今日はバレンタインですね!!
それだけです!w
さて、なぜかとても不思議なところで終わってしまった前回でしたが、あの正体は一体?
side:黄泉
無線から聞こえてきた声は、秋のものによく似ていたが、いつもの秋にはないトゲトゲしさがあった。疲れているからなのか、怪我をしているからなのか分からないが、あんな声は最初に会った時にだって聞いたことが無かった。
「ねぇ、黄泉。秋は、無線ではちゃんと無事だってことを伝えてきたんでしょ?そんなに心配しなくても」
「でも・・・」
神楽は私を落ち着かせようとして言ってくれていることは分かる。しかし、そんな神楽の言葉を聞いても、安心をすることはできないでいた。
私は船から秋がいるはずである場所をずっと見つめていた。感じているこの胸騒ぎが、気のせいであることを祈って・・・
「見えたぞ!あそこだ!!」
岩端さんが大声で言ったのを聞き、私は急いで甲板の先端へ向かった。波は穏やかであったので、船の上下もないし、目的物を視認することも容易であった。そして目に入ってきたのは、今にも沈みそうな船の上で倒れている秋の姿だった。
「乱紅蓮!!!」
私は気づけば抜刀し、召喚した乱紅蓮の背に乗って、秋のもとへ飛んでいた。乱紅蓮は飛行することができないので、船の上に静かに着地させる。その着地で船が少しだけ上下に揺れた。
「秋!!」
声をかけても反応がない秋を抱き上げて、乱紅蓮の背に戻った。乱紅蓮はそのまま元の船へと戻ってくれている。
秋は生きていた。呼吸も正常で、霊力もいつも通りにある。外傷も特には見られなかった。
そのことに私は心底安心し、安堵のため息をもらした。
皆が乗っている船の着地も秋に負担がかからないように静かに乱紅蓮はやってくれた。船は揺れなかった。
獅子王を鞘におさめると、それに従い乱紅蓮も消えた。消える間際に乱紅蓮が微笑んだように見えたのは、多分気のせいだろう。
秋を乗せたことを確認した岩端がゆっくりと船を岸の方へ進め始めた。
耳に入ってくる音は、さざ波の音と、船のエンジン音だけだった。対策室の誰もが口を開こうとはしなかった。秋の意識が戻るのを、静かに見守った。
「よ、み…?」
すると程なくして、抱きかかえたままの秋が目を覚ました。何が起こっているのか分からない。そんな顔をしていた。
「秋!大丈夫!?無線で秋の様子がおかしかったから、心配したよ!!」
「無線・・・あ!骨鯨はどうしました!?」
今ある状況を把握しきれていないようで、秋は体を起こしながらそう言った。
「骨鯨って・・・秋無線で、『目標クリア』って言ったじゃない。・・・覚えてないの?」
私がそう言うと、秋は黙り込んでしまった。
秋の無線での態度の違いと、戦闘の内容を覚えていない点。何か関係があるのだろうか。
「戦闘中、何があったの?」
「戦闘中・・・」
記憶をたぐり寄せるように、秋はゆっくりと語り始めた。
「私は、骨鯨を焼き切ろうと火雷を発動しましたが、相手は火雷を跳ね返しました」
「跳ね返した!?」
火雷とは、おそらく土蜘蛛との先頭の際、秋が使った赤い大蛇のことだろう。あの威力は私も間近で見ている。あれを跳ね返すとなれば、カテゴリーBという判断基準を疑わねばならなくなるだろう。
「ええ。そして私が反撃をしようとしたとき、骨鯨が大きく首を上にもたげました。私を海に叩きつけようとしたようにも見えましたが、その時に骨鯨の胸に赤い光が見えたのです。それを見た途端、頭が痛くなり、私は気を失ったんだと思います。その後は、黄泉に起こされるまで何があったか、分かりません」
しかし、現状骨鯨の姿はない。秋の言っていることが正しければ、秋の気を失っている間に何かがあって、秋以外の人間が私たちに秋の回収を願った。ということであろうか。
「すみません、こんな形になってしまって・・・」
秋は、落ち込んだ様子でいった。
「何言ってるの!!倒したのよ?それでいいじゃない!」
秋の様子がおかしかった原因は、おそらく帰ってからの身体検査で何か分かるだろう。取り敢えず今は、無事に秋が帰ってきてくれた。それだけで私は満足だ。
「さ、帰ろう。秋、神楽」
そう言って私は、二人の手を引いて、岸辺に止まった船から桟橋へと、飛び移った。
side:黄泉
秋はそのまま真っ直ぐ、環境省直轄の病院へ直行し、記憶喪失についての精密検査を受けた。
対策室のメンバーは怪我や精神的な苦痛を気づかないうちに受けていることが多いため、定期的にこういった検査を受けることが義務付けられている。
最新鋭の機械たちを駆使して、行われた秋の精密検査であったが、秋の記憶喪失の原因は何一つ分からなかった。
医師の診断によると、おそらく脳の防衛本能ということだった。
まれに脳は、激しいショックで精神が壊れてしまわないように、記憶を一時的に封印してしまうことがあるそうなのだ。秋の記憶喪失もまた、その類であろう。という結果であった。
そんなにあの戦闘でショックなことが起こったのだろうか。秋は赤い光を見た直後から記憶がないと言っている。その赤い光に何か理由があるのだろうか。
「黄泉、どうかされました?」
考え込んでいた私を覗き込むように、秋が顔を出した。
今日は私の学校が休みのため、対策室で今までの資料のチェックなどをしていた。私の手が止まっているのを見て、秋が声をかけてきたようだった。
「あ、ごめん。何でもない。それより、秋は学校に行かなくてもいいの?私は今日は休みだからいいけど」
「あぁ。そのことでしたら、大丈夫ですよ。過去に高校卒業程度の学術は、全て総務省管轄の学校で頭の中に入れさせられましたから」
「それは、私が宿題で分からないところがあったら・・・」
「無論、教えられますよ。ただし、問題を解くお手伝いをするにとどまりますが」
秋は笑いながら言った。
よし。これでこれからは、授業に遅れて内容が分からなくなって困ることはない。
私は心の中で、少しだけずるいことを考えた。
「そう言えば、今日神楽は学校に行っているんでしたね」
「えぇ。お勤めのせいであまり友達と遊ぶ機会とかもないだろうから、こういうときに友達と遊んでおかないとね」
「・・・、つかぬことをお聞きしますが、黄泉、あなたお友達学校にいますか?」
秋は私の心を鋭い刃でえぐるだけでは事足らず、私のか弱い精神にまで刃を突き立てていった。
そう、私はお勤めで放課後はおろか、授業中に抜け出すことも多々ある。そのため、友達が一向にできない。
友達はいるに越したことはないが、別にいなくても支障はないと思っているので、今の環境にそろそろ自分に暗示をかけているところであったのだ。
それなのに・・・
「あああ!ごめんなさい、黄泉!別に私、変な意味を持って言ったわけではないのです!大丈夫です。黄泉には
私たちがいますよ!!」
慰めのつもりか、必死になってくれている秋の言葉が今だけは、まったく心に響かず、虚しさを呼ぶだけだった。
話の進むペースが遅くて申し訳ありません・・・
頑張って書きますw
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