笑顔を咲かせた少女は紛れもなく…   作:西部荒野に彷徨う海賊

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 最近、スクフェスにログインできてないなぁ……。







106話 ようやく彼女らはそれを感じ取る

 

 

 

 街の色が変わっていく気がした。

 

 秋葉原の魅力と言えば、なんだ?

 

 俺としては秋葉原の街などあまり訪れることはないのだが、その中央街ともなれば騒然とした雑踏に賑わい、街並みを彩るビル群には新作ゲームの予告ビデオやアニメキャラの壁紙が装飾されている、何とも愉快な楽園だという捉え方を持っていた。

 

 そしてやはり、最近では世間から注目を浴びるスクールアイドルの告知――中でも秋葉を本拠地とするA-RISEの情報が街を網羅している。

 

『ラブライブ!』の地区予選が行われ、東京都ブロックで三位に定着していたμ'sの九人だって、A-RISEのお膝元からは多くの人気を寄せられていた。

 

 ビル群の一角がμ'sの九人で染められ、電子掲示板にはμ'sのライブ映像が流され、アイドルショップの看板にはμ'sのポスターが張られてある。

 

 秋葉原の街で、μ'sも人気者として扱われ始めていた。

 以前、UTX学院を訪れた時に眺めた秋葉原の光景を目にして、感慨深く俺はそれを感じ取っていた。

 

 だが、再び。

 景色が変わった。

 

 地区予選の順位から名前を剥奪されたμ'sに注目する者はじょじょに減り、グッズやCDの売れ行きも目に見えて右肩下がりとなっていた。

 

 極彩色を魅せる秋葉原の街から、μ'sの存在が希薄なものと変化していったのだ。

 

 ビル群の一角からμ'sの姿は他の商品の宣伝に上塗りされ、街の電子掲示板にはμ'sよりA-RISEの告知がより多く目立つようになり、アイドルショップの片隅を陣取っていたμ'sのコーナーはSexy・Charmの商品で埋め尽くされている。

 

 人気絶大と印を押されたμ'sのメンバーが勢揃いで映っている写真の上から、A-RISEの三人組のポスターがそれを覆い隠すように張り替えられる。

 

 そんな現状を意識しているのは俺だけではない。

 当事者達だって、とっくに気づいているのだ。

 

 現に今も高坂穂乃果が、登校路にある階段の中腹で足を止め、以前まではμ'sの宣伝が掲載されていた金網フェンスに貼り付けてあるA-RISEのポスターを呆然と見つめながら、深く溜息を吐いていた。

 

「……よォ、」

「あ、――おはよ美雪ちゃん」

 

 背後から声をかけた俺ににこりと微笑みを見せる彼女の笑顔にも、やはりどこかいつもの力がない。

 フニャッ、と緩めた頬をすぐに直すと、また彼女は視線をA-RISEのポスターに向ける。

 

「悔しいのか……?」

「……分かんない」

 

 穂乃果は俯いた。

 階段を登ってくる音ノ木坂の生徒が、μ'sが予選を辞退したことについて話ながら通り過ぎて行く。

 

 惜しかったのに、とか。

 残念だね、なんて身勝手なことを言いながら。

 

 だが確かにμ'sが一つのアイドルグループとして、存在していたファンの期待を裏切ったことは事実なのだ。

 

「お前も、諦めの悪い奴だな」

 

 また、俺は穂乃果の背中に声をかける。

 彼女は依然と佇むまでだ。

 

「それを眺めて何になる、いくらその三人に恨みや嫉妬の念を抱こうが、結果は変わンねェぞ」

「別に、嫉妬してる訳じゃないよ」

 

 振り向いて俺を見る穂乃果はどこか憮然としている様子を見せたが、やはりその瞳はいつもより垂れ下がっている風に感じる。

 

「ただ、穂乃果のせいで――」

「俺達はあと何回その謝罪を聞いたらいいンだ? いい加減こッちも耳にタコができて迷惑してンだよ」

「うっ……」

「俺達の、全員の責任だッたッて話はついたじゃねェか。いつまでも落ち込ンでいる必要もねェよ」

「……でも、美雪ちゃんには注意されてたのに」

「マネージャーの言うことを素直に聞かなかッた、だからミスをした――洗練されたプロのスポーツ選手だッて、監督のサインを見逃してミスを犯すことだッてあるンだ。反省すりゃ良い。反省して、次の日には頭の中を綺麗さッぱり切り替える。それが一番じゃねェの」

「うん……」

「……それとも何だ、俺らに気ィ使ッてほしいのか」

「そ、そんなんじゃ――わっ」

 

 穂乃果の言葉を遮り、俺は左手を彼女の頭にポンと乗せた。

 今日もセットしてきたであろう彼女の髪の毛をグシャグシャにする勢いで撫でる。

 

「わわわっ!? み、美雪ちゃんやめてよ~! 髪の毛が~っ!」

「そうやッていつもみたいに間抜け面晒しとけよ。そうすりゃもう誰も気にしねェし、あとはお前の気持ち次第だ」

「み、美雪ちゃん……」

 

 頭から手を離し、彼女が「あぁ~」と髪の毛を直す姿を一瞥しながら、俺は階段の向こうに見える音ノ木坂の校舎を見上げて言う。

 

「μ'sの目的は、あの学校を廃校から救済し、存続させること――そうだッたろ?」

 

 穂乃果も、A-RISEのポスターに背を向けて校舎を見上げた。

 

「うん――」

「ラブライブ出場はついでの目標みたいなもンだッたろ。そりゃ、本気で目指していたにこや花陽には悪いが……それは二の次の話だッたンだ」

 

 階段を再び登り始める。

 穂乃果は俺の後に付いてきた。

 

「そう、だよね……」

 

 少し、まだ悲しそうに。

 悔いが残る思いを払拭できないままの声で。

 

「学校、救えたのかな……わたし達」

「……今日辺り、何か理事長から報告があるンじゃねェの? いや、まァ知らねェけど」

 

 ようやく、俺達はまた歩き出す。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

「理事長は何か言ってた?」

 

 放課後の部室。

 制服姿のままそれぞれの席に座った二、三年生組の七人が向き合う状況で、部長のにこはそう切り出した。

 

「続けても構わないみたいだぜ」

 

 マネージャーとして答えると、穂乃果も含めてメンバー達の表情が晴れる。

 

「ってことは……!」

「あァ、放課後の練習だッて許可されたしライブも行ッて良いンだと。何も理事長にだッて、たッた一つのミスぐらいで部活自体を取り消す、なンて真似はできねェだろうしな」

 

 ラブライブ出場の取り消し。

 学院祭の一件で理事長から厳しいお言葉を頂いた俺達は全員で話し合い、本戦出場はおろか、予選自体を取り止めようという結果になった。

 

 しかしあの時の言葉からすれば、理事長から直接、ラブライブへのエントリーは取り消しなさいと罰を下されたようなものだ。

 マネージャーの俺と、生徒会長の絵里が聞いた理事長の話の内容とは、そのようなものだった。

 

 だが理事長も、活動自体を中止にさせようという気はないらしい。

 今後の屋上の使用についてや、練習もライブもOKだと許可をもらった。

 

「やりましたね穂乃果!」

「うん! これでまたライブができる!!」

 

 穂乃果と海未が手を取り合って喜びを噛み締めている――そんな様子を、希は微笑ましく、にこはペットボトルを口飲みしながら尻目に眺めていた。

 

 ……しかし、どうも妙だ。

 

 確かに学院祭の件は問題となったが……なぜ、ラブライブの出場という『挑戦権』まで剥奪されなければならなかったのか?

 

 理事長の命令だったから。

 しかし、もはやその命令自体が妙なのだ。

 

 真夏の炎天下、太陽からの陽射しに負けて熱中症で倒れた選手が練習中に出てしまいました。

 だから学校側から、その野球部は甲子園出場は諦めなさいと言い渡されました。

 

 ……どうもおかしい。

 言ってしまえば理不尽ではないか?

 

 たった一人のメンバーが、ただの風邪で倒れたくらいで。

 学校側から、大会を辞退しろとの強要がなされる。

 

 ……何か、事情があったりしたのだろうか?

 

「にこっち、そんなお水飲んでどないしたん? この部屋そんな暑い?」

「あ、いや……何か今日は妙に喉が渇くのよ」

 

「でも、せっかくことりが衣装を手直ししてくれたんだから、学院祭と同じ曲でライブを開きたいわね。『No brand girls』の衣装があれで見納めっていうのも、なんか哀しいし。ね、ことり?」

「あ、うん……良いんじゃないかな」

 

 ……そしてどうも気になることが、もう一つ。

 ことりがいつにも増して静かな気がするのは、気のせいか――。

 

 直後だった。

 金具が外れてしまうのではないかという程の勢いと音を荒げ、部室の扉が開かれる。

 何かと全員が飛び跳ねるも、廊下から突っ込んで来たのは見知った顔三人分だった。

 

「……どうしたん、一年生組。そないな慌てた様子で」

 

 呆気に取られたように希が言うと、何やら肩で息をするほど疲労している様子の三人は扉の入り口で倒れ込みながら、汗を流す額の顔を上げ、俺達を見渡す。

 

 小泉花陽が、ただ呟いた。

 

「た、大変です……」

 

 

 

  ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

「理事長は講堂での全校集会で発表するッて話していたンだがな」

「ってことは、美雪は知っていたのね? 学校存続のこと」

 

 鞄を背負い、昇降口を出た絵里と俺は並んで正門へと歩き出す。

 このような早い時間帯に下校するのも、海未以外の誰かと帰るのも久しぶりだと感じながらいると、俺達の間に穂乃果が割り込むように顔を出す。

 

「えー!? 美雪ちゃん知ってたの!? いつから!?」

「あァ……まァ、学院祭の時だッけか。理事長と話してたら、何か向こうが勝手に暴露してきてな」

「どうして教えてくれなかったのさ!」

「お前らライブ本番の直前だッたし、余計なことは言わない方がいいかと」

「全然余計なことじゃないよーっ! むしろ何よりも最優先されるはずの重要項目だよーっ!」

 

 というのは、一時間前の話。

 廊下に張り出されていた学院存続、また来年度からの新入生募集決定の報告が記載されたポスターをメンバー全員で見てきて、皆で両手を上げて喜びを分かち合っていた。 

 

 廃校撤廃の報告で少し気が楽になったのか、うるさく喚き散らしている穂乃果の声に耳を塞ぎながらチラと背後を見ると、俺達の一歩後ろをことりが付いて来ている。

 俺達の会話には参加しようとはせず、まだ太陽が照っている時間帯だが、俯いた表情にはやはり影があった。

 

「あ、あの、穂乃果ちゃん!」

 

 唐突だった。

 ことりの違和感のある呼びかけに、穂乃果を含めて俺も絵里も立ち止まり、振り返る。

 

 おそらく三人の注目を一斉に浴びたので彼女も思わず後ずさりしそうになったのか、グッと何かを呑み込むような仕草をして、また誤魔化すように笑う。

 

「こ、ことり……ちょっとお買い物する用事があるから――ま、またね!」

「あれ、そうなの? 穂乃果付いていこっか?」

「う、うぅん。すぐに終わる用事だから、また明日ね! みんなもバイバイ!」

 

 そう言い残し、ことりは走りながら俺達を追い越し、正門の方へと駆けていく。

 乱れる後ろ髪の背中を見送りながら、俺達三人も思わずポカンとした。

 

「……ことりちゃん?」

「何かあいつ、どうも様子がおかしくねェか? 今日も、心ここに在らずッて感じでいたしよォ」

「そういえば、希も言っていたわ。ことりの様子が変じゃないかって。学院祭より前のことだけど――」

 

 ……学院祭の、前? 

 そんな前から、あんな様子だったか?

 

 今でもそうだが、俺も学院祭の何週間か前からずっと、音ノ木愚音隊の一連について苛まれてきた。

 

 南ことりは俺と違って、隠し事をするのに器用ではない方だと思う――そんな性格をしている。

 実際に、ミナリンスキーの一件でもそうだった。

 

 ましてやあの希に勘付かれている。

 絵里の話では、それこそ一週間か二週間前辺りに――。

 

 もしことりが本当に何かに悩まされているのなら、それを誰にも相談しようとしないまま、かなりの時間が過ぎていることになる訳だが――。

 

「そんな、前から……」

 

 似たようなことを考えていたのか、穂乃果は幼馴染みの背中を見つめ、そう呟いた。

 

 

 

 








 ☆反省点☆

・アニメで放送されたシーンをもう一度文章で描写することが苦手だと判明したので今後また勉強していきたい。

・実はそんな苦手分野には前々から気づいていた癖に改善しようとしなかった西海は絶対的な悪であると判明したのでぶん殴ってやりたい。

 ☆まとめ☆

・オリジナル展開を詰め込めない描写が難しいので訓練していこう。

・それができないからこうして困っているんだろう??





 やべぇこれはループするパターンだ。


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