行き場を無くした雷   作:四季乃

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みなさん、お久しぶりです。
前回の投稿から早2年。

これは、作者放り投げたなこの作品。そう思われた方も多かったでしょう。
当時の読者の方ももう離れてしまったかもしれません。

前回のお話から少し練り直しが必要になり、悩みながら私生活を送った結果2年が過ぎてしまいました。

すみません。

これから読み始めていただく方、やっとかこの野郎という方、気長にお付き合いください。よろしくお願いします。


第十八話

side:秋

 

流石は対策室お抱えの図書館なだけあって、ここは今までに存在が確認されている悪霊や妖怪、霊獣の情報や、法術、剣術、退魔術に特化した蔵書が数多くあった。むしろ、それに関係のない蔵書はここには存在しないのだろう。

 

この図書館は、環境省に所属している者でも特定の人物しか入ることは許されていない。事前に発行されている許可証がなくては、絶対に入ることのできない場所である。

 

その故あってか、この図書館は街から少しだけ離れた森の中にあった。バスとタクシーを乗り継ぎ、ここに着く頃には、東の空にあった太陽は真上近くにまで昇ってしまっていた。

 

早くしないと、黄泉たちが対策室に来るまでに終わらなくなってしまいそうです。

 

私は早速、殺生石にまつわる蔵書を片っ端から集め始めた。

 

 

この図書館の資料と時間を駆使して分かったこととは、九尾の強大な霊力が殺生石となって各地に散らばったこと。殺生石の力は強大で、悪霊の凶暴化はもちろん、低級の悪霊を呼び寄せることも出来るということ。

 

半日を費やして資料を探し続けたが、(りゅう)が言っていた以上の有力な情報を手に入れることは出来なかった。

 

少しだけ落胆しつつ、壁のように積み重ねた資料の一つを手に取りをめくっていると、覚えのある単語を発見した。

 

「殺生石を管理する家系にまつわる資料か」

 

これまでの資料の感じから諦めの気持ちを持ちつつ、その先を読み進めるためにページをめくる。

 

すると、ふと目に留まった単語があった。

 

「管理しているのは代々、三途川(みとがわ)家」

 

三途川?―――――私はこの名前をどこかで

 

ドクンッッッ!!!

 

『三途川』という単語を口にした瞬間、心臓に激痛が走った。あまりの痛みに、痛みの原因の場所をつかみながらその場に膝をついてしまう。まるで、心臓をえぐりだされるような、熱した棒を胸に突き刺されたような。その痛みはしばらくすると収まったが、少しだけ胸に違和感を残していった。

 

記憶が曖昧な私にとって、三途川という人物が私と何か関係があるのかは、正直なところ分からない。だがこの胸の痛みは、無関係だとは思えなかった。

 

その後、三途河家についてもう少し調べてみると、最近ある調査で赴いたバチカンから帰りに飛行機事故に巻き込まれ、一家は幼い息子を含め死亡したとなっていた。

 

三途川に関する情報は、殺生石以外で蟲を使役する家系であるということしか、手に入れることは出来なかった。

 

同じく殺生石についても、この図書館ではもうこれ以上のことを知ることはできないだろう。私はこれ以上の知識を室長が持っていることを願いながら、対策室へ向かうことにした。

 

 

対策室に着く頃には、もうすでに日も傾きかけていた。黄泉や神楽たちも学校を終えて、こっちに顔を出しているような時間帯であろう。

 

さて、今日も何事も起きずに終わってくれればいいのですが・・・

 

扉を開けて室内に入ると、何やらピリピリとした空気が対策室を覆っていた。まるで強敵が出現したときの会議室のような空気の原因は、どうやら飯綱と黄泉から発せられているようだった。

 

「黄泉たち、何か、あったんですか?」

 

近くにいた桜庭にそっと話しかけてみる。桜庭は、ため息交じりで事の発端を語ってくれた。

 

なんでも、珍しく香水をつけてきた黄泉に対して、それに気づけなかった飯綱が

 

「くせぇ。香水のつけ方もしらねぇやつがいるのかよ」

 

と言ってしまったらしいのだ。

 

代々管狐を使役している飯綱家は鼻も利くらしく、それも香水の匂いが鼻についた理由らしい。

 

それにしても、あまりにも飯綱にしては珍しく女性に対して配慮のない発言だったんだろう。桜庭もその点に関しては、飯綱を責めていた。黄泉が香水をつけているということは、それなりに理由があるのだろうと予想ができたからだ。

 

「ま、たまにはこういう喧嘩もいいんじゃね?飯綱のやろうは、ほかの女に対しては上手く立ち回るくせに、なんでだか黄泉には不器用になるからな」

 

今日は、男二人で飲みに行くさ。

 

と、桜庭はポンポンと私の肩を叩いた。

 

黄泉のことは任せた。そういうことだろう。

 

任されました!という意味を込めて私は大きくうなずいた。

 

 

「名づけて!黄泉と(のり)ちゃん、仲直り大作戦!!!!」

 

ホワイトボードを、バンッツ!!と叩きながら、神楽は眼前に並んだ対策室メンバーに言い放った。

 

作戦の内容はこうだ。黄泉を暴漢に扮したメンバーが襲い、それを飯綱が助ける。という内容らしい。

 

そのまんまのネーミングは流石女子中学生というところだろう。

 

あの緊迫した状況後、急遽開かれた二人の仲直り作戦を数分足らずで立案し、ホワイトボード上に図解しながら神楽は私たちに説明してみせた。

 

―――あぁ・・・中学生ですねぇ。その作戦で男女仲が上手くいくなら、世の中離婚騒動なんて起きはしませんよ。

 

そしてそもそも黄泉がうちの男手に負ける状況が考えられません。

 

「ね!秋はどう思う!?」

 

自信満々で自分の作戦の評価を求めてくる神楽に、どう返答したものか。と口ごもっていたときに、隣の岩端が声をあげた。

 

「こういうのは、自分たちで解決するもんだ。外野が色々気をまわすもんじゃねぇよ」

 

「そーだな。あの飯綱のことだ。自分でなんとかするさ」

 

岩端に続いて桜庭も賛同する。ようは、この面倒な作戦に巻き込まれて怪我をするのが、みんな嫌なのだろう。ナブー兄弟もウンウンと続く。

 

過半数以上が神楽の「仲直り大作戦」に反対を示したこの状況。

 

さぁ、神楽どうします?

 

私は、正直神楽の作戦には賛成派だ。仲直りのきっかけなんて、何でもいいのだ。その何か、が起こる必要性は私も感じている。その何かがたとえ仲直りの根拠となりえずとも、それを通して仲直りの筋道を模索すればいいからだ。

 

いつ助け船をだそうか。そう思っていたとき、神楽は次の作戦に出た。

 

「じゃあ・・・みんな二人が今のままでも良いっていうの?あの頑固な二人のことだよ?ほっといたら、ずっとギクシャクして、八つ当たりとか始めて、そのとばっちりが皆にも来るかもしれないのに?」

 

「う・・・」

 

―――――まさかの「脅迫」である。

 

確かに、その可能性は大いにあり得る。むしろ、想像しやすくて八つ当たりされたときの痛みまで想像できるくらいに。

 

「私は、いつまでも二人が喧嘩しているのは嫌なの・・・黄泉には笑ってて欲しいの!!」

 

そして、脅迫にプラスして乙女武器「涙」を交えて。

 

「「神楽・・・」」「「ナブー・・・」」

 

女子中学生の最終兵器に対して、対抗できる精神を持った男どもはうちの対策室にはいなかったらしい。

 

神楽の必死の説得により、明後日「黄泉と(のり)ちゃん、仲直り大作戦!!!!」は決行されることと、相なった!

 

 

「神楽・・・あなた後ろの手の中に隠してあるのは何ですか?」

 

「・・・っへ!?な、何のこと?」

 

黄泉、私たちの妹は強くなっていますよ。

 

聞こえることのない呟きを、私は心の中で黄泉へと送信したのだった。

 

 




最初のシリアス展開は何処へ!?

そして後半部分、原作でもほのぼの回がこのくらいしかないんですよね。この後は真っ暗ゾーンです。

頑張れ秋。

お前にかかっている。

そう作者は思っております。

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