Angel Beats! ~木村…いや、関根しおん物語~ 作: ふーみん
「こらー!お前ら待てえ!」
「「わーはっはっはっ」」
町中におれことしおんと妹ことしおりのわらい声とひたいに大きく『魚肉』と書かれた豆ふ屋のおじさんのさけびがひびく。
「しおり、こっちだ!」
「うん!」
おれはしおりの手をひいてわき道に入って身をかくした。
案の定、おじさんはこちらに気づくことなく走りさっていった。
「…行ったな」
「うん」
「「いえ~い!」」
おれたちはりょう手でハイタッチをかわした。
さきほど、豆ふ屋の前を通ったとき、店番をしていたおじさんがねているのを見つけたのでいつものように二人で顔に落書きをしてきたのだ。おじさんはすぐ起きておれたちをおいかけてきて、今なんとかにげのびたところだ。
「よし、帰るか」
「うん」
「「ただいま~」」
「しおん、しおり、おかえりなさい。またいたずらしてきたんだって?直井さんのところから電話があったわよ。魚肉なんてひたいに書きやがったんだ!って」
「じゃあ今度は豆ふって書くって言っといて」
「…はぁ、なんでこんないたずらっ子になっちゃったんだろ。しおりもお兄ちゃんの真似する必要はないのよ」
「でも、兄ちゃんがやれって……」
「あ!何うそついてるんだよ!うそつきにはこうしてやる!」
「待って兄ちゃん!こしょこしょはやめっ……ぷっ、あはははははっ」
「ほれほれ」
一人のときとかはびびりで泣き虫のくせにおれといるときはやたらいたずら好きになる。よくにたもの兄妹と言われる。
「~~~~っ!」
「あ、ごめん。やりすぎた」
いつのまにやらしゃべれなくなるほどやっていたようだ。
「うう~。兄ちゃんのバカ」
よほどいやだったのかそっぽをむいてしまった。う~む……よし、あの手でいこう。
「母さん、おれベースひいてくる」
しおりのアホ毛がピンッとたつのがわかった。
「はいはい、ご飯になったら呼ぶからね。次からいたずらはそこそこにしなさいよ。後やってるだろうけど宿題わすれないように」
「もう終わったよ」
おれが自分の部屋にむかうと後ろをとことことついてくる足音が聞こえるのでふり返る。そこにはうつむいたしおりがいた。
「どうかしたか?」
「……」
返事はなし。
「一緒にベースひくか?」
今度はこくりとうなづく。あいかわらずの音楽好きである。
へやについた。ベースをとりだし、しおりとならんですわる。
「よし、やるか」
「うん!」
父さんが作ってくれた曲をおれができるはんいでひく。それにあわせて母さんが作ってくれたかしをしおりが歌う。つたないベースの音とまだ上手いとはいえない歌声が部屋に流れる。その音につられるように時間もゆっくりに感じる。
ひきおわって顔をあげたら目の前に父さんがいた。
「しおん、前より上手くなったな。しおりも歌うのが上手かったぞ」
おれたちの頭をやさしくなでてくれる。
「ご飯が出来たぞ。さあ、行こうか」
ベースをかたづけてしおりといっしょに父さんについていく。
そのあと、四人でその日あったことを話しながらごはんを食べた。終わった後はずっと父さんと母さんにベースを教えてもらった。
そんな何気ない家族との日常が俺は好きだった。そんな日々を過ごせる家族が、俺は大好きだった。いつか会いに行こう。しおりが高校生くらいになったころに会いに行けばあいつも混乱はするだろうけど錯乱しないはずだ。それで四人でまたしゃべって、ご飯食べて、ベースを弾こう。
だが、この先俺の願いが叶うことはないのだった。
過去編みじけえ。
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