提督と艦娘の日常(仮)   作:お芋侍

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ミャ~…

「あ、子猫ちゃんだ」

 

 早朝マラソン(鎮守府周回)から帰ってきた吹雪は、駆逐艦寮の前に子猫を見かけた。

 その子猫は長い間食べ物を食べていなかったのか、やせ細ってて、鳴き声も小さいものだった。

 

「可哀想…。ちょっとごめんね」

 

 吹雪は子猫を慎重に抱き抱えると、そのまま寮内に持ち込み、自室に運んだ。

 

 

 

 

「あ、ぶっきー。おか―――って子猫だー♪」

「ちょ、静かに!?」

 

 同室の秋雲に触らせろ触らせろというが、子猫の元気のない鳴き声にあれ?と思ったのか、

 

「…この子猫、もしかして…かなりヤバイ?」

「うん…どうやら長い間食べてなかったみたいで」

「アチャー、なら食べさせたほうが良いね。でもミルクって人間用ので大丈夫なのかな?」

「うーん…、乳糖の高いのは駄目って聞いたことはあるけど、ちょっと分からないね。とりあえず今からコンビニに行って脂肪分の少ないをミルク買ってくる」

「じゃ私はお湯を沸かして準備してるねー」

「嬉しいけど、大丈夫なの?目の下の隈が凄いけど…」

「大丈夫ー、ちょっと期限が間に合わないから徹夜しただけだよー」

「…無理しないでね?」

 

 ちょっと不安が残るが、とりあえず子猫を秋雲に任せて、吹雪は鎮守府内にあるコンビニに向かった。

 

 

 

 

 

「おはよう、吹雪ちゃん。相変わらず早いね」

「時雨ちゃん、おはよー」

 

 コンビニで乳糖の低いミルクを購入。その帰り道に時雨と出会った。

 

「ところで、そのミルクはなんだい?食堂に行けば普通のがあるけど…」

「ちょっと、ね…」

「…何か隠してないかな?」

「(ギクッ)な、何がかな~?」

「もうそのリアクションでバレバレだよ…」

「うぅ…」

「ほら、何を隠してるの?白状したほうが楽になるよ?」

「わ、分かったから!分かったからジリジリ来るのやめて!ちょっと怖い!」

 

 そのあと時雨に子猫を助けようとしていることを伝えた吹雪だったが、

 

「うん、なるほどね。哺乳瓶は?」

「無いです…」

「牛乳もこんなんじゃ駄目だよ。おなか壊して最悪死んでしまうんだから。特に弱っているこの子なら尚更だよ」

「はい…」

「それに何でこそこそするの?別に育てても問題ないし、素直に助けを求めたほうが良いよ?」

「返す言葉もございません…」

「それに秋雲も何で寝てないの?期限が迫っていた?知らないよそんなの」

「い、いやー中々ネタが決まらなくてねー」

「二週間前に巻雲にネタが決まった云々言ってたって聞いたけど?」

「あ、あは、あはははは…」

「…二人とも、言うべきことは?」

「「すみませんでしたー!」」

 

 時雨に徹底的に叩かれ、精神的にベコベコに凹まされていた二人であった。

 

 

 

「はぁ、まったく。二人とも、こういうときはさっきも言ったけどちゃんと調べたほうが良いよ?」

「といっても、子猫用のミルクなんてコンビニにおいて無かったけど…」

「僕、そのエキスパート知ってるからすぐに行こうか」

「…もしかして、やけに詳しかったのは…」

「以前捕まって延々聞かされたからね…」

 

 物凄く時雨に同情した吹雪と秋雲であった。

 

 

 

「で、私のところに来た訳ですね?」

「大淀さん、お願いします」

 

 以外にも猫が大好きな娘というのは大淀のことであった。

 

「とりあえず、ミルクと哺乳瓶を準備しておくわね。ちゃんと責任を持って育てるのよ?」

「ありがとうございます!すぐに戻るよ秋雲ちゃん!」

「あ、ちょっと引っ張らないでぶっきー―――」

 

 その二つをゲットするや否や、全速力で自室に戻っていった。

 

「…まったく、すみません大淀さん」

「構わないわ。かなり衰弱しているのでしょう?」

 

 時雨が謝ると、大淀はまったく気にしてないようで笑いながら言った。

 

「元気になったら見せてね、肉球もみもみしてみたいし」

「伝えますね」

 

 そういうと、時雨も吹雪の後を追った。

 

 

 

「ミルクは人肌ぐらいにあったまった見たいだね」

「元気に飲んでるねー。それにしても可愛いわー」

「…秋雲、そろそろ寝たら?なんか顔色悪いけど…」

「はっはっはー大丈夫ーなんかハイになってきたーははははー」

「寝なさい、良いね?」

「アッハイ」

 

 ヤバイ具合にハイになってきていた秋雲を強引に寝かした吹雪と時雨。まあ顔が青から真っ白になっていたらそりゃ寝かしもします。

 

「それにしても、この後どうするの?」

「?どうするって…?」

「この子だよ。駆逐艦のみんなで育てるの?」

「…そこまで考えてなかった」

「…………もう一回説教しようか?」

「御免なさい勘弁してくださいお願いいたします」

「まったく、まあ子猫を買うのは問題ないかも知れないけど、一応皆に聞くんだよ?僕も手伝うからさ」

「有難う」

 

 その後子猫も元気になり、ニャーニャーと元気に鳴くようになった。…むしろ元気すぎてちょっとうるさかったが。

 駆逐艦の皆にも子猫を飼うことを伝えたところ、皆賛成したが一つ問題が発生した。それは、

 

「子猫の名前はタマがいいと思うわ」

「いや、チビでしょ」

「ミィがいい!」

「クロ!」

「毛皮が黒くないじゃない。サクラよ、サクラが良いわ!」

「この子男の子だよ?」

「ならコタロウだよ!カッコいいじゃない!」

 

 …といった感じに名前を決めるのに一波乱があったのだ。ああだこうだと言い合っていたら時雨の、

 

「吹雪に決めさせたら?」

 

 という発言に皆が「こっち選べこっち選べ…!」といった風に吹雪にプレッシャーを与え、吹雪は生きた心地がしなかったそうだ。

 尚、名前は数々の海戦を生き残ったアンシンカブル・サムからとって〈サム〉と名付けられた。…提督からは物凄く微妙な顔をされたが。

 

 

 

 

「サムー、どこにいるのー」

「ニャー」

「あ、いたいた。ほーらおいでー」

「へえ、この子が…」

 

 子猫を飼って一週間たった日、吹雪は大淀にサムを見せていた。

 

「はい、この子がサムです。ほーらサムー、この人が大淀さんですよー」

「ふふっ。こんにちは、サム」

「ニィー…」

「あー、やっぱり子猫は可愛いなぁー」

 

 大淀の顔が物凄いニヤケ顔になっていた。気のせいかサムも少し引いているように見えた。

 

「…猫、好きなんですねー」

「猫といわず動物全般好きですよ。特に子供が」

「まあ、子供は可愛いものですからね。人でも、動物でも」

「ところでこの子は室内飼いなの?」

「ええ、サムも外に出たがらない感じなので」

「そっかー…。まあ子猫のうちに室内飼いにすると、大人になっても外に出たがらないみたいだから、大丈夫かな?」

「そうなんですかー」

「うん、それにしても…サム、か…」

「?」

「いや、イギリス辺りが聞くと拒否反応出しそうね、と」

 

(※アンシンカブル・サムを日本語にすると不沈のサム。何度も沈没した船から生還したことからこの名前がついたそうな。因みにビスマルクにも縁がある模様)

 

「サイモンやフレッドよりはいいかな、と思ったんですが…」

「何故そのセンスなのかいろいろ聞きたいわ…。フレッドは違うでしょうに」

 

(※気になる人は調べてみよう。割と軍艦に猫を連れてきている人は多いのです。)

 

「ニャー…」

「ああ、やっぱり可愛いいいぃぃぃぃいい」

 

 その後も大淀はサムに頬ずりしたり写真を撮ったりしていたが、それが原因だったのか大淀が近づくと全力で逃げ出すサムの姿があったそうだ。




どうも、おはこんばんにちは。お芋侍です。
今回は猫回になっております。猫可愛いよ猫。犬も好きですけどね。
でも作者は猫アレルギーなんですよね…。……ハァ。

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