インフィニット・ストラトス ~黒兎の見る世界~ 作:フォールティア
どうも、この前ガンプラ作っててニッパーが手の甲に刺さったフォールティアです!
皆さんも刃物には気を付けてね!
「整備棟、整備棟はっと・・・ここか」
クラス代表をかけた模擬戦が行われるのが決定したその日の放課後、僕は一人ISの整備棟へと訪れていた。
「武装のチェック位はしておかないと」
僕の専用IS、ヘイズルは様々な改修が施され、入学前日の夜中になって束さんから渡された。
早速動かしてみたいけれど、アリーナの使用許可はそう簡単には降りないだろうから、先に現状使用できる武装や詳細なスペックを調べようという魂胆だ。
「束さんの事だからまた色々突っ込んだんだろうなぁ」
面白半分でロゼットに18連装ミサイル二基持たせたり、ファイバーに、全長と同じ位の実体剣を搭載しちゃったりする人だからな・・・いや、流石に汎用型のヘイズルにそこまでぶっ飛んだ装備は入れないでしょ、多分。
不安を抱えつつ右腕に着けたTの字が3つ重なったような飾りを持つシルバーブレスレットを弄る。
このブレスレットがヘイズルの待機形態である。
「よし、とりあえず変なのが入ってたらクロエに連絡して制裁を加えるよう言っておこう」
そうすれば少しは堪えるだろう。束さん、クロエには弱いからなぁ。
対処法を思い付いたことで軽くなった心持ちで整備棟の一室へと足を踏み入れる。
「え?」
「・・・あれ、部屋間違えた?」
そこには、水色の髪の眼鏡をかけた生徒が先に居た。
水色の髪の少女、日本の代表候補生・更識 簪(さらしき かんざし)は放課後の整備棟の一室で一人、大型ディスプレイと対面していた。
その指先はキーボードを絶えず叩き、ディスプレイに表示されたデータに情報を打ち込んでいく。
「格闘対応の為にFCSがミサイルに対応しきれなくなる・・・かといって遠距離対応に書き換えても今度は近距離での戦闘で対応できない・・・あっちを立てればこっちが立たない、か」
カタカタと鳴っていたキーボードの音が止み、整備室が簪の呟きを最後に静寂に包まれる。
彼女が現在行っているのは自身の専用機のプログラミングだ。
元来、そういった事は専用機を与える企業側がやるべき事であり、代表候補生自らがその行為をするのは本来あり得ない事だ。
しかし、ある理由と自身の意地もあって彼女は今、入学初日であるにも関わらずこの整備室で作業している。
「・・・なるべく早く、完成させないと」
その呟きは、ドアが開く音に掻き消された。
「え?」
「・・・あれ、部屋間違えた?」
簪は振り向いた先、ドアを開けた人間を見て呆けた声をだした。
そこに立っていたのは世界で『二人目』の男性IS操縦者、扶桑睦月その人であった。
「・・・扶桑、睦月?」
「えと、そうですけど・・・」
整備室に入ってみたら中に水色の髪の美少女が居た件。
良く見れば、身に付けている制服のリボンが赤色だ。三学年の内、赤色のリボンは一年生のものだったはず・・・
「ん?」
「・・・何ですか」
水色の髪の一年生・・・確か、何処かで見たような・・・
そこでピンと記憶が甦り、声を上げる。
「日本の代表候補生、更識 簪さん・・・ですか?」
「そうですけど・・・」
ISの専門誌にその名が載っていたのを思いだし、訪ねてみるとどうやら正解だったようだ。
でも僕が言うのも何だけど、どうして入学早々こんな所に居るのだろう?
とそこで、更識さんの後ろにあるディスプレイに目が行く。
データの内容から見るに、
「OS、ですか。それもISの」
「・・・わかるの?」
「まあ、それなりに」
驚きの目線にそう答えながらディスプレイの前まで歩く。
伊達に三年間ISの産みの親の下で過ごしてはいない。
地獄のような武装試験と同時進行で、ISの内部システムやメカニズム等、一通りは教わって来たのだ。
「見た感じ、FCS・・・照準系の演算処理ですか」
「・・・そう、ですが」
ディスプレイのデータを見てそのプログラミングの内容を把握する。
まさかとは思うけど、これを一人でやっているのだろうか、この人は。
「もしかして、一人で?」
「・・・・・・」
訊いた途端、更識さんは無表情から一転、睨み付けるような表情でディスプレイを見た。
「色々、あって・・・」
「・・・そうですか」
深入りするべきでは無い、雰囲気からそう判断して視線をディスプレイに戻す。
一人でこれだけのプログラミングが出来るとは・・・表示されるデータだけ見てもかなりのものだと思う、けど。
「このプログラミングだとミサイル系のロックオンシステムは負荷が掛かりませんか?」
幾多の数列の横にあるISの武装データを見る限り、ミサイル系武装も積んでいる。だと言うのにこのプログラムだとFCSに負荷が掛かり、ロックオンに時間が長くなったり、最悪ロックオンが出来ない状態になるだろう。
その事を言うと更識さんは大きく溜息を吐いた。
「近接戦闘にソースを割くとこうなる・・・逆も然り」
「機体コンセプトは、汎用型ですか」
「そう、だけど」
「ふむ・・・」
ようはバランスが上手く取れないんだろう。機体イメージを見る限り、元となる機体は第二世代の日本製量産IS『打鉄』か。
防御と近接戦闘に重きを置いた機体だ。そも打鉄の数あるパッケージ装備にもミサイル関連の物は確か無かったはずだ。であれば対応できるミサイル用のプログラムなんて積む必要なんて無い。
「プログラムの内容から見て、マルチロックを組み込むつもりでしたか・・・」
「えっ!?」
数字の羅列を見ながら言った言葉に、更識さんが初めて大きな声を上げた。
「そこまで解るの!?」
「勉強してますので」
ふっふっふっ、これでも束さんの手伝いでダンディライアンのプログラミングをやったことがあるのだよ!知恵熱で三日寝込んだけど。
「じ、じゃあ、ここのプログラムのところ、解る?」
「反動制御のところか・・・これはーー」
それからと言うもの、僕は武装確認なんて忘れて簪さんとプログラミングについて話し合い続けた・・・。
で。
「・・・扶桑、君?」
「あれ?部屋間違えた?」
何で寮の部屋に更識さんが居るんでしょうか・・・?
という訳で原作のこのタイミングじゃない簪ちゃん登場です。
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