提督と艦娘の日常(仮)   作:お芋侍

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遅れて申し訳ありましぇぇぇぇぇぇんッッ!!(三段跳び土下座)


第69話

翌日、吉川・村上・有馬の合同演習を知らされた神代中佐、坂本大尉、ジャッカル大尉の三名は、演習場の近くにある建物にいた。

 この建物は演習場のほぼ全域を無人機によって網羅できる装置がある。これで演習場の戦闘が見られるのだ。

 

「ふーん、三人の上級将校による演習ねぇ……」

「この時期にやる意味は分からんが、提督ランキングでも上位のメンツだからな。見る価値はある」

「……それが、使えるかどうかは」

「俺たち次第、という事か。……後画面の前でもっのすっごい険悪なオーラを出しまくっている三人は一体なんだ?」

「確か、新しく配属された艦娘らしいよー。アメリカの戦艦もいるって話だし」

「「アメリカか……」」

 

 神代・ジャッカルの両名は何とも言えない顔で言った。それはそうだろう。艦娘の元は第二次世界大戦で活躍した軍艦がベースだ。そして戦っていたのはアメリカ軍。むしろ「仲良く出来るのだろうか……?」と思ってしまうのが普通だろう。

 幸いにもアイオワは第二次世界大戦ではこれと言った活躍もしていない。もしこれがサウスダコタとかアルバコアとかダーター辺りだったら凄まじい拒否反応を起こすこと間違いなしである。

 

 

 

 

「「「…………」」」

 

 一方、話題の三人はというと、全く顔を合わさず、ただただ不機嫌なオーラを量産していた。正直そろそろ瘴気と言ってもいいぐらいの濃さが周辺を覆っているのだから周りからして見れば傍迷惑である。

 しかし、それに全く気付いてない辺り、余裕がないのか、又は別の理由があるのか。

 

 

 

 取り敢えず、黒いオーラ量産している三名の事は頭の外に追いやった。ヘタにつついて痛い目見るより、見ないふりした方が良いからだ。

 そして、やはり話題になったのは、

 

「今回の演習はどういうやり方にするんでしょうねー?」

「そりゃあ、吉川大将閣下と一人ずつ戦うでしょうな。流石に二人を相手に勝てるとは思えんし」

「……俺は、二人相手にすると、思う」

「その理由は?」

「…勘、だ」

 

 そう喋っていると、演習の開始の時間がやって来た。

 

「時間だ」

 

 六人は、演習場の映している画面を見た。そこで広がってる光景は―――吉川連合艦隊VS村上・有馬合同艦隊の文字が映し出されていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 吉川連合艦隊の参加者は、

 

 第一艦隊

  旗艦 長門改

  二番 大和改

  三番 武蔵改

  四番 伊勢改

  五番 川内改二

  六番 大鳳改

 

 第二艦隊

  旗艦 那珂改二

  二番 夕立改二

  三番 吹雪改二

  四番 イタリア

  五番 北上改二

  六番 龍驤改二

 

 やたら気合いが入りまくっている第一艦隊が浮きまくっているが、第二艦隊もそこそこバランスが良い編成である。

 

 一方、村上・有馬合同艦隊はというと、

 

 村上艦隊

  旗艦 ビスマルクdrei

  二番 プリンツ・オイゲン改

  三番 妙高改二

  四番 利根改二

  五番 筑摩改二

  六番 最上改

 

 有馬艦隊

  旗艦 雲龍改

  二番 天城改

  三番 龍鳳改

  四番 飛鷹改

  五番 初春改二

  六番 照月改

 

 殴りあう気マンマンの村上艦隊と、制空権絶対奪うウーマンな有馬艦隊という、ガチすぎるチームであった。

 因みにこっち側は連合艦隊じゃないのかと思う人がいるだろうが、こっち側は連合艦隊ではなく、二つの艦隊として戦うことになっている。一人なら連合艦隊を作る必要がある為(二人でも連合艦隊は作れるが、必須ではない)、吉川艦隊だけ縛りを受けている状態なのである。

 普通に見てみたらどう考えても吉川側が圧倒的に不利である。大和がいるじゃんって?制空権奪われた状態でまともに戦えるのかと。

 

 

 

 

 

 

 

「……これ唯のイジメじゃない?」

「守護鬼と呼ばれた吉川閣下も、流石にこれは……」

「……それでも、吉川閣下が、勝つ」

「それも勘?」

 

 坂本がそう聞くと、ジャッカルは無言で頷いた。

 一方、例の三人はというと、

 

「ふん。こんなの、結果が分かり切っているじゃないか。どうせ見栄でも切ったんじゃないか」

「芋臭いドイツ女と意見が合うのはnastyだけど、流石にこの編成ならワンサイドゲームでフィニッシュね。―――ツマラナイ」

 

 グラーフ・ツェッペリンとアイオワ(この二人)はこき下ろしまくっていたが、初月は違和感を感じていた。

 

(確かに、この編成なら勝てる理由は無い……。だけど、この違和感は…、何かおかしい、だけど、それが分からないほどの、この違和感は一体……)

 

 そして、この六名は三人の演習を目にするが、演習が終わった後、口をそろえてこう言った。―――「頭おかしい」と。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 演習開始時間により少し前に戻す。

 

「第一艦隊! 三式弾、零式弾、装填!」

「こっちの第二艦隊は、第一艦隊が撃ったのと同時に有馬艦隊に吶喊するよー!第一艦隊の事は気にしない!」

「いつものことっポイ?」

「いつものことだねー……もうこのことに違和感を感じない私がいて悲しくなるぅ……」

「何や吹雪ちゃん。相手は空母やで?近寄ったら入れ食いや」

「分かっているんです。でも…うーん、なんて言ったらいいのかなぁ」

「ま、ウチらの戦い方が奇抜なんわしょうがないわ。自然と身に付いてもうたモンやし」

「そこー!もう行くよー!」

「って、那珂ちゃんまってえなー!」

「うわわわわ!? ちょっと待ってくださーい!?」

 

 戦闘前だというのに気の抜ける会話を繰り広げていた吹雪たちであった。

 第二艦隊は割とプレッシャーを感じていないようで、むしろ潰す気マンマンな感じに戦意が高まっていた。彼女たちにとって空母はボーナスのように見えるらしい。

 第一艦隊はというと、

 

「…………」

「…姉さん、私達の相手はビスマルク率いる村上艦隊だ」

「ええ」

「……やはり、少しきついですか?」

 

 

 大和・武蔵・大鳳は地獄のような場所から村上に助けられている。(詳しくは 11 ① を参照)

 其処の艦娘とは仲が悪くなってしまったが、村上には厚い恩義を感じている。最初は演習といえど戦うのを嫌がった大和であったが、吉川が、

 

「奴にとって最大のお礼は、お前が元気にしていることだよ。あいつ自身お前らを助けたのは仕事もあっただろうが、お前らが心配だったからだ。

 自分が助けた艦娘が、明るく無事に過ごしていたらあいつは満足なんだよ。元気な姿を演習を通して見せりゃ、それだけで恩返しだ」

 

 と、本人(村上自身)が聞いていたら「お前俺の本心暴露するなよぉ!!」と突っ込むだろうセリフを言った。

 

「見せつけてやんな。お前自身の、大和の本当の力というのをさ」

 

 

「提督は不器用だからな。ああいう言い方しか出来ん」

「ま、要するに全力で戦えっという事でしょ?戦いたくないから手加減なんてしたら、それこそ侮辱もんだしね」

 

 長門と伊勢が、三式弾・零式弾を装填しながらそう言った。

 

「難しいことは考えるな。あいつ(ビスマルク)は村上艦隊の中でも最も最強に近い。戦う事に集中しないと、終わるぞ」

「…分かってるわ。私も、今は戦う事に集中する」

「そうだ。それでいい。―――武蔵、大鳳。大和のサポート、頼む」

「任された」

「了解」

「川内、昼はあまり砲撃戦は参加しなくていい。雷撃戦と回避を優先。―――夜戦は、任せた」

「了解了解。ふふっ、楽しみだなー♪」

「伊勢は私の後ろに。本来ならこういうのは陸奥が得意なんだが……」

「別に弾が来てもこっちで切り払うから気にしなくて大丈夫。むしろ中破してから本番だし」

 

 シレッととんでもない会話を繰り広げつつ、懐まで飛び込むマンマンであった。

 

 そして、演習開始時間十秒前になった途端、全員が静かになった。

 九秒、八秒と進むにつれ、周りの空気がピリピリし始め、

 ゼロになった途端、

 

「行くぞッ!!」

 

 長門の号令と共に、全員の雄叫びが上がった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「第一艦隊と第二艦隊が別れた?」

「成程。取り敢えず攻撃力重視の第一艦隊は村上艦隊に。機動力重視の第二艦隊は有馬艦隊に向かったのか」

「でも、第一艦隊は良いとして、第二艦隊はイタリアと北上、夕立ぐらいしか対抗出来ないわ。それに、制空権も奪われてまともに戦い筈……」

「確かに……。試合は始まったばっかりだから、まだ分からんか」

「いや……もう終わる」

「「へっ??」」

 

 

 

 

 

 

 

 

「吹雪! イタリア! 那珂ちゃん!」

「はいっ!」

「日本製の砲弾は使いづらいですぅ~!」

「那っ珂ちゃんの対空迎撃、はっじまっるよー!」

 

 龍驤の号令に吹雪と那珂は元気よく、イタリアは三式弾の扱いづらさに文句を言いつつとんでもない数の艦載機目がけ対空迎撃を開始。多くの艦載機が落ちたが、それでも艦爆・艦攻がとんでもない数の爆弾、魚雷攻撃を開始する。そしてそのターゲットは―――

 

「ありゃ? やっぱアタシ?」

 

 重雷装艦の北上であった。それはそうだろう。戦艦だろうが空母だろうがワンパンで落とすのだから戦艦より最重要ターゲットである。

 しかし、

 

「ま、当たらないけどねー」

 

 重雷装艦にあるまじき速度で回避。あらかじめ搭載していた新型高温高圧缶 (島風御用達の強化版)のお蔭である。

 

「んじゃ、適当にばら撒きますかねーっと!」

 

 航空戦終了と同時に魚雷を投下。40門から放たれる酸素魚雷は文字通り一撃必殺の威力。演習用の弾頭とはいえ直撃すれば――――

 

「あ、龍鳳ちゃんが当たった」

 

 

 

 

『なにこれぇぇぇぇぇぇぇっ!!?』

 

 

 

 

 

 突如、通信越しに大きな声があがった。龍鳳の声である。

 謎大声が上がったのかというと―――

 

『な、何か白くてネバネバしたのがぁ…体中にひっついてるぅ……!』

『おっとすまん。一つ言い忘れていた。尚、今回の演習は粘度の高い白いペイント入りの模擬弾だ。―――当たったら遠方に待機されている青葉に写真撮られっから、両者全力でやるように』

『『はぁっ!?』』

 

 まさかの吉川提督の外道発言である。因みに、割と抜き打ちでこういう演習をやるところもあるのだが、大概エロ親父な提督がその時撮った写真を無断で売ったりとやらかしている所為か、最近では見なくなっていたりする弾頭である。

 

『因みに村上・有馬両名の了解は得ている』

『提督ぅ!?』

『……後でハリボーシュネッケン一機食いの刑ね……!!』

『龍鳳、轟沈判定により戦列より離脱!』

 

 被弾したら男どもの餌になる―――そう思った村上・有馬艦隊は更に攻撃を強めて行った。―――それが罠だとも知らぬまま。




後半に続く(キートン声)

次回は一か月以内に投稿する予定です。

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