俺は怪獣王になる   作:ヤマタノオロチ

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皆様、大変長らくお待たせしました!自分でも大分かかってしまったと思っております。実は少しスランプ気味になってしまったもんで(汗)。
その為にウルトラシリーズや様々な怪獣達の作品をたくさん観て、ようやくやる気に火を付ける事ができました。今回は様々な怪獣映画で活躍したレイオニクスと怪獣達が登場し、前後編共に激しいバトルを行います。
感想と評価をお待ちしております。

最強超合体獣キングオブモンス、宇宙超怪獣キングギドラ、大魔王獣マガオロチ
超合体怪獣グランドキング(スーパーグランドキング・スペクター)
巨蛾モスラ(姉弟)、雷怪獣バルグザーダン、宇宙昆虫レギオン(マザーレギオン)
宇宙怪獣オルガ、宇宙超魔獣デスギドラ、宇宙大怪獣ベムスター、深海怪獣ジグラ(RB)
円盤生物ブラックテリナ、異次元生命体プリカーサー(RB)、電磁波暴獣レザーバック
凶悪翼獣オオタチ、大魔獣帝スラターン、M宇宙ハンター星雲人(RB)
魔海獣ダガーラ、公害怪獣ヘドラ   登場




第38話 あっ、タコだ!サメだ!虫だ!機械生命体だ!!(前編)

キングジョーブラック軍団に勝利した事と新しい仲間を手に入れた祝いとしてギガ・ロボフォーで宴会を行っていたクロウ達。途中ヒュウガ達はペンドラゴンに戻ったが、初めてでありながら意外と酒が強かったレイは残った。そしてクロウ達も酒が強かったのでその後も派手に騒いでいたが、暫くして全員がそのまま眠ってしまった。

それぞれ良い夢を見ていたのだが、レイだけは夢の中で精神体のケイトと会話していた。

 

 

「レイモン・・・どうあってもお前は、父であるレイブラッドに逆らうつもりか?精神態となってもウルトラマンを石化する事ができる強大な力を持っているレイブラッドに・・・何故だ?レイブラッドを受け入れれば、お前は宇宙の支配者になれる事も可能なんだぞ!?」

 

「・・・力で宇宙を支配するなんて間違ってる!怪獣と戦い、怪獣を倒して強くなる。レイブラッドの後継者として生まれ、戦う事しか知らなかった俺に、それを教えてくれたのはペンドラゴンの仲間やクロウだ。彼らは俺を・・・レイブラッドの遺伝子を受け継ぐこの俺を、仲間として受け入れてくれた。そしてクロウは、迷っている俺を何度も導いてくれて、力を教えてくれて、怪獣達の絆を強くしてくれたりと・・・彼ら以上にいろんな事をしてくれた。だから俺は力よりもっと大切なものがある事を教わったのだ!」

 

「・・・フン、そんなものでレイブラッドの強大な力に本気で勝てると思っているのか?」

 

「レイブラッドは・・・宇宙に恐怖と混乱をもたらす存在だ。だから・・・復活は絶対に阻止しなければならない!俺は戦う!俺を受けれてくれた仲間や・・・偉大なる主人・クロウに応える為にも!!」

 

 

力強く言うレイを暫く見た後、ケイトは静かにため息をつく。

 

 

「決意は固いようだな。レイブラッドの後継者として、宇宙を支配するお前の姿を見たかった。・・・まぁ、あの男がいる以上難しい事なんだがな」

 

 

ケイトはクロウの事を思い浮かべると苦笑する。それに釣られるようにレイも薄く笑う。

 

 

「行け。お前の信じる道を!だが、死ぬなレイモン。私の弟よ・・・」

 

 

ケイトが応援の言葉を送った瞬間、周りが強い光りで覆われて彼女の姿が消えた。それと同時にレイも夢から目が覚めた。

周りを見渡すと部屋はゴチャゴチャに散らかっており、リーシャ達は未だぐっすりと眠っていた。また彼女達だけでなく多くの小型怪獣達も眠っていた。

ちなみにリーシャ、カミーラ、ダーラム、ヒュドラの4人は本来・変身した姿をしていた。これは宴会中に酒に酔った4人がさらに盛り上がろうと変身したからだ。本来なら等身大サイズでもエネルギーが切れて変身が解けてしまうのだが、クロウがエネルギーを切らさないように中央の椅子に置いてあるギガライブナイザーからエネルギーを出しているので、4人は今でも変身したままであった。

それらを見てレイは、かなりはしゃぎ過ぎたなと内心思いながらクロウの姿がない事に気づく。外にでもいるのかと思って静かに部屋を出て、そのままギガ・ロボフォーからも出る。すると予想通り少し離れた場所で空を眺めているクロウがいた。

 

 

「クロウ!」

 

「レイか。どうかしたのか?」

 

「いや、お前の姿が見えなかったから探してたんだ」

 

「そうか。いや、何・・・結構酒を飲んだから酔いを覚まそうと外に出ていただけだ」

 

 

そう言ってクロウは再び空を眺める。それを見たレイは彼の隣に立って同じく空を眺めるが、少しすると質問した。

 

 

「なぁクロウ・・・」

 

「ん?」

 

「もし・・・レイブラッドを倒して後継者になり宇宙の支配者になったら、お前はどうするつもりだ?」

 

「そんなの決まっている。怪獣達が誰にも邪魔されずにのんびりと平和に暮らす事ができる世界にするつもりだ。さらにどんな種族だろうと差別する事なく共存して、互いに手を取り合う事もできるようにもな!」

 

「・・・本当にそんな世界にする事ができるのか?俺が言うのもなんだが・・・難しいと思うぞ」

 

 

クロウが願う世界を聞いて、レイは恐る恐る自分の思いを言う。しかしクロウはそんな事を言われても平然としていた。

 

 

「確かに難しいな。だからこそ俺はどんな奴よりも強い力を手に入れ、俺を支えてくれる頼もしい仲間を集めているのさ。勿論レイ、お前もその1人だ。これからも頼りにしているぞ」

 

「ッ!?」

 

 

“頼りにしている”その言葉を聞いて、レイは心の中が嬉しさで熱くなる感じがした。これまでクロウには様々な事をしてもらった。そんな彼から頼られている。これが嬉しく思わない訳がない。

 

 

「・・・・・あぁ、俺の方こそ頼む!」

 

「うん。ではそろそろ戻るとするか。ギガライブナイザーの中にいるキングオブモンス達が寂しがっているだろうし。アイツらも目を覚ます頃合いだろう」

 

 

そう言ってクロウはギガ・ロボフォーに向かって歩き出す。レイはその後に続いて、彼の後ろ姿を見ながら思う。

 

 

「(ボス達と一緒に居ると気持ち良いが、クロウの元に居るとさらに気持ち良いな。リーシャ達も優しく接してくれるし)このままクロウの仲間として傍に居てもいいかもな・・・(ボソッ)」

 

「うん?何か言ったかレイ?」

 

「・・・いや、何でもない」

 

 

けど俺はボス達の仲間だ。だからせめて今一緒にいるこの時だけでもクロウの力になろう。そうレイは心に誓うのであった。

 

 

 

 

 

その後クロウは目が覚めたリーシャ達と一緒に後片付けをし、朝ご飯を食べてヒュウガ達に連絡を取ってレイをペンドラゴンに送る為にギガ・ロボフォーを発進させようとする。

その瞬間、タイミングを見計らったかのようにレイオニクスがやって来てバトルを挑んできた。

 

 

「出て来いモンスターキングよ!お前がその宇宙船の中にいるのは分かっているぞ!!」

 

「・・・これはまた変な奴が来たものだ」

 

 

随分失礼な事を言っていると思うだろうが仕方ない事だ。なにしろ外にいるレイオニクスは、タコのような風貌に半透明な体色をした姿の宇宙人だったからだ。確かコイツの名はミレニアンと言って、ゴジラの細胞を吸収して宇宙怪獣オルガに変化した奴だったな。コイツもオルガに変化するのかな?

 

 

「どうしますかクロウさん?」

 

「(まぁ、今はそんな事はどうでもいいか)・・・決まっている。ご指名されたからには、相手をしてやらないとな」

 

「しかしクロウ様、あんなタコ野郎は俺達だけで十分ですぜ。て言うか、俺がブッ倒してやります!」

 

「ダメだよグロラス。アイツはクロウ様を指名している。それなのに僕達が出たらクロウ様の顔に泥を塗ってしまう事になるよ」

 

「ソウダ。ソレニアンナ奴ニクロウ様ガ負ケル訳ガナイ。貴様ハクロウ様ノ力ヲ信ジテイナイノカ?」

 

「そ、そんな訳ないだろう!」

 

「ならここは大人しく身を引け。我が主クロウ様の勝利を見届けるのだ」

 

「ああ!クロウなら何の心配もない」

 

 

レイが力強く言うとリーシャ達全員が頷いて見つめてくる。やれやれ・・・何の疑いもなく俺の事を信じてくれるとは。本当に良い仲間を得たものだな。これは期待に応えないと絶対にダメだな。

 

 

「ではちょっくら行って来る」

 

「待ってクロウ」

 

「うん?どうしたカミー・・・」

 

 

いざ戦いの場に行こうとした時、いつの間にかカミーラが傍にいた。一体どうしたのかと振り向いた瞬間、彼女がクロウの唇に自分の唇を重ねた。つまりキスをしたのだ。

 

 

「・・・・・は?」

 

「「「「「「「なぁ!?」」」」」」」

 

「「あああああああぁぁぁーーーーーー!!?」」

 

 

あまりの事にクロウは唖然とし、レイ達は顔を真っ赤に染め、リーシャとルーネは悲鳴を上げる。しかしカミーラは気にする事なく言う。

 

 

「戦いに行く貴方へ勝利を願うキスよ。あと無事に帰って来る願いも含めているわ♪」

 

「あ、あぁ・・・ありがとう。そ、それじゃあ、行って来る」

 

 

流石に空気が重過ぎる事もあってクロウは逃げるように外に出て行った。その後ギガ・ロボフォー内では、リーシャ&ルーネVSカミーラの壮絶な戦いが繰り広げられ、レイ達は隅っこの方で内心怯えながら静かに戦いを観戦するのであった。

 

 

 

 

 

一方ようやくクロウが現れたのを見て、ミレニアン(RB)は武者震いしながら宣言した。

 

 

「出て来たなモンスターキング!貴様を倒してレイオニクスバトルに勝ち、我がレイブラッド星人の後継者となって宇宙中に我々の千年王国を作ってみせる・・・うん?」

 

「はぁ~~後で彼女達のご機嫌取りをしなければならないな。でもどうしたm「貴様聞いているのか!?」・・・えっ?あ、悪い。聞いていなかった」

 

 

あまりにも無礼な態度をとるクロウに、ミレニアン(RB)は半透明な体を真っ赤に染めながら怒る。

 

 

「き、貴様~!我に対してその態度・・・絶対に許さん!行け我が怪獣達よ!!」

 

『バトルナイザー!モンスロード!!』

 

「キュアッ!アオオオンッ!キュイイィィン!!」

 

「ギャアアアアアァァァゥゥゥッ!!」

 

 

ミレニアン(RB)のバトルナイザーから召喚された怪獣は2体。

1体目はお腹に五角形の口があり、頭の角と両腕の鋭い爪が特徴の宇宙大怪獣べムスター。

2体目はキングギドラによく似た姿をしているが、体表には鱗が無く、体の色は黒で四足歩行が特徴の宇宙超魔獣デスギドラだ。

 

 

「ほぉ、なかなか強い怪獣みたいだな。では今回は・・・ん?」

 

 

いつものようにキングオブモンスを召喚しようとした時、ギガライブナイザーからモスラ姉弟の声が響いた。2体はいつになく自分達に行かせてほしいと必死にお願いしてくる。さらにバトラも同じように行かせてほしいとお願いしてくる。

どうやらあのデスギドラとはだいぶ深い因縁があるみたいだ。

 

 

「いいぜ。なら今回はお前達に任せるとしよう。行け!モスラ姉弟!!バトラ!!」

 

『バトルナイザー!モンスロード!!』

 

「カクィオオオオオォォウン!!」

 

「ピュアアアァァピュイイイィィ!!」

 

「ピュヴオオオオォォォッ!!」

 

 

召喚されたモスラ姉弟とバトラは、ベムスターとデスギドラを睨みつけながら威勢よく鳴き声を上げる。特にモスラ姉弟は普段ならあり得ない程デスギドラに敵意を見せている。そしてそれはリーシャのバトルナイザーの中にいるモスラ・レオも同じだった。

 

 

『ピュアアアアアァァァ!!』

 

「貴方も行きたいのモスラ?でも今回は我慢してね」

 

『ピュアアアァァッ!ピュイイイィィィ!!』

 

「大丈夫よ。貴方の子供達と大切な怪獣にはクロウさんが付いているんだから。だから安心して」

 

 

優しく言うリーシャの言葉を聞いてモスラ・レオは次第に落ち着いて、モスラ姉弟とバトラの勝利を願いながら見つめるのであった。

その頃、睨み合っていた怪獣達は遂にバトルを開始した。

 

 

「キュイイィィン!!」

 

「ギャアアアアアァァァゥゥゥッ!!」

 

 

ベムスターとデスギドラは空高く飛び上がると、それぞれ黄色の破壊光線『ベムスタービーム』と火砕流や溶岩流等をエネルギーにした光線『火砕流撃弾』を何発も放つ。

対してモスラ姉弟とバトラは素早い動きで躱す。そしてモスラ姉弟がそれぞれ『超音波ビーム』を放つ。

 

 

「キュアアアァァッ!」

 

 

しかしベムスターが前に飛び出し、光線を全て腹部の五角形の口『吸引アトラクタースパウト』で吸収した。攻撃を防いだ上にエネルギーを得られた事で、ベムスターは喜びの声を上げる。だがそれはモスラ姉弟の作戦だった。

 

 

「ピュヴオオオオォォォッ!!」

 

「ギャアアアアァァゥゥッ!?」

 

 

喜んでいたベムスターの背後では、空高く飛んでいたバトラが急降下しながらデスギドラに接近していた。それを見てデスギドラは再び口から『火砕流撃弾』や灼熱の火炎『火龍重撃波』を放って撃ち落とそうとする。

しかしバトラは素早い動きで躱し、成虫形態から幼虫形態に変わって『プリズムブレード』で翼を片方切り裂いた。

実はベムスターは、エネルギーを得た直後は動きを止まってしまうと言う弱点を持っている。それを利用して彼が動きを止めた隙に、デスギドラを攻撃したと言う事だ。

翼を切り裂かれたデスギドラは地面に落下していく中、バトラは再び成虫形態に戻って空を飛んだ。

 

 

「デ、デスギドラが!ベムスター、早く助けるんだ!!」

 

「キュイィィッ!」

 

 

それを見たミレニアン(RB)は、慌ててベムスターにデスギドラを助けに行くよう指示を出すが・・・。

 

 

「行かせるか。バトラ!」

 

「ピュヴオオオオォォォッ!!」

 

 

当然そうはさせないとバトラがベムスターに体当たりし、そのまま眼から『プリズム光線』で攻撃する。さらに翼や脚の爪も使ってベムスターの動きを封じた。当然ベムスターも爪や腕、嘴などを使って反撃し、2体は空中で激しく戦い合うのであった。

その間にデスギドラは地面に落下してしまう。だがレイオニクスの力により再生能力が高くなっている事ですぐに立ち上がり、自分の翼を切り落としたバトラに激しい怒りを込めながら攻撃しようとするが・・・。

 

 

「カクィオオオオオォォウン!!」

 

「ピュアアアァァピュイイイィィ!!」

 

 

そこへモスラ姉弟が背後から接近して『超音波ビーム』でデスギドラの首を攻撃した。首を攻撃された事でデスギドラは脳震盪を起こし、一瞬動きが止まってしまう。その隙をついてモスラ姉弟は『鱗粉』を大量に浴びせた。

 

 

「ギャ、ギャアアアア・・・ァァゥゥッ!?」

 

 

毒効果を持つ『鱗粉』を浴びて、デスギドラは悲鳴を上げる。だが必死に耐えて、怒りと憎悪が籠った眼で睨みつけながら口から『火砕流撃弾』や『火龍重撃波』、さらに高熱エネルギーによるバリア『轟砲一閃』で反撃する。

それでもモスラ姉弟は攻撃を止めず、さらに激しく攻めるのであった。その様子をクロウは少し心配しながら見つめている。

 

 

「いくらなんでもアレではすぐに力が失ってしまう。ならば・・・バトラ!ベムスターを叩き落とせ!!」

 

「ピュヴオオオオォォォッ!!」

 

「キュイィィッ!?アォオオオォォォ・・・・・ン」

 

 

モスラ姉弟を助ける為にクロウはバトラに指示を出す。指示を聞いたバトラは素早く動きながら翼を勢いよく振ってベムスターの頭に叩きつける。それによってベムスターは一瞬意識を失って地面に向かって落下した。その隙をついてバトラは空高く上がってから急降下し、再度幼虫形態に変わって落下のスピードも合わせた『プリズムブレード』でベムスターの体を真っ二つに切り裂いた。

 

 

「・・・・・ッ」

 

「ピュヴオオオオオオォォォォッ!!」

 

 

体を真っ二つにされたベムスターは断末魔を上げる暇もなく大爆発を起こし、またまた成虫形態に戻ったバトラは空高く飛びながら勝利の鳴き声を上げた。

一方その光景を見ていたミレニアン(RB)は驚きの声を上げた。

 

 

「バ、馬鹿な!?ベムスターがあんな簡単にやられるなんて!?」

 

「残念だったな。いくらベムスターでも俺のバトラが相手では当然の結果だ。よく頑張ったぞバトラ、そのままモスラ姉弟の加勢に行け!」

 

「ピュヴオオオオォォォッ!!」

 

 

クロウに褒められて上機嫌な気分のままバトラはデスギドラ相手に奮闘しているモスラ姉弟へ行き、眼から勢いよく『プリズム光線』を放つ。『プリズム光線』はモスラ姉弟の『鱗粉』によって乱反射して、様々な方向からデスギドラを狙い撃つ。しかしデスギドラはそれでも怯まずに反撃し続けた。

それならばとクロウはさらに援軍を送ろうとグランドキングを召喚しようとした時、背後から大きな物音がした。振り返ってみると少し離れた場所に土煙が起きていた。どうやら何かが空から降ってきたようだが、一体何であろうか?目を凝らしながら煙が晴れるのを待っていると、現れたのは貝の一種である“ムール貝”に似た姿をし、中から数本の触手が伸びている円盤生物ブラックテリナだった。だがこのブラックテリナ、貝殻の所々の部分が砕けていたり、溶けていたりしていた。あれはかなり重症だなと思っていた時、ブラックテリナの口の中からサメに似た姿をした怪獣が出て来た。あれ?アイツは怪獣だっけか?なんか違ったような・・・。

 

 

「ぐっ・・・がっは!お、おのれ・・・よくも、よくもこのジグラ星人に~~!!」

 

「・・・あぁ~そうかそうか。思い出した!アイツはジグラ星人だった!!」

 

 

目の前にいる怪獣・・・いや、異星人の正体は天体ナンバー105系宇宙にある第4惑星ジグラ星と言う惑星が出身の魚型の知的生命体・ジグラ星人であった。

かつてジグラ星人は、自分達の星が環境汚染によって滅びかけてしまい、その為地球侵略を企てたが守護神とも言える怪獣によって失敗してしまったという過去があった。

またその際に担当した者が地球の海の水圧と環境が合わなかった事で巨大化して怪獣となってしまったのだが、この個体は小さいままであった。

どうやら彼はレイオニクスになった事で、別の星に居ても巨大化する事がないようだ。そしてミレニアン同様にレイブラッド星人の後継者になって宇宙を支配すると言う野望があったんだが、見た感じ的にバトルに負けてしまったようだ。何故なら今の彼の銀色の体は所々紫色であった。毒でも受けたか?

 

 

「ハァハァ・・・こ、こんな事で我が・・・「おい」!?ダ、誰・・・貴様は、モ、モンスターキング!?」

 

 

まさかあのモンスターキングが此処にいるとは思わなかったジグラ(RB)はかなり慌てた様子で、バランスボール等の上で必死にバランスをとろうとするような感じで起き上がる。その様子を内心面白く感じながらクロウが話し掛ける。

 

 

「大分酷くやられたようだなジグラ星人よ」

 

「だ、黙れ・・・ハァハァ、何故・・・貴様が此処に?」

 

「ちょうど此処でレイオニクスバトルをしていたんだよ。そう言うお前も何故此処に来たんだ?それにあのブラックテリナの状態はどうしたんだ?」

 

「う、五月蠅い!少し不覚を取っただけだ。貴様には・・・関係ない!」

 

「それはどうかな?事と次第によっては・・・お前をバトルの乱入者として始末しなければならないからな~~?」

 

「ッ!?」

 

「さてもう一度聞くぞ。お前は何故此処に来た?そしてブラックテリナの状態はどうした?」

 

 

少しオーラを出しながらクロウは質問する。しかしジグラ(RB)はまだ悩んでいるのか黙ったまま・・・いや、少し違うようだ。

 

 

「ハァハァ・・・ハァハァ・・・」

 

 

先程よりも息を荒く吐いている。やはり毒を受けてしまっているようだ。これでは話をするのは難しいな。

 

 

「ちょっと待ってろ。今治してやる」

 

「な、何・・・!?」

 

 

驚くジグラを他所に手からキラキラ輝く光の光線『治癒光線』が放つ。これは惑星ボリスで特訓していた際に手に入れた特殊能力で、傷だけでなく状態異常も治せる光線だ。少しして傷が治って毒が消えたのを確認した後、クロウが再び訊ねる。するとジグラ(RB)は治してくれたお礼もあってようやく話し出した。

 

 

「少し前に此処とは別の場所でレイオニクスバトルをしていた。最初は我が優勢だったが、途中妙な虫けらのレイオニクスが乱入してきたのだ。そいつの為に我の怪獣達を倒され、我もあのような状態になってしまったのだ。我はブラックテリナに乗って逃げたが、最初に戦っていたレイオニクスも加わって追撃されたのだ」

 

「と言う事はそいつらも此処に来るって事じゃ・・・!?」

 

 

ジグラ星人(RB)から話を聞き終えたのと同時にクロウは遠くから1体の宇宙人がこちらに向かって走っているのに気が付いた。そいつはジグラ(RB)が言った通り昆虫の姿であるが、その昆虫がまさかのアレであった。

 

 

「ゴ、ゴ〇ブリ!?」

 

 

そう、地球で最も恐れられて嫌われているあの昆虫と同じ姿をした宇宙人なのだ。クロウは叫んだ後、迫り来る宇宙人目掛けて容赦なく『モンスターショット』を放つ。

しかし宇宙人は素早い動きで躱し、そのまま立ち上がって怒りの声を上げた。

 

 

「ゴキゴキ!いきなり何をする貴様!?」

 

「た、立ち上がった!しかも人間のように喋るなんて!?お、お前は何なんだ!?」

 

「俺か?俺はM宇宙ハンター星雲人だ。全てのレイオニクスバトルに勝利し、宇宙の支配者になる者だ。ゴーキゴキ!」

 

 

あぁ・・・M宇宙ハンター星雲人ね。そう言えばこんな宇宙人もいたな、いてしまったな。初めて映画を見て正体を知った時はそりゃあゾクゾクっとしたもんだ。しかし目の前にいるコイツはその時よりも背筋が震えてくる。何しろさっきの動きや腕がそのまんまゴキブリの腕なんだからさ!

ちなみにギガ・ロボフォーのいるリーシャ達やペンドラゴンにいるハルナはとても嫌そうな表情を浮かべながら震えていた。まぁ、女性だから仕方ないね。

一方M宇宙ハンター星雲人(RB)はまだ怒りの声を上げていたが、次第に落ち着き始めてクロウの姿を見てその正体に気が付いた。

 

 

「ゴキゴキ!貴様が噂高いモンスターキング・クロウだな。此処で貴様を倒せば宇宙の支配者になったも当然だ。さぁ、俺と勝負しろ!」

 

「・・・いや、勝負するのは俺だ」

 

 

威勢よく言うM宇宙ハンター星雲人(RB)だったが、どこかともなく誰かの声が響いた。それを聞いて全員が周りを見渡していると何もない所の空間が裂けて、そこから異形生命体が現れた。直立二足歩行の昆虫のような姿をした、異様な姿の生き物だった。その名は・・・プリカーサーと言う。

このプリカーサーと言う生命体だが、彼はヤプールと同じ別次元に住む異次元人なのだ。そして彼らの種族は、自分達が住む世界で資源や寿命が終わりに近づくと別の時空で新たな星を探す。そして目ぼしい星を見つけたらそこを侵略し、その星にある資源を次々と食い潰してしまうのだ。

 

 

「ガッサー!貴様なんのつもりだ?また俺の獲物の横取りをする気か!?」

 

「うん?・・・あぁ、さっきの件はすまなかったな。なかなか強い力を奴から感じたから期待できると思ったんだが、それ程でもなかった。逆に威張り散らしが激しく煩い奴だった。虫けらのお前には丁度良いがな」

 

「ガサッ!?また俺の事を虫けらと呼んだな!?そう言う貴様こそ虫けらではないか!絶対に許さないぞ!!」

 

「我も同じだ。このジグラ星人に向かってその口・・・絶対に許さんぞこの虫けら!!」

 

「何だと貴様ら・・・・・」

 

 

3人が言い争っている中、クロウは冷静に彼らの実力を探る。ジグラ星人(RB)とM宇宙ハンター星雲人(RB)は・・・まぁ、ミレニアン(RB)と同様そこそこの実力だ。

しかしプリカーサー(RB)は別だ。奴の実力はあのX星人カイザーやグランデに近い感じだ。その証拠に彼が持っているバトルナイザーはネオバトルナイザーで、しかもカイザーと同じようにカラーリングが普通ではない艶のある水色と青色であった。これは油断できないと思っていた時、背後からミレニアン(RB)がまた怒鳴り声を上げた。

 

 

「おいモンスターキング!貴様また我の事を無視するつもりか!?」

 

「あぁ、悪い悪い。折角ご指名されたんだからちゃんとお前達の相手もするよ」

 

 

全く・・・なんだか今日は誰かに謝ってばかりだ。ちょっと情けない気がするなと思った時、持っていた小型携帯が鳴り出した。出てみるとリーシャ達が心配そうに話し掛けてきた。

 

 

「クロウさん、大丈夫ですか!?」

 

「あぁ、こっちは何ともないよ」

 

「でも次々とレイオニクスが現れて・・・今すぐ助太刀に行きます!」

 

「・・・いや、その必要はない。お前達はそのまま待機していろ」

 

「えっ!?で、ですが・・・!」

 

「大丈夫、こいつ等は全員俺が倒す。なにしろ俺にはお前達と同様に頼りになる相棒達がいるからな。それに・・・こんな連中に俺が負ける訳がないだろ?だから安心して観ていてくれな」

 

 

そう言った後、クロウは携帯を切って再び前を向く。するとプリカーサー(RB)とM宇宙ハンター星雲人(RB)がジッとこちらを睨んでいた。

 

 

「随分と余裕な事を言うのではないか。いくら貴様がモンスターキングであろうと俺が作り、強く逞しく我が子同然に育てたKaiju達に簡単に勝てると思わないでもらうか!」

 

「Kaiju・・・?」

 

「そうだ。見るがいい俺のKaiju達を!!」

 

『バトルナイザー!モンスロード!!』

 

「グエエエエェェェェッ!!」

 

「カロロロロロロッ!!」

 

「フシュオオオオオオォォォォォォッ!!」

 

 

プリカーサー(RB)がネオバトルナイザーを取り出すと3体の怪獣を召喚される。

1体目は亀とゴリラに似たような姿をし、太く筋肉モリモリの逞しい両腕と体中にある栄光色の模様が特徴の電磁波暴獣レザーバック。

2体目は四足歩行のトカゲに似た姿で、顔と頭部の突起の正面の合計6つある目と体よりも長く先端に3本の鉤爪がついている尻尾が特徴の凶悪翼獣オオタチ。

3体目は頭部がXの形をして、レザーバックと同等に全身が逞しく、青く光る4つの目とが非常に長く先端が槍のように尖った三つ又の尻尾が特徴の大魔獣帝スラターンである。

 

 

「どうだモンスターキングよ!見事なKaiju達であろう」

 

 

プリカーサー(RB)が自慢しながら言うとスラターン達も威勢よく咆哮を上げる。しかしそれをM宇宙ハンター星雲人(RB)は嘲笑う。

 

 

「ゴキゴキ!そんな奴らより俺の怪獣の方が凄いぞ!出て来いヘドラ!!ダガーラ!!」

 

『バトルナイザー!モンスロード!!』

 

「キョオオオオオ!!」

 

「グワゥゥゥゥゥッ!!」

 

 

M宇宙ハンター星雲人(RB)がバトルナイザーから召喚した怪獣はヘドラとダガーラの2体だ。どちらも毒系で良い怪獣だ。けどなかなかの強敵かもしれないが、負ける気はさらさらない。

 

 

「確かにお前達の怪獣は良い奴ばかりだな。なら俺も素晴らしい怪獣達で相手をする事にしよう。行け!!」

 

『バトルナイザー!モンスロード!!』

 

「グオオオオオォォォォーーー!!」

 

「ピッギシャアァァァォォォ!!」

 

「グゥエエエエエゥゥゥーーー!!」

 

「グアアァァァ!キィィィヤアアアァァァッ!」

 

「グヴゥオオオオォォォッ!!」

 

「キシュゥゥゥゥゥピイイイィィィィィッ!!」

 

 

ギガライブナイザーから召喚されたのはキングオブモンス、キングギドラ、グランドキング、マガオロチ、バルグザーダン、マザーレギオンの6体だ。

ちなみにこのマザーレギオン、先日タクトとグロラスがレイオニクスバトルで倒したブラコ星人(RB)のバトルナイザーに残っていた怪獣だ。

何故彼がバトルでこの怪獣を使わなかったのか?それは見て分かる通り、マザーレギオンが強過ぎたからだ。

全身を覆う強固な外殻に鋭角的な頭部の角、パラボナアンテナの様に生えた『干渉波クロー』と呼ばれる10本の爪、腹部のオレンジ色の粒々、下半身に生えた6本の鋭い脚が特徴であり、そして並みの怪獣の倍くらいの大きな体をしているマザーレギオン。そんな強豪怪獣を普通のバトルナイザーであるブラコ星人(RB)が制御できる筈がなく、それ故にバトルに出す事を躊躇ったのだ。そんなマザーレギオンも今ではクロウの仲間で、昨日のキングジョーブラック軍団との戦いの時は違い、今回は彼に直接指示を受けながら戦う事ができる。ある意味初陣であった。

そして彼らは威勢よく咆哮を上げた後、スラターン達を睨みつける。

 

 

「さぁお前達、奴らを思う存分叩き潰しまいな。だがグランドキングはモスラ姉弟やバトラの援護に向かえ。今頃力を使い過ぎて危機に陥っていると思うから急いで行くんだぞ。いいな?」

 

「グゥエエエエエゥゥゥ・・・!」

 

「フッ、安心しろ。お前にはまた力を与えて覚醒した姿にして「グオオオオオォォォォッ!!」・・・あぁ、分かった分かった。キングオブモンス達にもちゃんと力を与えるよ。さぁお前達、行け!!」

 

 

クロウの指示を聞いてグランドキングを除いた5体は一斉に走り出した。

それに合わせてスラターン達も走り出し、両軍は激しい土煙を上げながら激突する。そして各自戦いの邪魔にならない様に相手と組み合ったり、投げ飛ばしたりしながら距離をとって戦いを繰り広げ出した。

そんな中、ジグラ星人(RB)はブラックテリナを少し離れた所に移動させて、自分はクロウの後に隠れるように立って戦いを観戦し始めた。何故なら今自分の手持ち怪獣はブラックテリナ1体だけな上に、重傷の状態でもあるから戦ってもすぐにやられてしまうのがオチだ。故にジグラ星人(RB)はまだ自分の味方になってくれるであろうクロウの後ろに隠れて、反撃するチャンスを窺う事にしたのだ。

彼のそんなせこい考えに気が付いているクロウは、何とも言えない表情になりつつ戦いに集中するのであった。

そしてグランドキングはモスラ姉弟やバトラの加勢する為、回れ右をしてドシンドシンと大きく足踏みを鳴らしながら猛スピード(?)で向かった。

そこではクロウが言った通り『鱗粉』を使い過ぎて少し弱々しい感じがしているモスラ姉弟や2体を庇いながら戦うバトラと段々反撃する回数が増えてきているデスギドラの光景が目に映った。それを見てグランドキングはさらにスピードを上げて戦場へと急いだ。

 

 

「グゥエエエエエゥゥゥーーー!!」

 

「あれがモンスターキングの新手か。だが我が負ける筈がない!デスギドラ、奴を倒せ!倒すのだ!!」

 

「ギャアアアアアァァァゥゥゥッ!!」

 

 

やって来たグランドキングを見てミレニアン(RB)はすぐさまデスギドラに指示を出す。デスギドラは体内に溜めていたマグマエネルギーを一気に解放し、背中等の死角から敵を吹き飛ばすと同時に大きなダメージを与える『天怒爆突』でモスラ姉弟とバトラを振り払い、そのままグランドキング目掛けて『火砕流撃弾』を何発も放つ。

迫ってくる火球に対してグランドキングは避ける事も防ぐ事もせず、真正面から攻撃を受ける。

 

 

 

ドゴオオオオオォォォォン!!!

 

 

 

「ハハハ!やったぞ!やはり我がデスギドラは無敵だ。フハハハハハ!!」

 

 

激しい爆発音と黒煙を見てミレニアム(RB)はグランドキングを倒したと思い、触手を震わせながら上機嫌に笑う。そして残っている3体を倒そうと指示を出そうとするが、黒煙が晴れて視界が良くなっていくにつれて笑いが消えていく。

 

 

「なっ!ば、馬鹿な・・・何故奴が生きている!?」

 

 

黒煙が晴れた先には倒した筈のグランドキングがいた。しかも彼の体には傷が全くついていなかった。それを見たミレニアン(RB)は動揺して、つい動きを止めてしまう。その間にグランドキングは全身に力を込め、スーパーグランドキング・スペクターにパワーアップした。

 

 

「グゥアアアアアゥゥゥッーー!!」

 

「・・・ッ!デスギドラ、火砕流撃弾だ!もう一度火砕流撃弾を放つんだ!!」

 

「ギャアアアアアァァァゥゥゥッ!!」

 

 

咆哮を上げながら迫ってくるスーパーグランドキング・スペクターを見て、ミレニアン(RB)はもう一度技を放つようにデスギドラに命令するが、それよりも先にスーパーグランドキング・スペクターが右腕の剣でデスギドラの左右の首を切り落とした。

 

 

「グアアアァァァッ!ギャアアアアアァァァゥゥゥッ!?」

 

 

3つのうち2つの首を切り落とされたデスギドラは悲鳴を上げ、その場に倒れて翼を滅茶苦茶に羽搏かせたり、転がったりして激しく悶える。その隙に吹っ飛ばされて地面に落下していたモスラ姉弟とバトラが再び飛び上がってスーパーグランドキング・スペクターに近寄る。

 

 

「カクィオオオオオォォウン!!」

 

「ピュアアアァァ!!ピュイイイィィ!!」

 

「グゥエエエエェェェゥゥゥ・・・!?」

 

「ピュヴオオオオォォォッ・・・」

 

 

モスラ姉弟は自分達を助けに来てくれたスーパーグランドキング・スペクターに感謝の気持ちを込めた鳴き声を上げながら頭と背中に引っ付き、6本の脚でワシャワシャと撫でた。彼に好意を持っている2体なので、撫でると言うよりもじゃれついているみたいだ。

当然この行動にスーパーグランドキング・スペクターは鬱陶しく感じ、剣と鉤爪を軽く動かしたり、頭や体を震わせて追い払うとするが、2体は頑固として離れなかった。そんな彼らを見てバトラは呆れた声を出す。

するとそこへミレニアン(RB)の怒声が響いた。

 

 

「オノレオノレ・・・オノレ~~~!!モンスターキングだけでなく、その怪獣達までもが我を無視するなんて・・・許せん。絶対に許せん!デスギドラよ、いつまで悶えている。お前は無敵の怪獣なんだ。さっさと起き上がって奴らを纏めて倒せ!!」

 

「ギャ、ギャアアアアアァァァゥゥゥッ!!」

 

 

怒る主人の命令を聞いたデスギドラは必死に痛みに耐えながら起き上がって、スーパーグランドキング・スペクター達に『火砕流撃弾』を放つ。だが首が1つしかない上に大ダメージを負っている為、その回数と威力は激減していた。

それを見た4体はこき使われる相手(デスギドラ)に同情しつつも手加減する気はなく、それぞれ必殺光線を一斉に繰り出した。

 

 

「グァギャアアアアアァァァゥゥゥッ・・・・・」

 

 

4体の技を受けたデスギドラは断末魔を上げながら大爆発し、木端微塵に吹き飛んだ。

 

 

「グゥアアアアアゥゥゥッーー!!」

 

「カクィオオオオオォォウン!!」

 

「ピュアアアァァ!!ピュイイイィィ!!」

 

「ピュヴオオオオオォォォォッ!!」

 

 

全ての敵を倒した事でスーパーグランドキング・スペクター達は勝利の咆哮を上げる。そして自分達の主人であるクロウの元へ向かうとするが、彼らの前にミレニアン(RB)が立ち塞がった。もう手持ち怪獣がいない筈の彼が一体何のようであろうか?

 

 

「デ、デスギドラ・・・無敵である筈のお前が倒されるなんて!?こうなれば・・・我自ら貴様達を始末してくれる!そして我らの千年王国を作るのだ!!」

 

 

そう言った後ミレニアン(RB)は全ての触手を地面に突き刺す。すると彼の体が大きくなり始め、それと同時に禍々しい姿になっていった。

それは左右非対称の歪な形状とゴリラのような長い腕、左肩にある穴が特徴の宇宙怪獣オルガである。

これはかつて同族が本来自分達がいた世界でゴジラの細胞『オルガナイザーG1』を手に入れた事で変身した姿で、彼はゴジラや地球人に気づかれる事なくゴジラ細胞を手に入れ、自分の科学力でそれを完全に制御する事に成功していた。そしてその完全な制御ができているゴジラ細胞を自分の体に取り込み、自分の意思一つでオルガへ変身する事が可能になったのだ。しかも変身後も自我はしっかりと保っているようだ。

 

 

「どうだ!これが我のもう1つの姿だ。この姿になった我は無敵。貴様達なんか一瞬で片付けてくれるわ!!」

 

 

高々に言いながらオルガは左肩の穴から強力な『波動ビーム弾』を放つ。対してモスラ姉弟とバトラは素早い動きで躱し、スーパーグランドキング・スペクターはまた真正面から受け止め、そのまま『スーパーグランレーザー』を放って攻撃する。

光線を食らって体の一部が消し飛ぶ程のダメージを食らうオルガ。だが彼は平然な表情をしている。どうしたものか?と思った時、なんと彼の消し飛んだ部分が瞬時に治ったのだ。これぞオルガの最大の強みである驚異的な再生能力だ。その後オルガは腕をバネにして空高くジャンプし、スーパーグランドキング・スペクターの後ろに着地する。

そして再度『波動ビーム弾』を放とうとするが、それより先にモスラ姉弟とバトラがスーパーグランドキング・スペクターを守ろうとオルガ目掛けて必殺光線を放った。

 

 

「ふん!また同じ手か。学習能力のない奴らだ」

 

 

3体が必殺光線を放つのを見てオルガは嘲笑いながら再びジャンプして空中へ逃れる。だがそれはモスラ達の作戦だった。

 

 

「カクィオオオオオォォウン!!」

 

「ピュアアアァァ!!ピュイイイィィ!!」

 

「ピュヴオオオオオォォォォッ!!」

 

「な、何だ!?あぐっ!ぐあっ!ゴバッ!や、やめろ・・・!」

 

 

落下していくオルガ目掛けてモスラ達は猛スピードで何度も交互に体当たりを食らわせる。オルガは体当たりを受ける度に空中に上がり、反撃する事も身動きする事もできなくなってしまった。その様子はまるでテニスやバトミントンのようにボールを打ち合っているかのようだ。

この連続攻撃の前に流石の再生能力も追い付かず、オルガの体はボロボロになっていった。そしてある高さまでくるとモスラ達はオルガから離れ、それに合わせてスーパーグランドキング・スペクターが最大パワーで『スーパーグランレーザー』を放った。

 

 

「グヴヴヴ・・・ギャアアアアアアアアァァァァァァーーーッ!!?」

 

 

必死に耐えようとするオルガだったが、スーパーグランドキング・スペクターが最大限まで溜めて放った必殺光線だった為、とうとう大爆発を起こした。

今度こそ全ての敵を倒したのを確認してからスーパーグランドキング・スペクター達はまた勝利の咆哮を上げる。そして自分達の主人であるクロウの元へ向かうとするのだが・・・。

 

 

「グゥアアアアアゥゥゥッーー!!」

 

「・・・ピュアアァッ!カクィオオオオオォォウン!!」

 

「ピュイイイィィッ!キュアァァ~!」

 

「ピュヴヴゥ・・・ピュヴオオオオォォォッ!」

 

「グゥアアァッ!?グ、グゥエエエエェェェゥゥゥ~~!」

 

 

大きくなった事もあっていつもより歩くのが遅くなったスーパーグランドキング・スペクターを見て、モスラ姉が彼を掴んで運んで行こうとする。弟もそれを見て一緒に運ぼうとし、バトラに「手伝って欲しい!」とお願いする。同時に姉もキラキラと眼を輝かせながら見つめる。

これには流石のバトラも断る事ができず、一緒にスーパーグランドキング・スペクターを掴んで持ち上げてクロウの元へ向かうのであった。

この時スーパーグランドキング・スペクターは滅多に味わう事ができない空を飛ぶと言う体験に、内心テンションがマックス状態になったのは余談である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

けどその為に彼らは気付かなかった。

切り落としたデスギドラの2つの首がゆっくりと動き始め、木端微塵になった場所に引き寄せられるように向かっていた事を・・・。

 

 




【大怪獣バトルファイル】
宇宙超魔獣デスギドラ


かつて6500万年前に地球に襲来し、恐竜絶滅の原因を作った宇宙怪獣。
宇宙人ミレニアム(宇宙怪獣オルガ)の主力怪獣で、姿はキングギドラに似ているが、体表には鱗が無く、体色は黒で四足歩行が特徴である。
主な武器は、地割れを起こして地下のマグマを噴出させたりできる。
主な武器は口から吐く火砕流を溶岩流、それらをエネルギーにした光線『火砕流撃弾』や灼熱の火炎『火龍重撃波』、3つの首から火砕流撃弾を一斉に放って回転、増幅させて打ち出す『三重渦撃砲』、三重渦撃砲のスピードと回転をさらにパワーアップさせた強化技『炎龍旋風撃波』などある。他にもマグマを自在に操る能力を持って、地割れを起こしたり、地下のマグマを噴出させる『剛烈駆雷震』や体の一部を爆発させる事で、背中などの死角から敵を吹き飛ばすと同時に大きなダメージを与える『天怒爆突』、高熱エネルギーによるバリア『轟砲一閃』と言った防御技も持っている。
モスラ一族とは深い因縁があり、今回モスラ姉弟とバトラ相手に仲間のベムスターと共に戦うが、グランドキングの参戦によって倒されてしまった。
しかし戦いの最中に切り落とした2つの首が何やら怪しい動きをしている。一体この後どうなるかは後半に期待して欲しい。

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