――強力な攻撃方法を有しています」

 

 深月はそう言って、大和達に指示を出す。

 

「リーザさんはレンさんと協力して最大威力の陽電子砲を、私はイリスさんに上位元素(ダークマター)を借りて特大の反物質弾を撃ち込みます。兄さんもティアさんに協力してもらって、対竜兵装による迎撃、そして大和さんも全力の攻撃をお願いします! アリエラさんは状況に応じて防壁を展開してください!」

 

「了解!」

 

 大和達は声を合わせて応じ、互いにある程度の距離を取って空を見上げた。

 

射抜く神槍(グングニル)!」

 

 リーザが槍の架空武装を生成し、レンがそれを巨大化させる。

 

五閃の神弓(ブリューナグ)!」

 

 深月はイリスの上位元素を借りて、通常の数倍はある弓型の架空武装を生成した。

 

「ティア、頼む」

 

 悠が一度に生成できる上位元素生成量は非常に少なく、巨大な対竜兵装を作り出すには誰かに上位元素を貸してもらう必要がある。

 

「うん! ティアの力、全部ユウにあげるの」

 

 ティアは頷き、悠の左手を握る。

 

 悠は右手を掲げ、旧文明の兵器を具現する。

 

「特殊火砲―――境界を焼く蒼炎(メギド)!」

 

 ティアから流れ込む上位元素によって、天を()く巨砲が構築された。

 

「うおぉぉぉぉぉ……ッ!!」

 

 大和は力みながら腰を低くし、"ギラティナ"の翼を生やす。更にそこから、"三つの赤い棘のようなもの"が横並びに生えた。彼が本気を出すという合図だ。

 

「―――牙の盾(アイギス)

 

 アリエラは手甲の形をした架空武装を装備し、フレスベルグからの攻撃に備えた。

 

「まだ距離はあります。攻撃はもう少し引き付けてからにしてください! フレスベルグの目的がキーリさんならば、必ずこの城に降下してくるはずです」

 

 深月は準備の整った大和達に呼びかけ、架空武装に上位元素の矢を(つが)える。

 

 フレスベルグは旋回する範囲を徐々に狭めていた。キーリの位置を絞り込みながら、降下しているのだろう。

 

 その姿が近づいた事で、悠はいまいち距離感の掴めない理由が判明した。

 

 輪郭が―――揺らいでいる。大きさが一定しない。

 

 大まかに鳥の形をしているが、フレスベルグには確固たる形がなかった。まるで金色の陽炎(かげろう)を纏っているかのよう。

 

 人間の敵であるドラゴンがだと忘れてしまいそうになる程、夜空を舞うフレスベルグは神々しかった。強まる嵐の中に、キラキラと輝く金色の粒子が混ざり始める。

 

「動きが変わりました―――皆さん、構えて!」

 

 キーリがエルリア城にいることを確認したようで、旋回していたフレスベルグは降下軌道に移った。真っ直ぐ、彼らの方へと急降下してくる金色の巨鳥。

 

「各攻撃が有効かを確認するため、波状攻撃で迎え撃ちます。リーザさん、第一射を!」

 

「分かりましたわ―――閃光よ、貫けっ!」

 

 射抜く神槍の穂先から、眩い閃光が放たれる。レンの上位元素を加えて極大化した陽電子の輝きは、一瞬にしてフレスベルグに到達した。

 

「なっ……」

 

 しかし、陽電子砲は直撃したが、フレスベルグは閃光を裂いて降下し続けた。速度は減衰せず、それどころか更に加速している。

 

 深月はその様子を見て、五閃の神弓の弦を引き絞った。

 

「次は私が! (つい)の矢―――空へ落ちる星(ラスト・クオーク)!」

 

 ミッドガルの切り札でもある反物質の矢を放つ深月。

 

 一直線に向かってきているフレスベルグは回避行動を取る事なく、正面から深月の反物質弾を受け止める。

 

 爆発は―――起こらなかった。

 

 深月の矢はフレスベルグの体表で弾け、そのまま霧散する。

 

「そんな……何で―――」

 

 呆然とする深月だったが、すぐに我に返り、悠へと顔を向けた。

 

「兄さん、撃ってください!」

 

「了解!」

 

 悠は頷き、ティアの手を強く握る。

 

 彼女から流れ込む上位元素を砲弾のエネルギーへと変換し、悠は境界を焼く蒼炎を放つ。

 

「―――発射(ファイア)!!」

 

 蒼い光球状が、夜天へと昇る。狙いは正確。フレスベルグに直撃し、弾けた光が、フレスベルグの体を呑み込んだ。

 

 あまりの輝きに、空からは月も星も消え失せる。

 

 ―――ズァッ!

 

 だが、光の中から羽音が響いた。

 

 夜空に生まれた蒼い太陽を突き破り、金色の鳥が大和達に迫る。

 

 リーザの攻撃と同様、全く効いていない。

 

「くっ……大和!」

 

 悠が大和に視線を向ける。

 

「分かってる!」

 

 返事をする大和は、手と手の間に巨大な"岩石"を構築していた。

 

「喰らえッ! 岩石砲!!」

 

 両手を突き出し、巨大な岩の玉を撃ち放つ。

 

 岩タイプ最強の物理技で、簡潔に言えば岩タイプ版の『ギガインパクト』でもある。

 

 大砲の如く勢いよく迫る岩の塊は、フレスベルグに接触したかと思われた瞬間、爆ぜた。

 

「やったか!?」

 

「―――悠、それはフラグだって!」

 

 爆煙に塗れたフレスベルグを見て悠は声を上げるが、禁句を言ってしまったと大和は荒げた声を出す。

 

 ―――刹那、煙の中から無傷のフレスベルグが飛び出してきた。彼等と同様、攻撃を受けた様子はなかった。

 

「クソッタレ……! これならどうだ!」

 

 大和は悪態を()きながらも、掌に渦を巻きながらエネルギーを収束させていく。

 

 本来、『岩石砲』という技を撃った直後は反動で動けない技なのだが、大和は三年間もの特訓を経て、反動なしで行動できるようになっている。

 

 次いで、更なる大技をフレスベルグにぶつけるべく、大和は手を振りかぶって生成した黒い塊を撃ち放った。

 

「破壊光線!!」

 

 それは特大の黒き奔流となり、膨大なエネルギー波は"黄"の竜へと一直線に向かっていく。

 

 だが直撃しようとしたその瞬間、フレスベルグの手前でエネルギーの先端が枝分かれにひしゃげたかのように形を歪ませ、そのまま弾いてあらぬ方向へ飛んで行ってしまった。

 

 まるで何かに阻まれ、逸れてしまった様だった。

 

「まさか大和さんの攻撃が効かないなんて……」

 

 深月が驚きの声で呟く。彼は"D"に迫ってもおかしくない火力及び攻撃力の持ち主だ。彼女も大和の力を分かっているからこそ、驚きが強かった。

 

「クソォォォォォッ!!」

 

 大和は叫び声を上げながらも、次なる攻撃を仕掛けるべく、勢いよく飛翔する。

 

「大和!?」

 

 何をするのかと今度は悠が驚きの声を上げる。

 

「うおぉぉぉぉぉぉぉ―――ッ!!」

 

 瞬く間に竜に接近する大和。フレスベルグはまさか此方に向かってくるとは思っていなかったのだろう。目を見開き、小さき者の姿を鮮明に捉える。

 

 彼は竜の周囲に金色の粒子が舞う内側に足を踏み入れていた。その事を気にも留めない大和は拳にバチバチと唸る膨大な電気を纏っていた。

 

「雷パ―――ッ!?」

 

 そして"金色の粒子に包まれる"中、突っ込んだ勢いのまま電撃のパンチを振りかぶったその瞬間、彼の動きが瞬時に止まる。それどころか、手に纏っていた電気も消え失せていた。

 

(何だこれ!? 体が動かねぇ!)

 

 大和も自分の状況を打破しようにも、体が言う事を効かず、動こうにも動けない現状ではどうにもならない。

 

 肉体が動かないだけで、意識はある。自身では上手く表現できないが、まるで()()()()()()()()()()()()()()()()()―――。

 

 クェェェェェェ―――!

 

 考える間もなく、フレスベルグの叫び声が響き渡り、大和は竜に意識を向ける。

 

 しかし体が微動だにしないので、大和は空中で無防備の体勢―――つまり隙だらけの体をフレスベルグに晒していたという事。

 

 両者が手を伸ばせば届く位置にいる時点でこうなる事は必然的であったであろう。

 

 彼の眼前で竜の(くちばし)が開く。

 

(まずっ―――)

 

そして、向けていた右の拳ごと―――。

 

 ―――腕を、喰われた。

 

(!!)

 

 尖った嘴の先端が腕に食い込み、鮮血が(ほとばし)る。程なくして耐え難い激痛が走り始めるが、痛みに声を出そうとしても声が出せない状況。

 

 嘴で挟んだだけでは腕が喰い千切れなかったのか、フレスベルグは生物らしく頭を左右に勢いよく振って、無理矢理引き千切ろうとする。

 

(あああああああ!? ちょ、待っ……)

 

 大和は、痛みと体が持っていかれるような揺られる衝撃に思わず声を出す。が、依然として声は出せない。

 

 やがて、頸を強く振っている内に尖った嘴が尚も深く突き刺さっていき、ブチブチと肉が千切れるような、否、比喩でも何でもなく文字通り徐々に腕が千切れていった。

 

 遂には―――。

 

ブォンッ!

 

止めとばかりにフレスベルグがこれまで以上に勢いよく振った瞬間、腕が完全に千切れてしまった。

 

「ぐおぉっ!?」

 

 金色の粒子の領域から吐き出されるように吹き飛んでいく大和が絶叫を上げる。

 

 ―――舞っていた粒子の範囲外になった時、声を上げる事が出来た―――? 

 

 と思ったのも束の間、次の瞬間には彼は地面に叩きつけられてしまった。

 

「大和!?」

 

 大きな土煙が舞う中、悠が驚きの声を上げ、急いで彼の安否を確認するべく皆で駆け寄る。

 

 ―――クェェェェッ!

 

 それと同時に、大和の攻撃により侵攻を止めていたフレスベルグが、甲高い声と共に再び動き出す。

 

 猛スピードで降下し、その勢いのままエルリア城へと突っ込んで行く。

 

「―――空気障壁、展開!」

 

 咄嗟にアリエラが叫ぶ声が聞こえた直後、轟音が響き渡り、大地が激しく揺れた。

 

 粉塵(ふんじん)が舞い上がり、歴史を重ねた美麗な古城が崩壊する。

 

 飛び散った大小の瓦礫(がれき)が雨のように降り注いだ。

 

 押し寄せる粉塵と飛来する瓦礫。だが先程アリエラが張った風の結界によって、彼らに届く事はなかった。

 

 城の周囲は舞い上がった土煙で、ほとんど何も見えない。しかしフレスベルグはホールの辺りに突っ込んだのは間違いないだろう。

 

「っ! このままではキーリさんがフレスベルグに!」

 

「でも大和が!」

 

 深月と悠がフレスベルグの行方と大和の安否に葛藤する中。

 

「―――皆! オレに構わずキーリのとこに行け!」

 

 未だに舞う土煙の中から、大和の声がはっきりと聞き取れた。

 

「大和さん!? 無事なんですか!?」

 

 考えたくはないが、腕が千切れて吹き飛んだ―――かに見えた深月は煙に向けて心配の声を上げる。

 

「少ししくじったがオレは大丈夫だ! それよりもこのままじゃキーリがつがいにされちまう! 後でオレも合流するからさっさと行け!」

 

「……ああ! 分かった!」

 

 大和の急かすような言い方に、悠が首肯する。

 

「兄さん!?」

 

「深月、大和はこのくらいの事でやられる男じゃないのは分かってるはずだ」

 

 深月が悠を非難するような言い方だが、彼は言葉を続ける。

 

「それに今しかキーリを守る時間がないんだ。ここで迷っていて大和の言葉を無駄にする訳にはいかないだろ!」

 

「っ……分かりました」

 

 迷っている時間はないと言わんばかりの、彼の想いを無碍にする訳にもいかない。大和の意図を悠がそう受け取って決意したのだ。

 

 深月が折れると同時に、皆に指示を出す。

 

「皆さん、今はキーリさんのところへ! 彼女を守りながら応戦します!」

 

 彼女はイリスを連れて空に舞い上がる。ホールに通じる扉は崩壊してしまったので、フレスベルグが突っ込んだ場所から城内へ戻るつもりなのだろう。

 

「ユウはティアが運ぶの!」

 

 ティアは上位元素で紅翼の架空武装を作り出し、空気への物質変換を利用して浮かび上がる。彼女の風に包まれて飛翔した悠は、粉塵で煙る城内へ二人で突入する。

 

 他の皆も彼らに続いた後、庭園に静寂が戻る。その場に残ったのはダメージを受けたであろう大和のみ。

 

 彼が墜落した地点の土煙が止むと、地面が抉れて小規模のクレーターとなっている。その中央に大の字で彼が仰向けに倒れていた。

 

『マスター、今後は勢いに任せた行動は控えるようお願いします』

 

 悠達がいなくなったのを見計らい、籠手状態のリムが手の甲の中央にあるキーストーンを通じて発光する(話す)

 

「……わあってる(分かってる)よ。喰らってなくてイラっときたからつい突っ走っちまった。これからは気を付けるよ」

 

 冷静になった大和は汚れを"籠手がある左手"で払いつつ体を起こして立ち上がる。地面に激突してもその強靭な体には傷がない―――訳ではなかった。

 

 彼の右腕―――肘から先がなかったのだから。

 

「あっクソ、折角のコートなのに腕のとこ千切れてるじゃねーか」

 

 フレスベルグに喰われて欠損した右腕よりも、羽織っていたコートの右腕がない事に悪態をつく大和。

 

 これぐらい彼にとっては日常茶飯事なのだろうか。

 

「チッ―――自己再生! リサイクル!」

 

 大和は二つの技を使用。周りが血みどろの肘の先から白い粒子が吹き出し、次第にそれは腕の輪郭に変わっていく。更には無惨に千切られたコートの腕部分が綺麗に元通りになっていった。

 

 "自己再生"は大和が何度も多用している技ではあるが、この"リサイクル"という技は"味方が最後に使った道具を回収する"というもの。「リサイクル」という名前だが木のみも回収も可能となる。

 

 原理がどうなっているんだという事はさて置き、腕もコートも元通りになった大和は城内に戻った悠達の方向を見据える。

 

「リム、さっき動けなくなったのって……」

 

『ええ。"黃"のフレスベルグの権能ですね。名を"霊顕粒子(エーテルウィンド)と言います』

 

「霊顕粒子……奴に舞ってた金の粒子の事か?」

 

『その通りです。魂を実体化させて喰らう魔鳥であると語られている通り、粒子に包まれた以上、魂が実体化し、肉体を持つ者は魂に縛られて行動ができなくなるとされています』

 

 粒子内では魂が実体化、とあるが、要は精神が表に出てきて中身が(・・・)なくなった肉体では制御できなくなるという事だ。

 

「対策はある?」

 

『はい。フレスベルグを包んでいるのは物理的な干渉を受けない、"竜自身"の精神。つまり精神に干渉する技やタイプを用いれば突破は可能かと』

 

「……簡単に言うけど、話がムズ過ぎて分からんす。結局どんな技とタイプが―――」

 

 疑問点が多く話がややこしくなってきた大和だったが―――。

 

『話はまだ終わってませんよマスター。精神体及び魂に干渉する事ができるのは、超能力・念動力が関わる"エスパータイプ"、主に実体を持たず霊や魂に関係する"ゴーストタイプ"が有効だと思われます』

 

 精神や思念に関わる事が出来る超能力・念動力が主なエスパータイプ、霊体や魂に有効打を与えられるゴーストタイプ。現時点で一番有効なのはリムが述べた二つのタイプ・技だという。

 

 もしかすれば他のタイプが通用するのが無きにしも非ずかもしれないが、リムがそれを説明する時間はないため割愛した。

 

『あの時はマスターが無策で突っ込んだので説明する時間がありませんでしたが、マスター自身が"ゴーストタイプ"になれば霊体そのものと同等ですので肉体が精神に囚われずに済むかと』

 

「つまり、オレ自身が霊になる事だ……って訳ね」

 

 大和はニヤケ顔で言う。割とブッ飛んだ内容だが、要は彼が壁を透過出来たりするゴーストタイプ=霊体になる事で、肉体を持つ者とならないため一理ある。

 

 粗方、対抗策を思い浮かべる中、喧騒の声が増えていった事に気付く。

 

「―――フレスベルグが現れて城内の人達が逃げてる。悠達は……まだ交戦してないけどあの粒子がある限り悠長にしてられないな。念のため、"型破り"を使ってっと……」

 

 遠くの者の気を感知できる"波導"を用い、状況を把握する。

 

 そして、念には念を入れて相手の特性の影響を受けない特性を持ち―――。

 

「待ってろ、今行く」

 

 大和が―――戦場に赴く。

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