イベ攻略をやってますが、E-3ボス地味に硬い。夜戦でワンチャンとかヤメーや。
”迅雷”の初戦闘が終わったあくる日のこと。今回の戦闘で発生した始末書を書いていた提督の元に、訪問客が訪れた。相手はどうやらあの輸送船を護衛していた艦隊を指揮している提督らしい。
何故”らしい”という言葉を使ったか。理由は簡単。―――目の前にどう見ても中学生の、気弱そうな男の子が来たからだ。
「こ、この前は本当に有難うございました。おかげで大事な補給物資が失われずに済みました」
「ああ、別に気にしなくていい。救援信号があがったら助けに向かうのは当然のことだし、最悪物資を捨てなきゃならなかったしな。天龍の指揮も良かったし、ちゃんと鍛えれば第一線でも活躍できるぞ、あの子は」
「有難う御座います。おね―――じゃなくて、天龍も喜ぶでしょう」
…何か怖いのか、オドオドビクビクしながら受け答えをする第五鎮守府の提督。気になったので問いかけてみた。
「…君、何でそんなに怯えているの? 別に取って食ったりしないから安心していいぞ?」
「いえ…、話に聞いていた人物と聞いていたのと違ったので、ちょっと戸惑っているだけです」
「(…ちょっと?)聞いていた人物像というと?」
「…怒らないですか?」
「”君”にはね」
言外に言ったやつ処刑の臭いを醸しまくっている吉川であったが、男の子はそれに気付いていないのか、こう言ってきた。
「えっと、”トラック諸島第五鎮守府の提督には気をつけろ。気に入らなければ死が待っている”って…」
「………………………………………ほぅ?」
「ヒィ!?」
言われも無いセリフに、思わず全身から殺意の波動モドキが出て、男の子は悲鳴を上げてしまったが、それに気づいた吉川が慌てて殺気を押さえた。
こんなこと言ったやつは一体誰だこの野郎、と思いながら、笑顔(引き攣った)で問いかけた。
「…誰がそんなこと言っていたのかな?」
「えと…、呉山という男からですが…」
「ま た あ い つ か !!。つかムショから出たのかあの野郎」
因みに呉山という男、演習編でも出ているが、考えが吉川と反りも合わなければ、親の光を借りるキツネ野郎だったりする、フ○ッキン野郎だったりする。さらに言えば今吉川の鎮守府に所属している大和達3人も元々そいつの所属の艦娘だったりする。
「舞鶴で結構言われてますよ? ”あいつは卑怯モンの種無し野郎”とか、”あんなのが海軍にいるとか世も末”とか、”俺の大和をあいつが奪った”とか…。御免なさい僕が言ったわけじゃないんです止めて怖いィィィィ!?」
余りに酷すぎる発言に、思わず目の前の男の子の事を忘れて殺気全開になってしまった吉川であった。
無理もない。そもそも卑怯者は呉山の方であり、世も末なのはあいつであり、大和に至っては吉川自身には全く関係ないのだ。なのにここまで言われたらどんなに温厚な人間でも助走をつけて”遠慮””手加減”を怒りという川にブン投げている。
「ほうほうそうかそうか…。あの野郎、余程蝦蛄の餌になりたいと見える」
「あ、あのぅ…。僕が言ったということは言わないでくださいね?」
「勿論」
自分に向けていないとはいえ、物凄く濃い殺気に気絶することなく、吉川に言った部分、彼自身も結構胆力があるのだろう。…アンモニア臭がするのはしょうがないものとしてだが。
「…正直スマンかった。まさかそうなるとは…」
「いえ良いんです…。誰だって自分の悪口を言われたら怒るでしょうし…。でも」
「分かっている。俺の名に誓って絶対に言わない。男の約束だ」
先ほどの高濃度の殺気を”怒り”というかなりマイルドな言い方をする部分、かなり気を使ってくれているんだろう。この子は大物と化すなと思った吉川であった。
「でだ、済まないが墓参りついでにお礼参りしに行ってくる」
「良い訳ないでしょう? 第一その馬鹿の居場所は分かっているのですか?」
「全く分かってないがそれが何か?」
「それが何かじゃありません。ちゃんと調べて行ってください」
第五鎮守府のショタ提督が帰った後、加賀にこのことを伝え、日本に一度行くことを伝えた提督であったが、即止められたのであった。…と言っても、呉山を〆ることは賛成していた。そりゃ愛する男性が言われも無い暴言で貶されたらこうもなる。
「大淀なら特定できるだろうし、舞鶴には有馬もいるよな。…済まないが」
「大淀に吹雪、大和、武蔵、大鳳、”迅雷”を持っていくんですね?」
「…よく分かったな?」
「秘書艦歴№1は伊達じゃないですから。本当は私が行きたかったんですけどね」
その代わり、私の分までしっかりやっておいて下さいね?と激励の言葉を貰った提督であった。
「大淀。あいつの場所は分かりそうか?」
「ちょっと待ってください。監視カメラの”目”を盗んでますので、ちょっと時間がかかります」
「…これ、職権乱用じゃあ…?」
「「ばれなきゃ良い(良いのよ)」」
「…まあ今回は今回なだけに仕方ないですよね」
「うむ、今回は流石に名誉毀損でも訴えれるし、全く問題ないしな」
「そうね、ネットで調べていたら偶々監視カメラの”目”に入っちゃってたとかよくある話ですしね」
「ですよねー」
「うむ」
常識派の吹雪も見て見ぬふりをしているほど、艦娘の怒りはかなり深いようで、武蔵と大淀に至ってはノリノリで呉山を探していた。一番槍は私がもらうと言わんばかりの怒りのオーラ全開で。
尚、今現在提督たちがいるのは「するが」の本来ヘリを格納する所に、簡易的な入渠施設に装備の格納室があるところにいる。
「………」
《どうかいたしましたか、大和殿》
「あ、アルさん…」
《アル、で結構ですよ。かなり暗い顔をしていたので、気になって声をかけてしまいました》
「…もしかしたら、私達の存在が提督のメンツを傷つけているんじゃないかと思って…」
「私たちがいるだけという理由で貶す人なんて吐き気を催す邪悪ですけど? 大和さん、あのビチ糞野郎の言葉なんか気にしなくていいんです!」
「た、大鳳ちゃん、物凄く言葉が汚くなっているわよ?」
「これでもマイルドな言い方なんですよ。本当は(ピーッ!)とか(ピャーッ!)とか(ガトリング音)だったり言いたいんですよ?」
「えっと…大鳳ちゃん?」
「何です?」
大和が大鳳の後ろを指さしていた。気になって後ろを見てみると―――
「…あまり女性が言うには過激すぎるぞ?」
「キャーーーーッ!?」
まさかの提督に驚きの余り悲鳴を上げてしまった大鳳であった。
「い、いつからそこに!?」
「…放送禁止コード付近から」
「最初からじゃないですかヤダー!?」
《最初ですか?》
「テンパっててそれどころじゃないと思うわ…」
アルの冷静な突っ込み(?)と大和のフォロー(?)に顔を真っ赤っ赤になっていた大鳳であった。多少なりとも気になる男性の前で放送禁止コードに接触しまくっている発言をすれば恥ずかしさの余り布団に包まって季節外れのカタツムリになるものである。
「でも、ありがとな」
「…何がですか」
「怒ってくれてたんだろ? 大和と俺の為にさ」
「…自分たちを大切にしてくれる人が貶されていたら誰だって怒るでしょう」
「ま、そうなんだけどな。―――後、大和」
提督は大和の目を見てこう言った。
「俺は君たちを保護したのは後悔してないぞ。昔も、今でもだ。
第一あんのドクズカス野郎の言葉で君たちが暗くなる必要は無い。あのゴミが言ってきたら笑ってこう言ってやれ―――『それがどうした』ってな」
《…マスター、第三者から言わせてもらいますと、若干告白っぽく見えます》
「…マジで?」
《マジです。…大和殿?》
「ふえっ!?」
顔を真っ赤にしてポーッと聞いているところに、アルの問いかけに思わずビクゥッ!?と過剰な反応を返していた。
「な、何? 何かどうかしたの?」
《いえ、お気になさらず》
「…気のせいかしら、人の顔があったら多分(`・ω・)な感じに見えるんだけど」
《気のせいですよ》
そんなこんなで、提督たちは舞鶴に到着した。
「さて、あの糞野郎はどこにいるか分かるか?」
「調べてみたところ、裏路地にある麻薬精製工場にいるようですね。呉山の他にも指名手配を受けている連中もいるそうですね」
「…”目”に映っているという事は、警察側も黙認しているのか、もしくはそれに気付かない愚かなのか、どっちなんだ」
「そんなことはどうでもいいです。さして重要なことではないですし」
「…そうだな。じゃ、お礼参りと行こう」
提督は”迅雷”に乗り込み、光学迷彩を起動。裏路地に溶けて行った。
「…あれ? ちょっと私はー!?」
…完全スルー(というよりいるのを無かったことにされかけた)された有馬は、慌てて提督に合流しようとしたのだった。―――その時、監視カメラが此方をじっと見ていたが。
「こちら、ペガサス。見つけたぞ」
《敵の数は10名です。RPG等の火器は見られません》
『んー?』
「どうしたウルズ?」
『なぁんかこれ嫌な予感がする。他の艦娘には避難勧告と誘導をしてもらおう』
呉山の居場所である麻薬生成工場の屋根に到着した吉川と有馬。スキャニングで敵の居場所を確認していた時、有馬が警告を発していた。
以前、誘拐されたことがあったせいか、危機探知能力がずば抜けて高く、海軍学校時代では熊の巣を感知したこともあったほどである。
『こちらブレード、了解した』
『こちらクサナギ、了解しました』
『ブリザード、了解です。現場から離れておきますね』
『フェニックス了解。一応周囲に哨戒機出しておきますね』
『サイファー了解。…ん?』
「どうした?」
『…嫌な予感的中したかも』
《警告。パワードスーツの反応有り。数、5》
「散開ッ!」
アルの警報を聞いたやいなや、近くにいる皆に即命令。提督はというと―――
「アル! 風縫、抜刀!」
《了解。―――敵、左から接近》
窓からダイナミックお邪魔しますをカマし、二階の窓から入った。それに即反応をした敵は天晴だが、相手は運が悪かった。
「ダイナミック☆スタンプ!」
「グギュエッ!?」
その敵の真上から同じパワードスーツを着込んだウルズ―――有馬が落下。敵の背中に落っこちたのだった。
ベキィッ!という鈍い音と共に動かなくなった敵が、一瞬恍惚の笑みを浮かべたが、そのままあの世に逝かれたのだった。間抜けにも程がある。
「おい、ウルズ。お前は屋根から狙撃するんじゃないのかと」
「いや、釣られちゃった♪」
「阿呆」
「物凄い短い言葉で罵倒された!?…あでも好きな人から罵倒されるの好きか―――」
「おい馬鹿止めろ、そんなことより呉山はどこだ」
《ターゲット、地下に逃亡中。スキャニング不能。どうやら強力なジャミングがある模様》
どっからどう見てもヤバい感じのフラグである。
「ますます怪しさ全開だ。どう見ても地下に兵器があるフラグだろ」
「いやー、感が当たってて良かった。被害は少ない方が良いもんね」
「全くだ。それにあいつが何故こんな場所にいるのか、何でこんなに武器、パワードスーツがあるのか」
《恐らく、バックに大きい組織があるのだろうと思われます。大麻を売ってその大きな金で買っているのでは?》
「なんにせよ、とっとと捕まえるぞ」
そのまま、工場を後にし、呉山を追いかけたのだった。
今回、長めの4400文字以上。日頃からこんなに書ければなぁ…。
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