ファフニール? いいえポケモンです。   作:legends

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恋愛描写なんてほとんど書いた事なかったし、時間がかかってしまった……(ガチ目に)


大胆な姫様

「ふー……やれやれだぜ」

 

 大和は自室にて(くつろ)いでいた。

 

 悠が起きていた様子を見て、とりあえず一安心という事に落ち着いた。

 

 アルバート王の葬儀は()うに済んだが、キーリが行方を(くら)ました事でミッドガルの移送は叶わない事になった。

 

 つまり、エルリア公国に留まる必要がなくなったという事でもある。

 

 それでも、まだフレスベルグとの戦いの疲れが残っている事を考慮して、現国王になったアルフレッドの計らいにより王宮でもう一日滞在させてもらえる事となった。

 

 こうして、皆にあてがわれた自室で一人、休む事にした大和。

 

「それにしても、悠大丈夫かなぁ」

 

 部屋に来る前に、悠に今回の戦いで記憶がどうなったのかを(たず)ねた事を思い返す。

 

 悠が白状して記憶の事を話すと、やはり失っていたものがあったかと難しい顔を見せた大和。

 

 ポケモンの能力でも記憶を元に戻す事はできないと言っていたが、今後は記憶を取り戻せるよう何かしら協力する姿勢を見せた。

 

 また、イリスにもユグドラシルとの取引の事について既に話していると、協力してくれる人が一人でも多くいるなら心強い。

 

 それでも、今後もドラゴン討伐にユグドラシルが関わってくる可能性は大いにあると、心配になるものはある。

 

「いっそ、オレが念動力使うか霊体化して悠の頭の中のユグドラシルをブッ殺―――いやダメだな。これじゃあ悠の記憶が戻るどころの話じゃなくなっちまうし」

 

 今言った大和の仮説は例えではなく、できない事はない。しかしこの方法だと悠の頭に多大な影響を及ぼす可能性が大のため、この案は却下した。

 

 いずれにせよ、対策を講じる必要はある。

 

「まっ、悠も一人になりたいと言ってたし、今日は諦めよ」

 

 無理に問い詰めるものではないので、今日のところは引き下がる事にした大和。

 

「……あっ、あと"アレ"は何だったんだろうな」

 

 唐突に思い浮かんだ表情をする大和。"ソレ"は、"黄"のフレスベルグの討伐後に感じた違和感―――。

 

 直接何かを感じ取った訳でもなく、しかし胸が()()えるような、何処か拭い切れない感覚。

 

 言葉にするのが難しい中、大和は傍に置いてある携帯端末状態のリムに訊ねる事にした。

 

「なあリム、フレスベルグ倒した後の変な感じって―――」

 

『―――ええ、私も感じました。ですが、私も結論を導き出せない状況です』

 

 端末画面を発光させながら答えるリム。彼女も不可思議な感触を受け取ったが、正確な回答を出せない現状だった。

 

「リムでも分からんかー……。なら是非もなしだな。ま、その時はその時か。明日朝イチで出国するからもう寝るとしよー」

 

 あまり深く考えないようにし、明日に備えて彼が就寝しようとした時―――。

 

 ―――コンコン。

 

 部屋をノックする音が聞こえた。

 

「ん~? 誰~?」

 

 技の『眠る』を使用しかけたので、半寝ぼけ顔で扉の前へと向かう。

 

 鍵を開け、扉を開くと―――。

 

「フィリル?」

 

 そこにはドレス姿のフィリルが立っていた。

 

「……部屋、入ってもいい?」

 

「ああ、うん。いいよ」

 

 彼女の言葉に頷くと、そのままフィリルが部屋に入ってくる。

 

 フィリルは歩きながら、心配そうな表情を浮かべた。

 

「深月から物部くんが、目を覚ましたって聞いたから安心したけど、大丈夫そうだったの?」

 

「まあね。心配かけて悪かったと言ってたし」

 

「そっか。でも、本当に謝らなくちゃいけないのは、私だよね。私のために、物部くんにも無理させて、大河くんも……こんなに私の事を守ってくれて」

 

 歩きながら話す二人は並んでベッドに腰を下ろす。

 

「いや、別にオレだけが頑張った訳じゃないよ。悠とリーザ達の援護がなければ、フレスベルグに接近されていたかもしれないし」

 

「ふふっ、そうかもね。それでも……私をずっと守ってくれたのは、やっぱり大河くんだよ。ありがとう」

 

 フィリルはそう言いながら、大和の方へにじり寄ってくる。

 

「へ? あの、ちょっと待って―――」

 

「待たない。大河くんには一方的に守られたから、私も一方的にお礼する」

 

 彼の後頭部に手を回し、自分の方へと引き寄せるフィリル。

 

「ッ!?」

 

 顔が豊かな双丘の谷間に挟まれ、さらにそのままぎゅっと頭を抱き締められた。

 

「大河くん、こうされると嬉しいよね? 温泉の時も喜んでくれたし」

 

「――――!!」

 

 顔がフィリルの柔らかな胸で包まれているため、声を出せない。女の子の甘い香りが鼻腔(びこう)をくすぐり、頭の中がぼうっとしてくる。

 

「前は三秒だけだったけど、今日は……ううん、これからは時間制限なんてないから」

 

 フィリルの優しい声が耳に響く。大和は感情ポケモンの"エムリット"の能力を用いて興奮や焦燥といった感情をコントロールしていたが、それでも自分の理性を保つのに精一杯だった。

 

「あと、前に言った事……なしで」

 

「な、何の事?」

 

 胸の谷間から何とか顔を上げるが、頭の中が上手く回らない状態だった。

 

「覚悟がないと惚れちゃダメって言ったけど、あれ……撤回。私に、惚れてもいいよ……大河くん」

 

「えっ!?」

 

 すぐ傍で(ささや)かれた言葉に動揺する大和。

 

「か、覚悟って……」

 

 大和が半分気が動転しながらも聞くと、フィリルは微笑みながら言う。

 

「だって覚悟なんてなくても、大河くんは……もう、私の王子様だし」

 

「えっ王子様って」

 

「私、大河くんにドキドキしちゃったの。だから大河くんも……私に惚れてくれると、嬉しいな」

 

「―――」

 

 彼女の眩しい笑顔に、思わず見惚れてしまう大和。

 

「と、とりあえず顔を離してくれないか? じゃないと、落ち着いて話もできない」

 

「しばらくこうしてても良いけど……もういいの?」

 

「十分です!」

 

「うん、分かった」

 

 フィリルがそう言うと手を離し、拘束が解かれる。

 

「ふうー……」

 

 彼女の胸から頭を離すと、大和は大きく息を吸い込んだ。

 

 頭を抱き締められた事に加え、フィリルの"惚れてもいい"発言で常に心拍数が上がりっぱなしな状態だった。

 

「大丈夫?」

 

「大丈夫。てかこうなった元凶が君なんですが」

 

「そうなの?」

 

「自覚なしかい」

 

 大和が理性と戦う原因になったのが目の前の存在(フィリル)なのだが、天然なのか首を傾げていた。

 

「気になったんだけどさ、さっきの惚れてもいいとか、王子様だとか、マジで言ってる?」

 

「マジで言ってる」

 

「Oh……」

 

 冗談か本気なのか大和が再確認するが、真顔のフィリルの即答に言葉が詰まってしまう。

 

「参ったなー……初めてこういう経験したからすっげードキドキしてる」

 

「私も初めて。大河くんも同じ気持ちなんだ……ふふ」

 

 恋愛なんてした事のない大和。こういう場合どうしたらいいか分からなかった。

 

 一方のフィリルは、お互い同じ気持ちに嬉しく思ったのか微笑んでいた。

 

「じゃあ大河くんにプロポーズした事だし……結婚式挙げる?」

 

「いや気が早すぎィ! てかオレの意志ガン無視!? そういうのはまだ早いからァ!」

 

 フィリルのトンデモ発言に思わず声を荒げる大和。

 

「えー」

 

「なんで不満そうなんですかねぇ……」

 

「あっ、もしかして他に好きな人がいるの?」

 

「なんでそういう発想になったんですかねぇ!?」

 

 訳も 分からず 叫んでしまった!

 

「てっきりそういう事だと思って」

 

「見当違いdesuwa」

 

 何故かお嬢様口調になる大和。

 

「とにかく、明日朝早いんだから、部屋でゆっくり休んだ方がいいと思う」

 

「……うん、そうする。でも―――」

 

 ベッドから立ち上がったフィリルだが、思わせぶりな言葉に大和は訝しげに彼女を見た。

 

「でも、何だよ?」

 

 そして、フィリルはずいっと顔を大和に近付けて言い放つ―――。

 

 

「これからは、遠慮なんてしないから。学園でも()()、しておいて。"王子様"」

 

 

「―――」

 

 悪戯(いたずら)っぽく笑ったフィリルに、大和は言葉を失うのだった。

 

 

 

 

 

 

―次回予告―

 

 

“黃”のフレスベルグとの激闘を制し、エルリア公国から帰還した大和達。

 

戦いの疲れと時差ボケが抜け、ようやくいつも通りの日常が返ってきた。

 

しかし悠は、三年前の思い出、及び深月が家族だった記憶を失ってしまった。

 

それでも、深月を心配させまいと、これからも"深月の兄"として振る舞う事を決意する。

 

登校時、ブリュンヒルデ教室の面々がバジリスクを討ち、撃破不可能と謳われていたフレスベルグをも打倒した事で英雄扱いとなっている中、ある話題が広まる。

 

「が、学園祭?」

 

学園長による発案で、ひと月後に学園祭が開催される事になった。

 

催し物をあまり行わないはずだったミッドガルからの正式なイベント発表に、意気揚々と浮き立つクラスメイト達。ある一人を除いて。

 

リーザ・ハイウォーカー。浮かない様子のお嬢様は一人憂鬱な表情であった。

 

「も、モノノベ・ユウ……わたくしの、こ、恋人になっていただけませんか?」

 

そして、悠に一日限定の恋人になって欲しいとの告白。その真意は一体―――?

 

 

 

実行委員となった悠とリーザ(あとついでに代理の大和)。商品の発注で多忙を極める中、妙に仲が良い悠とリーザの様子に大和が訝しむが、"恋人の振り"だと分かるやいなや二つ返事で了承した。

 

リーザと"恋人の振り"の特訓後、そこから料理の練習、衣装制作を行う段階で息が付く間もない程の慌ただしい準備期間に追われる途中―――。

 

ユグドラシルとヘカトンケイルが共に消滅したとのニュースが飛び込んできた。

 

これで竜災が起きないと踏むが、それでも油断はできないと心がける。

 

そして、悠の―――新たな権能の物質変換の兆し。

 

霊顕弾(エーテル・ブリット)

 

上位元素(ダークマター)の弾丸は金色の粒子に変換された。こうして悠に"黃"のドラゴンの権能が継承された事が判明した。

 

そこからあっという間に学園祭が開催。そこで大和がある能力を用いた。

 

「大和、参上☆ きゃるん♪」

 

『…………』

 

彼が女装―――否、性別を"変身"させた事で大和撫子な美少女に変わった事に、皆が呆然。

 

刻一刻と時が過ぎ、少佐であるロキ・ヨツンハイムとの再邂逅、敵意の剥き出し―――波乱万丈な一日目が終わる。

 

 

 

リーザと悠が恋人役を引き受ける二日目が始まる。

 

大和は温かい目で傍観に徹していたが、変な違和感と同時に何処からともなくSOSを察知する。

 

「じぇるるっぷ……」

 

現場に駆けつけた瞬間、別学年の教室内に不気味な鳴き声を発したクラゲモドキの生物が。さらに、『毒びし、パワージェム』といった技から見た事のないポケモンの一種だと判明。

 

リムのサポートより、一時は撃退するが、さらなる事態が大和に降りかかる。

 

何と、動く蔓―――もとい、"緑"のユグドラシルが"D"達の上位元素を奪いながらミッドガルの敷地内での活動を始めたとの事。

 

竜の枝に次々と捕らわれていく仲間達。更に予想だにしない事が起こる。

 

先程撃退したはずのクラゲらしきポケモンが、学園に向けて進行していたユグドラシルに接近しているではないか。

 

おまけに"ソイツ"がユグドラシルに触れたかと思えば―――。

 

―――窶補?補?輔ヮ繧、繝ウ縲∝所縺ウ隨ャ蜈ュ讓ゥ閭ス繧堤匱隕九?ょ屓蜿弱↓遘サ繧。

 

「な、何を言っているんだ!?」

 

悠の頭の中に、解読不能なユグドラシルの言葉が響き渡る。

 

話し合いも通じない上に、暴れ狂うようにユグドラシルが枝を地面に突き刺し、至る箇所に地から枝を生やしていく。

 

上位元素を吸収される範囲が広がった上に、皆が架空武装や物質変換を行えなくなり、手詰まりになってしまう。

 

「オイオイオイオイ! 随分好き勝手してんなぁユグドラシルさんよぉ!」

 

そこへ、救世主(英雄)が現れる。

 

それは、噂となっていたであろう"たった一人でドラゴンを相手取る者"としての存在―――。

 

「学園を巻き込み、罪もない人達も襲い! そして悠を苦しめた事! このオレがお前のやってきた事を清算しよう! その身を以て思い知るがいい!!」

 

伝説の再来が、幕を開ける。

 

 

 

 

  

 

 

 

銃皇無尽のファフニール

ミドガルズ・カーニバル

 

―――――――――――――――――――――――――

 




主人公は恋愛経験ゼロのため、一方的にされる回。
そして、再び次巻の拙い予告。そこで「あれ? 何か足んなくね?」と思った人、安心して下さい。間違いじゃありませんよ?w
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