炎で焼き尽くす! The Fire Emperor   作:海原に住まう者

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04 超級危険種の討伐②

 

 

――翌朝

 

 

「……お、重い?」

 

 朝日が昇る前の薄暗い時に、俺は胸に重さを感じ目を覚ました。

ふと横を見てみると、明らかに布団の膨らみが一人分ではなかった。

 

「はぁ、またかよ……」

 

 しかし俺はこの状況に心当たりがある……というかここ最近、毎日のようにこのような状態が続いているため驚きはしない。

俺は呆れた表情をしながら、布団を掴み思いっきりひっぺ替えした。

 するとその中にいたのは、やはり気持ちよさそうに寝ているエスデスの姿だった。

 

「起きろエスデス!」

 

「ん……? ふぁぁ……おはよう、エース」

 

 エスデスは目をこすりながら上半身を起こすと、俺を見て何事も無かったかのようにそう言ってきた。

 

「なにがおはようだ! 布団に入るなっていつも言ってるだろうが!」

 

「別にいいじゃん。減るもんじゃないしさ……もう少し寝ようよエース。まだ朝日も昇ってないよ」

 

 そう言うとエスデスは俺の腕にしがみついて二度寝をしようとするが、俺はそれを振り払い布団から出た。

 

「わるいが二度寝すると体がダルくなる。寝るならエスデスだけで寝とけ」

 

「じゃあそうする~……」

 

 そう言い残すとエスデスは布団をかぶり再び寝始める。

 

「はぁ、この様子じゃ何言っても無駄か」

 

 俺はため息混じりでそう呟いた。

 

さっきも言ったが、エスデスが布団に入ってくるのはこれが一度や二度ではない。もう何十回も俺の布団の中に入っては、何事もなかったようにぐっすりと寝ている。

最初は間違えて入ってきたのだろうと思ったが、五回目ぐらいの時に流石に多すぎると思ったのでエスデス本人に聞いてみたら、故意的に入ってくると言ってきた。

それ以来、俺の布団には入るなよと言いつけているのだが、現状のようにまったく聞く耳持たずだ。

……美少女と一緒に寝るのは嬉しいが、俺も男なのでいい加減やめてほしい。

 

 そんなことを思いながら、俺は扉を開けて外に出た。

 

「……綺麗だな」

 

 するとそこに広がっていた光景はまさに幻想だった。

この氷海だけが曇天に覆われていたが、朝日が前から差し込んでくるせいで空の景色がより一層はっきり見え、さらにこの氷と雪に覆われた村と高くそびえたつ雪山のおかげで非常に美しい光景を作り出していた。

 おそらく朝日が昇るこの時間帯でしか見ることができない光景に、俺は感動をうけた。

そして同時に、俺達のいる氷海だけが曇天に覆われていることに疑念を抱いた。

 

まるでこの氷海だけがなにか不思議な力に包まれているような……そんな感覚だった。

この不可思議な現象も、今回出現した超級危険種によるものだと思うと俺は少しゾッとした。

 

「いや、考えすぎか。さすがに超級危険種でも天候までは操れはしないだろ」

 

 だが俺はすぐにその考えを否定した。

さすがに超級危険種だろうと天空まで意のままに操れでもしたら、0%とまでは言わないが討伐隊が勝てる見込みは限りなく低くなる。

……まぁ俺としてはそっちの方がおもしろいけどな。

 

「よしっ! とりあえず体を動かしとくか。ここすげー寒いし」

 

 そして俺は長たちが起きるまでの時間、食糧調達もかねて集落の外へと狩りに出かけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ 

 

 

『これはうめェ!』

 

『まさか朝からこんなご馳走がでるとはな!』

 

『さすがエースだな!』

 

 日もすっかり昇ったころ、俺達は朝食を摂っていた。

今回の朝ごはんは特級危険種『エビルバード』の丸焼きだ。運よく二匹がまだ寝ているところを見つけて、そのまま起こさないように殺した。

 

「おいし~♪」

 

 エスデスもおいしそうに食べていた。

 

『おいマジかよ……』

 

『特級危険種だぞ……』

 

『なんでも子供が仕留めたらしいぜ……』

 

『パルタス族……噂通りの人外どもか』

 

 周りでは他の村からきた討伐隊の人が俺達を畏怖と羨望の眼差しで見ていた。

 

ゲヘヘヘ、そうだもっと褒めろ劣等ども! お前たちとじゃ格が違うんだよ!

どれどれあいつ等はいったいどんなのを食ってんだ……? おっと! これはこれは何ともまあ貧相な干し肉ではございませんか! そんなんじゃ力が出ないでしょ~。

 

 そう思いながら、俺は他の村の奴らに骨付き肉をかぶりつく姿を見せつける。

 

『あの餓鬼、俺達に見せつけてやがる』

 

『ちきしょ……! 羨ましいけど何も言えない!』

 

『はぁ……アイツらっていつもあんな美味いもん食ってんのかな?』

 

『俺、生まれる場所間違えたわ』

 

 俺のS心がくすぐられる。実にいい気分だぜ!

 

しかしそれも長い間続かなかった。

突然、集落の出入り口の方が騒がしくなったからだ。

 

「はぁ、来やがったか」

 

 長は深くため息をつきながら、心底嫌そうにそう呟いた。

いや、長だけでなく周りにいる人たち全員が途端に沈んだ顔になった。

 

「なぁエスデス、誰が来たんだ?」

 

「そんなの見に行かないと分かんないよ」

 

「だよな。おし、じゃあ見に行くか」

 

 持っていた肉を素早く食べ、俺とエスデスは騒ぎのする方へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆  

 

 騒ぎのする方に向かうとそこには人が集まり、中心には馬に乗っている人を先頭に最後の討伐隊が到着していた。

 

「ねぇエース、最後に到着したってことは……」

 

「あぁ。あいつ等が『北方異民族』だ」

 

 長が昨日、北方異民族だけがまだ来てないって言ってたからな。

 

「おっ! おいエスデス、真ん中に子供がいるぞ!」

 

「うそ!? ……ほんとだ」

 

 ジッと歩いているのを見ていると、馬に乗っている村のリーダー格ぽい奴の隣に、これまた立派な白馬に跨っている同い年ぐらいの少年がいた。

 黒い髪を腰まで伸ばし、顔もどちらかというと女顔の美少年だ。

 

「ここに来たってことは、やっぱり実力があるってことだよね?」

 

「まぁそうだな。少なくとも弱くはないと思うぞ?」

 

「ふ~ん」

 

 エスデスは興味深そうにその少年を眺めていた。

 

「……会ってみるか?」

 

「もちろん!」

 

 そして俺達はその北方異民族が集まっている場所へと向かい、少年がいる方へと駆け寄った。

 

「よぉ!」

 

『ん? 誰だい君は? 』

 

 俺が第一声に声をかけてみると、その美少年はいかにも不機嫌そうに返事をした。

 

「俺はエース。いちおうパルタス族だ。こっちが――」

 

「エスデスよ。よろしくね!」

 

「へ~、パルタス族ね……」

 

「「?」」

 

「……まぁいいか。僕は『ヌマ・セイカ』。いちおう『皇子』だよ」

 

 へ~皇子様なのかコイツ。道理で立派な白馬に乗っていたわけか~。はははっ、皇子様か~。

プリンスかぁ……って、ちょっとマテェェェエエ!!!!!

 

「お、おまえ、皇子様なのか!?」

 

「ん? そうだよ」

 

「プリンスなのか!?」

 

「だからそうだって言ってるじゃないか」

 

 こ、これは驚いたぜ。まさかこの討伐隊に皇子様が来ていたとは。やっぱ強いんだろな。

あっ。でもエスデスも村の長の娘ってことは、エスデスは皇女様じゃないか? いちおう長はあれでもリーダーなんだからな。

 

「へ~、そうなんだ。じゃあ私と一緒だね!」

 

 どうやらエスデスも同じことを思ったらしいな。

 

「一緒?」

 

 だがその瞬間、セイカの目が鋭くなった。

 

「うん! 私も長の娘だからさ「違うよ」……え?」

 

「僕を君のような野蛮な人たちと一緒にしないでくれないか」

 

 エスデスが一緒と言った途端にセイカは態度は急変した。

 

「僕の一族の勢力はこの北方で一番だ。つまり僕たちはこの北方で一番『偉い』のさ!

ということは、一族を率いるリーダーの息子である僕はこの北方で一番偉い『皇子』ってことなんだよ! 君みたいに劣等で野蛮なパルタス族の『女』と一緒にしないでくれないかい?」

 

「ッ!?」

 

 散々な悪口を言われた瞬間、エスデスの表情はさきほどとは違い怒りに染まった。

それもそうだ。自分だけでなく一族の悪口を言われたんだ。キレないはずがない。

 

まぁたしかにこの北方で一番の勢力であるコイツ等は偉いかもしれない。それは認めるし、一理あると思っている。それもまた弱肉強食だからな。

 

 

だけどよ――大事な人たちを馬鹿にされて黙っているほど、俺は不義理ではない

 

 

「そういうわけだよ。さっさとこの手を退けてくれないかい、野蛮な『皇女様』?」

 

「おまえ……ッ!「うるせぇよクソ餓鬼」え、エース?」

 

「なに? ……ッ!?」

 

 エスデスが殴りかかる前に、俺はヌマ・セイカに向けて最大限の殺気をぶつけた。

 

「挨拶もろくにできない餓鬼のくせになにが偉いんだ? 親がいてこその地位だということに気づいていないクソ餓鬼が、エスデスを下に見てんじゃねぇよ!」

 

「なんだと……ッ! 僕がお前らより下だと言いたいのか!」

 

「そうだよ! 少なくとも俺よりも下だと思うぜお前は! どーせ危険種が狩れてもせいぜい一級か二級が程度だろうが!」

 

「そういう君たちはどうなんだ! その口ぶりだとまるで特級危険種が狩れるみたいな言いぶりじゃないか!」

 

「あぁ、エビルバードぐらいならやれるぞ。あそこで丸焼きにしているのが証拠だよ」

 

「なっ!?」

 

 俺が指を指しながらドヤ顔で言うと、そちらに目線を移したヌマ・セイカはかなり驚いたらしく口が開いたまま固まっていた。せっかくの美男子もこれじゃあブサイクだな。

 

 そしてしばらくフリーズしていたヌマ・セイカは我に返ると、こちらに目線を戻しなぜか得意げな顔つきになった。

 

「ま、まぁ、それなりに実力があるようだね。だけど今回の討伐目標は『超級危険種』、特級とは段違いのレベルの相手だ。君たちもせいぜい死なないことだね。

というわけで、僕はこの後用事があるからここで御暇(おいとま)させてもらうよ」

 

 それだけを言い残し、引き攣った顔つきでヌマ・セイカはこの場から去った。

 

「ケッ! 調子に乗りやがってあのボンボンが。討伐中に後ろからサクッと逝かせてやろうか。

行こうぜエスデス、ここにいても不愉快になるだけだ」

 

「……」

 

「……? おいエスデス、早く行こうぜ」

 

「えっ? わ、わかった!」

 

「なに慌ててんだお前?」

 

「な、なんでもないよ!? ほら早くいこっ!」

 

「……変な奴だな」

 

 何故かきょどっているエスデスに疑問を思いながら、俺は先に歩いているエスデスの後に着いていった。

心なしか、エスデスの顔が赤くなっていたが……まぁエスデスが風邪ひくわけないか。

 

 

 

 

 

 

 

◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆

 

 

――正午

 

 

 村ごとに討伐隊が並び、その数は30もあった。

ついに超級危険種の討伐が始まろうとしていた。今は作戦と武器の配布を行っているところだ。

なんでも今回の危険種は、雷属性以外の攻撃を全て無効化するらしい。どんだけチートやねん、というか黄金の外殻とクリスタルが付着していて、なおかつ雷属性以外効かないとか、もうこれって『アイツ』しかないだろ。

 しかも配布される武器も、海龍やらブヨブヨした飛龍の素材から作られているそうじゃねぇか。

この世界はいつモンハンの世界になったんだ……?

 

 

「ほらエース、これがお前のだ」

 

「おー! ……って、双剣かよ」

 

 長に渡されたのは、蒼海のように青いのが印象的な双剣だった。

 

「大剣か太刀の方がよかった」

 

「アホか。お前じゃ振るどころか持つことさえできないだろうが」

 

「そうだよエース。それにこっちの方が素早く動くことができるよ」

 

 そう言いながら、エスデスは手に持っている片手剣を見せた。

色が真っ白で所々に縫い目ぽいのがあるところを見ると、おそらくブヨブヨ飛龍の素材から作られた片手剣だろう。

 

「おいエスデス、盾はどうしたんだ?」

 

「捨てた」

 

「なにぃ!? ……まぁいいか。どーせ邪魔だろうし」

 

「いいのかよ……」

 

 本当に今から超級危険種を狩りに行くのか俺達? なんか普段の狩りよりも落ち着いているように思えるが。

 

『みなさん、武器は行き届いたでしょうか?』

 

 すると一番前から討伐隊の代表がそう言ってきた。

 

『行き届いたようですね。それでは早速、作戦の方を説明します』

 

 その言葉に全員が真剣に話を聞き始めたが、それほど難しくはなかった。

今回は前衛・中衛・後衛の三つに分かれて、前衛と中衛が交代で近接攻撃をして、後ろから後衛が遠距離で応戦する戦法らしい。

 まぁ簡単に言えば、負傷するまで戦えってことだ。

 

『……と、いうことです。それで前衛の方ですが、危険種の狩りに慣れている『パルタス族』と『北方異民族』の方々にお任せします』

 

「「はっ?」」

 

 代表の言葉に、俺とヌマ・セイカは鳩が豆鉄砲を食らったような顔になった。

 

「おいおいマジかよ……」

 

 長も頭を抱えて大きくため息をした。誰が見ても嫌そうな顔だった。

それもそうだ、なぜ犬とサルの仲の俺達が一緒に組まなければならないんだ。

 

「足引っ張るなよ、この『ボンボン皇子様』」

 

「それは僕のセリフだね、この『野蛮人』」

 

「「――んだとゴルァ!!!」」

 

 お互いすごい見幕でにらみ合いながら、俺達は火花を散らした。

絶対にコイツにだけは負けない、意地でも自分の方が上だと証明してやる。おそらく俺達二人ともそんな思いだった。

 

『落ち着いてください、セイカ様』

 

「え、エースも落ち着いて」

 

 間に入ってきた人が俺達を引きはがし、なだめる様に言葉をかけた。

しかしそれでも俺とヌマ・セイカはガンを飛ばしあい、結局収まるまで数十分続いた。

 

「……チッ。いけ好かない野郎だぜ」

 

「生憎、野蛮人と仲良くするつもりはないよ」

 

 それだけを言い残して、ヌマ・セイカは自分の持ち場へと戻った。

 

「おいエース、いったい何があったんだ?」

 

「べつに。ただあの皇子様(笑)がウザかっただけだよ」

 

「そうか、だったら潰してこい。俺が許可する」

 

 さすが長だ。話が分かってるぜ!

だけど元からそのつもりだよ。今回の討伐中に隙を見て、全治一年の大怪我を負わせてやる。

 

「……まぁ、そんなことは後だ。とりあえずエースとエスデスもこっちに集まれ」

 

 そう言い、俺とエスデスは皆と同じように円を作りその場に座った。

皆が座り終わると、真剣な顔つきで長が口を開いた。

 

「これが俺からの最後の命令だ――絶対に死ぬなよ」

 

 その言葉に、皆が口々に「わかってる」「そのつもりだ」と言った。

ここにいる一人一人に大事な人がいるかぎり、全員死ぬ気はさらさらない。無論、俺もだ。

 

「みんな変わったね」

 

「いきなりどうしたエスデス?」

 

 すると突然、隣にいたエスデスがふとそんなことを言い出した。

 

「うん。昔のみんなだったら『死』は弱者にしかないものだと思っていたもん。

でも今じゃ、大事な人(か弱い人)を守ろうと必死に生きている。死を身近に感じることができた。

……エースが来て以来、みんな弱い人の気持ちが分かったんだよ」

 

 エスデスは微笑みながらそう言ってきた。

たしかに俺はいつも『強者が弱者を守るんだ!』と言っているが、その度にみんなに笑われていた。

『お前の考えは甘すぎる』『早死にするぜ』とか、いくらみんなに訴えても理解してくれなかったのに。

 

「そんなお世辞いらねえよ。言い方が悪いかもしれないが、お前達じゃ理解できないと思うぜ」

 

「お世辞じゃないよ。エースとお父さんが大喧嘩したあの日以来、みんなの考えは変わったよ」

 

「大喧嘩? ……あー、エスデスの母親についてか」

 

 そういえばエスデスの母親が死んだ理由を長から聞いたとき、長に殴り掛かったな。

『なんで自分が愛した女性をそんな風に言うんだ!』ってさ。

あの時は本当にヤバかった。もし周りの人が止めてくれなかったら、俺は村から出ていってた。

 

「うん。あの時は言えなかったけど、嬉しかった。エースのおかげでお父さんの本音が聞けたから」

 

「まぁあれだけは許せなかったからな。だけど、なんでこの一件でみんなの考えが変わるんだよ?」

 

「半信半疑だっただからだよ、エースの言っていたことが。強者が弱者を守るなんて、どうせ子供の理想論程度でしかみんな認識していなかったから。

でもお父さんと大喧嘩した時、エースは本気だってみんな思った。本気で弱い人を守ろうとしているってね」

 

 そう語るエスデスの顔はどこか嬉しそうに見えた。

まさか村の人がそんな風に思っていてくれていたなんて、必死に訴え続けてきた甲斐があった。

 

「じゃあ俺がエスデスを守ってやるよ」

 

「ど、どういう意味よそれ! 私がエースより弱いって言いたいの!?」

 

「うん」

 

「――ッ! エビルバードが狩れるからって調子にのって……!」

 

「事実だからしょうがないだろ?」

 

「そうだけどさ……」

 

 するとエスデスは少ししょんぼりとなった。

こういう子供っぽいところがあるからエスデスは可愛いんだ。おまけに人一倍負けず嫌いで努力家だから、余計に愛しく感じるし、気にしてしまう。

 ……やっぱ惚れてるのかな、エスデスに。

 

「ならお前が俺より強くなればいいんだよ。それだとエスデスも文句はないだろ?」

 

「……じゃあ、その時まで守ってくれる?」

 

 すると突然、エスデスは頬を赤らめながらそう言ってきたため、俺は一瞬反応が遅れた。

 

「あ、あぁ! お前が強くなるまで俺が傍で守ってやるよ」

 

「約束だよ?」

 

「おう! 男に二言はねぇ!」

 

「……それじゃあもう一つ。

もし私がエースより強くなったら、その時は私のいう事を一つだけ聞いて」

 

「別にいいけど、できる範囲でたのむぞ」

 

「う~ん……それは分からないかな?」

 

 エスデスは意地悪そうな笑みでそう言ってきた。

 

『それでは皆さん! 列を整えてください!』

 

 俺がエスデスに「なにを言うんだ?」と聞こうとした瞬間、一番前の方から代表が指示を出して、それと共にみんなが前衛・中衛・後衛の順で並んだ。

 

 ここにいる全員が武器を手に持ち、必要物資の入っているカバンを背にからい、そびえ立つ雪山の頂上を眺めた。曇天だというのに、頂上付近の空だけが晴れている光景に誰もが緊張した。

 

『それでは、いざ行きましょう! 我等に勝利を!』

 

『『『『『Sieg Heil!!!』』』』』

 

「なぜにナチス!?」

 

 最後の最後になぜこの掛け声なのか、のちのち長に理由を聞いてみたところ、なんでも数十の村と共同で狩りをする時に結束力の象徴のために叫ぶとのことらしい。

 

「ジ、Sieg Heilゥ!!!」

 

 だがこの時の俺はそんなことも分からないため、とりあえず周りに合わせて叫んだ。

そして心にモヤモヤ感を感じながら、俺は頂上へと向かった。

 

 強力のだと一国をも滅ぼすと言われる超級危険種、しかも今回は新種。

はたして俺たちに倒すことができるのか――

 

 

 

 

 

 

 




……なんか変になってしまった。
最近、寝不足なもので……すいません。次話はもっとちゃんと書きます。
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