小傘ちゃんクライシス!   作:ほりぃー

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大博打! ぎゃんぶらー小傘ちゃん誕生!!

 とあるお寺で小傘ちゃんは今日も歌を口ずさんでいました。

 場所はキッチンです。小傘ちゃんは白いワンポイントのシャツにショートパンツ。とっても動きやすそうです。彼女はその服の上からエプロンを付けていました。深い緑色でとっても落ち着いた大人の女性を演出していました。

 

 青い髪がゆれます。鼻歌をうたいながら、小傘ちゃんはコンロに火をいれました。

 幻想郷からこちらに来たときは、簡単に火が起こされることにびっくりしましたが、小傘ちゃんは今ではお手の物です。今日はキャプテンがアルバイトでいないので、お昼ご飯を小傘ちゃんが作ることになっているのでした。

 

 小傘ちゃんはお水を張った鍋を用意します。それを火にかけて、じっくりとお湯になるまでのんびり待ちます。その間に小傘ちゃんはくるりと後ろを向きます。エプロンが揺れています。

 

「ふふ。それじゃあ何にしよっかな」

 

 料理のレパートリーは豊富です。小傘ちゃんはキッチンの台に置かれた「材料」達をみて、今日は何を作るべきなのか、深い深い思考をします。

 

 ――醤油ラーメン

 ――みそラーメン

 ――とんこつラーメン

 

 袋に入ったそれらを一つ一つ小傘ちゃんは手に取って見比べます。眼を細めて真剣そのもの。これもキャプテン直伝の「インスタントラーメン」という文明の結晶です。小傘ちゃんは他にもカップラーメンもお手の物です。どんぶりも用意済みです。

 

「よし、今日はこれね」

 

 醤油ラーメンの袋を豪快に開ける小傘ちゃん。中に入っているのはカターい麺の固まったものでした。小傘ちゃんはそれを手に取ります。

 

「わ、わっ」

 

 ちょっとすべって落としそう。右手で滑って、なんとか左手でキャッチ。間一髪です。

 小傘ちゃんはそんな「しゅらば」を潜り抜けて、ぐつぐつと煮え始めたお湯に向き直りました。さあ、調理開始です。

 

 

 麺の塊をお湯にいれました。これですべての工程の80%は終わりました。小傘ちゃんの料理の上でもたいしたものです。残るは三分間お湯でゆでるという「高難易度」な作業がまっています。

 これは簡単ではありません、その証拠に小傘ちゃんはさっきまで悩んでいました。

 調理場のどこにも「キッチンタイマー」がないのです。これはで正確に三分を測ることが難しくなってしまいました。おそらくキャプテンがどこかにしまい込んだのでしょう。

 

 しかし、そこは諸葛小傘ちゃん。いや、多々良 小傘ちゃんという幻想郷最恐のおばけですから、問題ありません。彼女にはちゃんと秘策がありました。

 

「いーち、にー、さーん、しー」

 

 そうです180秒、口で数えればいいのです。凡人には思いつかない大胆な発想が流石としか言いようがありません。小傘ちゃんは眼を閉じて、まるで歌うように数を数えます。その間にお湯の中でラーメンが美味しく煮込まれていくのです。

 

 可愛らしい声がキッチンで数を数えます。ちょっと手持ち無沙汰なのでしょう。小傘ちゃんは手を後ろで組んで、ゆらゆら。首をリズムに合わせて動かします。たまに素足のかかとをあげてから、床をトントン。意味はありません。

 

 ただ、小傘ちゃんは料理のてんさいです。眼を片目だけあけて、ふふとにやけます。

 手に菜箸をとって、ラーメンの麺を解きほぐします。お湯の湯気が白く立ち上って、柔らかくなっていく麺の味を考えるだけで、小傘ちゃんの楽しみは倍増されていくのです。

 

「ふふふ」

 

 笑みを浮かべながら、熱さで頬を紅くする小傘ちゃん。彼女はそこで重大なことにきがつきました。

 

「あれ?」

 

 はっとします。

 

「今、何秒だったかしら」

 

 ――本日の小傘ちゃんクライシスです。なんと小傘ちゃんはラーメンの煮込む時間を忘れてしまいました。これではふやけてしまいます。どうするのでしょう?

 

「え、あ。あれ」

 

 小傘ちゃんは人差し指をたてて、額に付けます。そこで難しい顔をしました。さっきは確か六〇秒くらいまで数えたような気がします。

 

「そ、そうだわ。あ、でももうたぶん、数十秒たっている……」

 

 そうですさっき何秒でも、すでに時は刻々と過ぎていきます。過去のデータはあてにはなりません。小傘ちゃんは指を唇につけて「ど、どうしよ」と慌ててしまいました。麺はどんどん美味しくなっていきます。

 

「と、時計」

 

 を見てみますが、あまり意味はありません。今は12時ちょっと過ぎです。

 

「う、うう」

 

 小傘ちゃん、とても悩みます。三分が過ぎてしまうとふやけてしまうのは必定です。それでは妖怪の沽券にかかわります。彼女は頭をかかえて眼を閉じます。

 

 小傘ちゃん脳内に小宇宙(コスモ) の映像が作られました。確実に混乱しています。

 流れては消える知り合いの顔達。親指をたててどや顔しているキャプテン。にっこりほほ笑んでいる聖さん、隠れてお酒を飲んでいた一輪ちゃん。それにネズミ。それとショートケーキ。まるで走馬燈のようです。

 

 小傘ちゃん意を決します。眼をかっと開いて、ぐつぐつ煮えている麺をと向き合いました。そうです、そうです小傘ちゃん。現実から逃げてはだめなのです。

 

「賭けよ……」

 

 今日一番の大博打。小傘ちゃんはコンロの火を止めて、鍋の取っ手を持ちます。そして目線を用意してあったどんぶりにうつしました。

 時間は分かりませんが、小傘ちゃんは食べてみることにしました。

 

 

 

 

 

 数分後のことです。

 そこには幸せそうにラーメンをすする小傘ちゃんの姿がありました。ふーふーとあつあつの麺を覚まして。髪を手でよけながら、可愛くすすります。インスタント麺はそこまで量は多くありませんから、小傘ちゃんはペロリと完食してしまいました。

 

「ごちそうさまでした」

 

 ぱんぱんと手を叩いて、礼儀た正しく挨拶。これで今日のお昼ご飯はおしまいです。

 

 

 

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