笑顔を咲かせた少女は紛れもなく…   作:西部荒野に彷徨う海賊

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 題名が俺ガイルみたいですね。
 僕は八幡のキャラ大好きですよ。

 前回まで、何か血生臭い……というかオリジナル主人公に関わる別ストーリーばかりを上げてしまった事をこの場を借りてお詫びします。
 
 


36話 なんだかんだとマネージャーである彼女は仕事を持ってくる

「ハラショー……とっても敷地の広いお屋敷だわ」

「わたしは何度も来てるけど、これぞまさに日本和風のお屋敷って感じだよね~」

「お屋敷だなんて……そんな大袈裟なものではありませんよ」

 

 絵里、穂乃果が感嘆しながら見上げて言うと、海未は反応を困らせるように頬を指でなぞりながら顔を背ける。

 

「確かに……こりゃすげェな……」

 

 俺も思わず、眼前に聳え立つ堂々とした門や奥の敷地面積に眼を剥いた。

 いくら家元道場だからと言って、これほどまでに立派な家を持っていられるものなのか。

 

 門をくぐれば、目の前では一面に広がる広大な庭の景色が視界を繁盛させた。

 

 数十種類もの数を揃える、環境改善――自然そのものの癒しを見事に誇示している立派な盆栽。

 隣の縁側から覗ける池には模様鮮やかで大きく育てられた錦鯉。

 ガサツで野蛮な性格の俺にはこれがなぜあるのか理由がさっぱりわからない――だがその短く乾いた、それでいて静かに木霊するししおどし。

 

 

 この光景こそ、THE・日本。

 

 

夏休み突入から一週間。

 

 芸術的な庭を持つ園田海未の自宅。

 俺達は午前中の太陽からの猛熱を避けるように、彼女の自宅玄関へと入っていった。

 

「今日は両親が共に不在ですから、本当ならメンバー全員を招待してもよろしかったのですが」

 

 俺達は海未が常日頃から勉強、就寝時に使用しているとされる、彼女の自室に案内された。

 高校生一人の為だけに開けられたその部屋は、無駄がありすぎるだろうと思わされる程に広く間取られている。

 

 穂乃果は幼い頃から何度もこの部屋には訪れているようで、

 

「ふわぁ~、海未ちゃんの匂いだぁ」

 

 と、表情をうっとりさせていた。

 お泊まりなども何度かしていたと話され、彼女はここを第二の自宅――親に叱られないゆったりとくつろげる居場所とも言っていた。

 

 ……ちなみに俺には床の畳と襖、障子のあの独特な匂いしか分からない。

 

 絵里はやはりこういった和風の雰囲気には慣れていないのか、ソワソワと腰を浮かせては沈ませていた。

 

「お茶とも思ったのですが、やはりこうも温度が高いのでは、冷たいお水の方がよろしいかと」

 

 海未が持って来てくれた、コップいっぱいに入った氷入りの天然水を喉に流し込むと、俺も絵里もひとまず落ち着くように息を吐く。

 

 ふと、開け放たれた障子の向こうから吹き込む風に揺れた、小さな風鈴の囁く音が、耳に滑り込んできた。

 

「ふぅ……やっぱり、風鈴ってハラショーなものね。聴いているだけでどうしてか涼しくなるわ」

「そうですね……昔は夏に穂乃果が、うちに来る度に両手に風鈴を吊す紐を指に括り付けてそれを振り回すので、風鈴の音がやかましい程に鳴り響いていました」

「あははは! あったねぇそんな事!」

 

 木造の家と同じく、立派な木目の入った木材で模られた円形をテーブルを囲みながら、俺達は畳の上に座る。

 

 夏休みなので、当然だが制服は着ていない。

 全員が私服姿だ。

 俺もいつもと変わらぬ長袖の薄手のパーカーに、ジーンズ製の長ズボンを履いている。

 

 そうするとしばらく、彼女らの間で、たまに俺を含めながらの雑談が始まった。

 どうでもいいような内容の会話を、あーだこーだ談論している。

 

 ……この部屋、扇風機は回っているけどクーラーはないんだな。

 こう言っちゃなんだが、俺としては早く用事を済ませて、さっさとご帰宅したい訳だが。

 

 というのは、今日。

 俺を含めた四人が園田海未の自宅に集まったのは別に遊びに来ている訳ではない。

 

 会話の弾みに一段階ついた所で、絵里がようやく機能してくれた。

 

「時間はまだあるけど、そろそろ本題に入りましょうか。美雪、私達に話があるんでしょう?」

 

 彼女の言う通りだった。

 

 元々は俺がこの三人に声を掛け、どこかに集まろうといった。

 別に学校の部室でも良かったのだが、練習のある日は三人以外にも存在がいる。

 何も全員が集まる必要性がない用件だ。

 それに全員いた所で希やにこ、凛辺りがうるさく騒ぎ出すだろうと考えた上での判断だった。

 

 ……ただでさえクソ暑い猛暑日だっていうのに、そこで無駄に騒がれれば俺は絶対にキレる自信がある。

 

「まずは、これを見て欲しい訳だが……」

 

 そう言って、俺は持参したエナメルバッグからあるものを取り出し、テーブルの上に置く。

 

「ノートパソコン?」

 

 きょとんと、穂乃果が首を傾げた。

 構わず俺はパソコン画面を起動させ、保存させておいたページをワンクリックで表示させた。

 

 前に計画した合宿の件は、真姫に頼んで別荘の使用許可を貰いにいってもらっている。

 今回は、別の件だ。

 

 ノートパソコンをくるりと反転させ、俺以外の三人に画面を見るように促す。

 

「あら? このアイドルグループって……」

「どこかで見覚えが……」

 

 怪訝顔を浮かべながら画面に注目する絵里と海未の後に、穂乃果が思い出したように手を叩いた。

 

「そうだ思い出した! この子達、最近になって人気がすごく上がってるスクールアイドルグループだよ! つい最近にμ'sを抜かした――」

 

 その言葉に、二人も思い出したように声を上げた。

 

 解説するように俺が口を開く。

 

「そうだ。現在のμ'sは都内の予選ランキングじゃ十八位。ンで、今画面に映っている『Sexy・Charm』ッつゥアイドルグループは、つい最近に予選エントリーを済ませたばかりだッてのに、鰻登りに順位を驚異的なスピードで上げてきやがッた」

 

 画面に映るのは一二人の少女達。

 μ'sメンバーも大概だが、画面内のスクールアイドルグループのメンバー達も、髪色や顔立ちが鮮やかであり、スタイルも誘惑的な色気を放っている。

 

「一二人……このSexy・Charmっていうグループ、メンバーが豊富ね。九人のμ'sだって多い方だとは考えていたけれど」

「そうだ、まずはそこに目が付くだろう」

 

 絵里の解析に、俺も頷く。

 

「でもさでもさ、この子達、着ている衣装がすっごいセクシーだよねぇ。大きなおっぱいとか見せつけるようにしてるし、脚も大胆に見せてる」

「……破廉恥な」

 

 穂乃果の着眼点に、海未がぼそっと呟いた。

 

 まぁ、そうだろう。

 

 東京都東地区――つまり俺達と同じ枠の予選に名乗り出たSexy・Charmというスクールアイドルグループ。

 掲載されている学校名はあまり聞いた事のないものだが、メンバーは優れた容姿や大人びた身体を持つものばかり。

 

 そしてまた、彼女ら一二人がその色気のある身体に纏わせているライブ衣装は、とても海未が着られるような代物ではないのだ。

 胸元は大胆に開け、尻の肉をギリギリにまで晒し、長い脚を見せつける。

 それでいて派手な飾り、また布の生地面積が小さいとは思わせない出来上がり。

 

「さすが……グループ名に『セクシーな魅力』と名付けるだけはあるわね」

「『セクシーな色香』、とも捉えられるしなァ」

 

 彼女らの外見は文句なしだろう。

 間違いなく、マネージャーや顧問のアピール映像関係なくして、男ならまず必見だろうとされる彼女ら十二人。

 そして現在一八位のμ'sを順位で追い抜いたという事は、歌唱力やダンスのパフォーマンスなどもレベルがそれなりに高いという事が分かる。

 

 絵里が画面から視線を外し、俺に目を向けた。

 

「美雪、それで、彼女らがどうしたの?」

 

 さて、問題はここからだ。

 

「なァ、何でこいつらSexy・Charmは、短期間で順位をこンな上位まで上げられる事ができたと思う」

 

 その質問には、まず海未が答えた。

 

「やはり、それだけPV映像でのパフォーマンスが素晴らしかった、という事ではないのですか」

「ンな事は分かッてンだよ。だがそれだけなら俺達だッてやッているだろう?」

 

 次に手を上げたのは穂乃果だ。

 ……いや、別にお前の答えには期待してないから。お前を呼んだのはあくまで『もう一つの用件』についてだからな。

 

「街中でライブを沢山したんじゃないかな!?」

「意外とそれッぽい解答が出てきて驚いたが……違う。このSexy・Charmは俺達のように路上ライブもオープンキャンパスでのステージ披露も行ッていない。活動記録にもそう書かれている」

 

 横を見ると、絵里が難しい顔で顎に手を添えながら、沈思黙考としている。

 

「絵里、ヒントだ」

「……えぇ、お願いできるかしら」

「こいつらSexy・Charmの一二人の活動場所は常にパソコン画面の中だ。こいつらは決して人前で自分達の歌や踊りは披露せずに、ただPV動画をネット上に上げているだけで、ここまでの人気を獲得しているんだ」

「つまり……歌唱力やダンスのレベル以外で……、彼女達のPV動画の中に人気の秘訣があるって事?」

「そういう事だ。次はこれを見てみろ」

 

 俺はマウスを弄くり、ページを移す。

 

 画面が表示したのは、Sexy・Charmというスクールアイドルグループのプロフィール用紙。

 それぞれのメンバーの顔写真や名前などの自己紹介。

 また、必須記入欄ではないはずのスリーサイズまでもが表示されていた。

 

「やっぱり、かなり大胆なメンバーですね」

 

 海未がもはや尊敬するように(呆れているだけかもしれないが)言った。

 

 再び俺は画面を反転させ、三人全員の視界にそれが映るように向ける。

 

 途端、絵里が喉の奥で悲鳴を上げた。

 

「う、嘘……」

 

 驚愕の表情は固まっている。

 その尋常ではない顔を見て、海未と穂乃果も食い入るように画面を見つめた。

 

「こ、これは……っ」

「えぇえ!?」

 

 俺だって、最初に見た時は何かの冗談かと思った。

 しかし、画面に表示される正真正銘の事実を、絵里が恐怖におののくような震えた声で読み上げた。

 

 

「投稿PV動画数……さ、三六……?」

 

 

 その数字はとても考えられない数字なのだ。

 

 現在、μ'sが投稿したPV映像の動画数は全てで八つ。

 

 もう少しで二桁到達だー、などと。

 数日前までは一〇人が集まる屋上で盛り上がっていた。

 

 俺達の、約四倍以上。

 単純計算ではとんでもない事になる。

 

「確かにそれなりに人数の揃ッたグループなら、頑張りゃ無理な数字じゃない。だがこいつらは違うンだ。Sexy・Charmがその名前を予選枠に出してきた初期時代がつい二週間と五日前。そこから今までという、わずかすぎる短期間で三六ものPV動画を上げる事は至難の業だろうよ」

 

 投稿するPV動画は三分二〇秒以上のものである事。

 規約でもそう定められている。

 歌やダンスの練習期間だって存在するのだ。

 何度も繰り返すビデオカメラでの撮影。

 そもそも最初の壁として、作詞作曲や衣装の準備だってこなさなくてはならない。

 

 Sexy・Charmというグループはなぜ、このような偉業が果たせたのだろうか。

 

 その答えの片鱗を見せる為に、俺はこいつらに招集をかけた。

 

「まず最初に、この動画からだ」

 

 ページをジャンプさせ、PV動画一覧が載せられているページで一つの枠をクリックする。

 隅に置かれた小さかった画面が拡大され、控えめな音量とともに映像が動き出す。

 

 Sexy・Charmが一番最初にネットへと上げたPV動画だった。

 俺達と同じく、きっと校舎の屋上で撮影されたのだろうと窺える。

 

 一二人という大人数が見事に呼吸のリズムを合わせた踊りをしばらく見続け、絵里が言葉を漏らす。

 

「アイドルとしてのレベルは、高いと言えるわね」

「はい、歌唱力も抜群です。私達と同じように、歌詞をリレーさせながら歌っているようです」

「それにしても、みんな大人の雰囲気出てるよねぇ……特に衣装とか」

 

 つられるように、海未も穂乃果も感想を述べた。

 ……おい、穂乃果。お前はいつのまにランチパックズを口に含んでいた。まだ昼じゃねぇぞ。

 

 一つの動画の閲覧を終え、俺は動画一覧が映し出される画面へと戻らせる。

 

「絵里、どうだッた。今のを見て」

「……いえ、確かに歌も踊りも上級者なんじゃないかって思うわよ。ただ、それだけの点で見れば、私達とそう大差はないんじゃない?」

「まァ、俺も同じ感想を持ッたよ……ならなぜ、こいつらSexy・Charmは後から出てきた癖に、俺達μ'sを追い越す事を可能としたンだ?」

「そうね……やっぱりグループ名の通り、セクシーさ? が、あるからじゃないかしら。別にこれを真似したいとかじゃないけれど、露出が過激な衣装や少し色気のある身体つき――そういった所に、男性のファンが殺到したとか?」

 

「……あァ、まァそれもあンだろうよ」

 

「つまりわたし達にもエッチさが必要!?」

「穂乃果! 破廉恥です!!」

 

「お前らうるせェ」

 

 もちろん、絵里の意見は的を射ている。

 高校生離れしたプロポーションは男の視線を集め、釘付けにする。それがアイドルなんてものをやる可愛い娘揃いだったら尚更の話だ。

 

 だが、それは一部で反感を買う。

 

 高校生らしくない。

 子供が調子に乗っている。

 ビッチ臭い。

 

 少なからず、そういった言葉が彼女達に届いているだろう。

 現にSexy・Charmの投稿したPV動画のコメント欄にも、そういった反発するようなコメントが書き込まれているのだ。

 

 彼女達が人気の秘密は、また他にある。

 

「ンじゃ、次はこれを見てくれ」

 

 俺は別の動画――Sexy・Charmがつい最近に投稿したPV動画の一つをクリックした。

 

「……え?」

「これは……」

「あれ?」

 

 前奏の音楽が流れ初めたと同時、彼女ら三人は怪訝そうに眉を寄せた。

 

 しかしそれでも続きがあるのだろうと、その違和感を拭おうとしないまま彼女達は画面を見続ける。

 

 しばらくして、絵里が動画の歌声が流れる途中で俺を見た。

 

「三人しか……映ってないわよ?」

「その通りだ」

 

 これこそがまさに、俺が発見できた人気向上の秘訣。

 

 Sexy・Charmの奴らはそれを分かっていた。

 理解していた上で、きっと一二人という大人数でスクールアイドルを創立させた。

 

「これが所謂――一つの“ユニット”によるパフォーマンスという訳だが」

 

 

 

 

 

 




 くぁぁああああ~~~~
 久々にラブライブキャラのセリフを書いたのでとても気分が良いです!
 そして美雪ちゃんの画面越し敵情視察――マネージャーの管轄ですよね。

 これからもラブライブキャラが美雪ちゃんと一緒に頑張っていくので、応援よろしくお願いします!

 水浦、あの後どうなったんだろうな~(心配)
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