またまた遅れて申し訳ない。ちょっと就職&ネタが浮かばなかったので…。
今回は大和回になっています。
「…どうしてこうなった」
「………そんなこと、分かりませんよ」
ある昼の、暑い日のこと。大和たちが着任して二ヵ月半。最初は全く話してくれなかった大和であったが、武蔵達の協力のおかげで、今ではどうにか話してくれるほどに回復してくれた。
尚、初めて話してくれた時の反応はあまりのことに口がポカーンになったそうな。
「とりあえず、昼はどうする?」
「…適当で」
と言っても、まだまだ壁が感じる、というより心の壁がまだまだ厚い。まだ完全に信用してないのだろう。
それでも話してくれる分、まだマシだろう。…まあ、艦娘達と話していることが多いが。
さて、なぜ冒頭のような会話になっているのかというと、
(武蔵めぇ…。なんでこんなものをプレゼントするんだよ…)
と言って提督は手に持っているある物を見た。それは---映画のチケットである。
夕張がネットでタダでチケットをゲットし、それを夕張が武蔵にあげ、武蔵が提督にあげた…というのが真相なのだが、これとは別に武蔵が「大和と仲良くしてほしい」という考えがあってプレゼントしている。まあ9割善意、1割計算といった感じだろうか。
尚、映画のチケットの中身は恋愛系の映画であった。これを見た提督は物凄く嫌な顔をしていた。
「あー、大和。恋愛系の映画が好きなのか?」
「……はい、好きですよ」
「そうか」
「はい」
「……………」
「……………」
(…会話が続かねえええええ!ってか俺じゃなくて武蔵と一緒に行けばいいのに何で俺に渡すんだよおおおお!)
最早キャラが崩壊しまくっているが、それぐらいにテンパっていた。そもそも恋愛系の映画は超苦手な上に会話が全く続かないのだ。基本的に静かなのを嫌がる提督はコミュニケーションを取ろうとしてもそこから続かない。テンパってもしょうがないと思いたい。
「…そろそろ始まりますよ」
「お、おう」
話が続かない状態でそのまま映画館の中に入っていった。
「ふう、なかなか面白かったでしたね」
「…そうか」ゲッソリ
若干頬が緩んでいる大和とゲッソリしている提督が映画館から出てきた。
尚、映画の中身は甘々の恋愛映画だった。提督が恋愛系の映画の中で最も苦手なタイプの映画である。提督が好きなのは時代劇や戦記物だったりする。
「…では、そろそろお昼にしましょうか」
「ああ、一応龍驤から周辺のレストラン情報を貰ってるが、そこに行ってみるか?」
「お任せします」
そう言い、提督達は龍驤から貰った情報を元に探索に行った。
「で、ここに選んだんですね?」
「まあな。てか鳳翔、二号店出していたのか」
「ええ。中々評判が良かったので資金が貯まったんですよ」
「………」
「…で、この方が?」
「ああ、自己紹介しておこう。
大和、こちらが居酒屋鳳翔の鳳翔だ。
鳳翔、こちらが二か月半前に着任した大和だ」
「よろしくお願いしますね、大和さん」
「…こちらも、よろしくお願いします」
大和と鳳翔の挨拶が終わり、日替わり定食を注文し、奥にある大きな窓がある二人用の座席に座った。
「………………」
大和は黙って外の景色を見ていた。提督も大和の邪魔をせず、目を瞑って料理が来るのを待っていた。すると、大和が提督に話しかけていた。
「…提督」
「何だ?」
「…あの時は、ごめんなさい」
「ん?…ああ、あの時か」
長門と喧嘩した時のことを思い出した提督は、苦笑いを浮かべながら「気にするな」と言った。
「別に気にしてないし、お前以上の問題児を見たこともあるしな」
「でも…」
「気にしてねえって。アバラにひびが入ったことと拳銃が木端微塵になったぐらいだしな」
普通の人間なら思わず「!?」となる発言が飛んだが、大和は全く気付いていなかった。
「話が変わるが、皆と仲良くしているか?」
「はい、龍驤さんや長門に仲良くしてもらってます」
「そうかそうか」
みんなと仲良くしているという話を聞いてほっとした提督。むしろ先ほど言った怪我のことが原因で仲が悪くなったりしたら悔やむに悔やみきれない。
「武蔵と大鳳も提督と仲がいいですね」
「ああ、まあ頼りになるしな。色々お願いすることもあるしな」
「…武蔵は自分の時間を持つようになり、大鳳は葛城の特訓で忙しそうですし」
「ああ、確か龍驤と武蔵が提案したんだっけ?」
因みに、正式に大鳳の特訓に付き合うことが決まったことを聞いた葛城は、顔を真っ青にしたそうな。
「…でも、これを言うのはおかしいことなのかも知れませんが」
「?」
「…嬉しさが半分、恐怖が半分、私の心に渦巻いているんです」
「…………」
大和の話に黙った提督。大和の独白は続く。
「武蔵が私のことばかり構う時間が無くなり、大鳳も葛城の特訓に嬉しそうに教えている。そのことは非常に嬉しいんです。ようやく自分の時間が得られるようになったということですから。
でも…私は、一歩も先に出てない…。それどころか武蔵達のことをどこか恨めしいと思っている私がいるんです。
恨めしく思う理由など、あるはずないのに。あってはならないのに。
おかしいですよね、こんなことを思うのも、あなたに言ってしまうことも」
提督は黙って大和の話を聞いていた。彼女の心の助けを、聞くために。
「そして、一番怖いのは、武蔵達が私から離れることなんです。
彼女達の自由な時間を奪っておいて、こんなことを言うのはおかしいのは分ってます。でも、彼女達が私のことを忘れてしまうのが、彼女たちが私のことを愛想尽かしてしまったらと思うと、怖いんです。
そして一番怖いのは、このまま変わらない自分が怖いんです。
…提督。私は―――私は、どうすれば、変われるんですか?」
途中から涙をポタポタ流し始めた大和。提督はポケットの中に入っていたハンカチを渡した。
「ほら、これで拭け」
大和はそのハンカチを受け取って涙を拭った。そして、提督はこう言った。
「---人は、そう簡単に変わらないよ」
その言葉を聞いた大和は、少し悲しそうな顔をした。
「だが、変わり続けるという心を持ち続ければ、変われるだろうな」
「………」
「でも、それは茨の道と変わらない。もしかしたら変わらなければよかったと思うことがたくさん出てくることかもしれない。
---それでも、お前は変わりたいか?」
「…はい、彼女達の隣に立つ為に、私が私である為に。
提督、お願いします。---助けてください」
「承知した。全力で助けてやる。だから―――今は泣いておけ」
「えっ?」
「泣いていないんだろう?武蔵からそう聞いている」
「…………」
「今は泣いておけ。そして、心の靄を、凝り固まった悲しみを吐き出しておけ。
それが、新しい自分に生まれ変わる、最初の産声だ」
そして、提督は大和に向かい、背中を見せた。
「…泣き顔は見せたくないだろうからな。俺はこっちを向いているから、思う存分泣いておけ」
「…ふふっ、変わってますね。―――では、お言葉に甘えて」
そう言い、大和は提督の背中で泣き始めた。
提督は鳳翔に向けてごめんのサインを送っていたが、全く気にしていないのか、ニコニコ笑って提督達を見つめていた。
尚、提督が大和を泣かしたという噂が流れ、武蔵や大鳳に詰め寄られた提督であったが、大和が二人の説得に成功し、事なきを得たのであった。
因みに噂を流した奴に賞金首(提督非公認、つまり全く知らない)がかかったそうな。
続 く
何かメインの大和より武蔵や大鳳が多いっておかしいよね?と思って作ってみた回ですが如何だったでしょうか?
それにしても次のネタが全く思いつかない…こんなの書いてみたらどうでしょ?と思う方はメッセージを飛ばしてもらうと非常に嬉しいです。
誤字脱字がございましたら、感想欄にお願いいたします。