提督と艦娘の日常(仮)   作:お芋侍

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07 演習回 その一

「演習の対戦表が来た?」

 

ある日の昼頃、提督は加賀にそう聞いた。

 

「ええ、つい今しがた大本営から来たわ」

「…まさか五連続やれという訳じゃないだろうな。前回それをやって酷い目にあったんだぞ」

「大丈夫よ、今回は横須賀や佐世保からも演習に参加するそうだから、二日に分けて実施するそうよ」

「(ホッ)そうか」

 

安心してその対戦表を見て

 

「げっ」

「?。どうしたの?」

「…三戦目の相手がメンドクセエのがいるんだよ…」

「…まさか」

「そのまさかだ。あの悪名高い呉山提督だよ」

 

呉山はタウイタウイ所属の提督だが、その余りにも酷い戦法で有名になっている。

その戦略とは―――捨て艦戦法だ。

捨て艦戦法とは、早い話が練度の低い艦娘を身代わりにしている戦法だ。大破進撃は当たり前。疲労なんぞ知った事では無いと言わんばかりに出撃を繰り返す。ブラック鎮守府と呼ばれるのも納得の行為を繰り返しているのだ。

似たもので潜水艦を使ったデコイもあるのだが、少なくとも轟沈させるような事は滅多に起きない。…誤っての進撃か提督自身がわかった上で進撃を宣言しない限りではあるが。

更にこの呉山は、自分の失敗を相手のせいにしたり、相手を陥れたりと黒い噂が絶えないのだ。

 

「嫌だなー。こいつはホントにめんどくさいんだよ」

「変更は?」

「大本営の決定だろ?変更は効かないさ」

「…絶対逆恨みされますね」

「…この試合だけわざと負けようか本気で悩むわ」

 

因みにわざと負けるとペナルティが発生するが、ペナルティ喰らってもいいからコイツとだけは戦いたくない、という考えでいっぱいであった。

 

「それ以外はちゃんとした提督が多いな。中にはエリート…てこいつらが横須賀と佐世保の提督か」

「構成も戦艦2、空母2、重巡1、雷巡1という構成ね」

「まあ、前日まで変更可能だしな。当てにはできんさ」

「中には潜水艦オンリーの構成もあるわね」

「そいつらには五十鈴の部隊に任せるさ。対潜水艦じゃあいつら以上の部隊はウチの鎮守府にはいないしな」

 

仕事をこなしつつ、演習当日の構成を考えていた提督と加賀であった。

 

 

 

 

演習当日。

 

「なんかお祭りみたいですねー」

「まあ、各国からいっぱい人が来るしな。お祭りにもなる。」

 

提督は吹雪と一緒に演習場近くの町で食事をとっていた。

 

「たしか、アメリカやイギリスも見に来るんでしたっけ?」

「ああ、アメリカもイギリスも激戦区だからな。現代兵器じゃ限界があるのを知ったのか艦娘計画を立ち上げているんだそうだ」

「確か現在成功しているのは…」

「日本とドイツだな。と言ってもほぼ日本だけと言っていいのかもしれんが。アメリカとイギリスは日本の艦娘の戦闘データを欲しがっている。といってもわざわざスパイを送ってそれがばれた時、両国の関係を悪化させたくない。だから演習が時々出るのさ」

「そっか。演習ならスパイを送らずともそれ相応の立場・階級がある人なら見る事が出来る…」

「それに、この演習は提督や艦娘にもメリットはあるしな。

 提督は上層部の覚えが良くなる。艦娘は練度が上がる。win-winだ」

 

そんな感じに喋っていると、一人の男が近づいてきた。

 

「おい、おまえ」

「はい、何でしょう?」

 

吹雪が訊いてくると男は

 

「お前じゃない、邪魔だ」

 

と突っぱねた。

 

「…それが人に対して聞く態度かね?」

「けっ、そんなの知らんな。そんなことよりお前だお前」

「お前じゃない。俺には吉川という名前がある」

「ふん、おれは呉山だ。アンタに提案がある」

「提案だ?」

「ああ、そうさ―――ここで死んでくれねえか?」

 

そういうと男―――呉山は腕の袖に隠していたナイフを提督に突きつけようとした。だが

 

「莫迦か、貴様は」

 

腕でナイフを掴み、バキンッ!とナイフをへし折ったのだ。

 

「なっ!?」

「…こんなするという事は、あれか?―――死にたいのか?」

 

提督から発する身も凍えるような殺気に周りはそこから急いで離れた。

吹雪はあまりの出来事にフリーズ。対応できなかった。

 

「チッ!」

 

呉山は舌打ちをし、すぐにそこから離れた。

 

「フンッ、その程度の動きで殺せると思ったのかねぇ」

「…ハッ!?て、提督!大丈夫ですか!?」

「ようやく再起動したんか…。まあ仕方ないけどさ」

「手、手から血が、血が出てます!?」

「まず落ち着こうか?」

 

テンパっている吹雪を如何にか落ち着かせ、演習会場の施設に急いで向かった。

 

「それにしても、まさか直接こういう行動に出るなんて…」

「普通はしないからな、こんなのは」

「急いで憲兵に知らせないと」

「知らせても無駄だよ。あいつの親は海軍中将だ。そんな事実は握りつぶすさ」

「そんな!?」

「だが、気分が変わった。吹雪、加賀と長門を呼んでくれ。大至急だ」

「は、はい!」

 

提督の命令を受けた吹雪は急いで加賀と長門を呼びに行った。

 

「…上等だ」

 

ぽつりと、

 

「こんなことをしてただで住むと思っているなら―――」

 

「それは大きな間違いだと、思い知らせてやる…!」

 

殺意と怒りをかき混ぜた大きな感情が、提督の胸を焦がした。




どうも、おはこんばんにちは。お芋侍です。
時間が出来たので作ってみましたが短いです。すみません。
後、今回の七話はいくつかに分けて投稿いたしますので、長-い目で見てやってください。

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