行き場を無くした雷   作:四季乃

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大変お久しぶりでございます!!!!

前回の投稿からはてさて何年経ったことやら・・・
あれだけ定期的に更新していくと言っておきながら・・・お前はどんだけ亀更新なんだよ!いや、亀を通り越してアメーバか!?と突っ込みたいところです。はい。

ごめんなさい。

そして、そんな亀より遅いアメーバ更新を待っていてくださった皆様、本当にありがとうございます。気まぐれ更新ですが、お付き合い願えれば、幸いです。


第十五話

side:秋

 

いつものメンバーが集う対策室の一角で、点検を免れた使われていない退魔武器を神楽が疑いを持った目で眺めていた。私と黄泉がそれに対して、あーでもない、こーでもないと指摘をしていた。

 

「しかし黄泉、獅子王を点検に出してしまって良かったのですか?いくら黄泉でも、実戦で素手は些かキツいでしょう」

 

「ええ。でも秋もいるし、倉庫に残ってる武器もあるから・・・」

 

そういって黄泉は残っている退魔武器を眺めた。そこにあるのは、誰も使っていないだろうアイロンやチェーンソーのような、とても武器に見えないような武器たち。

 

「これ本当に武器なの?」

 

神楽がアイロン型退魔武器を眺めながら言った。

 

私もどのような戦い方をすれば良いか見当もつかない。

 

「あの人、アーティストだから」

 

黄泉は苦笑しながら言った。そして、一つ一つの武器を眺めて、神楽が手にしているアイロン型退魔武器、退魔式鉄拳(たいましきナックル)打杯28號(ダグラス28ごう)』を指差して、これにするわと言った。

 

私としては、チェーンソーの方が破壊力はあると思ったのだが、重量がありそうなので、通常刀一本で戦っている黄泉の判断は的確と言えるだろう。というか、それぐらいしか選択肢がないのだが。

 

「じゃあ、練習しよ!」

 

「そうですね。慣れない武器でいきなりの実践は辛いでしょう」

 

私も神楽の意見に同調した。すると、黄泉は飯綱のことを一瞥した。飯綱は黄泉の婚約者だ。この後、二人でデートとかの予定があっても不思議ではない。

 

そう考えてから、私は先ほどの発言を撤回したくなった。しかし、その思考を飯綱はありがたくも否定してくれた。

 

「悪いな。今日は桜庭と予定があるんだ」

 

そういって、飯綱は桜庭の肩に肘を置いた。桜庭も苦笑していることから、飯綱の主張は正当であることが分かる。

 

「そういうことだ。諫山、飯綱を借りてくぜ」

 

そう言って桜庭は空いている右腕を軽く上げた。それを見た黄泉は少しだけ顔を赤くしてから

 

「何で私にそんなこと言うのよ!勝手に行けば!!」

 

そう言った。

 

照れているのが丸分かりですよ。黄泉。

私はほっこりとした気分になりながら、笑みを黄泉に向けた。

 

この直後、黄泉に脇腹を肘で突かれたのは、言うまででもないでしょうか。

 

 

対策室の室長室では、神宮寺菖蒲と、二階堂桐が今後の方針などを話し合っていた。桐は難しい顔をしているが、

対する神宮寺のほうは、いつもと変わらない笑顔を浮かべて、桐の報告を聞いていた。

 

「諌山黄泉の獅子王が修理に出ているので、戦力的には少々劣ってしまうかと思われますが、どうしますか?」

 

「うーん、秋ちゃんもいるから大丈夫だと思うけど、神楽ちゃんにもそろそろ頑張ってもらわないとねー。乱ちゃんに頼ってばかりでもいけないし・・・」

 

「乱ちゃん?」

 

聞いたことがない名前に、桐は首をかしげた。しかし、すぐにそれが黄泉の獅子王に封印された乱紅蓮であると納得して、短いため息をつく。

 

「では、シフト調整をします」

 

「うん。お願いね」

 

 

小さな公園からは、カーンという金属と金属がぶつかる音が30分ほど続いていた。

 

「はっ!!」

 

黄泉の持つ打杯28號から、アイロンの電気コードに見立てたチェーン型のトリガーが発射され、標的である空き缶を吹っ飛ばした。

 

「どうにか当たるようになったわねー」

 

倒れた缶をゴミ箱に捨てながら、黄泉は言った。

 

最初は狙いが定まらず、その辺りの草むらや木にぶつかっていたが、30分もすると標的にかするようになり、今ではど真ん中を打ち抜くようになっていた。

 

「流石ですね。もう完璧に打ち抜いてるじゃないですか」

 

「うん!こんな使いにくそうな武器なのに、やっぱり黄泉はスゴイね!」

 

「でも、実戦で使えるかしら?これ」

 

打杯を掲げながら黄泉は言った。その問いかけに三人で微妙に首をかしげていたそのとき、三人の携帯が一斉に鳴った。

 

いつも通り、お勤めの通達である。しかも、指示された場所は今私たちがいる場所からほど近いところであった。

 

「それは、実際に試してみるしかないようですね」

 

「そうみたいね」

 

心配そうに黄泉はつぶやいた。黄泉が戦えない今、主戦力は私ということになるだろう。通常戦では黄泉に少し劣る私ですが、そんなことは言っていられる場合ではない。

 

武器が使える神楽と協力して、この場を切り抜けなければならない。

 

「神楽、黄泉があてにならない今日は、あなたが頼りです。よろしくお願いしますね」

 

「うん!」

 

「やっぱり、ダメって思ってたんじゃない!!」

 

黄泉の悲痛な叫び声を華麗に無視して、私たちは指示された場所へと向かった。

 

 

指定されたのは、昔の線路。今は列車の格納庫として使用されている。時折、天井から漏れ出した水が切れた電線に当たって、火花を散らしている。

 

申し訳なさ程度に灯っている電灯は、薄暗い線路を懸命に照らしてはいるが、逆にそれが気味の悪さを引き立てていた。

 

「電線には触らないで!感電して死ぬわよ」

 

サラッと黄泉はそんな怖いことを言ってのける。神楽がそれに臆するとも思えないのでいいのですが、普通の子なら間違いなく怖がるでしょうね。だから黄泉には友達ができないのでしょうか・・・?

 

「秋?」「何でもありません。それより、前方に妖気を感じます」

 

今の考えを黄泉に言ったら間違えなく怒られるので、全力で否定すると、ちょうどよく標的が来てくれたので、気持ちを仕事用にセッティングする。

 

三人は足を止め、薄暗い前方を静かに睨みつける。私は鳴神を抜刀し、霊力を刀身に流した。パチパチと鳴神が意気込んでいるように雷を発生させ、大気中の水蒸気と反応して火花を散らした。

 

止まってから間もなく、カサカサというあまり聞きたくない音ともに大量の悪霊が床や天井、壁をつたってきたのが視認できた。

 

「カテゴリーC『天井嘗(てんじょうなめ)』こんなに大量に出るなんて・・・」

 

黄泉のためらいの声が聞こえたが、すぐに気持ちを切り替えたようで、打杯(ダグラス)の電気コード部分を思いっきり引っ張り出した。

 

「早いとこ片付けて、こんなジメジメしたところから出るわよ!!」

 

「「了解!!」」

 

黄泉の指示に私と神楽は、歯切れの良い返事を返した。

 

それを聞いた黄泉は一度小さく頷くと、打杯の電気コードを天井嘗の群れ目掛けて投擲した。コードは一匹の天井嘗に見事ヒットし、黄泉の手元のスイッチで一気にコードが巻き戻される。突き刺さった一匹の天井嘗もそれに従い、黄泉の手元まで巻き戻され、打杯から発生した蒸気に見立てた聖水によって浄化された。

 

「結構使えるかも。これ」

 

打杯を掲げながら言う黄泉の隣で、神楽は舞蹴拾弐號(マイケル12ごう)を手元のトリガーを使って抜刀する。その威力で数匹の天井嘗が一気に薙ぎ払われる。そのまま、何匹か叩き切った。

 

神楽も結構戦えるではないですか。

 

と、私は神楽の認識を改めた。剣術的には、今の年頃の実力とは思えない。まだまだ荒削りな部分は見受けられるが、素質的には天性とでも言い表すべきだろう。

 

私が神楽の剣さばきに見とれていると、打杯で奮闘している黄泉の背後に回り込んだ天井嘗が飛びかかっているところだった。

 

いけない。私も仕事をしなければ。まぁ、黄泉ですしなんとかするとは思いますが。

 

「黄泉!!」

 

神楽がそう叫んだ時には、黄泉の背後の天井嘗は火を上げて灰と化して消え去った。

 

「火雷、焼き尽くせ」

 

鳴神から発生した数本の赤い蛇は、土蜘蛛や骨鯨を倒した時の様に大きくはないが、その分数は20匹ほどいた。私の命令を聞いた蛇たちは指示された方向に大量にいる天井嘗に襲いかかるや否や、発火した。大量の蛇たちは所々で発火し、炎はやがて結合し、一個の大きな炎と化した。

 

「やっぱ、ダメね。これ」

 

炎が反射して頬を赤く染めた黄泉は、苦笑しながらそうつぶやいた。

 

「ええ。やっぱり黄泉には獅子王と乱紅蓮が一番ですよ」

 

神楽も舞蹴拾弐號を鞘に収めて、一旦状況を確認するために集合する。火雷の発生させた炎のせいで、薄くなった酸素で多少息苦しい。集合と同時に、対策室から持ってきた酸素ボンベで、新鮮な酸素を一人一人補給する。

 

未だ火が燻っている地下線路の向こう側を三人で睨みつける。手前が明るいために、奥の方は真っ暗に見える。

 

その真っ暗な空間で小さい影がチラッと動くのを三人同時に視認した。

 

「まだ、いるわね」「ええ」「うん」

 

三人とも、少しだけ緩んだ気を、戦闘用にもう一度研ぎ澄ませる。それぞれの武器に手をかけ、目標が視認できるのを待った。

 

小さな影がこちらに来るまで、おそらくは数十秒であっただろう。しかしその短い時間が、今は相当長く感じられる。

 

――――そして、影は姿を現した。

 

「あれは・・・」

 

その影は、土蜘蛛のときに助けたあの女性だった。

 

 

 




さて、今回は武器をマイケル師匠に預けた黄泉がダクラスを使って戦うお話でした。

今回からしばらく原作路線ですので、内容を知っている方はこの先の展開をご存知だと思います。

秋が加わるとどう変わるのか。ご期待ください。

それではまた次回、お会いしましょう。

出来るだけ定期的に更新できるように頑張ります。
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