炎で焼き尽くす! The Fire Emperor   作:海原に住まう者

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01 始まってすぐにゲームオーバー? ……斬新?

「……ど、どこだここは?」

 

 目を覚ますと、俺は吹雪が吹き荒れる極寒の地にいた。

 

「ちょっっっっっっっっっっっとまてぇぇぇぇぇぇぇええ!!!!!!!!」

 

 なんでいきなり極寒世界にいるんだよ!? これじゃ直ぐに死んじゃうじゃねぇか!? なんだよ、新人生始まった途端に脱落か!? 始まってすぐにゲームオーバーとか斬新すぎだろおい!!

 

あの爺さん、よくもこんな死世界(ニブルヘイム)に俺を送り込みやがったな……今度会ったらぶん殴ってやる!

 

「絶対に許さん! (ヒュゥゥゥ~)つーか寒すぎる! 爺さんにキレてる場合じゃねぇ!!!」

 

 とにかく今はどこか寒さをしのげる場所に行かなければ! じゃないと本当に氷漬けにされちまう!

 

「(ガタガタ……)」

 

そう思い、俺は体中をガタガタと震わせながら、寒さと吹雪をしのげる場所を探しに歩き始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆

 

~60分後

 

 

「と、とにかくこれで吹雪はしのげるぞ……」

 

 吹雪の中を歩いて60分、俺はどうにかこうにかで吹雪をしのぐことができる洞窟を見つけることができた。

 大きさは大体大人が一人入れるぐらいで、獣が住んでいそうな痕跡も見当たらない。

 

「でもやっぱ寒いな……」

 

 しかし、それでもここは極寒世界。吹雪はしのげても身も凍りそうな寒さだけはしのぐことはできない。

 

「なにか火を起こせるものはないかな……」

 

 そう言い、俺は洞窟内を見渡した。

しかし周りにはひんやりと冷たい灰色の岩しかなく、とてもじゃないが火を起こせそうなものは一つもなかった。

 

「うわ~、まさに絶体絶命だな」

 

口で言うと事態は軽そうに聞こえるが、内心はマジで絶体絶命の大ピンチだ。

 

 火は起こせそうなものはない。服は小作人が着てそうなボロボロな布きれ。身長も何故か小さくなってるし(洞窟探している途中に気づいた)。こんな状態で寝てしまえば確実に凍死してしまう。

 

「どうしたものか……」

 

 体育座りで体をうずめながら、俺はどうやって寒さをしのげるかひたすら考える。

 

その時だった――一枚の紙がヒラヒラと降ってきた。

 

「洞窟の中なのに、なんで上から降ってくるんだ?」

 

 疑問に思いながらも、俺はその紙を手に取って読み始める。

 

 

 

 

【特典・現状の説明】

転生する前に決めた特典について説明するぞい。

あっ、特典というのはくじ引きで引いたアレな。以下の4つがそれじゃ。

 

《金ボックス》

これで決まったのは、この世界でのキーアイテム『帝具』の選抜じゃ。お主がこの世界に慣れた時ぐらいに渡すからの。

帝具名:焦熱星天/プロメテウス

能力:炎の操作

形態:血液型

 

《銀ボックス》

これで決まったのは、特別なスキルじゃ。fateを元にしている。

①カリスマ:B+

軍団の指揮能力、カリスマ性の高さを示す能力。団体戦闘に置いて自軍の能力を向上させる稀有な才能。Bランクであれば国を率いるに十分な度量。

才能のため、努力ではランクは上がらない。

 

②軍略:D

多人数を動員した戦場における戦術的直感能力。努力次第でランクは上がっていく。

 

③勇猛:E+

威圧、混乱、幻惑といった精神干渉を無効化する。また、格闘ダメージを向上させる。

Eランクだと獣への恐怖が薄れる程度しかないが、努力次第でランクは上がっていく。

 

《現状説明》

最後にお主の現状説明じゃが、間違えてお主を極寒地に送ってしまった。一応あやまるが、どうにかして生き残るのじゃぞ。

あと、その地域には『危険種』と呼ばれる生物が多く生息しておる。心しておくように。

それでも無理・怖すぎ・生きていく自信がないと言うなら、ここから北に歩いていくと危険種を専門に狩っている民族が生活しているから、そやつらに助けてもらいなさい。

(※その民族は極めて冷酷・残忍じゃから気をつけろよ)

 

 

 

 

 

「突っ込みどころ満載だが、fateのスキルについては俺も知ってるから心強いな。

現状では全然使えないものばっかだけど……」

 

 手紙を読み終え、俺は吹雪が吹き荒れる外をぼんやりと眺めた。

 

主にこれからどうするべきかについてだ。

現状では、手紙に書いてあった民族の住んでいる村に行くのが一番いいかもしれないが、爺さん曰く冷酷・残忍らしいからな。

もしかしたら村に着いた途端に殺される可能性があるかもしれないが、このまま洞窟の中で過ごしてゲームオーバーというのはもっと嫌だしな。

 

「どうしたものか(ぎゅるる)……腹も減ってきたし」

 

 考えろ。考えろ、俺! どうやったら生き残れるか。どうやったらこの大ピンチを切り抜けられるかをッ!

 

そうやって自分を奮い立たせようにも、吹き荒れる吹雪を眺めることで俺の精神は少しずつ削られていき、いい案を絞り出そうにも現状の辛さがそれを許さない。

 

「はぁ……仕方ない。とりあえず人に頼るのが一番だよな」

 

 結局なにも考え付かなかったため、俺はこの世界の住人に助けを求めることにした。

……いきなり殺されなければいいけど。

 

 

そんな不安を心に感じながら、俺は憂いに満ちたオーラを出して吹き荒れる吹雪の中へと前進していった。

 

 

 

 

 

 

 

◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆

 

~???side

 

 

 

『グオオオオオオオォォォォォォオオオ!!!』

 

「……見つけた」

 

 吹き荒れる吹雪の中、小高い丘の上にいる少女がそう呟く。

少女の目に映っているのは三匹の猛獣。色は濃い青色で、鋭い牙と厚い鱗に覆われているところから恐竜のようにも見えた。

 

「よし……ッ!」

 

 少女はそう呟き、丘の下で走っているその『危険種』を追いかけ始める。

狙うは一番手前。目標を定め、手に持っている短剣を再度握りしめる。

 

「ハッ!」

 

『ゴアアアァァァ!?』

 

 掛け声とともに、少女は丘を飛び下りて猛獣の背中へと飛び乗る。

そして猛獣が振り落とそうとする前に少女は短剣を振り上げ、刹那の間に猛獣の首へと刃を突き刺した。

 それにより猛獣の首から血しぶきが吹き出し、少女を紅に染める。

 

「やった!」

 

 しかし少女の顔は恐怖ではなく、歓喜の表情が浮かんでいた。

そしてそのまま少女は慣れた手つきで絶命した猛獣の手足を縛り、大人一人が余裕で入りそうなほど大きな籠へと入れた。

 

「えへへ♪ お父さん驚くだろうなー」

 

 ずるっずるっと鼻歌交じりで引きずりながら、少女は父の待つ村の方向へと引き返す。

 

 

その時だった

 

 

 

――――――! ―――!

 

 

「えっ?」

 

どこかからか聞こえてくる悲痛の叫びが少女の耳へを入ってきた。

 

「気のせい、かな…?」

 

 空耳だと思った少女は何事もなかったかのように再び歩き始める。

 

しかし、獣にも匹敵する彼女の『直感』が警告のアラームを鳴らした。

少女はすぐに戦闘態勢に入れるように、腰に差している短剣と周囲を慎重に警戒し始める。

 

 

 

――は―へ――! た――け―――!

 

 

「……!」

 

 その瞬間、少女の警戒心は最大値になった。

 

吹雪のせいではっきりとは聞こえなかったものの、たしかに聞こえてきた『人の声』に。

 

「隠れても無駄よ! 出てきなさい!」

 

 近くに潜む敵を威嚇するように、少女は声を張り上げる。

 

それと同時に、前方から人影が見えてきた。

ゆっくりとした足取りでこちらに近づいてくる影に、少女は短剣を再度握りなおす。

 

「……」

 

「……あなたね、私の後をつけていたのは」

 

 やがて影は止まり、その姿を明らかにした。

 

銀色の髪にアメシスト色の眼。将来イケメンになるだろう端正的な顔。吹雪になびくボロい布の服。

これらのことより、少女は近くの村の争いの虎児ではないかと推測した。

 

「……」

 

「なにが目的なの?」

 

「……に…く」

 

「えっ?」

 

 少女の問いに、少年がか細い声でそう呟いた。

 

「……その獣の肉が欲しい」

 

「獣って、これのこと?」

 

 そう言い、少女はさっき仕留めた猛獣の方を見る。

 

「あぁ……それのこと」

 

「ダメよ! これは私が仕留めた獲物なんだから!」

 

 そう。この仕留めた猛獣は父に自分の力を認めさせるものであって、決して他人に渡してはならないものなのだ。

 自分は一人前だと認めさせるための大事な証拠。それがこの仕留めた猛獣なのだ。

 

「少しでいいんだ。肉を分けてほしい」

 

「絶対にダメ!」

 

 全力で否定する少女は、短剣の切っ先を少年に向ける。

 

「もしあなたが私の獲物に手を出そうとしたなら、問答無用で殺すわ!」

 

「……」

 

 少女の気迫に押されたのか、少年は口を閉ざす。

それにより少女は安心して警戒心を少しだけ解き、猛獣が倒れている籠を引っ張ろうとする。

 

 

――その瞬間

 

 

「……わかった」

 

「ッ!」

 

 少年から言い寄れないプレッシャーが放たれた。

 

「それじゃあ、君から奪い取るとしよう」

 

 言い終わると同時に、少年は少女に突進した。

 

「させない! ……キャッ!?」

 

 それを迎え撃とうと少女は短剣を振りかぶるも、気づいた時には少女は地面に倒され、その上に少年が跨っていた。

 

「(くっ! なんて力なの……ッ!)」

 

 体制を整えようとするも、少年は思った以上に力が強く振り落とすことはできなかった。

持っていた短剣も倒れた所為に落としてしまい、少女に抗う術はなかった。

 

 

 

「(あぁ。わたし、ここで死ぬのか)」

 

 そんな中、少女は心の中で走馬灯ともいえる父の言葉を思い出した。

 

それは一族の教えであり生きる術。そして少女にとっての常識。

弱いものが死に、強いものが生きる――すなわち『弱肉強食』の教えだった。

 

そう聞かされ続けてきた少女は常に『強者』の側だった。一族を仕切る長の娘として、少女はどんな猛獣も狩ってきた。

 

 死んでしまうのは弱かったから。ただそれだけのこと。

 

それが今度は少女の番だということだけだ。かつての母のように、自分も死ぬ。

 

「……ははっ」

 

 それなのに、少女からは涙ではなく笑い声がこぼれた。

理由は分からない。だが、今度は自分の番と思うと、自然と笑みしかこぼれなかった。

 

 しかしそう感じたのはつかの間、少女の眼からは幾節もの涙が零れ落ちた。

それは、自分ひとりで狩りに行ったという見栄を張ってしまった後悔によるものだった。

 

「……なにしてるのよ、早くとどめをさしなさいよ」

 

 涙声で少年にそう言う少女。

 

「……はぁ」

 

 しかし、少年はため息をつくだけで何もしなかった。

それどころか、少年は立ち上がり少女を自由に動けるようにしたのだ。

 

「ど、どうして……」

 

 困惑する少女。

なぜなら、少女にとって敵を解放するなどという行為の心など持ち合わせていなかったからだ。

 

「どうして私を離したの?」

 

 故に、少女は答えを欲した。

自分よりも強いから? それとも気まぐれか? どちらにしろ、愚の骨頂ともいえる行動の原理を知りたかった。

 

「……なんでって、そりゃあお前」

 

 少年が口を開く。

 その瞬間、少女――『エスデス』にとって、少年がいったい何に見えたのだろうか。

 

女の子(お前)が泣いたからに決まってんだろ?」

 

 この少年との出会いをきっかけに、エスデスの未来は大きく変わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




帝具名を変更しました。
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