インフィニット・ストラトス ~黒兎の見る世界~   作:フォールティア

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秘技、お茶濁し‼



#09 訓練

鳳さんと会ったその日の放課後、僕はアリーナに来ていた。

 

「一夏、そこでクイックターン!」

 

「つっ!」

 

目的はご覧の通り、一夏の特訓である。

ここに来る前からISに触れてきた僕と違い、一夏は全くの素人だ。なのでこうして、入学当初から放課後は訓練に当てているらしい。

まあ今回、僕は初めて参加したんだけど。

 

「っ、どうだった?」

 

「飲み込み早すぎ・・・強いて問題点を上げるとするなら、ターンの時はもう少し力を抜いて、スラスターで回るんじゃなく、体で回る感じにしたほうが良いかな」

 

一通りの機動を終えた一夏にアドバイスをしながらタオルを投げる。

一夏の成長ははっきり言って早すぎる。たった数回の反復でクイックターンを物にし始めているし、箒さんとオルコットさん曰く、乱数機動や高度な技術を要求される機動をほんの数日で覚えてしまったという。

 

「睦月がよく使ってるから、やってみようとおもったけど、結構難しいなコレ」

 

「インメルマンターンを直ぐにマスターした人の台詞とは思えませんわね」

 

「ISでの縮地も直ぐに応用してしまったしな」

 

オルコットさんと箒さんの言葉に僕は目を見開く。いや本当に何者なんだ一夏は。連邦の白い悪魔か何かか。

その内、フィンファンネル!とか叫び出すんじゃ無かろうか。うん、あり得る。

 

「ふぅ、取り敢えず今日はここまでか?」

 

「そうだな。時間もそろそろ危うい」

 

「では、今日はここまでですわね」

 

備え付けの時計を見ると、もう17時前だった。もうすぐアリーナの閉館時間だ。

あ、そういえばこの後やることあるんだった。

 

「ごめん、一夏先に戻るね?」

 

「おう、今日はありがとな」

 

片付けを始めた一夏に一言謝り、僕は更衣室へと急いだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふう、ただいまー」

 

「おかえり、睦月」

 

「おぉ、ふっくんおかえり~」

 

用事を済ませ、部屋に戻ると簪と布仏さんが迎えてくれた。

何というか、慣れとは恐ろしいものでもう男女同室に違和感を感じることが無くなってしまった。いや、流石に無関心とかでは無いよ?

 

「ん?何観てるの?」

 

荷物を置いて、ベッドに座る二人を見ると小型のテレビに何か流れていた。

この位置からだと二人に隠れて画面が見えない。あれ、でもこの声どこかで・・・

 

「ああ、これ~?かんちゃんが良く観るアニメだよ~」

 

振り返って答えてくれた布仏さんの後ろから少し映像が見える。

こ、これは・・・!

 

「が、ガオガイガー・・・!」

 

間違いない、この合体シークエンス、長官の濃い顔付き・・・ガオガイガーだ。しかもファイナルの方。

 

「睦月、知ってるの?」

 

「ゴルディオンクラッシャーはロマンの塊」

 

「分かってくれると思ってた・・・!」

 

喜色満面の笑みを浮かべた簪と固く握手。ダンクーガとかあったからまさかと思ったけどホントに有るとは。

ヘルアンドヘヴンってカッコいいよね。

 

「二人はホントにロボット好きだね~」

 

「「ロボットは好きだ、大好きだ!」」

 

だってカッコいいじゃない?ボロボロのメカとかもうヤバイよね!

 

「シャワー浴びたら僕も観ていい?」

 

「当然・・・ってシャワー!?」

 

「おぉぅ、かんちゃんどうしたの~?」

 

突然叫んだ簪が布仏さんの耳元で何かを話す。僕がシャワーを浴びることに何か問題でも有るんだろうか?

アリーナでそれなりに動いたから汗を流したいんだけど。

 

「あ~、成る程ね~」

 

「布仏さん?」

 

「ふっくんはシャワー浴びちゃっていいよ~」

 

「ちょ・・・っ」

 

「かんちゃんは私が何とかしとくから~」

 

「?わ、わかった。じゃあシャワー浴びてきちゃうね」

 

「はいはーい、ごゆっくり~」

 

妙に焦った様子の簪と、落ち着いた布仏さんに疑問を覚えながらも僕は着替えを持って、部屋にあるシャワー室へと入った。

ホントにどうしたんだろ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやぁ、かんちゃんがそう言うことを言うようになるとわ~、私もびっくりだよ~」

 

「うぅ・・・」

 

睦月がシャワーを浴びている間、観ていたガオガイガーを一時停止した後、私は本音にからかわれていた。

ついさっき、睦月がシャワーを浴びようとした理由を話した結果がこれである。

 

「シャワー終わった後のふっくんが『えっちぃ』から止めたいとわ~、かんちゃん意外とムッツリ~」

 

「実際に観てないからそう言える・・・」

 

あれは本当に男性かと思えるほど色気があるのだ。女性としてなんか負けた気がしてしまう程に。

 

「そう聞いちゃうと余計に観たくなるよね~」

 

「後悔しても知らないから・・・」

 

もうあれだ、どうにでもなってしまえば良い。

諦めがついたところで、シャワー室の扉が開く。

 

「ふぃ~、さっぱりした~」

 

声変わりしたのか疑わしい高めの声が聞こえたので、本音と一緒に振り向いた瞬間、

 

「oh ジーザス」

 

「「え゛」」

 

変な言葉を残して本音が倒れた。鼻から血を流して。

慌てて看病をしている間、「時の流れが見える・・・」とか「あれは彗星かな?」とか良くわからないうわ言を言っていたけど、目が覚めた本人は覚えていなかった。

 

 

 





あれ?一夏が段々人間離れしてる気が・・・
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