俺は怪獣王になる   作:ヤマタノオロチ

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皆様、大変長らく、本当に長らくお待たせしました。
前回の登校日から約6ヵ月・・・時の流れは本当に早い。
今回はいよいよクロウとヤプール・・・ボス同士の戦いです。その為登場する怪獣達も強豪中の強豪怪獣達です!それに加えて、珍しい怪獣や怪人も登場します。けど彼らには少しばかりオリジナル設定を加えています。
感想と評価をお待ちしております。

最強合体獣キングオブモンス、宇宙超怪獣キングギドラ、超合体怪獣グランドキング
究極超合体怪獣ドライレクス、シビルジャッジメンター・ギャラクトロン、邪神ガタノゾーア
サイボーグ怪獣ガイガン(FW)、奇機械怪獣デアボリック、暴君怪獣タイラント
宇宙恐竜ハイパーゼットン・デスサイズ、吸血怪獣ギマイラ、完全生命体デストロイア
怪獣王ゴジラ、快獣ブースカ、魔足怪人トンチキ、泥怪人ドロダーズ
異次元人 巨大ヤプール、究極超獣Uキラーザウルス(Uキラーザウルス・ネオ)
一角紅蓮超獣バキシマム、大魔王獣マガオロチ、殺し屋超獣バラバ
異次元超人カブト・ザ・キラー、宇宙悪魔ベゼルブ、時空破壊神ゼガン
豪烈暴獣ホロボロス、最凶獣ヘルベロス、次元凶獣カミソリデマーガ
宇宙怪獣 改造ベムスター、サボテン超獣 改造サボテンダー
ミサイル超獣 改造ベロクロン2世   登場




第35話 最終決戦!究極超合体怪獣VS究極超獣

突如現れたヤプールの手によって異次元空間へ吸い込まれてしまったクロウ達。彼らはヤプールに従う異次元軍団の四天王がいる4つの異次元空間にバラバラにされてしまった。

その中で灼熱地獄のような空間に吸い込まれたグロラス、タクト、ダーラムはマグマ超人マザロン人と戦い、深い森の空間に吸い込まれたリーシャ、ルーネ、カミーラは銀星人宇宙仮面と戦い、地底世界の空間に吸い込まれたレイ達、ジェロニモン、ヒュドラは変身怪人アンチラ星人&呪術者・魔頭鬼十郎幻州が率いる異次元軍団と戦い、力を合わせて四天王を全員撃破する事ができた。

そして各々が新たな仲間と共に異次元空間から脱出したのであった。

 

 

 

さて、皆様長い間お待たせしました。次なる戦いはクロウの戦いです。

仲間達が全員異次元空間から脱出している頃、クロウは薄暗い空に真っ黒な大地が広がる異次元空間の中で・・・。

 

 

「フム、これはまた美味いラーメンだな!」

 

「でしょう~。僕が一番好きな食べ物なんだ~」

 

「けどこちらの樹木の根っこも美味しいですよ」

 

 

ズルズルと音を立てながらラーメンを食べていた。しかも彼の周りには他に5体の怪人がいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時は数時間前に遡る。

ヤプールの手によってこの異次元空間に連れて来られたクロウは、最初混乱していたがすぐに行動を開始して、念入りに辺りを捜索し出した。

だが何処を行っても何もなく、ただ薄暗い空と真っ黒な大地しかなかった。

 

 

「やっぱり誰もいないか。まぁ、薄々こんな真っ黒な所に人なんている訳がないと思っていたけどな」

 

 

そう呟いた瞬間クロウのお腹からぐぅ~、と腹の虫の鳴き声がした。

そう言えばずっと戦っていた上に此処に来てから何も食べていないな。けど今非常食さえも持っていない。どうしたものかと考えていた時、ふと近くに何かの気配を感じた。

 

 

「(数は・・・6体。けどどれも小さい気だ。と言う事は小型怪獣か?)」

 

 

警戒しつつも気配がする方へ向かうクロウ。すると近づいて行くにつれてその者達のものだと思う声が聞こえてきた。

 

 

「あらら~、一体此処は何処なんでしょうかね?」

 

「本当だね。何処を行っても暗い所で、シオシオのパーだよ~」

 

「「「「キュルキュル~~!!」」」」

 

 

声がした方へさらに近づくと、そこには6体の怪人がいた。

1体目は頭の小さく細長い2本の触角と大きな目と口、そして腕がないのが特徴の怪人だった。

何故腕がないのかと言うと、この怪人はとある世界で猛威を振るっていた暗黒星雲の魔族の支配者・魔王の足から誕生した怪人だ。その為彼の名は魔足怪人トンチキだ。

2体目はユーモラスな顔とずんぐりした黄色い体、横からかぶったような王冠の鶏冠「ブー冠」が特徴の快獣ブースカだ。

そして最後の4体だが、彼らは皆同じ土のように茶色い体をして、どこぞのアニメに登場した忍者みたいな顔が特徴の泥怪人ドロダーズである。

トンチキとブースカはのんびりした感じで話続け、ドロダーズは彼らの周りでウロチョロしている。その光景を見て、俺の心の中から警戒心と言うものが何処かへ消えてしまった。だって~~、あんなコミカル的な奴らがヤプールの手下に見えるか?手下だったら一体何に使うんだよ!?まぁ、そんな訳で俺は彼らに堂々と近づいて行った。

 

 

「どうも皆さん、こんにちは~!」

 

「あら~~!?」

 

「わぁ~~!?」

 

 

突然現れたクロウを見て、トンチキとブースカは尻餅をついてしまう。それをドロダーズが慌てて抱き起す。

 

 

「君は誰~?」

 

「俺はモンスターキング・クロウ!全ての怪獣達を従え、全ての怪獣達を守りし者だ!!」

 

「モンスターキング?魔王様と同じような人ですか?」

 

「フッ、それよりも上の存在さ。ところでお前達は何者だ?」

 

「僕はブースカって言うんだ。宜しくね~」

 

「私はトンチキと言います。こちら私の召使いであるドロダーズです」

 

「「「「キュルキュル~~!!」」」」

 

 

ブースカ、トンチキ、ドロダーズの順にそれぞれ名乗る。それからクロウ達は互いに軽く自己紹介をし、お腹も空いた事を言う。するとブースカが頭のブー冠を掴んで擦りながら呪文を唱え始める。そして唱え終わったのと同時に目の前に食べ物と調理器具が出現した。その食べ物と言うのは・・・。

 

 

「これは・・・ラーメン?」

 

「そうだよ~。僕はね~、いろんな超能力を使う事ができるんだ。そしてこのブー冠を温めてイメージ力を強くして、僕だけしか知らない呪文を唱えれば、そのイメージした物を出す事ができるんだ~」

 

「へぇ~、それは凄いな」

 

「でしたら私の好きな樹木500年の木の根も出してくれませんか!私の大好物なんです!!」

 

「いいよ~」

 

 

トンチキの頼みを聞いて、ブースカは再びブー冠を掴んで擦りながら呪文を唱える。そしてそれぞれが現れた食べ物を食べ始め、ここで冒頭の会話になったと言う訳だ。

それから暫く雑談しながら食事を続けて、食べ終えて一息ついた後に全員でどうやって此処から脱出しようか考えようとした時、突如空に大きな黒い穴・異次元空間が開いた。しかも中からあいつの邪気が漂っていた。

 

 

「ふん!どうやら本命さんが動いたようだな」

 

 

クロウがそう言った瞬間、異次元空間からヤプールが現れた。以前出会った時よりもマイナスエレルギーが溢れ、怒り・殺気・怨念も上がっていた。

そんなヤプールを見て、ブースカ達は恐怖で震えてクロウの後ろに隠れた。

 

 

「久しぶりだなヤプール。前に出会った時より随分と陰険な感じになったな。住んでいる所を変えたらどうだ?」

 

「黙れ!!忌々しいレイオニクスめ、貴様はこの暗闇の地で、このヤプール様の手によって滅びるのだ!!」

 

「フン!お前なんかに滅ぼされる気はないな。それより・・・俺の仲間はどうした?そしてどうして彼らをこの空間に連れてきたんだ?」

 

 

ヤプールの邪気に恐れる事がなく、俺は別世界に飛ばされたと思うリーシャ達の事や後ろに隠れているブースカ達を指差しながら此処に連れてきた理由を訊ねる。するとヤプールは彼らを暫く見つめた後、高笑いしながら言う。

 

 

「ヌハハハハハ!!何だそいつ等は?一体何処から紛れ込んだのだ?」

 

「何処からって・・・お前が連れて来たんだろ?それと・・・ちゃんと質問に答えろ」

 

「フン・・・貴様の仲間は我が配下の四天王が始末しているわ。それにそいつらは我が新たな異次元軍団を呼び寄せた時にくっ付いてきたゴミよ。何の価値もない余計な者だ。貴様と一緒に処分してやる。出でよ!我が新たな異次元軍団よ!!」

 

 

そう言った瞬間、ヤプールのいる空間から多くの怪獣達が飛び出して来た。その数は5体。

1体目は、外側が紅色で内側が青色の体をして、背中に翼のような形状の巨大な突起物と頭の赤く鋭い角と眼に、お腹の6つの目玉のような模様が特徴の大魔王獣マガオロチ。

2体目は、全身が黒と赤で大きな翅と両手の爪、鋭い針が付いた尻尾が特徴の宇宙悪魔ベゼルブ。

3体目は、ヤプールがアゲハ蝶の幼虫と宇宙怪獣を合体し誕生させ、鎌・鉄球・剣を持たせた全身凶器の塊とも言われているのが特徴の殺し屋超獣バラバ。

4体目は、かつてレイのゴモラに倒されたバキシムの怨念を回収したヤプールの手によって強化改造を施され、全身炎を纏わせたような姿が特徴の一角紅蓮超獣バキシマム。

5体目は、バキシマムと同ようにウルトラ兄弟と戦ったエースキラーがヤプールの手によって強化改造を施され、両腕の鋏と戦国武者の鎧を纏った姿が特徴の異次元超人カブト・ザ・キラー。

 

 

ほぉ、どれも良い怪獣&超獣だ。しかし妙だな・・・ヤプールの事だからもっと多く出すと思ったのに意外と少ないな。これなら前の時の方がまだマシだ。

 

 

「そいつらがお前らの新しい部下達か?それにしてはあまり大したことがないな」

 

 

クロウは挑発した口調で少し鎌をかけながらヤプールに言う。うん?リーシャ達の心配はしないのかって?アイツらの強さは俺が一番よく知っている。だからヤプールの部下如きに敗れるものか!・・・とまぁ、そんなこんなで俺にこんな事を言われてかなり怒るかなと思っていたが、意外にもヤプールは薄く笑っているだけだった。

 

 

「フフフ、我を甘く見るなレイオニクスよ。こいつ等は貴様の最強の怪獣達が束になっても勝てない猛者共だ。さぁ、行け我が僕達よ!奴らを倒せ!!奴らを絶望に染めろ!!」

 

 

ヤプールの指示と共に異次元軍団は走り出した。それを見てブースカ達は慌てふためき、クロウの後ろで互いに抱き合うように縮こまる。

そんな彼らを守るようにクロウは前に立ち、ギガライブナイザーからキングオブモンス、キングギドラ、グランドキング、ガイガン(FW)、デアボリックの5体を出す。今回彼らにしたのは、先程ヤプールが言った言葉にカチンときた事と・・・。

 

 

「最近出番が少ないと騒いでいたからな~。だからお前ら、此処で一気に暴れまくるがいい!行け!!」

 

 

クロウの指示を聞いて、キングオブモンスを筆頭に全員が走り出した。

そして怪獣達は既に自分の相手を決めていたかのように激突し、各自戦いの邪魔にならない様に相手と組み合いながら距離をとって、戦いを繰り広げ出した。

 

 

まず最初はガイガン(FW)&デアボリックVSバキシマム&カブト・ザ・キラーだ。

 

 

「キイイイィィィガァァァァァ!!」

 

「ピッギリリリィィィギャアアアァァァッ!!」

 

「ギガアアアァァァァァン!!」

 

「ヴオオオォォォーーー!!」

 

 

お互いに咆哮と鳴き声を上げた後、デアボリックが左腕のアサルトアームと上半身の多砲塔からビームとミサイルを撃つ。それに対してバキシマムが両腕の連射ユニットから火炎弾を連続で放つ技『紅蓮火炎弾』で相殺する。

普通ならデアボリックの方が威力も火力も上であるが、このバキシマムはかつてクロウ達が戦ったキングパンドン達の怨念パワーを回収したヤプールの手によって強化されていたのだ。元々炎攻撃を得意とするキングパンドン達だけに、その威力はデアボリックの攻撃と同等になるくらい絶大なものであった。

技同士がぶつかって発生した黒煙の中をガイガン(FW)が突っ走って自慢の鎌で切り裂こうとするが、前に出たカブト・ザ・キラーが両腕の鋏で受け止める。

そしてそのままへし折ろうと両鋏に力を込めようとするが、それを黙ってやらせるガイガン(FW)ではない。

 

 

「キイイイィィィガァァァァァ!!」

 

「ヴオオオォォォ!?」

 

 

ガイガン(FW)は眼から『ギガリューム・クラスター』を勢いよく放つ。光線はカブト・ザ・キラーの頭から胸へと流れるように行き、それを食らったカブト・ザ・キラーは鋏から鎌を離してしまう。真正面から光線を受けたカブト・ザ・キラーは大ダメージを・・・受けていなかった。

 

 

「ヴゥフフフ・・・この程度、俺には、効かない。愚かな蜥蜴よ・・・」

 

「キイイィィガァァァッ!?キイイイィィィガァァァァァ!!!」

 

 

どうやら全身に纏った鎧が光線を防いだ為、それほどダメージを受けなかったようだ。しかも不気味な笑い声と共に人語で語ってガイガン(FW)を馬鹿にした。それを聞いてガイガン(FW)は怒りの声を上げる。サイボーグ怪獣だけに人語を理解する事ができるようだ。

激しい怒りと共にガイガン(FW)は再び走り出し、先程よりも強く鎌を振り下ろす。流石にそれは受け止められないと判断したのか、カブト・ザ・キラーは鋏で受け流しながら後退する。

一方デアボリックとバキシマムの方も先程の撃ち合いから一変して、激しい肉弾戦を繰り広げていたが、カブト・ザ・キラーが後退したのと同時にバキシマムも後退し始めた。それを追い掛けようとガイガン(FW)とデアボリックはその場から動き出すのであった。

 

 

 

次はキングオブモンス&グランドキング&キングギドラVSマガオロチ&バラバ&ゼベルブだ。

 

 

「グオオオオオォォォォーー!!」

 

「グゥエエエエエゥゥゥーー!!」

 

「ピギャアアアオオオオン!!」

 

「グアアァァァ!キィィィヤアアアァァァッ!」

 

「ギイイィィィ!ギィァァァァァー!!」

 

「キュウゥァァァピュイイィィィーーッ!!」

 

 

最初の取っ組み合いから未だ組み合ったままのキングオブモンスとマガオロチ。両者共に力比べをするように押したり引いたりを繰り返す。そしてこの力勝負を制したのは・・・。

 

 

「グオオオオオォォォォーー!!」

 

「グアアァァァ!キィィィヤアアアァァァッ!?」

 

 

背負い投げのようにキングオブモンスによって投げ飛ばされたマガオロチは数回転がって、驚きの表情をしながら起き上がる。

どうやら今まで他の怪獣との力勝負で負けた事がなかっただけにキングオブモンスが自分より上である事が信じられないようだ。

だがそれは止むえない事であった。キングオブモンスはこれまでの戦いとクロウの一番の相棒と言う思いから通常の個体より能力等がかなり上だったのだ。

 

 

「グオオオオオォォォォーー!!」

 

 

逆にキングオブモンスは、マガオロチとの力勝負に勝てた事に喜びの咆哮を上げる。それを聞いてマガオロチは怒りを感じ、口から強力な電撃技『マガ迅雷』を放つ。しかしキングオブモンスは翼を広げて『ボーンシールド』で防ぐ。

そして攻撃が止んだのと同時に尻尾を振り回す。だがマガオロチもすぐに対応し、己の尻尾を振り回した。それにより2つの尻尾は絡み合い、そのまま引っ張り合う。再び力勝負が始まり、この勝負に制したのは・・・。

 

 

「グオオオオオォォォォーーー!!」

 

「グアアァァァ!キィィィヤアアアァァァッ!?」

 

 

やはりキングオブモンスであった。マガオロチを力ずくで引き倒し、繋がったままの尻尾を大きく振り上げて地面に叩き付ける。それに合わせてマガオロチも地面に叩きつけられるのであった。

 

 

「グアアァァァ・・・・・」

 

 

地面に叩きつけられながらマガオロチは考える。

一度だけでなく、二度もこの怪獣と力勝負に負けた。この者は私より遙かに上回った力を持っている。それにあの姿・・・なかなか良い姿だ。そこまで考えた瞬間、マガオロチは首を激しく振った。それを見てキングオブモンスは首をかしげる。

これらの行動を見て悟った者もいると思うが・・・・・実はこのマガオロチ・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

メスなのである。

 

ヤプールに操られていると思われているが、超獣ではない上に星を滅ぼすと言われたマガオロチ程の強豪怪獣にはいかにヤプールと言えども完全には操る事はできないようだ。

その為マガオロチはこのような感情を表しているのだ。

兎に角今まで感じた事のない自分の気持ちに戸惑いつつ、マガオロチはそれを消すと、戦闘中であることを思い出し、再びキングオブモンスに向かって戦いを挑んで行くのであった。

 

 

「グゥエエエエエゥゥゥーー!!」

 

「ピギャアアアオオオオン!!」

 

「ギイイィィィ!ギィァァァァァー!!」

 

「キュウゥァァァピュイイィィィーーッ!!」

 

 

そんな2体の近くで、天と地の2ヶ所で火花を散らしながら激しく戦っているのが、グランドキングとキングギドラのコンビだ。

まず地の戦いで、バラバの鉄球と鎌に対して、グランドキングは両手の鋏と鉤爪で対抗する。さらに必殺光線の『グランレーザー』や鋼の体と尻尾を使った攻撃でダメージを与えていく。

 

 

「ギィァァァァァァーッ!?」

 

 

強力な攻撃を受けてバラバは悲鳴を上げながら倒れてしまう。しかし超獣としてのプライドから必死に起き上がり、反撃とばかりに頭部の剣を発射する。さらに口から『火炎放射』を放ち、一気に勝負を付けようとする。

それに対してグランドキングは避けようとせず、真正面から剣と炎を受ける。するとバラバの剣は跳ね返って地面に落ち、炎はグランドキングの体を包みつつもすぐに消えてしまった。

自分の放った攻撃が全て防がれたのを見て、バラバは驚きのあまり動きを止めてしまった。その隙をついてグランドキングは(本人としては)素早く動き、鉤爪を頭目掛けて振り下ろした。その一撃を食らった瞬間、顔から眼球が飛び出してしまった。

 

 

「ギィァァァァァァーッ!?」

 

「グゥアアアアアッ!!グゥエエエエエゥゥゥーー!!」

 

 

当然バラバは悲鳴を上げながらその場を激しく動き回る。だがどんな者でも眼球を飛び出されたら悲鳴を上げるのは当たり前だ。

しかしグランドキングはそんなバラバを静かに見つめながら容赦なく『グランレーザー』を放つ。目が見えない無防備状態の上に、2度目の光線にバラバが耐えられる訳がなく、大きくブッ飛ばされながら倒れて大爆発した。敵を倒したのを確認してグランドキングは勝利の咆哮を上げた。

 

 

次は天の戦いで、上空を高速で飛行しながらキングギドラとベゼルブがぶつかり合う。

 

 

「ピギャアアアオオオオン!!」

 

「キュウゥァァァピュイイィィィーーッ!!」

 

 

お互いに翼と羽を大きく広げて、キングギドラは口と翼から『引力光線』と『反重力光線』を放ち、ベゼルブは口から連続で放つ火球弾『ボンバーインフェルノ』と角から稲妻状の光線を放つ。必殺技同士が相殺し合い、それにより発生した黒煙が辺りを包む。

その隙をついてベゼルブは黒煙の中を静かに飛びながら尻尾を長く伸ばし、先端にある針を突き刺そうとする。

実はこの針は毒針で、ここから『クグツ』と呼ばれる毒を注入する事ができる。もし注入されてしまうと生命の意志を奪って支配されてしまうのだ。

元々それ程戦闘力が高くないベゼルブは先程の必殺技は元より、開戦の時からフルパワーで挑んでいたのだ。その為もう限界に近い状態なのである。だからこそ己の最大の切り札であるこの毒で、目の前にいる敵(キングギドラ)を支配しようとした。

だがそれは甘い考えであった。

 

 

「ピギャアアアアアオオオオオオン!!」

 

「!?」

 

 

黒煙から飛び出したベゼルブはすぐさま尻尾を前に突き出すが、そこにキングギドラの姿はなかった。何処に行ったのかと、周りを見渡した時に上からキングギドラの鳴き声が響いた。慌てて上を向いてみるとキングギドラが自分に向けて『引力光線』を放とうとしているのが見えた。ベゼルブはすぐさま避けようとするが間に合わず、光線を食らって地面目掛けて落ちていった。そしてそれにより舞い上がった土煙が晴れて視界が良くなると、落下した地点に文字通り虫の息状態であるベゼルブの姿があった。

それを確認した後キングギドラは勝利の咆哮を上げて、皆の元へ合流しようと飛び去るのであった。

 

 

 

「どうやら戦況は俺の方に傾いてきたようだ。やはりお前の力はこんなもののようだな。どうするヤプール?」

 

 

キングオブモンス達の戦いを見ていたクロウは挑発気味にヤプールに訊ねる。

 

 

「・・・・・フフ、ヌハハハハハ!!」

 

 

しかしヤプールは怒るどころか、突如体を震わせながら笑い出した。

 

 

「・・・何が可笑しい?」

 

「ハハハ・・・こうも我が策略に引っかかるとは、貴様も案外間抜けなのだな!」

 

「何を言って・・・!?」

 

 

意味を聞こうとした時、突然ヤプールがいる異次元空間から紫色の光の球が現れた。そして球がクロウ達の上で止まった瞬間、球から強烈な光が放たれて周囲を囲むように闇の障壁が覆った。それを見てブースカ達が慌てふためく。

 

 

「ク、クロウさん大変だ!僕達閉じ込められちゃったよ~!?」

 

「落ち着けブースカ。必ず此処から出してやるよ」

 

「でもクロウ様、貴方様が出した怪獣達と離れ離れになってしまいましたよ!?」

 

「ああ・・・どうやらこれがヤプールの狙いだったようだな」

 

 

あの球で壁を作ってキングオブモンス達主力怪獣と俺とを引き離し、ヤプール本命の怪獣軍団に俺を倒させる・・・そんなところだろう。

ちなみに何故そんなにも落ち着いていられるのであろうかと言うと、壁の外で事態に気がついたキングオブモンス達が残っているマガオロチ達を押し退けながら必死に壁を壊そうとしているのが見えるからだ。彼らが頑張っているのに俺だけ諦める訳にはいかないだろう。

そう思っていると文字通りヤプールが再び異次元空間から怪獣軍団を出して来た。その数は先程よりも多い8体だ。

1体目は、シャチや甲殻類等の水生生物、またはラゴラスとレイキュバスが融合したような姿をして、胸にあるカラータイマーのような結晶体、両手の鋏と背中に魚の鰭のような形状の翼があるのが特徴の時空破壊神ゼガン。

2体目は、全身が黒と赤で頭の大きく鋭い刃のような角や体中に生えた刃状の突起が特徴の最凶獣ヘルベロス。

3体目は、ライオンと竜が合わさったような姿をして、オレンジ色の外骨格に覆われた前足と青色の体表、白い鬣が特徴の豪烈暴獣ホロボロス。

4体目は、かつてザイゴーグに選ばれたツルギデマーガの強化前になるデマーガの亜種で、全身鋭い突起と鎧のような皮膚に包まれたような姿が特徴の次元凶獣カミソリデマーガ。

5体目は、かつてウルトラ戦士に倒されたベムスターがヤプールの手によって再生強化改造された宇宙怪獣 改造ベムスター。

6体目は、改造ベムスターと同じようにウルトラ戦士に倒されたサボテンダーがヤプールの手によって再生強化改造されたサボテン超獣 改造サボテンダー。

7体目は、改造ベムスターと同じようにウルトラ戦士に倒されたベロクロン2世がヤプールの手によって再生強化改造されたミサイル超獣 改造ベロクロン2世。

8体目は全身が金と青色で4本の長い触手と全身に生えている金色の棘が特徴で、ヤプールの切り札とも言うべき究極超獣Uキラーザウルス。

さらにUキラーザウルスの眼に巨大ヤプールの姿が映った。どうやら出現させたと同時に自身も憑りついたであろう。

 

 

『見たか忌々しいレイオニクスよ!これが我の本当の最強異次元軍団よ!!』

 

「あぁ、確かにどの怪獣・超獣も強い奴ばかりだ。そしてヤプールよ、最初の5体を使って俺からキングオブモンス達を引き離す作戦・・・見事なものだと褒めておくぞ。だがヤプール、俺の主力怪獣がアイツらだけだと思うな!」

 

 

そう言って俺はギガライブナイザーから7体の怪獣を召喚する。

出て来たのはギャラクトロン、ガタノゾーア、タイラント、ハイパーゼットン(D)、ギマイラ、デストロイア、ゴジラである。

召喚された怪獣達は咆哮を上げながらクロウ達を守るように並び立つ。

 

 

「どうだヤプール?こいつら皆、強い怪獣達だと感じるだろう?」

 

『ヌヌッ!!』

 

「それにお前は大きな勘違いをしている。俺の怪獣達は皆主力だ。弱い奴なんて1体もいないんだよ!全員、行けーーー!!」

 

「ウオオオォン!ウオオオォン!」

 

「グヴヴオオオオオオオオオオオオオオン!!」

 

「ギィガアアアァァァッ!!」

 

「ピポポポポポ!ゼェットォォーーーン!!」

 

「ギィエエエェェェーーッ!!」

 

「ギィガアアアアアゴオオオオオォォォン!!」

 

「ディガアアアオオオォォォォォン!!」

 

 

クロウの怪獣達は各々両手や角等の自慢の武器を掲げながら再び咆哮を上げ、敵軍団に向かって走り出した。

 

 

『こしゃくな!お前達も行け!レイオニクスを倒すのだ!!』

 

 

それを見てヤプールは怒りと共に軍団に指示を出し、怪獣・超獣達も威勢よく走り出す。

勇ましく走る両軍だが、この時興奮状態かつ普段こんな事はあまりしない者が走り出した為に大変な事態が発生した。

 

 

「グヴヴオオオオオオオオオオオオオオン!?」

 

「「「「「「「!!?」」」」」」」

 

 

なんとガタノゾーアが走っている途中で転んでしまい、そのまま前に倒れて前転し出した。それを見てゴジラ以下クロウの怪獣達は急いで左右に移動したり、空高く飛んだり、テレポートしたりと避ける。

勿論ヤプール側も避けようとしたが、不幸な事に改造ベロクロン2世は逃げ遅れてしまい、ガタノゾーアの巨体によって押し潰されてしまった。そして地面に改造ベロクロン2世の形に似た敷布団が完成した。

 

 

『おのれ!舐めるな!!』

 

「ギィギャアアアアアァァァォォォォーーーッ!!」

 

 

暴走を続けるガタノゾーアを止めたのはヤプールが憑りついているUキラーザウルスで、金色に輝く大きな両腕と4本の触手を前に出して自分より大きなガタノゾーアを受け止める。

しかしそれを見計らったかのようにガタノゾーアは丁度真正面を向くような姿勢になり、巨大な鋏で何度も叩き付け、さらに口から『シャドウミスト』を吐いて攻撃する。

Uキラーザウルスも反撃とばかりに触手から『テリブルフラッシャー』を放つ。

互いに世界を滅ぼし掛けたり、ウルトラ兄弟を相手に全く引けを取らなかった程の強豪として有名な怪獣と超獣。2体の激突はさらにヒートアップするのであった。

そしてその影響を受けたのか、残っていた怪獣達も戦いを開始した。

 

 

 

各地で繰り広げられる怪獣同士の激突・・・と言っても壁の中なのでそれ程離れていなく、まさに乱闘と言っても良い状況だった。

ゼガンが両手の鋏で切り裂こうとすれば、タイラントが鎌と鉄球で防ぐ。そして耳から『アロー光線』を放ち、それを食らったゼガンが怯んで後ろに下がる。その隙をついてギマイラが角で突き刺そうと迫るが、ゼガンを守るかのように前に立ったヘルベロスが肘の刃で受け止める。そして両腕に力を込めて押し返し、今度は自分の番だと言うかのように咆哮を上げながら頭の角をギマイラの腹目掛けて打ち付ける。しかしギマイラは防御せずに堂々と受け止める。そしてヘルベロスの頭を両手で掴んで何度も殴るのであった。そしてゼガンとタイラントも両手の武器を構えて、再び攻撃するのであった。

 

 

その横ではホロボロスが四足歩行で素早く動いてハイパーゼットン(D)に飛び掛かるが、ハイパーゼットン(D)はテレポートで避けて背後に回り、両鎌で切り裂こうとする。しかしホロボロスは四足歩行から二足歩行状態になり、前足・・・いや、両腕の手甲鉤で鎌を受け止めながら赤く染まった両目で睨みつける。

だがハイパーゼットン(D)は怯まず、さらに激しく攻撃を仕掛けるのであった。

 

 

さらに少し離れた所ではギャラクトロンがカミソリデマーガに戦いを挑んでいて、左腕の『ギャラクトロンブレード』や右腕のビーム砲が備え付けてあるクローで攻撃する。それに対してカミソリデマーガは、全身の鋭い突起『レザーエッジ』で攻撃を防ぎつつ、頭から放つ破壊光線『デマーガバリオン』で反撃する。

しかしギャラクトロンも両目から赤い閃光光線『ギャラクトロンスパーク』を放って光線を相殺する。その後も2体はお互いの自慢の武器をぶつけ合った。

 

 

そしてこの中で最も激しく戦い合っているのがゴジラ&デストロイアVS改造ベムスター&改造サボテンダーである。

だが戦況はどう見てもゴジラとデストロイアが優勢であった。改造ベムスターが目と腹の口から強力な『破壊光線』と『殺人光線』を放ち、改造サボテンダーが全身の棘で攻撃する。それに対してゴジラは口から『放射熱線』を放って改造ベムスターの光線を撃ち消し、そのまま改造ベムスターの腹を突き破ってしまった。

デストロイアも両手の鋭い爪で改造サボテンダーの棘を受け止めて押し倒し、角を使った『ヴァリアブル・スライサー』で手足を切り落とし、最後に頭と体を真っ二つにしてしまった。敵を倒したのを確認した後、ゴジラとデストロイアは共に勝利の咆哮を上げようとするが、途中止めて互いに睨み合い出した。どうやら互いに過去の経緯からまだ仲間と認めたくない感じだ。しかし状況が状況だけに、2体は競うように残りの敵に向かって戦いを挑みに行った。

 

 

 

激戦が繰り広げられる中、壁の外にいたキングオブモンス達の方では決着が付こうとしていた。

 

 

「グアアァァァ!キィィィヤアアアァァァッ・・・」

 

「ギガアアァァァ・・ン・・・」

 

「ヴ、オオオォォォ・・・」

 

 

最初に出て来た軍団で生き残っていたマガオロチ、バキシマム、カブト・ザ・キラーの3体。彼らはクロウ達が閉じ込められた後もキングオブモンス達の猛攻に必死に応戦していたが遂に力尽き、虫の息状態になって倒れた。

 

 

「グルルルル!グオオオオオォォォォーーー!!」

 

 

キングオブモンスはガイガン(FW)にチェーンで倒れた3体を縛るように命令を出す。ガイガン(FW)は自分より実力も地位も高いキングオブモンスの命令に素直に従い、両手からチェーンを出して順番に3体を縛り付ける。

それを確認した後キングオブモンスは自分達の進行を遮る壁を見つめて、4体に壁を作っている光の球を破壊するように命令を出す。他の怪獣達もガイガン(FW)同様に素直に従い、一斉に必殺光線を撃って光の球を攻撃する。

如何にヤプールが作り出した物でも5大怪獣の光線には耐えられず、光の球は壊れて木端微塵に吹き飛んだ。それにより壁は消え、キングオブモンス達はすぐさまクロウの元へ駆け寄った。クロウ達も彼らの元へ走って合流する。

 

 

「苦労をかけたなお前達、だがよくやったぞ」

 

「グオオオオオォォォォーー!!」

 

「グゥエエエエエゥゥゥーー!!」

 

「ピギャアアアオオオオン!!」

 

「キイイイィィィガァァァァァ!!」

 

「ピッギリリリィィィギャアアアァァァッ!!」

 

「ねぇクロウさん、この怪獣達もクロウさんの仲間なの~?」

 

「どの怪獣達も強そうですね」

 

「あぁ、それに皆良い怪獣達でもあるよ。さて、話はここまで。一気に勝負を付けに行くぞ!ガイガン(FW)とデアボリックはブースカ達を守れ。キングオブモンス、キングギドラ、グランドキング・・・お前達の力と俺の力、今こそ1つになるぞ!!」

 

『ギガライブ!キングオブモンス!キングギドラ!グランドキング!超合体!ドライレクス!!』

 

 

そう言ってクロウはガイガン(FW)とデアボリックにブースカ達を守るように指示を出し、キングオブモンス達3体をスパークドールズに戻してギガライブナイザーに連続ライブする。そして究極超合体王怪獣ドライレクスになった。

 

 

「グオオオゥゥゥギャアアアァァァッーー!!」

 

 

ドライレクスの咆哮は戦場中に響き、全員がその姿を見て恐怖する。それはUキラーザウルスに憑りついているヤプールも同じであった。

 

 

『な、なんだあの怪獣は!?この我が・・・怯えているだと!?』

 

『当然だ。こいつは俺と怪獣達の絆が1つになった究極超合体王怪獣だ。お前如き簡単に捻り潰してやるよ!』

 

『なんだと!?ぎぃ、ぎ~ざ~ま~・・・殺す!貴様も、貴様の怪獣達も、1体残らず滅ぼしてやる!!』

 

「ギィギャアアアアアァァァォォォォーーーッ!!」

 

 

クロウの言葉にヤプールの怒りは頂点に達し、その影響でUキラーザウルスも怒りの咆哮を上げる。そして今目の前で相手をしているガタノゾーアを両腕で掴み、触手を巻き付けて超怪力で押し倒して動けなくさせてドライレクスと対峙する。

Uキラーザウルスは一気に倒そうと4本の触手から一斉に『テリブルフラッシャー』を発射する。対するドライレクスは両肩にあるギドラの首から『超引力光線』を放ち、『テリブルフラッシャー』を防いだばかりか、そのまま押し返して触手を破壊する。

さらに両目から新技『ハイパークレメイトビーム』を放ってUキラーザウルスに大ダメージを与える。

 

 

「ギィギャアアアアアァァァォォォォーーーッ!?」

 

 

強力な攻撃を食らってUキラーザウルスは苦痛の表情になる。だが負けずに今度は全身の棘ミサイルを一斉に発射する『ザウルス・スティンガー』で攻撃する。

自分よりも巨体であるドライレクス。如何に防御力があろうとこれならダメージを与えられる・・・ヤプールの考えもあってUキラーザウルスはそう判断する。だがそれはあまりにドライレクスの事を甘く見過ぎていた。

 

 

「グオオオオォゥゥゥギャアアアアァァァァッーー!!」

 

 

ドライレクスは放たれた『ザウルス・スティンガー』を、自分にとって最強の必殺技『トリプルカイザービーム』で全て撃ち落とした。

だがドライレクスは光線を止めず、そのままUキラーザウルス目掛けて撃ち続けた。

 

 

「ギィギャアアアアアァァァォォォォ・・・ッ・・・」

 

 

凄まじい威力を誇る『トリプルカイザービーム』を食らい、流石のUキラーザウルスも大ダメージを受ける。そしてその場に膝を付き、荒い息を吐く。

 

 

『バ、馬鹿な・・・!?Uキラーザウルスが・・・!この我が・・・あんな怪獣如きに・・・!ありえん!?』

 

 

憑りついていたヤプールは、今のUキラーザウルスの状態が信じられず驚きを隠せなかった。そんなヤプールにクロウは冷静に言う。

 

 

『これが俺と怪獣達との絆の力だ。まぁ、自分が作り出した超獣達をただの道具としか思っていないお前には一生分からない事だろうけどな』

 

『そんな・・・そんなくだらないモノに・・・我が、我らヤプールが負けると言うのか!?認めぬ!絶対に認めないぞ!!』

 

『・・・もう何を言っても分からないようだな。ならこれ以上話す事はない。けど最後の情けだ。俺の手で引導を渡してやる!!』

 

 

そう言うとクロウは自身の体をエネルギー体に変えてドライレクスから飛び出し、Uキラーザウルスの眼の中に突入する。そして中にいたヤプールと対峙する。

 

 

『なっ!?貴様!!?』

 

「・・・此処がUキラーザウルスの中か、なかなかの居心地の良さだな。俺的には違ったイメージを想像していたんだが・・・まぁ、それは今置いといて。ヤプール、決着を付けるぞ!!」

 

『フン!貴様如きに負ける我ではない。我が復讐の力の恐ろしさを見るがいい。さぁ、どこからでもかかってこい!!』

 

 

威勢よく言うヤプールだが、内心恐怖にかかれていた。今の前にいる者はかつて自分達を滅亡寸前まで追い込んだレイブラッド星人の遺伝子を受け継ぐレイオニクス。しかもその力はあのレイブラッドと同じくらい強く感じるものであった。

そんなヤプールの心情の事なんかどうでもいい、と言わんばかりにクロウはギガライブナイザーを構えて走り出す。

それを見てヤプールは右手の鎌を前に突き出し、そこから直線的な形やカッター状の形であるなど様々な怪光線を放つ。だがクロウはギガライブナイザーを回転させて光線を全て防ぎ、そのままヤプールの腹目掛けて先端の槍部分を突き刺す。

 

 

『ヌウゥッ!?オノレーーー!!』

 

 

腹に手痛い攻撃を食らい苦痛の声を上げるヤプール。だがそれを食らった事で怒りと恨みの炎が再び燃え上がり、先程まで染まっていた恐怖が薄れていった。

再び右手の鎌を突き出してクロウに迫り、切り裂こうと何度も振るう。だがそれもクロウはギガライブナイザーで防ぎ、逆にギガライブナイザーを何度も叩きつけてダメージを与える。そして再度腹にギガライブナイザーを深く突き刺した。

 

 

「これで・・・止めだ!ゼロ・モンスターショット!!」

 

 

レイのゴモラが最も得意としている『超振動波・ゼロシュート』や他怪獣達の技を真似た相手に破壊エネルギーを直接流し込む技『ゼロ・モンスターショット』を食らわせる。そして暫く流し込んだ後ヤプールを勢いよく後ろへ投げ飛ばした。

 

 

『グワァーーーーーーー!!?』

 

 

投げ飛ばされたヤプールは悶え苦しみながら落下した。彼の体はもうボロボロで、体中の至る所から火花が飛び散り、もはや起き上がる事すらできない状態だった。

そんなヤプールにクロウは静かに近寄る。

 

 

『グ、グハァ・・・オ、オノレ・・・忌々しいレイオニクスめ。よくも、よくもやってくれたな!!』

 

 

膨大な怒りと恨みの込められた邪声が俺に向かって放たれる。それを聞いて一瞬恐怖を感じてこの場から逃げ出したい気持ちになるが、ギガライブナイザーにいる怪獣達の声を聞いて心を奮い立たせて、ヤプールに堂々と告げる。

 

 

「ヤプール、この勝負は俺の・・・いや、俺達の勝ちだ。お前の怨念は・・・怪獣達の絆の力に敗れたんだ」

 

『黙れ!黙れ黙れぇ!怪獣達の絆の力だと?ふざけるな!!そんなものに我が負けるなど・・・認めるものか!!』

 

「認めるもなにも、今目の前で起きているではないか。まぁ、お前には何を言っても意味がないか。兎に角これで終わりだ!!」

 

 

そう言ってクロウは止めとばかりにギガライブナイザーを勢いよく振るい、ヤプールの体を切り裂いた。体は半分に切り裂かれ、切られた部分から大量の血を流しつつヤプールはゆっくりと消滅していく。それでも彼の怨念は尽きなかった。

 

 

『・・・まだだ、まだ・・・終わらぬ。終わらぬぞ!我らはまた甦り・・・必ず貴様らレイオニクスを、滅ぼしてやる・・・』

 

「何度甦ってもそれでは何も変わらないと思うぞ?寧ろまた怯える生活を過ごす事になってしまうぞ?そんな生活を送るよりここらでのんびり眠りにつく方をお勧めするぞ・・・だから、安らかに眠れヤプール」

 

『ッ!!・・・・・・』

 

 

その言葉を最後にヤプールは完全に消滅した。だがクロウは暫くの間ヤプールが消えた所へ手を合わせた。それから暫くすると俺の頭の中に誰かの声が聞こえてきた。その声を聞いて、俺はこれが本来のUキラーザウルスの意識なのだと察した。なるほど、これはまた見た目とは違った大人しい感じのようだ。やっぱり超獣も怪獣同様に可愛いものだ。

 

 

「Uキラーザウルスよ、今から俺がお前の新たな主人だ。だからと言ってどんな命令でも従えってと言う訳ではないぞ。基本お前も含めた怪獣達は皆、自由だ。新しい仲間と一緒にどんな事をしようとお前の好きな事をすればいい。だが、仲間がピンチの時はその力・・・是非貸してくれ!」

 

 

クロウの言葉を聞いたUキラーザウルスは、とても激しく喜びの声を上げる。普通なら喜ぶ状況なんだろうけど、この喜び声を聞いて逆にどこか不安を感じてしまう。

だってこんなにも喜んでいる者の期待を何かの弾みで裏切ってしまったらどうするよ!?まぁ、そんな事が起きないように細心の注意をするように心掛けるけどよ(汗)

そんな事を考えつつ、俺はUキラーザウルスの眼から外に飛び出す。そしてドライレクスやブースカ達がいる場所に降り立つ。

 

 

「クロウさん、大丈夫だった~~?」

 

「ああ、特に怪我なんかはしていないよ」

 

「それで・・・あの怪獣はどうなったのですか?なんだか大人しくなっていますが・・・」

 

「アイツはヤプールが消えた事で奴の支配から解かれ、ああして大人しくなったのさ。それよりドライレクス、俺の頼もしき相棒達よ!よくやった!皆ご苦労だったぞ!!」

 

「グオオオオォゥゥゥギャアアアアァァァァッーーーーー!!」

 

 

クロウに褒められてドライレクスは3つの首を上に伸ばし、両腕と両翼を大きく広げながら喜びの鳴き声を上げる。その様子を見てクロウが微笑んでいると他の怪獣達もこちらにやって来た。どうやら皆、戦いに勝ったみたいだな。

集まった怪獣達1体1体を褒めて、彼らが倒した怪獣達の様子を見る。どれも傷ついているが死んではいない。皆も大分手加減する事に慣れてきたようだな~と感心しながらキングオブモンスを除く全ての怪獣・超獣達をギガライブナイザーに回収した。

 

 

「やっと落ち着く事ができるな。さて、ヤプールが消えたからそろそろ・・・」

 

 

そう言った瞬間、再び黒い穴が開いた。しかも現れた異次元空間は3つだ。見た感じ的にきっとあれらの内2つがブースカとトンチキ達がいた世界だろう。そして残りが俺のいた世界だ。

 

 

「ブースカ、トンチキ。あの3つの異次元空間のうち、2つがお前達のいた世界だ。あそこを通ればお前達は元の世界へ戻れる。つまり此処でお別れだ」

 

「うん、そう言う事だね。僕、寂しいよ。シオシオノパーだよぉ」

 

「私もです。それに、元々いた世界なんて・・・いい思い出なんてありませんし・・・」

 

 

此処で別れる事を言うとブースカ達は悲しい表情になる。特にトンチキやドロダーズ達はその場に座り込んで帰るのを拒否する。何故帰りたくないかと理由を訊ねると、元々いた世界で彼らは見た目がアレだからと言う理由もそうだが、最初の話に出た魔王に従って悪さをしていた為、その世界で彼らの居場所はないとも言っていい状況との事だ。

理由を聞いた俺はトンチキ達にある提案を言う。

 

 

「それならトンチキ、ドロダーズ、俺の仲間にならないか?」

 

「クロウ様の仲間ですか?」

 

「あぁ、俺の元にはいろんな奴らがいるが、全員優しくて良い連中だ。それに俺が言えばすぐに認める筈だ。あと俺はお前達の見た目の事なんか気にしないよ。なにより俺は差別と言うのが大っ嫌いだからな」

 

「そうなのですか・・・・・分かりました。是非クロウ様の仲間にさせて下さい!!」

 

「「「「キュルキュル~~!!」」」」

 

 

クロウの提案を聞いて、トンチキ達はすぐに受け入れて仲間になる事を宣言した。

これでこいつらの方はよし!あとはブースカだな。彼はまだ悲しい表情のまま俯いていた。

 

 

「そんな顔するなよブースカ。いつかまた再び会える時が来るさ」

 

「本当?本当に会えるの~?」

 

「あぁ、嘘は言わないよ」

 

「・・・分かった。僕、クロウさんの言葉を信じるよ。いつかまた、必ず会おうね。そしてまた一緒にラーメンを食べながらお話しようね~~」

 

「ああ、約束だ!」

 

 

お互いに笑顔になりながら約束をし、ブースカは自分のいた世界が映っている異次元空間へゆっくりと吸い込まれていく。

 

 

「また会おうね~~!バラサ、バラサ!」

 

 

両手を大きく振ってご自慢のブースカ語を言いながらブースカは元の世界へ帰って行った。彼を見送った後、クロウはトンチキ達に告げる。

 

 

「それじゃ、俺達も行くとするか!」

 

「グオオオオオォォォォーーー!!」

 

「はい!クロウ様!!」

 

「「「「キュルキュル――!!」」」」

 

 

そう言ってクロウ達はキングオブモンスの頭に乗り、異次元空間を脱出した。

そして無事に通り抜けると先に脱出していたリーシャ達と再会する事ができた。全員が再会できた事に喜び合い、クロウから新たな仲間のトンチキ達の事を紹介されて穏やかに交流を果たした。

ちなみにクロウは、リーシャ達が連れてきた怪獣達を見て激しく興奮し、喜んで仲間に加えたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ところ変わって、別世界にある劇場・ブースカ劇場―――

 

 

「ブースカ~~!もう、何処に行ったんだろう?」

 

 

此処はウルトラマン専用の映画館で、毎回様々なウルトラ戦士の活躍した物語が上映されていた。その劇場でアルバイトをしているただ1人の宇宙人・ペガッサ星人ペガ。

彼は今、此処の支配人であるブースカを必死に探していた。

 

 

「今劇場が大変な状況なのに・・・ああもう!本当にどk「呼んだペーちゃん?」うわあぁ!?」

 

 

どこを探しても見つからないブースカに、とうとう我慢の限界に達したペガが怒りの声を上げようとした瞬間、背後からブースカが現れた。

それに驚いてペガはその場に尻餅をついてしまう。

 

 

「大丈夫ペーちゃん~?」

 

「う、うん。ありがとう・・・って、ブースカ!一体何処に行ってたのさ!?劇場が大変な事になっているんだよ。ほら!!」

 

 

そう言ってペガが近くのドアを開けて中を覗くと、いつもなら誰もいないガラ~ンとした客席が驚いた事に満席であった。しかも客は怪獣や宇宙人、さらに超獣・スペースビースト・円盤生物だ。皆手にポッポコーンや飲み物、ブースカやペガの人形を持って少しはしゃぎながら座っていた。

 

 

「一体全体どうなっているの!?どうしてウルトラマン専用の劇場にこんなにも沢山の怪獣や宇宙人達が来ているの!?」

 

「いや~、怒らない怒らない。実はね~、今日上映するのはこれだからなんだ~」

 

 

そう言ってブースカが取り出したのは1つのフィルムだった。だがそれを見た瞬間、ペガはさらに驚きの表情になる。

 

 

「あーーーーーっ!!!それって、モンスターキング・クロウ様が主人公の“怪獣王伝説”じゃん!?どうして持っているの!!?」

 

「ふふ~ん。実は僕、クロウ様と会って話をした事があってね~。ちなみにペーちゃんもクロウ様の事が好きなの~?」

 

「当然だよ!クロウ様の事が嫌いな人なんていないくらいだし・・・それにリクとあの関係でもあるから。・・・ってそれよりもどうして此処にあるのかが問題だよ!?」

 

「まぁまぁ、今はその話は置いといて・・・そろそろ皆もシビレを切らしちゃうから早く観せてあげよう~」

 

「そうだ。皆待っているぞ」

 

「「ふえ?」」

 

 

突然聞こえた声に2人が同時に振り向くと、そこには金髪で黒色のメカニック的な服装を着て、両手に特大サイズのポッポコーンと飲み物を持った美女が立っていた。

彼女の名はアンドロイド・ワンゼロ、またの名を『マナ』と言う。かつて自称『宇宙最高の頭脳』と言われた宇宙人に造られたアンドロイドで、ウルトラ戦士達と戦った過去を持つが、今は平和を愛する防衛軍に所属している。

 

 

「やぁマナちゃん。どうして此処にいるの~?」

 

「さっき言った通り、私も含め皆早く観たくて待ちきれない状況だ。早くしてくれないとポッポコーンと飲み物が食べ終わってしまう」

 

「それは大変だ。じゃあ、今すぐ観せてあげるね~。ペーちゃんとマナちゃんは先に特別席に行っててね。僕もすぐに行くから~」

 

「「うん/ああ」」

 

 

そう言ってブースカはフィルムを素早く映写機にセットし、準備を整える。そしてマイクをオンにして放送する。

 

 

『皆様~大変長らくお待たせ致しました。これより偉大なるクロウ様の物語“怪獣王伝説  第1章・惑星ボリス編”を上映致します。どうかお静かに、そして楽しんで観て下さいね~』

 

 

ようやく映画が観られる事に全員が内心激しく喜び、先に買ったポップコーンと飲み物を食べながら映画を見始める。

そして最後まで見終わった後、全員がクロウの凄さに感動し、改めて彼の仲間になるべく力を求める者、今すぐ申し込みに行く者、恋をする者など様々な想いを込めながら劇場を後にするのであった。

 

 

 

 

 

 

ちなみにこの日の1日の総売上はこれまでの中で最も多かった。飲食物と人形等の劇場オリジナル商品は在庫の分も含めて全て完売し、チケット代等も合わせて通常の100・・・いや、200倍であった。赤字が続いてブースカ劇場は一気に黒字になった。

その為ペガの懐は大変温かくなり、彼は上機嫌で親友が待っている家に帰るのであった。

 




【大怪獣バトルファイル】
究極超獣Uキラーザウルス


ヤプールが長い年月をかけて誕生させた超獣。エースキラーのデータを元に作られていて、顔はエースキラーに似ていて、全身青と金色なのが特徴である。
主な武器は4本の長い触手やそこから発射する光線、胸などの発光器官から放つ光線『テリブルフラッシャー』と全身の棘ミサイルを一斉に発射する『ザウルス・スティンガー』である。さらに巨大な腕による超怪力も武器だ。
昔ウルトラ兄弟に倒されたUキラーザウルスだが、復活したヤプールの怨念や惑星ハマーでクロウ達に倒された怪獣やレイオニクス達の怨念も合わさって復活した。
かつての戦いの時と同様にヤプールに憑りつかれてドライレクスと戦うが、ヤプールがクロウに倒された事で解放される。本来の自分の意識を取り戻してくれた上に、クロウの器の良さも知って仲間になる。
その後同じようにクロウの仲間となった超獣達のリーダーとなって、彼らと一緒に活躍するようになった。


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