炎で焼き尽くす! The Fire Emperor 作:海原に住まう者
「突然じゃがお主には転生してもらう。異論は認めん、というか転生してくださいお願いします」
「いやいや、いきなり何を言ってるんだお前?」
気が付くと俺は真っ白な空間の中にいた。しかも足元にはどけ座をしている爺さんがいる。
「まぁ、なんというか、カクカクシカジカで……」
「なるほど、つまり俺を含めた数人の人を殺してしまい、その証拠隠滅で転生させると」
「そ、そうじゃ……」
「ふ~ん」
「……怒らないのか?」
「別に。悔いは無かったし」
勉強はできたけど友達は少なかったし、かといってイジメられもしなかったけど。
いつもいつも同じように学校に行って、帰ってきては勉強をして寝る。なんというか、平和すぎてつまらなかった。
だから、俺的には今回の転生については快く思っている。他の奴らは知らないが……
「……そうか」
爺さんは少し悲しそうな顔をした後、なにか納得したかのように頷いた。
「平和をつまらないというお主には、あの世界は持って来いじゃろ」
「あっそ、じゃあ期待しとくよ」
刺激のある世界だといいけど。
「それじゃあお主には、いくつかプレゼントを贈ろう」
「プレゼント? お菓子でもくれるのか?」
「そんなもん転生してから食え。わしが与えるのは、戦って生きるための術じゃ」
そう言うと、何もない空間から爺さんは四角い黄金の箱を出した。
「それがプレゼントか? 売って武器でも買って、戦うのか?」
「アホかい! これはわしの力そのものじゃぞ!」
いや、そんなに怒らんでもいいだろ。事情を知らないんだからよ。
「で、それを出してどうするんだ?」
「まぁとりあえずここから手を突っ込んで、中にある物を一枚取るのじゃ」
「……わかった」
爺さんに言われた通り、俺は箱にある穴に手を突っ込んで中に入っていた紙を一枚取り出した。
見てみると、その紙はオレンジ色の光沢放っていて、炎のような模様が記してあった。
「これはまた、当たりを引いたようじゃの」
「?」
なにか爺さんがボソボソと呟いているが、気にしないでおこう。
「次はこの箱から三枚引いてもらうぞ」
すると今度は銀色の箱を何もない空間から出した。
俺はさっきと同様に、箱の穴に手を突っ込み紙を三枚取り出した。
しかし三枚とも白紙のため、なにが書いてあるかは分からない。もしかしてハズレか?
「……まぁ、これで容易く死ぬことはないじゃろ」
「なんか意味深な発言だな。なにが書いてあったんだ?」
「それは、後のお楽しみじゃわい」
フォフォと笑いながら、箱を消す爺さん。
「これで準備は整ったが、なにか質問はあるか?」
すると今度は真剣な眼差しになってそう聞いてくる。
「特にこれといった質問はないが、強いて言うなら……『アカメが斬る!』ってどんな世界なんだ?
名前は聞いたことはあるが、実際に見たことがないんだよ」
「構わんが、それじゃあ楽しみが減るじゃろ(まぁ、あの世界に楽しみがあるのかは分からんが)」
「具体的じゃなくて大雑把でいいよ」
「う~む、そうじゃな……ものすごく簡単に言うなら『絶対君主制で支配している国と、それに対抗する革命軍による戦い』かの?」
「なんだその中世ヨーロッパみたいな設定は。恐ろしすぎるだろ」
「それほど戦い
うわ~、なんか随分とややこしそうな場所だな。
たしかに俺は刺激を欲したが、そんな中世ヨーロッパみたいな王様&貴族&大商人万歳!の世界じゃなくてもよかったんだけど。
「まぁ心配になったら、他の転生者と手を組むのもいいと思うぞい」
「あぁ、そうした方が生き残れるかもな」
どんな奴らかは分からないが、少なくとも話が分かる奴らだといいな。
「もう聞きたいことはないかの? ないなら直ぐにでも送るが?」
「おう、いいぜ」
「わかった。では、いくぞい」
そう言うと、爺さんはパチンッと指を鳴らした。
すると何てことだろうか、俺の体がみるみるうちに薄くなっていった。
「……死ぬなよ」
「どうして最後の最後でそんな言葉が出てくるだよ……」
どんだけ危険な世界なんだよ。不安になってきたじゃねぇか。
そして、俺は胸の中に何かモヤモヤしたものを感じながら、この空間から消えていった。