小傘ちゃんクライシス!   作:ほりぃー

8 / 8
暑い日にはプールにでもいきたいものです

 縁側でタオルケットの上で寝転がっている女の子がいます。

 

「あづいぃ」

 

 もちろん小傘ちゃんです。白いシンプルなキャミソールにハーフパンツ、とても涼しそうな格好ですが小傘ちゃんはタオルケットの上でごろごろごろ、とても暑そうです。

 

「なんでこんなにあついのかしら……あー。ぷーるにでもいきたいなぁ」

 

 プールに行きたいと小傘ちゃんは言いますが、彼女の半身である大きな傘を持ってはいることができません。流石に今は近くで日干しにしているそれを置いていくことはできません。

 

「あ、そうだわ」

 

 小傘ちゃん思い付きました、プールがないなら作ればいいのです。

 思い付いたら善は急げです! 小傘ちゃんは勢いよくたちがって、両手でガッツポーズしてから、ふふーんと息を吐いて、目をきらきらと光らせます。

 ただ立ち上がっただけなのに、一人でにぎやかな雰囲気を作ることができるのは彼女の特徴でしょう。ともかく、こがさちゃんはどたどたと走って倉庫に向かいます。

 

「たのもー」

 

 何をたのむのでしょうか? 小傘ちゃんは倉庫のドアを勢い良くあけて中をがちゃがちゃとあさくります。

 

「うーん。ないわ」

 

 テレビでみた庭におけるくらいのビニールプールを探しているのです。あれがあれば庭において水を張るだけでOKです。

 しかし、どこにもありません。小傘ちゃんは小首をかしげます。あたりが散らかってしまいましたが、それはそれ、これはこれです。小傘ちゃんはぽんと手と手を打ち合わせました。ぱあと明るくなるような笑顔です。

 

 彼女は玄関でサンダルに履いて、外の蔵に走りこみました。大量の漫画がおかれた蔵です。ここであればなにかしらがあるかもしれません。小傘ちゃんはどこかにプールが置かれていないかと思ってあっちにきたりこっちにきたり。走り回ります。

 

「ないわー」

 

 ないようです。むしろあちらこちらに走り回ったので熱くなってしまいました。汗で引っ付きそうなキャミソールの首元を伸ばしてみたりします。彼女は涼しくなろうとしてビニールプールを探したのですが、見つからずに熱くなってしまいました。策士、策におぼれるとはこのことです!

 

「あつい」

 

 とぼとぼ陽炎のおどる道を歩きます。道と行っても蔵から家までの短い間ですが、外に出るだけで熱いのです。

 小傘ちゃんは考えました。このままではとけてなくなる可能性も0とは言えません! つまり、小傘ちゃんクライシスです! この異常な暑さで小傘ちゃんが干物になってしまうかもしれません。

 

☆

 

彼女はうーんと考え込みました。彼女はそのそーめーな頭脳で策略を練ります。涼しくなるためにはどうすればいいのでしょうか? そして彼女はぱぁと思い付きます。彼女の頭の中には綺麗な花火が上がるくらい素晴らしい考えです。

 

小傘ちゃんは家に戻ります。サンダルは脱ぎ散らかすのは作法です。

どたどた走って、来たのはお風呂場です! 彼女は湯舟にはめてあるふたを取りました。中には水が張っています。昨日のお風呂の残りです。

 

 小傘ちゃんは悪い顔をして、脱衣所にあるタンスをあさくりました。そこに入っていたのはワンピース型の水着です。小傘ちゃんは踊るように着ているもの脱いで洗濯機にぶち込みました。もちろん水着になるためです。

 

 するっと着替えて、ぱーんとドアをあけて。

 水風呂にどばーんと……はいかず、おそるおそる入りました。ひんやりした感触が足の先からだんだんと感じて、小傘ちゃんは「ん」と目を閉じます。最初は冷たいものですが、そこは小傘ちゃん我慢強さなら負けません。

 

 小傘ちゃんはゆっくりと肩まで水につかって、「ふぃー」と息を吐きました。それから「はふー」とひんやりしたお水の感触を楽しみます。熱かった体のほてりも消えていきます。小傘ちゃんは右手を伸ばすと、その肌に水がきらきらと光りながら流れました。

 

 小傘ちゃんは足を延ばして、両手を頭の後ろで組みました。ちゃぷちゃぷと足を動かしながら音が出ます。プールとはちょっと違うかもしれませんが。こんな暑い日にはとても気持ちがいいのでしょう。顔がだらけています。

 

 がらがらー、いきなりお風呂場のドアが開きました。

 びっくりした小傘ちゃんは立ち上がります。ざばぁっと彼女の体に水が流れ落ちていきます。

 

「うわっ」

 

 入り口から顔を出したのは村紗でした。何か言って後ろに飛びます。小傘ちゃんは不思議に思って湯舟から上がり、水着のままでぺたぺたと歩いてひょっこり入り口から顔を出しました。

 

「あ、小傘さん」

 

 村紗は目をぱちくりさせていました。

 

「何か音がするから来てみたんですが、びっくりしましたよ」

「え? びっくりしたの?」

 

 小傘ちゃんは急に笑顔になります。条件反射のようなものであんまり意味はないです。でも村紗もいい子でした。

 

「とぉーってもびっくりしましたよ」

 

 村紗は体でためをつくって、「びっくりした」という時に両手を広げながらいいました。小傘ちゃんは、思わずお風呂場のドアを閉めてしまいます。

 

 ふらふらとお風呂場で小傘ちゃんはしています。そして両の掌をほっぺたにつけて

 

「えへへ」

 心底嬉しそうに笑顔になったのでした!

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
点
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。