今回、ちょっとグロシーン入ります。
……ちょっと過激です。
ラブライブ関係ねえじゃん! との気持ちもできるかもしれませんが、お話の中で後の展開に重要な役割を果たしてくれる場面もありますので、どうかお許しを――。
「今回だけ! 本当にここまでグロいのは今回だけだから!」
「そんな先っちょだけみたいな言い方されても……」
みたいな意見は呑み込んでくれたら嬉しいです……(切実)
放送の直後。
狂気に満ちた獣たちが一斉に部屋を飛び出し、無法地帯に放たれた。
さあ。
開戦の狼煙はあげられたぞ。
この決戦で。
何かが変わる。
そして。
何かが、終わる。
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《四階フロア》
「ようやくお出ましか……ッたく、客人に対する接待法がなッちゃいねェ」
二階と三階に梶ヶ谷燐桐の指令室はおろか、一人の愚音隊構成員ともすれ違わなかった。
先程の放送を聞く限り、梶ヶ谷燐桐はマンション内全体に仕掛けられた監視カメラを確認できる環境にいる――つまり指令室はそういったビル内の情報を把握できる程の設備が整っている場所のはずだ。
折り返し階段を駆け上って四階フロアの通路を上がると、どうやら俺はすでに歓迎されていたらしい。
「おらあっ!!」
視界左上から一閃に振り下ろされた形状は長方形の腰鉈――左側通路から迫る男の斬撃を身体を反って躱し、ガラ空きの右脇腹へ膝を叩き込み、思わず丸まる男の身体を足下から掬い上げると、たちまち腰位置程度までの壁を越えて絶叫を響かせながら吹き抜けの底へと落ちていった。
「生きるか死ぬか、それはそいつの運次第だなァ」
鉄板にぶち当たるような鈍重な音が下方から届いたと同時、背後からも二人の野蛮な男達が声を荒げながら迫ってきた。
「さァて……」
ここからが本番だ。
敵を一人ずつ虱潰しに蹴散らしていき、梶ヶ谷燐桐の指令室で竜三達と合流する。
「基本的に生け捕りだぞ!!」
「ああ分かってる! だがうまく火力調整できるかって問題だよなあ!!」
二人の愚音隊構成員――見た所、相手の武器は基本的に腰鉈だ。
黒ずみや茶色い錆が目立つ刃のようだが、腕力任せに振り下ろされた刃物の衝撃は皮膚に食い込むだけで済む話じゃない。
俺も――。
この、夜伽ノ美雪も……。
「覚悟は今、ようやく決めた。久々の戦線……思う存分に楽しませてもらうぜェ!!」
立ち向かい、剥げた床を蹴っては急接近するように走り出す。
俺の意外な行動に怖じ気づいたように、通路吹き抜け側を走ってくる男が躊躇を見せた。
「――らあっ!!」
水平に薙がれた鉈は首元を狙い、俺はスライディングで刃の軌道線から逃れると、勢いで立ち止まった男の足下へと滑り込む。
「ッ――!!」
真上へ蹴上げた足は股間を潰し、力の抜けた手から滑り落ちた鉈を素早く拾っては寝転んだ体勢でそれを後方に飛ばす。
投擲された鉈はもう一人の男の鉈に命中し、甲高い金属音を響かせながら二つの武器は吹き抜けの底に消えていく。
「ンでェ!? 次の手は何だァ!?」
立ち上がりながら男の顎に拳を突き上げ、腹に左足をストレートにぶち込んだ。
「てめえっ!!」
もう一人が背後から迫る――後頭部を狙った拳をしゃがんで躱し、突き抜けた右腕をがっしりと両手で掴んではノンストップの勢いで男の身体を腰に乗せる。
一本背負い。
速度に乗った男の身体は予想以上に吹っ飛び、目の前で顎を砕かれて朦朧としている仲間にぶち当たった。
「はいお疲れさン、立派な正当防衛だ」
蛍光の電灯が働きを見せていない薄闇の空間には腐食したカビの臭いや血生臭い異臭が漂い、目の前で伏している男達の身なりや武器から察し、この場所はやはり戦場なんだと改めて理解する。
パーカーのずれを直して廊下を走り出し、痛恨の痛手に悶える男達を飛び越えて吹き抜け端の扉を開けた。
一本に伸びる廊下の両端には三つずつの扉――途中で左折の廊下があるが、まずかこの通路からだ。
「さて、調査開始――」
直後、六つのうちの二つの扉が蹴破られるように開き、モヒカンと茶髪の男が腰鉈を片手に携えて飛び出した。
「うらああああああああああああっっ!!」
「死ねやあああああああああああっっ!!」
向かってくる、良心の欠片も見失った鬼のような形相で。
生け捕りが好ましいという条件の中、やはり愚音隊の構成員だ――言い訳は後で考えるとして、せめて今は殺人を楽しもうとしていやがる。
「そうだよなァ、テメェらにとッちゃ殺人は子供が靴で蟻を踏み潰すようなお遊びとも同義なンだよなァ――上の暴力団がどうせ何もかも揉み消してくれるンだからよォ!!」
金髪が垂直に鉈を俺の脳天へと振り下ろす――その腕を左手で掴み取り、男の腹へ一発の拳を打ち込む。
息を詰まらせた男の左側頭部を掴み、思い切り、力のままに、固い甲羅を被った果物を何とかかち割ってやろうとする野生動物の本能のまま、壁へと横殴りに打ち付ける。
「おいおいどうしたッ!? 長いこと武器に頼りッぱなしで喧嘩のやり方忘れちまッたかァ!?」
途端、モヒカンの男は四メートル間の間隔から長方形の鉈を投擲してきた――感謝する程の反応速度はスケート選手のイナバウアーのようにして器用に躱したかと思ったが、直後に膝を落とされ体勢を崩す。
「ぐッ……」
痛覚の衝撃が身体を叩いた。
左の脇腹に膝、側頭部に肘を食らった――野郎、やはり鍛えているのか……随分と重い力量じゃねぇか。
「チッ――」
体勢を床に伏せ、右脚を伸ばしてコンパスのように身体を軸に回転させる。
引っ掛けられたモヒカンは宙を舞いながら床に仰向けで倒れ、立ち上がりざまに俺は飛び上がり、男の鼻頭へと膝を落とした。
「チッ、汚ェ……」
べっとりとドス黒い血がスラックスに付着する――こいつはもう、買い換えるしかない。
「はァ……、はッ……はァ……、」
右手を胸に当てると、ほんの少し膨らんだ胸囲の底で、心臓が熱く高鳴っているのが分かる。
息を整えろ。
久々の開放的感覚に興奮しているのは分かるが、冷静さを失うな。
これは昔のような個人の喧嘩じゃない。
竜三が主役で、柊まで巻き込んでいる――俺の好き勝手な暴走であいつらに余計な気をきかせる訳にはいかない。
「殺すな……殺すのは、まずい……」
立ち上がり、俺は通路の部屋を調べ始めた。
扉を開けては部屋の中を目視でチェック、開けたドアの裏は素早く覗いた。
どの部屋にも監視カメラ映像を閲覧できるような設備はなく、この通路の部屋も全て外れだ。
「そもそもこのビルに、監視カメラは何台存在する……? 柊はカメラの死角を潜って潜伏的に行動するのは不可能だと言ッていた。ビル全体で二五階……一階につき部屋の面積から考えると二〇から三〇は必要じゃねェのか」
インドからの難民を受け入れるべく、急遽として建設された高層マンション――ただでさえ部屋数がそこはかとなく数多に存在し、それらを繋ぐ通路にも監視セキュリティが届いているのなら、総合台数は少なくとも一〇〇やそこらの数じゃない。
「それだけの台数の画面を総じて見れる設備なんて、どンだけでかい部屋を用意すりゃいいンだ」
だが、尤もな可能性として考えられるのは二五階、か……。
一つの部屋もなく、ただありのままの面積分がただの平地、何の隔たりもないぽっかりと空いた空間――そういった謎の設計だった。
何でも当時は難民達の集合、会議場や食堂になっていたりしたみたいだが――。
『最上階のフロアは拷問部屋になっている。裏切り者や暴力団○○組に歯向かう奴らを痛めつけるためのな』
竜三はそう言っていた。
だから敢えて、竜三と柊はエレベーターで二四階まで昇り、そこから降下しながらの調査をしている。
「今頃、あいつらも衝突しているか……」
左折の通路に入り、俺はまた際限の見えない探索調査を再開した。
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《二一階フロア》
水浦竜三と柊蒼太郎。
片やお見合いに挑むかのような堅苦しい、また場違いなほど新品に磨き上げられた高級スーツ姿。
片やシャツの上に薄い上着を羽織り、ズボンもだらしなくずり下げた格好の金髪。
両端に多くの扉が存在する広い通路で背中合わせに立つ二人の足下には、一〇人を越える数の男達が弱々しい呻き声を上げながら寝転がり、辺りにはそれ分の数の腰鉈が転がっている。
通路の床や壁には、まるでその障害物を『利用』してやったと言わんばかりの衝撃跡や血痕が残されていた。
自分達が逃げ込んできた通路――その行き止まりの壁を一瞥しながら、柊蒼太郎は深く息を吐いた。
「やるね、水浦くん」
「お前こそ、予想以上にできるんだな。素人じゃねえ、何か習ってたろ」
「まあ、空手みたいなものを数年間ね」
「だがまだまだ動作にルールがあるな。習い事をしていた奴の常だ。いつかそれを見破れた奴に足下掬われるぜ」
「へえ? つまりその発言は君からの宣戦布告と捉えていいのかな?」
「まだ美雪のこと言ってんのか? 今は一時休戦だろ?」
ようやく、二人は構えていた両の拳を降ろし、身を楽にさせる。
さっきまで敵を容赦なく殴り倒してきた拳の骨がズクン、ズクンと蠢くようで痛い。
「本当に、美雪ちゃんを一人にして良かったのかい?」
「……あぁ」
水浦竜三は重々しく頷いた。
自分の右手を見下ろし、開いては握るを繰り返す動きに異常がないかを確かめる。
「美雪を、こんな世界に引き込んだのは俺だ」
「……まあ、だろうね」
柊蒼太郎は知っている風に相槌を打つ。
背中合わせで互いの表情の色は窺えないが、声色を察する限り、水浦竜三は苦渋を味わうかのように語り出す。
「最初は美雪だって、もっと綺麗なはずだった。『あの事件』があったからって、こんな危険地帯に踏み込まなきゃいけない運命なんてあいつにはなかったはずだ」
あの事件。
どうせ柊蒼太郎も知っているんだろう――反則的な特権を持つ彼が相手だからこそ、水浦竜三は諦めてそう告白する。
「今じゃ、自分の右手はこの水浦竜三よりも真っ赤に染まっていると、美雪自身が過剰に妄想しちまう病に陥っちまった。人を拳銃で殺してから、殺めてはいないもののさらにその手で他人を傷つけることを快感に覚えた美雪は、もう後戻りはできなくなっちまってる」
夜伽ノ美雪自身、最初は彼女だって綺麗な少女だったのだろう。
外見や内面的な問題ではなく、血生臭い裏社会になんて何の関係性も持たない、人間の血の異臭や死臭すら知らない純粋無垢な女の子だったのかもしれない。
それを変えてしまうきっかけを作ったのが、あの事件。
母親と一緒に出会してしまった、不運の偶然が重なった銀行強盗。
「確かにあの事件で、美雪ちゃんは一人の人間を殺している」
すっ、と背中を離して柊蒼太郎は話す。
「いくら、母親が暴力の下に晒されてカッとなったとはいえ、美雪ちゃんは自分に問うただろうね。なぜ、自分は銃を手にしたんだ。人を殺せる道具だと分かっていて、なぜ自分はそれを人に向けたんだ、って」
殺そうと思って殺した訳じゃないのかもしれない。
当時の夜伽ノ美雪は中学生かそこら――ただ、母親を守りたいとの一心で、咄嗟の行動は銃口を向けるに至ったと。
彼女自身の本心は分からないが。
柊蒼太郎はそう考えているのかもしれない。
あるいは、別の事実が存在するのかもしれない。
だが仮にそれが存在するとて、彼らには知る由もないのかもしれないが。
「けどさ、水浦くん」
柊蒼太郎は切り出す。
「僕が思うに、美雪ちゃんが変わってしまったのはその殺人の件からじゃないと思うんだよ」
「……?」
彼は、それは違うと主張する。
もともと夜伽ノ美雪という少女がどのような性格だったのかは分からないが――あの温和な母親に陽気な父親、その間に産まれた子供が生まれつき極悪人だった訳でもなかろう。
どこで、変化があった?
何が、原因だった?
いったいどうして夜伽ノ美雪は、水浦竜三がこちらの世界へと踏み込ませたのを後悔する程の変貌を見せてしまった?
「きっかけとして、彼女の母親の死が関係しているんじゃないかな?」
言葉と同時。
水浦竜三の全身が心臓を急圧迫されたかのように跳ね上がり、ぶわっと粘着の濃い脂汗を滾らせた。
「………………は?」
夜伽ノ美雪の母。
夜伽ノ陽登美の死。
彼女は生まれつき病弱だったという話がある。
科学も医療技術も発展した現代では、いかなる種類の奇病でも治癒は望める。
しかし、夜伽ノ美雪の母親は病死した。
いや――非公式の記録では『病院側の不適切な処置』で死亡したと記載されている。
夜伽ノ陽登美が入院していた西木野総合病院。
そこの院長が、どうも医療用液体薬物の過剰投薬か何かの原因で死に至らしめた、などという話は世間一般情報以下には浮上していた。
二人の男は知らないが、夜伽ノ美雪の中にはまだ存在しているだろう。
彼女が所属しているスクールアイドルグループの輪の中に存在する『素直になれない赤髪の女の子』を目にする度、その苗字を思い浮かべることへの嫌悪感が。
「おっと……」
柊蒼太郎はコンコンと靴の踵で床を叩く。
ハッとして汗を飛ばしながら顔を上げた水浦竜三も、視線を切り替える。
彼らがいるのは行き止まり直前の廊下の端。
そこから二つめの右折通路から、一〇人以上の男達がゾロゾロと溢れかえるように姿を見せた。
金髪、入れ墨、坊主に彫った刺繍、焼そばパーマ。
様々な身なりを十人十色に集めた薄汚い格好の男達の中に数人、紐を肩に提げてフルオートライフルを所有している者がいる。
全員が全員、不協和音の雄叫びを上げながら彼らへと突進してくる。
水浦竜三と柊蒼太郎は再び背中をぴったりと合わせ、息の合ったタイミングと動作でそれぞれ左右の扉を蹴破った。
水浦竜三は通路右側の部屋へ転がり込む。
すぐさま立ち上がり、鉈を振り回す男の侵入と同時に勢い良く木材の扉を閉めるように叩き付けた。
しかし相手は一人ではない。
二人同時に、自分が先へと突進するように部屋に突入してくる――焼そばパーマの男が鉈を振り上げたと同時、水浦竜三はガラ空きとなったその胸、肺の部分を蹴り上げる。
もう一人は肩にフルオートライフルを提げた金髪だ。
しかし銃器は使わず、律儀に生け捕り命に従いながら鉈を水平、斜め、垂直に振り回す斬撃を水浦竜三は器用に躱していく。
「殺せよっ! ぶっ殺せっっっ!!」
しかし事態が急変した。
やはりマニュアルに従わない――殺人を遊びに見立て、この無法地帯をこよなく愛するロン毛と坊主の男達が扉の前に立ち、フルオートライフルの銃口を水浦竜三に向けた。
「くっそが……っ!!」
殺される。
殺す気だ!
身の震えを抑えながら水浦竜三は振り回される男の腕をがっちりとホールドし、自分の身体をも回転させながら男の背後に付き、その身体を盾にする体勢を取る。
「馬鹿野郎が!! 下水に流れるクソよりもきたねえ存在の俺達が、今さら仲間を守りたいだとかの正義感を持ち合わせているとでも思ったかあっ!?」
ロン毛の男の言葉が合図だった。
水浦竜三は最大限の危機感を覚え、咄嗟に捕らえた男のフルオートライフルを右手一本で掴み取り、一瞬早い瞬時のタイミングで引き金を引く。
バララララララララララララララララララララララララッッッ!!! と。
加減の知らない爆発音が銃口から響き、発射された無数の弾丸は二人の愚音隊構成員の腹や胸を貫く。
鮮血が噴水のように迸り、部屋の入り口や廊下の壁を真紅に染め上げた。
もともと清掃の行き届いていない薄汚れたカビの壁に死臭が付着し、さらに何とも言えない異臭が空間を冒す。
水浦竜三はすぐに男を解放した。
「らあああああああああああああっっっ!!」
身体を反転させながらフルオートライフルを乱射しまくって攻撃する男に、水浦竜三は体勢を深くとってタックルをかます。
ちょうど男の頭が廊下に突き出るように、二人は部屋のドア付近に倒れ込む。
「まただ……」
上半身を起こし、馬乗り状態になった水浦竜三は拳を振り上げ、男の顔面を殴った。
「まただっ」
次は、反対の拳を振り上げた。
鼻が折れ、血が噴き出す。
「またっ! 殺したっ!」
次々と。
内面から心の柔らかい部分を針金できつく締め上げられたかのように険しく顔を顰め、水浦竜三は男の顔面へと何発も、何発も拳を翳す。
「俺はっ! また殺したっ! 人をっ! 人間の命をっ! 奪った!! 人の人生をっ! 殺してっっ! 消したっっっ!!」
水浦竜三。
彼にだって、暗い過去がある。
それこそ、未だに夜伽ノ美雪には黙り続けている孤独の過去も。
絶対に暴露してはならないと自覚のある秘密だって。
「くそっ! くそがっ! くそったれがあっっっ!!」
だからなのか、夜伽ノ美雪が羨ましいと思ったこともあった。
スクールアイドルなんて輝かしい存在と関われて、眩しい程の笑顔をくれる仲間達が周りに存在して。
自分が何か間違いを犯してしまえば、それを叱ってくれるような頼れる友人が存在して。
何より。
太陽の暖かさを知ってしまった彼女が――。
「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっっっ!!!」
右の拳を思い切り高く、固く、振り上げる。
すでに血に塗れ、前歯もへし折れた男の顔に狙いを定めて……。
直後。
バアアンッッ!! ――と。
轟く銃声。
薬莢が床に落ちる軽音が響いた。
床一面に一瞬で広がり、また彼の頬や衣服にも飛びついて付着した真っ赤な鮮血。
男の顔は、例えテレビで放送しようものならモザイクなしではクレームがくるレベルの肉塊オブジェとなっていた。
水浦竜三は顔を上げる。
両脚を広げて佇みながら、一丁のハンドガンを構える柊蒼太郎は黒縁の眼鏡越しに冷たい視線を送りながら、返り血塗れの顔で口を開いた。
「単なる一目惚れ程度の恋で、ここまでするもんか。僕はね、水浦くん。神にだってこう誓ったんだよ」
見れば、彼の背後――通路左側の部屋には異臭漂う空間で倒れながら微動だに反応しない男達。
「美雪ちゃんを守る為なら、何だってやる」
それは、一つの存在に魅入ってしまった青年の言葉。
「それに僕だって、君達のお仲間さ」
柊蒼太郎は、薄く笑っていた。
さあて、ここまでやってしまったんだ。
もう後戻りはできないぞ。
夜伽ノ美雪も。
水浦竜三も。
柊蒼太郎も。
――作者も。
ラブライブの二次創作なのに何てことを! という批判を覚悟しながら書き上げてみせると誓ったこの作品。
もしかしたらここで、もう一度、スタートを切ったのかもしれません。
それでは、次話もよろしくお願いします。