提督と艦娘の日常(仮)   作:お芋侍

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「あら、提督さん。いらっしゃい」

「おう、鳳翔のおすすめ一つな」

「はい」

 

 食堂が封鎖されて昼飯が食べれなくなった提督は、鎮守府から少し離れた鳳翔の店に行っていた。

 提督自身、夜はお酒を飲みにここに来るが、昼飯を食べたことがあまり無い。理由は鎮守府の食堂の方が近い上に将校クラスになると飯代が物凄く安くなるのだ。

 しかし、前回の比叡の失態で暫く食堂が使えなくなった。町にあるレストランは遠い上に値段が高い。夜になれば屋台が出て安くて美味しい店も知っているが、生憎今は昼である。あとは消去法で鳳翔の店になったのだ。

 

「はい、鯛の煮付け定食ですねー」

「お、美味そうだな」

「と言っても、最近中々取れなくて…」

「本土でも滅多に来ないもんなー。ここではたまに捕れるが」

「最近では養殖でもして、海外にでも売りつけようとしてるらしいですからね」

 

 喋りながら食べていると、翔鶴や瑞鳳がやってきた。

 

「提督、何でここに…てああ、そういえば食堂が…」

「そういう事。二人は何故ここに?」

「えへへー、私達ねー、ここで料理を学んでいるんだー」

「ほー、上手くいってるのか?」

「それがなかなかね…。卵料理は鳳翔さんに負けないぐらいなんだけど」

「私も煮付が少し…」

「たった一ヵ月でそこまでできたら上出来ですよ。普通はそこまで出来ないんですから」

「でも、川内さんは…」

「あれは生まれ持ったセンスね。掃除が難しい揚げ物でも苦としない性格だし」

「呼ばれた気がして」

「「うわあっ!?」」

 

 横から現れた川内に驚く翔鶴に瑞鳳。提督と鳳翔は店に入ってきているのを気付いてたのであまり驚かなかったが。

 

「もう、驚いたじゃない」

「ゴメンゴメン」

「あら、いらっしゃい川内さん。貴女は何にします?」

「アジの南蛮揚げで!」

「はいはい。ほら、そこの二人もやりますよ」

「「はーい」」

 

 鳳翔達三人はすぐに厨房に入り、調理を開始した。

 

「いやー、ここに来る前に食堂入ったけど玄関前でキブしたわー。アレ臭い取った後大変だよ?」

「その分ネズミも臭いで死滅するから問題ない…と良いねえ」

「ああ、そういえばその問題もあったね」

「猫のおかげでネズミの被害は減ったとはいえ、あいつら凄い勢いで増えるもんな。…そういや、本土では新しい猫もいるそうだが」

「へー、どんな猫なんだろ…」

「いや、どっちかってーとあまり良い方じゃなくてな。水平の服を着た小さい女の子とその横を歩く猫を鎮守府内で見かけたらその日は良くないことが起きる…という話」

「ホラー系の話かぁ…。あまり好きじゃないなー」

「おい夜戦大好き」

「だって実体がないから仕留めないじゃん」

 

 そんなことを喋ってると川内が頼んだ料理が運び込まれた。

 

「はい、お待ちどうさま」

「お、来たねー。おいしそー」

「確かに美味しそうだな。一口取り替えてみないか?」

「いいよー」

(まーたイチャイチャしてるよ…)

 

 提督と川内の周りにいた住民が思わずため息をついた。彼らは日本語が分からないが周りの雰囲気で直ぐに分かったのだ。

 すると時雨がやってきて、

 

「やあ提督、ここに座っても良いかな?」

「時雨じゃないか。良いぞ座っても」

「ありがとう。鳳翔さん、いつものお願い」

(いつもの!?え、時雨もしかしてかなりの頻度できてんのここに!?)

 

 提督の横に座り、まさかのいつもの宣言で内心驚く提督。それが分かったのか、

 

「別に昼だけならここに来ても問題ないでしょ?」

「あーうん、そうなんだけど…隼鷹もここに来るって話があったから大丈夫かなって」

「ふふっ、残念ながら一度困ったことになりましたよー」

「鳳翔さん!?」

「そこんとこ詳しく」

「提督!?何聞こうとしてるの!?」

 

 鳳翔の発言に慌てた時雨。気になったので聞いてみると更に慌てた。

 

「いや実はねー、隼鷹さんが酒瓶を持ったまま店に入ってきてねー」

「よし、隼鷹は後でオハナシ決定だ」

 

 

 

 

「ぶえっくし!むー、誰かが噂してんのかなー?」

 

 

 

 

「どうやらその酒瓶の中身を間違って飲んじゃったみたいでね。その時の時雨が可愛く―――」

「ワーワー!!ストップ!お願いだからストップ!お願い!?」

「時雨、店の中で騒ぐのはいけないよ?」

「誰の所為だと思ってるの!?」

 

 ギャーギャー騒ぐ時雨を落ち着かせ、冷静になったところで時雨の料理も来た。

 

「はい、おまたせ」

「はあ、はあ、ノドが…ノドが痛い…」

「そらあんなにギャーギャー言ったらそうもなイテテテッ!?」

 

 提督の二の腕をギリギリと力一杯、全力でつまんでいた時雨であった。

 

 

 

 

 

「全く、女性にそんなことを聞くなんて酷いよ」

「悪かったって。ほら、後で間宮のアイスクリーム奢るから」

「…約束だよ?」

((可愛いなぁ…))

 

 時雨の反応を楽しんだ提督と川内であった。

 

「良し、んじゃ、ここは俺が払っとくよ」

「えっ良いの?」

「そうだよ、悪いよ」

「良いの良いの、ここで女に払わせたら男が廃るからね。という事で鳳翔さーん、会計宜しくー」

 

 そう言って提督は二人の伝票をパパッと奪い取り、そのまま会計に行った。

 

「…大丈夫かな?」

「…どうだろう、副収入でもあったのかも」

「どちらにせよ、こういう事はホイホイしてはいけないんだけどねー」

「川内さん、顔がにやけてますよ?」

「そういう時雨だって」

「おーい、会計終わったぞー」

「終わったみたいだね」

「だね。じゃ、いこっか」

「まいどねー」

 

 鳳翔の店を出て、喋りながら間宮の店に向かう三人。

 

「そういや、吹雪たちに的確な指示を出してくれてありがとな」

「どうしたの」

「いや、あの臭い所でよくやってくれたねと思ってね」

「別に大したことはしてないさ。吹雪も清霜も直ぐに行動できたからね」

「そういや食堂っていつまで閉鎖なの?」

「臭いが完全にとれるまでだな。せめてガスマスクが要らなくなるまで」

「どうやって確認するの」

「キッチンホールの中でガスマスクを取って思いっきり吸う」

「「………」」

「…うん、言いたいことは分かるけど、これしかないんだよね。有毒ガスなら探知機を使って出来るけど、アレは臭いだけだから…」

「もう比叡にやらせたらどう?」

「今でさえ鳳翔さんのとこでスパルタに教え込まれてるから流石にな…」

「優しいねぇ…」

 

 そんなこんなで喋っていると、間宮の店に到着した。

 時雨は抹茶、川内はソーダ、提督はオレンジのアイスを注文し、食べながら鎮守府に向かっていた。

 

「うーん、やっぱアイスは美味しいわ」

「たまにはこういうのも悪くないねー」

「うん、そうだね」

 

 そして、三人は鎮守府に着き、午後からの仕事に精を出した。

 

 

 余談ではあるが、川内と時雨がキラキラ状態だったのに気付いた球磨と多摩と清霜が提督にアイスをおごってほしいと直談判をしたのは、また別の話である。




どうも、おはこんばんにちは。お芋侍です。
今回は前回の続きになります。時雨可愛いです。

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