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とある館の一室一人の男がワイングラス片手に月を眺めていた
ワイングラスをゆっくりと回し口に含む、その一つ一つの動作が気品に満ちており、月の光と相成って一つの絵画のように幻想的な雰囲気を醸し出している
「.....帰ったか」
男がゆっくりと振り返ると、そこには同じように貴族服に身を包んだ金髪の美青年が膝をつき身体を震わせながらこうべを垂れていた
「顔を上げい、それでどうだった?」
「はッはい!ほ、報告いたします!目標の確保に出動した部隊は目標に接触後逃亡した数匹を除いて目標により殲滅されました!」
顔を上げた青年は声を震わせながら報告内容を告げていく、だが非常に整っているであろう顔は恐怖にゆがみ、今にも倒れそうだ
「....生き残りはどうした?」
「て、敵前逃亡した者は、い、一匹残らず処分しました!」
「ふむそうかそうか」
男が青年の報告を聞き満足そうに頷く、何が面白いのか口元には笑みが浮かんでいる
「例え下っ端の使い捨てだろうともスカーレットに隷属している身、敵を目の前にして逃げ出す者など生きる価値など無い、お前もそう思うだろう?」
「はっ!お、おっしゃる通りです!」
青年は気づかない、男の笑みの質が変わってきていることに、その口元に残虐な笑みを浮かべていることに
「ならもう一度問おうお前はなぜここにいるのだ?」
「.....え?」
「
「そ、それは」
男の笑みが深くなる、より残虐により残忍に夜の魔王の笑みに
「敵前逃亡は『死』あるのみ、そうだろう?」
「ち、違うのですスカーレット卿!わ、わたしは目標の情報をお伝えしようと「だまれ!!」..ッ!」
先ほどのような笑みは無い、男の顔に憤怒に歪み全身から殺気が湧き出していた
「貴様も同族でありながらスカーレットに眷属する身、素直に認めるなら手足の一本で許してやろうと思っていたが....あろうことかこの私に言い訳をするか!愚か者め!!」
「も、申し訳ありませんスカーレット卿!」
「スカーレットの名を穢す塵めが、消えろ」
ゆっくりと男手が上がる、それをみて青年の顔が絶望の色に染まり顔面も蒼白になる
「お、お待ちくださいスカーレット卿!どうかご慈悲を!」
「塵にかける慈悲は無い」
手が上がりきった瞬間男の手の中に膨大な魔力の塊が出来上がり
命乞いをしていた青年を悲鳴すら上げさせず跡形もなく消しとばした
男の言葉通りに塵になった青年の残骸を男....吸血鬼一族の当主クドラク・スカーレットはしばらく眺めていたが興味がなくなったのか視線を月に戻し、ワイングラスを傾ける
「あら、また殺したの?お父様」
「....スカーレットの名を穢した塵を消しただよレミリア」
声の主レミリアと呼ばれた少女は部屋の奥、暗闇の中から浮き出るように出てくる、青い髪に紅い瞳、ピンク色のドレスに同色のナイトキャップのような帽子をかぶり背中に小さな羽を生やした少女が若干のからかいの色を含んだ声で問う
その問いに答えるクドラクは先ほどとは違い若干の優しさを感じる声で答えた
「それで?お父様、あれは捕まえられたのかしら?」
「いや、またダメだったよ送った奴らは全滅だ」
クドラクは残念そうにヒゲを撫でながら答える
もはや先ほどの雰囲気は完全に消えており少々厳ついが優しそうな父親の顔に変わっていた
「...そう残念ね、」
「あぁ、だがもう心配ない、次で捕らえる」
「?どうするの、何かいいアイディアでも?」
「いや、私自身が出ようと思う」
レミリアはその言葉を聞いて目を見開く
スカーレット家の当主がである父が家を空けてまで出るというのだ
「お父様自身が!?...あれは....そんなに強いの?」
「あぁ強い、一番最初に私が出れば確実に勝てただろうがいまでは私でも勝てるかどうかすらわからない」
「お父様より強いなんて...」
「だがあれは絶対に捕えなければならない!スカーレット家のためにも、何より....フランドールのためにもな」
「フランドール」レミリアの妹スカーレット家の次女、彼女は生まれながらにして狂気と凶悪極まりない能力「ありとあらゆるものを破壊する程度の能力」を持ち生まれ普段は冷静なのだが時折狂気に飲まれ破壊を撒き散らしてしまう、それがフランドール・スカーレット
今は彼女本人の希望で地下の部屋で生活をしている
「あれは鍵だ、フランの狂気が消え去りこんな森の奥で隠れるように暮らすのではなく、堂々暮らせるように、スカーレットがより強靭になれる鍵、そうだろう?レミリア」
クドラクは真っ直ぐにレミリアを見据える、それに答えるようにレミリアはゆっくとうなずく、
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レミリアの能力『運命を操る程度の能力』それは限りなく起こりうる枝分かれした運命を観測し任意の運命を引き寄せるという使い方によっては絶対的な能力
レミリアはその能力で見た幸せな運命を鍵をみつけ、それを掴むべくクドラクは目標....ウォルターを手中に収めようと何度も部隊を送ったが全て無駄に終わっている
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「えぇ.....あれをスカーレットの手中に収めれれば運命は確定するわ」
「ならば私は、奴と話しをつけにいく、交渉が決裂すれば最悪私の命を賭けてでも連れてこよう」
レミリアはクドラクの言葉を聞き俯くそしてその後何かを考えるように沈黙し、顔を上げる、その顔には何か決意をしたような表情が浮かんでいた
「お父様、明日...私が出るわ」
「なんだと?ヤツに会いにいくと?そんなこと許すと思っているのか?最悪殺し合いになるかもしれんのだぞ!」
「許すと許さないじゃないのよお父様、わたしは次期スカーレット家当主、お父様にだけ任せて私は家で見てるだけなんいてできないわ」
「……見えたのか?…運命が…」
「………………えぇ…私がいかないとだめなの」
「………………」
「………………」
「………はぁ、いいだろう許可する」
「ありがとう!お父様!」
しばらく睨み合っていた2人だがクドラクが折れて、しぶしぶといった様子で許可した、非常に苦い表情のクドラクとは反対に満面の笑みを浮かべるレミリア、小さな羽根をパタパタと羽ばたかせながら喜んでいる、
苦い顔をしていたクドラクだが、純粋に家族の役に立てることを喜んでいるであろうレミリアを見ていると次第に毒気を抜かれたように柔らかい表情になっていく
「だが一人ではいかせん
「えぇそれでは、明日の準備をしてきますわお父様」
そう言うとレミリアはクドラクに背を向け部屋を後にする
「.....気をつけるんだぞ、そろそろ私も引退したいんだ」
閉まりつつある扉からクドラクのささやかな激励を聞いたレミリアはしばらくヘアの前で佇んでいたがすぐに明日の準備をすべく歩き出す
「....良い夜を、お父様」
口元に笑みを浮かべながら明日の計画を立てるべく、廊下を歩くのだった
一方その頃
ベット(干し草)に寝っ転がっていたウォルターだったが
突然ガバリと起き上がり周りをキョロキョロと見回す
「あれ!?今日の飯どこいった?」
ウォルターの拠点の周りには森しかなく、もちろん店などもない、そのため自給自足の生活を強いられており今日も妖怪に襲われる直前までキノコや食えそうな山菜を集めていたのだ、それをカゴ(自作)にまとめて入れていたのだがそのカゴがどこにもない
この森本当に食べ物がすくないので朝から必死になって集めていたのだがそれがなぜか手元にない…かなり焦りまくりなのウォルターだが、なんとか頭を働かせてどこにあるかを思い出そうとする
えーと確か…確か夕方まで手に持ってて、暗くなってきたから帰ろうとして……あ!?
「そうだ!!あいつらの気配がしたからどっかに置いたんだった!確か〜ッなんか適当に近くの木の根元に置いた気がす…る…」
そこまで考えて先ほどの戦闘を思い出す、ウォルターが無駄に挑発したおかげでいつもより激しい戦闘になっていた、
そう辺り一面が血の海になるくらいに.......
そのあと血の海の中に埋もれた夕食を見つけたウォルター絶望のあまり朝まで直立不動でいるという光景があったりなかったり
というわけで第2話です
今回かなりの独自設定がありました
ぶっちゃけレミリアの能力とかフランの地下生活の理由とかなり曖昧です
クドラクの名前はかなり適当です