「あー、やっと書類が終わった―…」
「お疲れ様、お茶でもいかがですか?」
「あーい、いただくよ」
ある日の夕方、朝8時から書類の処理に追われていた提督と加賀だったが、午後6時になってようやく書類地獄から解放された。
「あー、まだ目がしょぼしょぼするぜ。てか何でこんなに今日は書類が多いんだ?」
「殆どが大本営に提出しなければならないものだったわね。…リミットがあまりにも短すぎるけど」
「三日前にきて厚さ5㎝以上ある書類を全てチェックし、尚且つこれまでの戦績を報告せよ、だもんなぁ。…普通こういうのってだいぶ前に届いていなければならないものじゃねえのかねホント」
ぼやきながら提督はいそいそと外出する準備をした。
「あら、どこか出かけるの?」
「ああ、今日は友人が来ていてね。今日は鳳翔さんの所でご飯食べるから」
じゃーなー、と提督室を後にしたことを確認した加賀はさっきの会話にちょっと違和感を感じた。
(友人が来ている?提督の友人は舞鶴か横須賀にいるはず。トラックに居るはず無いのに…)
さらりと酷いことを考える加賀であった。そこに
「ヘーイ、テート―――てあれ?テートクは?」
金剛がやってきた。
「提督なら友人と会いに行くと言ってましたよ」
「エー!?そんなー!!」
ガーン!!という擬音と共に膝をつく金剛。しかし次の瞬間
「ならテートクを尾行するダケネー!」
「ちょっと待ちなさい」
即行止めに入った加賀であったが
「とか言っちゃってー、加賀も気になるんデショー」
「だからと言って尾行は…」
「ばれなきゃ問題ないデース!ほら加賀も付いてくる!」
「ちょ、ちょっと!?」
なし崩し的にあとを追うことになった加賀達であった。
「それにしても誰に会おうとしているんですかネー?」
「…何でこんなことに」
提督の姿は鎮守府出てすぐに見つける事が出来た。
海軍の制服と軍刀の存在感が凄まじいほど主張していた。というか浮いているといった方がしっくりきているほど目立っていた。
「鳳翔さんの店に入ったみたいですネー」
「金剛、すぐに鎮守府に戻りましょう。ばれたら―――」
「ばれなきゃいいだけデース。ほら、行きますヨー」
「お願いだから手を引っ張らないで。お願いだからっ」
小声でギャーギャー言いながら店に入った金剛たち。入ると奥の席に提督の姿が見えた。
「フッフッフー、誰が来るんでしょうネー」
「…提督の友人ですから男の人じゃないですか?」
「イイエ、ワタシの勘では女性ですネー」
「勘って…そんなアホな話が」
(小声で喋っていま(ry))
「吉川君久しぶりー。元気にしてた?」
「…相変わらずのアニメ声だな有馬(ありま)ちゃんや…」
「えー、良いジャン別にー」
そんなアホな話があったようです。
「ネー?合ってたデショ?」
「…………」(絶句)
提督の席に座ったのは同年代の女性提督。
彼女の名前は有馬 美咲(ありま みさき)身長は150ぐらいで顔は美人の分類に入る。
…胸はそんなに無いようだが。
「なんかケンカ売られた気がした」
「?何言ってんだ?」
「いやいや、こっちの話しー」
「まさか女性だったとは…」
「私たちという彼女がいるのに外でも作ってたなんテ…」
「いや、ただ単に仲のいい友人じゃないですか?」
「ノン!あれは提督に恋している顔ネ!」
「だとしても、我々がどうこう言う資格は―――」
「無いとしても嫌なものは嫌なんデス!」
「…さいですか」
(小声で(ry))
新たな敵の参戦に憤る金剛であったが加賀はそこまで怒ってなかった。
多少は思わないことも無いのだがみんなで仲良くしたいと考えているせいかそこまで怒る必要なくね?と思っていたりする。
因みに金剛が怒っている理由は所属している艦娘のハートを撃墜しているのにさらに増やしていることに怒っている。…ここの提督は恋愛原子核かなんかだろうか…。
「それにしても鬼の吉川と呼ばれた君がこんなところに居るなんてねー」
「昔の話だろそれ。第一お前は何でここにいるんだ?横須賀そんなに暇じゃないだろ?」
「私がやる分の仕事は全部終わったからねー。暇になったから来てみたんだ―」
「…暇で来るって相変わらずの行動力だな。お前のトコに所属している艦娘も大変だろうなぁ」
「ならコンビ再結成しちゃう?」
「御免こうむる。お前の手綱を握るのはもうヤダなんだよ」
「ちぇー」
「うぎぎぎぎ…」
「…今の貴女の顔は乙女から大分かけ離れた顔しているからやめなさい」
「それでもこうなっちゃうんデスー!というか何ですかあの女は!?」
「提督が海軍学校に行ってた頃の同級生よ。写真に写ってたわ」
「…何で知っているんデスカ?」
「…青葉から」
「ああ…」
(※小(ry))
青葉の情報網の凄さが分かった金剛であった。
「それにしても何でわざわざここトラックに来たんだ?呉や横須賀なら近いのに」
「君に会いに来たんだよー」
「ハハッ。嘘乙」
「…ホントナノニ」(ぼそっ)
「そういや、他の皆は元気なのか?最近会ってなくてな」
「ああうん、みんな元気だよー。君に会いたがってた」
「…時間があれば行くんだがなー」
「それにしてももう一人来るはずの奴が来ないねー」
「あん?誰だ?」
「村上君」
「あいつがか!?」
「最近、ようやく休みが取れたらしくてねー。君に会いたがってたし」
「…あいつなんか知らんが俺によく絡んでくるもんだから苦手なんだが…」
「そういや、薄い本のネタにもなってたね」
「おいやめろ、それはホントにやめろ。トラウマになってんだから」
暫くすると男の人がやってきた。
「いやあスマンスマン、ここの場所が分からなくてねー」
「それはいいんだが何故俺の横に座ろうとするんだ」
「?別に良いじゃないか?」
「…まあそうなんだが、な」
「変な奴だなー」
爽やかな笑顔をしているこのイケメンの名前は村上 竜乃助(むらかみ たつのすけ)。顔もよく爽やかなのだが、以前吉川と絡んだことがあったせいか、薄い本のネタにもされたことがある。
因みにこのことを知っているのは吉川と有馬、あとは極少数だったりする。
「それにしてもここのご飯は美味しいな。日本食のレパートリーも多かったし」
「おいおい、お前にはビスマルクという嫁さんがいるだろう」
「彼女のご飯もおいしいけど、たまには外食したくなるのさ」
「贅沢なこって」
「君が言えた義理は無いと思うけどねー」
と、ワイワイガヤガヤ騒ぎながら、過去の話に花が咲いたり、情報交換したりしていた。
一方金剛たちはというと…。
「…なんか面白くないですネー」
「…ならもう帰りません?これ以上は何も成果がないと思いますよ?」
「…もうちょっとダケ…」
まだ何かあるだろうと粘っていた。
「そういや、吉川君?」
「んー?」
「もうみんなとケッコン出来たの?」
「…まだ出来てない」
「ほー、珍しいな。俺の知っている友人とか20人以上の艦娘とケッコンしているぜ」
「それもそれでおかしいがな?…お金が貯まらんのだよ」
「えっ?でも私たちの給料ってかなり良いはずだけど…」
「デートしたり飯をおごったり服を買ってあげたりと金が飛ぶんだよ…」
「…一旦ケッコン指輪が全員分届くまで止めたらどうだ?」
「そうしたいけど、彼女たちの嬉しそうな顔を見ると、ついね…」
「アホの極みだねー」
「全くだ」
提督がボロクソに言われている光景を見た金剛たちは
「…他の皆にも自重するように言っておきますか…」
「ですネー…」
自分たちの我儘で苦しませた事に気づいたのだった。
続く
どうも、おはこんばんちは。お芋侍です。
またもや連日投稿。亀更新じゃないですねこれ…。
因みにこの回は前後編のつもりです。出来れば明日投稿します。
誤字脱字ございましたら感想欄にお願いいたします。