提督と艦娘の日常(仮)   作:お芋侍

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ゴロゴロゴロ……

 

「ウーム、雷が出て来たな…」

「流石に今回は出撃は無理ですね。敵を見つける前に中破でもしたらことですし」

 

 提督室で早朝から加賀と一緒に書類にポンポン判子を押していた提督は、横の窓から天気を窺っていた。雨は降っていなかったが雷雲がでて、海も少し時化ていた。

 

「必要ないかもしれんが、一応窓ガラスにガムテ貼っておくように知らせとくか」

「そもそもガムテを貼る意味ってあるんですかね?」

「あれは破片が飛び散らないようにするものだからな。足の裏でも切ったら痛いぞ」

 

 等と喋りながら書類と格闘していると、天龍が入ってきた。

 

「提督、今日は出撃ないってホントか?」

「ああ、今回は天気も良くないし、海も時化ているしな。でも何で知っているんだ?まだ知らせてないのに」

「あん?龍田がそう言っていたんだが」

「…相変わらずの地獄耳だな」

「あまり口に出して言わない方が良いぜ。いずれそれが本人の前でも言っちまうからな」

「肝に命じとく。で、どうしてそんなことを聞いてきたんだ?」

「あ、いやな?一応、待機命令出しているんだが、午前中三人、午後三人の休憩が欲しいんだ」

「?そりゃ出してもいいが、何故?」

「神通と那珂の授業を受けたい奴がいるんだ。どうせこんな荒れた日に敵さんは来ないだろうと思うが、上司に伺いをたてないとな」

「成程。分かった、許可する」

「おお、ありが―――」

 

 ビッシャアアアアアアアンッ!!!!

 

「うおっ!?」

「きゃ!?」

 

 突然の轟音。音の大きさからいってかなり近い距離に落ちたのだろう。

 さらにフッと電気が落ち、消火器のベルが鳴ったのだ。

 電気は予備の自家発電機に切り替わったのか、すぐに電気が付いた。

 

「…電気が落ちたという事は電柱にでも当たったのか?」

「分からないけど、どうやら火事が起きたようね」

「…………」

「…?どうした、だんまりして」

「うえっ!?いいやなななんでもないぜぜぜ」

「…おもっきし声が震えているんだが」

「きききのせせ所為じゃねねね―――」

 

 ゴガッシャアアアアアン……!!

 

「ピィ!?」

「………お前、もしかして雷苦手なのか?」

「ハァ!?べべ別にこここ怖くなんてねえ―――」

 

ゴロゴロゴロゴロ………!

 

「……………」

「…怖いんだな」

「ううぅぅうぅ、そんな目で俺を見るなァーーー!!」

 

 トマトより真っ赤な顔を手で隠しながら、天龍は提督室から走って逃げていった。

 

「…ハァ、何やっているのですか?」

「ちょっとからかいすぎた」

「あとで痛いしっぺ返しを喰らう羽目になりますよ。

 あと出火場所ですが、鎮守府内に設置している電柱の一つが小火でしたが発生してました。一応そのあたりの電気も供給停止させたので大丈夫だと思います」

「修理は出来ないか?」

「『晴れた日だったら出来るけど大雨が降っているし、ちょっと無理』と明石が」

「あいつが無理なら仕方ない。今日は自家発電機で過ごすとしよう」

「燃料が消えていきますね…」

「まあ燃料もまだあるしな。一日二日でどうこうなっちゃう量じゃない」

 

 正確には、一か月以上の貯蓄があるのだが必要以上の消費はしたくはなかった。本来は原住民や鎮守府で働いている従業員を避難、助けが来るまで閉じこもっておく為の物だったからだ。

 

「それよりも書類を終わらせよう。神通たちが先生をやっている授業が気になるしな」

「なんか授業参観に来た父親みたいですねそれ」

 

 そんなこんなで午前中のうちに全ての書類を終わらせた提督たちであった。

 

 

 

 

 

 

「では、軽巡・駆逐艦達用の授業を始めます」

 

 今回、授業に参加しているのは今年に入って新しく着任した軽巡・駆逐艦の子らだった。ここの鎮守府では時間と余裕があれば先輩たちに教えてもらうのだが、人によって教え方が違う上に、間違った考え方になったりとあまりに効率が悪かったので「まとめてやった方が良くない?」という事で、時々ではあるがこういう授業があったりする。

 駆逐艦や軽巡だけでなく、重巡や戦艦、空母など、それぞれのクラスに合わせて行っている。

 因みに、余裕があれば他の鎮守府の子もやっていたりと割と評価が良かったりする。

 

「神通先生、私でも戦艦になれますか!?」

「いや、流石に無理なんじゃないかな…?

 でもその代わり、私達には強力な武器があります。それは何だと思いますか?」

「うーん…。愛と勇気?」

「精神論ではありませんよ。一応必要ではあるけどね」

「…はい」

 

 1週間前に着任した弥生が手を挙げた。

 

「はい、どうぞ」

「魚雷、特に酸素魚雷だと思います」

「正解です。一応言うと旧式の魚雷でも当たれば敵は倒せます。要は当てればいいだけですからね」

「でも、魚雷って中々当たらんが…」

 

 同じく位週間前に着任した浦風が反論した。

 

「確かに、魚雷を当てるのは難しいです。でも、戦艦の砲撃も注意すれば中々当たらないものです」

「さらに言うと、私達軽巡と駆逐艦は、戦艦や空母の攻撃を避けつつ駆逐や軽巡を狩り、その後の野戦で大物を狩る、というのが仕事なんだよー。あとは露払いとかねー」

 

 神通の後に那珂がそう言った。

 

「魚雷ってどれ程の威力なんか知らんし、酸素魚雷と旧式の魚雷の違いって何か?」

「魚雷の威力は戦艦相手だと一発で相手を戦闘不能に、二発当たれば撃沈、三発当たれば真っ二つ…だったかな?」

「でも、武蔵さんや大和さんは何ともなかったらしいですけど…」

「あれは例外中の例外です。本来なら下剋上出来るのに大和さんたちはあまり効いてないっておかしいですし」

「やっぱり、武蔵さんはすごいな…!」

 

 清霜がすんごい目をキラッキラさせながらうっとりとしていた。

 

 

 

「っくし。誰だ、私の噂をしているのは」

 

 

 

「酸素魚雷と旧式の魚雷の違いは、何と言っても隠密性かな。酸素魚雷は酸素を使ってエンジン燃料を燃やして動かすの。と言っても私たちがいつも吸っている酸素濃度ではないけど、今回は関係ないから飛ばすね」

「旧式の魚雷は発射するとその後が残るけど、酸素魚雷は二酸化炭素を放出するからそのまま海水に溶け込んじゃうの。視認できないわけだから長距離スナイプもやろうと思えばできたんだよー」

 

 (※史実では偶然とはいえ、伊19が遠くの敵艦を沈めてます。)

 

「そしてその射程も旧式の魚雷が10とするなら酸素魚雷が30から40くらいの力があったんです。威力の方も極めて高く、魚雷自体の速度も速いので相手が気付く前に仕留める事が出来ます」

 

 因みにあまり関係ないが、アメリカの魚雷はなかなか当たらず、現場からは「こんなん使えるかヴォケェ!!」と泣きつかれることもあったそうな。

 

「だからと言って旧式が全く使えないという訳ではありません。要は使い方しだいで宝にもゴミにもなります。そのことをよく覚えてください」

 

 はーい、と元気のいい返事が返ってきた。

 

 

 

 

「お疲れ、大変だったろ?」

「あ、提督」

「提督もお疲れ様でーす」

 

 授業が終わった後、提督は神通たちに羊羹を持って労った。

 

「ほれ、羊羹だ。あとで二人仲良く食べなさい」

「いやったー。那珂ちゃん好きなんだよねーコレ」

「すいません、わざわざこんなの物まで…」

「別に良いさ。で、どうなんだ今回は?」

「大井や天龍に比べればいい子たちですよ」

「今はあの二人も落ち着いたけどねー。特に大井は問題児だったし」

「ずいぶん丸くなっているからな」

「恋する乙女は変わるものですよ」

 

 

 

 この後、神通たちと喋っていたが、加賀に「新しい仕事が出て来たので戻ってください」と言われ、急いで戻っていった提督であった。




どうも、おはこんばんにちは。お芋侍です。
今回は授業的な何かでやらせてもらいました。一応調べてはみましたが間違っていたらすみません。
次回は水着回をやってみようかなと思います。…需要があれば&時間があれば、ですが。


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