提督と艦娘の日常(仮)   作:お芋侍

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どうも、おはこんばんにちは。お芋侍です。
前回の続きからです。どうぞー。


33.提督、ブチ切れる 後編

工場地下に潜入(?)した提督たちであったが、ここで一つミスを犯した。それは、呉山本人の処遇である。

今は麻薬精製の罪という建前があるが、最初は私刑にする気マンマンの状態だった為、このような事態は想定しておらず、もし警官に見つかって、捕まりでもしたらその段階で減給もの。一応調査書を提出すれば問題は無いのだが、勿論そんなものは無い。大淀に頼んで偽装するしか手は無いのである。(勿論大淀にはそれぐらいの事は朝飯前である)

しかし、提督はそれに気付いていない。なんだかんだ完璧めいた提督だが、こういう面は抜けているのだった。(但し、それが良いという娘も多い。もげろ)

 

 

 

 

提督たちが地下を捜索すると、大きな場所に出た。真っ暗なので赤外線センサーを使用、アルが周辺を探査しようとしたが、

 

《ここら一帯の探査が出来ません。恐らくジャミングだと思われます》

「チッ、通信は?」

《同じく使用不能です。近距離通信なら可能ですが》

「…はめられたかな?」

「まだ分からん。敵さんも出てこないしな」

《周辺に生体反応はありません。地下に入る直前までは呉山のみでしたからいたとしても問題はありません》

「…何故奴は地下に逃げたんだ?」

 

 提督は、呉山が何故地下に行ったのか疑問に思った。その他の連中が逃げ切れたのだから奴とて出来た筈だからだ。

 

「馬鹿だったんじゃない?」

「あいつは曲がりなりにも提督になった男だぞ。それに気に入らない連中をことごとく失脚させている」

《―――前方より多数の飛行体接近。回避を》

「噂をすればきやがったッ!」

 

 アルの警告に素早く反応した提督は、有馬の手を掴み、アジャイル・スラスターで横の端っこまで緊急回避を行った。その直後―――あり得ない数の小型のロケットが、提督たちの横を勢いよく通り過ぎた。

 ロケットが完全に通り過ぎたのを確認し、提督は飛んできた方向に目を向けた。まだこれで終わる筈がない、と。

 

「…ところで聞きたいんだが」

《何でしょう?》

「飛んできたロケットはどのぐらいだ?」

《千です》

「どっからそれほどの数を調達しやがった連中は!?」

『―――正確には、空母の艦載機召喚の技術(魔術)技術を使っているがなァ』

 

あの糞野郎の声が聞こえた。

 

『中々に骨が折れたぜぇ。てめえに復讐しようと麻薬を売りさばいて、ここまでの兵器を作り出すのはよ』

 

 ズシン、ズシンと、こちらに近づいてきている。

 

『お蔭で俺の体はクスリでボロボロだ。糞親父も天罰を下してえから、さっきのでミンチにしてやるつもりだったが、上手くいかねえもんだ』

 

 くひひひひ、と狂った嗤い声が漏れた。

 

「…有馬、下がれ」

「…でも一人じゃ…!」

「お前のパワードスーツじゃ足手まといにしかならん。しかも敵は狂っている。従来通りの戦い方じゃ死ぬだけだ」

『オイオイ、人様が話している最中に無視してんじゃねえよ』

 

 奴の姿が、見えた。

 

『まあ別に良いけどな。―――てめえらはここで死ぬんだからよ、この素戔嗚(スサノオ)でなァ!』

 

 姿は、…ドラグナーに出てくるギルガザムネそっくりのせいか、とんでもなく悪役面であった。

 しかし、手に持っている五メートル近いバスターソードは、機動性の高い迅雷であっても、ギリギリ回避は難しそうと感じてしまう程の威圧感を放っていた。

「…どっから手に入れやがったこの野郎」

『そんなのに答える理由は無えなぁ。ま、神は俺を見捨ててはいなかった。そして―――』

 

 バスターブレードを大上段に持ち、

 

『さよならだ』

 

 そのまま振り下ろした。しかし―――

 

「獲物を前に舌なめずりとは、三流のやることだ」

 

 アジャイル・スラスターでくるりと後ろに回り、そのまま膝カックンでバランスを崩し、そのまま倒れた敵に、

 

「で、何がサヨナラだ?」

 

 火に油を注いでいた。

 

『テンメエエエエエッッッ!!!』

「おうおう、沸点の低いこと低いこと。お前の頭は沸騰したやかんか何かか? あ、頭の中スッカラカンでしたねぇ。空焚きしたらそりゃ燃えますわ」

『殺ス!』

「お猿さんが何か言ってますねぇ…。ウキャウキャ五月蠅いわ」

『ガアアアアアアアアッッッッ!!!!!!』

「…うわあ、よくもまああそこまで怒らせることができるね…」

 

 因みに有馬は即退避していた。図体のデカい敵じゃあ相手出来ないと判断したのと、提督の言葉で下がったのだ。

 

「(まあ、それが正解だったけどね)」

 

 物凄い勢いでバスターソードを振り回すのを見ると心の底からそう思う。五メートル近い分厚い鉄板を振り回しているようなものだ。直撃=即死、それも顔に当たったら原型何ぞ留まらない。

 それでも提督が避ける事が出来ているのは、相手の力量が低いこと、冷静でないこと、そして何よりも、提督自身が間合いの把握が出来ていること。この三つが提督に味方しているからだ。

 しかし、提督自身も焦っていた。理由は、相手の装甲を破れる武器がないこと、アジャイル・スラスターの多様でバッテリーが半分を切ったこと、そして―――迅雷自体が対パワードスーツ用の兵器ではないことだ。

 素戔嗚の装甲は、見た感じ非常に分厚く見える。風縫で一回切りかかったがまるで歯が立たなかった。図体のデカさも相まって急所に決まらない。

 バッテリーも残り少なく、更にパワードスーツの破壊ではなく無力化なのだ。ヘタに全開で言ったら中の糞野郎が死んでしまう。麻薬の工場をやっていた以上、流通ルートや顧客の事も調べなきゃいけないし、死んでしまったら勿論聞けない。

 こうなるんだったらパイルバンカー付けとくべきだった、と後悔しまくっていたが、実はパワードスーツにも共通の弱点はある。背中の制御ユニットだ。機械を制御する以上、どっからか各パーツに指令を送らなければならない。その為背中に制御ユニットが付いているのだ。要は人間の脊髄と同じである。しかし、

 

『ヌオラアアアアアッ!!』

 

 やたらめったら振り回しているせいで近づけない上に、敵の機体性能が高いのか、そっからの返しが早い。迅雷のパワーなら拮抗出来るが、それに耐えれる武器が無いのだ。風縫で止めようものなら吉川が吉/川みたいなことになってしまう。

 こんな奴にこんなの売るなよ。基地に刃物じゃねえか、と思っていると突然ベキン!と音を立てて手に握っている武器が軽くなった。風縫が折れたのだ。しかも掠っただけで。

 

「吉川! これを使って!」

 

 それを見た有馬が持っていた接近武器を提督めがけて投げた。それを掴んだ提督は即抜刀、武器をみてみると、

 

「クリムゾン・エッジか? いい趣味してるぜホント」

「だってワイヤーも切れるし頑丈だから重宝するんだもん…」

 

 ククリ刀型パワードスーツ専用武器、クリムゾン・エッジ。

特徴は携帯性、切れ味、耐久性の三つを高水準でクリアしている武器であり、各国の特殊部隊でも使う人は多い。

 と言っても矢張りナイフの延長線にある武器だからリーチはお察し。如何にかして隙を作り出し、そこを突くしかない。

 

『ギャハハハハ! そんなんで俺を止められるわきゃねえだろオオオオオ!!』

《警告》

「わかってらぁ!!」

 

 敵のバスターブレードをクリムゾン・エッジで止め、如何にか踏ん張ろうとしたが、耐えられずそのまま吹っ飛んだ。

 

「糞ッ! パワーが可笑しい!!」

《敵のパワーは此方とほぼ一緒です。最新型だと思われます》

「そんなのは分かっている!」

『そらそらそらァァァァァッ!』

 

 其処から追撃しようとしたが、

 

「舐めんなこの野郎ォォォォォ!」

 

 相手の攻撃を躱し、背後を取った後、

 

「はいだらぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!」

 

 クリムゾン・エッジを制御ユニットに突き刺し、そのまま倒れ、無力化に成功。相手がイノシシでなかったらおそらく勝てなかった戦いであった。

 おそらく機体の中で罵詈雑言を並び立てているのだろうが、それを聞かせるスピーカーも死んでいる為、ビチビチと鮭のように動くことしか出来ない敵を見て、

 

「…後は警察経由で聞こう」

「そだねー…」

 

 深い深いため息をついたのであった。

 

 

 

 

 

 

後日、呉山を取り調べた刑事に聞いてみたところ、大金を払って出所した後、ヤバいのを売っていた人から元を買い、そのまま育て、売っていたようで、そのお金で工場を作って、地下に大きな空間を作っていたとのこと。まさか兵器を置くためのスペースなのかと聞いてみたところ、最初は電気を通して第二の栽培所にするつもりで作ったらしい。

しかし、如何にか復讐を成し遂げたかった呉山は、ある日見知らぬ男から兵器提供の話を持ちかけられ、その話に乗った呉山は弟の名を借り(実はコイツ三人兄弟の二男だったりする)提督に復讐する為に噂をたてたそうだ。その面ではある意味正解だったと言える。

 

因みに何故不名誉除隊された呉山の話を、あのショタ提督たちは信じたのかというと、日本では呉山の逮捕を知る人はおらず、それを日本で知っているのは海軍上層部と、ごく一握りの人物だけだった。

実は、呉山の父親は非常に人格者で、海軍の中では非常に人気があったのだが、演習回で発覚したのを機に「息子の不始末は親の不始末」という事で上層部に報告し、辞任したが上層部がそのまま公表するのはマズイ、という事になり日本では報道されなかったのだ。

 

これが原因になるとは露とも知らずに。

 

 

 

いずれにせよ、今回の事で完全にムショ送りだし、今回は釈放無しという事に収まりそうだと刑事さんは言っていた。尚私刑に関しては大淀が偽装工作をしてくれたお蔭で捕まる事は無かったが、パワードスーツの使用で始末書を書いていた。

 

「取り敢えず、始末書だけで済んでよかったねー。大淀がいなかったらどうなっていたことか…」

「ウチの大淀は情報戦に強いからな。その代わり実戦が弱くなってしまったが」

 

 ※それでもレベルは80程である。

 

「しかし、私達の出番がありませんでしたね…」

「しょうがない、海では私たちは強いが、陸ではそうじゃないからな」

「適材適所って奴ですよ」

 

 大和がしょんぼりしているのを武蔵たちが慰めているのを見ながら、提督はあることを考えていた。

 それは、呉山に兵器提供した奴の事である。どこの企業の者か警察も探したが、全く該当する者がおらず、パワードスーツも製品番号(出荷される製品に付けられる、始めから終わりまで一続きの番号。各製品ごとに固有の番号が割り当てられており、メーカー側で所有者を管理する際や商品の偽装を防止する目的で使用されるほか、事件や事故などの問題が発生したときにこの番号が参照される場合もある。シリアル番号、シリアルナンバーともいう BY WIKI)も完全に削られていたのだ。これではどこの会社が作ったか分からない。

 そして、作った奴は艦娘にも詳しいことも懸念の一つであった。呉山は途中こう言ったのだ。―――『―――正確には、空母の艦載機召喚の技術を使っているがなァ』と。

 普通の企業なら知る筈のないこと。なのにそれを知っているのだ。

 

「(…杞憂であればいいんだがなぁ)」

 

提督は嫌な予感を感じながら、始末書を書いていた。




初めて多機能使ったが、結構使いやすくて助かったー。
後、上層部糞過ぎワロエナイ。
次回は提督の墓参りですねー。

誤字脱字、その他御座いましたら感想欄にどうぞー。
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